人々が心に抱くモノ：日本人にとっては「空気」と同じ、あって当然のものである。自販機に対して心に抱くモノは特にない。日本中どこの街角でも、何か飲みたくなったら、近くに「必ずある」もので、「ないことに驚く」のが標準的な日本人である。さすがに、富士山の山頂にも何台も置かれていることを知ると日本人であっても驚く人はいるし、是非を問う議論は昔からあるが、人が住む・訪れる場所には必ずあるアイテムである。 つづきを読む 夏には冷たい飲み物、冬には暖かい飲み物が買えること、1台の自販機のなかにその両方が用意されていること、24時間いつでも使えること、硬貨だけでなく紙幣も使えること（すべての紙幣が使えるものも珍しくない）、入れたお金を機械が数え間違えることはなく、お釣りも正確なこと、壊れていたり、それが放置されていることなどないこと、問題があった場合の連絡先が表示されていて、そこに電話をすれば後日、お金が送られてくること（証明を求められることはまずない）、これらのことは日本では「常識」である。しかし、日本以外の大抵の国では「非常識」で、日本で暮らすようになった外国人はみな、驚き、そして感激してしまう。
日本人の自販機に対する認識や使い方を深く考察すれば、日本の「ものづくり」や「おもてなし」、ひいては、社会・文化・価値観を理解することができると言っても言い過ぎではないほど、とても日本らしいモノの一例である。

概要：自動販売機の通称。日本固有のものではなく世界中で使われているが、機能・信頼性・技術・普及率などで日本は最先端をいく（ことが定評になっている）。最も普及している自販機は「飲料」だが、「タバコ」、ガムなどのお菓子・アイスクリーム&キャンディー・ラーメン・うどん・そば・焼おにぎり・たこ焼き・パン・ハンバーガー・ホットドッグ・フライドポテト等の「食品」が続く。

歴史：世界最初の自動販売機は古代エジプトの神殿にあった聖水の販売機とされている。19世紀には英国、20世紀前半には米国で大きく発展したとされているが、日本で最初の自動販売機が作られたのは明治維新後の1880年代である。日本の“独走”は20世紀の後半以降、高度経済成長によって「世界の工場」の称号が米国から日本に移り始めた頃から始まった。