知的財産
知的財産に関する取り組みについてご紹介します。
当社が生み出す知的財産は、技術の促進に留まらず、製品やサービスを安心して選べる環境やブランドへの信頼といった、当社の事業活動と社会との関係を支える重要な価値創造の基盤です。当社は、知的財産の価値を高めながら、感動創造企業として、世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供しています。
ヤマハ発動機グループの知的財産の取り組み
当社は、「感動創造企業」を企業目的とし、世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供することを目指しています。その実現のため、企業活動の競争力を生み出す基盤である知的財産は、IP FOR BUSINESSの旗印の下、グローバル(Global)な知財活動、経営・事業と統合(Integrated)された知財戦略、規制・環境の変化に伴う機会の活用(Agile)、の3点を軸とする各取り組みにより、当社グループの企業価値・ブランド価値の向上に貢献しています。
1.知的財産の創造・保護・活用
当社は、知的財産が重要な会社資産であるとともに競争力を生み出す基盤であることを認識し、その創造、保護、活用に努めています。また、当社の経営計画・事業戦略との統合を図りつつ知財ランドスケープ分析や知財KPIの活用を通して事業活動の上流から積極的に関与し、下記の「知財活動方針の四本柱」を推進することにより、経営・事業の判断や価値創造に知的財産の視点から貢献しています。
知財活動方針の四本柱
- 既存事業の製品開発や技術開発に連動した知財創出を主とする従来型の知財活動から一歩先へ。
- 既存技術の先を見る「先取り」と、既存市場の先を見る「領域拡大」の知財活動に取り組む。
- さらなる「先取り」と「領域拡大」を狙う先進的な領域を、知財ランドスケープから示す。
- 経営の判断や戦略策定および価値創造に、知財の視点から貢献する。
2.デザインの保護
当社は、特許権、意匠権、商標権などを組み合わせた知財ミックスの活用を推進し、当社が誇る製品及びサービスのデザインについて多面的な保護を実現しています。当社ではデザインを、重要な経営資源として位置づけており、事業戦略と連携したデザインの保護活動を推進しています。
3.知的財産の保有
当社は、知的財産の活用および各事業の競争環境に合わせた知的財産の保有やそれにもとづくビジネスモデルを策定し、グローバルに持続可能な事業遂行に向けて、知的財産の各取り組みを推進しています。
4.知的財産の尊重
当社は、第三者による当社グループの知的財産権の侵害行為に対して、お客様の信頼保護、グローバルなブランド保護、競争優位性確保の観点から、毅然とした態度で対応しています。また、他者の知的財産権を尊重し、侵害調査によるクリアランス確保やライセンスなどを通して、知的財産関連法令の遵守に努めています。
5.知的財産の情報
当社は、お客様・お取引先・従業員など各ステークホルダーからの信頼や透明性を促進し、企業活動の競争力を促進するため、知的財産に関する情報を積極的に開示および活用しています。
6.技術発明の奨励
当社は、従業員の発明等に対して適切なインセンティブを付与する発明報奨制度を策定しており、当社の技術ビジョンにもとづく持続的なイノベーションを知的財産の点から促進しています。
推進体制・推進プロセス
知財戦略推進体制
知財分析などの視点やそれに基づく知財戦略は、グローバルRC*・法務・知財本部長(執行役員)が委員として参画する経営会議や技術経営委員会、陪席する取締役会の各審議に活用されています。さらに技術委員会の承認を経て年次発行する技術白書では知財分析による技術動向および事業動向の可視化や提言をし、これらを事業部門の中長期計画や技術ロードマップ、M&Aや出資提携検討などに取り入れています。知財視点を通じて技術革新や競争力強化を促進し、企業価値・ブランド価値の向上を図ることで、当社の価値創造に貢献しています。
*RC:Risk & Compliance (リスク & コンプライアンス)
知財戦略推進プロセス Innovation Revs Cycle ― ヤマハ発動機の知財創造サイクル
当社は、企業目的である「感動創造企業」の実現に向け、知財活動方針4本柱を基盤にした知財価値創造サイクル “Innovation Revs Cycle” を構築します。
このサイクルは、現在から未来へと続く知財価値創造の推進プロセスを以下の3つの時間軸でモデル化しています。
1.現在から数年先を見据えた既存領域の保護と強化
事業戦略に沿って特許権・意匠権・商標権などを組み合わせた「知財ミックス」を活用します。製品やサービスの外観・機能を多面的に保護し、競争優位性を確保すべく、各国・地域の事業戦略を支えるグローバルな知財ポートフォリオを展開します。
2.10年後を見据えた「先取り」と「領域拡大」
知財分析にて既存技術の先にある「先取り」領域や既存市場の「拡大」領域を抽出し、新コア技術や成長領域における知財活動を加速します。
M&Aや外部協業も視野に入れ、将来の市場・技術変化に即応する知財構造を形成します。
3.15年後のさらにその先を見据えた価値創造をリード
技術動向・市場構造を俯瞰する「IPランドスケープ」を活用し、長期的な先進領域を特定します。経営判断や中長期戦略策定を、知財視点から牽引し、社会的価値の創造と事業ポートフォリオの強化を両立する未来志向の知財戦略を構築します。
“Innovation Revs Cycle” は、
- 既存領域の多面的保護
- 中期的な先取り・領域拡大
- 長期的な戦略領域の見通しと価値創造のリード
という3層構造において、IPランドスケープを用いた知財創造サイクルを継続的に回すことで、技術革新と事業成長を同時に推進します。
これにより、ヤマハ発動機としての独自価値を守り、未来を拓き、世界に新しい感動を生み出し続けていきます。
活動・取り組みの事例
知財ランドスケープ
当社では各種の知財分析を通して、各事業戦略の先にある成長領域や事業ポートフォリオにおける領域拡大を可視化し、これを事業部門のM&Aや中長期計画等に活用しています。
知財ミックス
事業戦略に沿って特許権・意匠権・商標権などを組み合わせた「知財ミックス」の活用を推進しています。例えば、二輪車事業におけるプレミアム戦略「AEROX」については、「外観に関する意匠権」のみ取得するのではなく「特徴的なフロントデザインを技術的な視点で位置づけるポジションライト構造に関するデザイン特許権」の取得も積極的に進めています。さらに、”BLUE CORE”エンジンの始動用動力と発電を兼ねたスマート・モーター・ジェネレーター、可変バルブシステム、車両とスマートフォンの連携「Y-Connect」に関する技術などについても特許出願を行うことにより、製品・サービスの多面的な知財保護によるユニークな価値創出を実現しています。
ヤマハブランドの保護
ヤマハブランドは当社にとって最も重要な経営資源の一つです。当社は、ブランドを共用するヤマハ株式会社とともに、ほぼ全ての国・地域で商標登録を行うとともに、第三者による冒認商標の登録を阻止すべくグローバルに監視を行い、ヤマハブランドの不正使用行為に対して毅然とした対応を行なっており、知財活動は、ブランド価値の維持・向上に知財面から貢献しています。
模倣対策
当社は、お客様保護の観点に加え、模倣品による事業影響度や悪質性を考慮した上で、限られた資源(体力)で最大限の効果を得ることを模倣対応の基本方針とし、具体的には相手を絞り込み、模倣行為の早期停止を有効的な手段で実現するとともに、その結果を更なる模倣被害拡大防止/抑止効果に利用することを重視して、模倣対策に取り組んでいます。
知財分析・KPI評価・発明報奨を用いた価値創造ストーリー
新中期経営計画における重点施策として、① 知財分析、② KPI評価、③ 発明報奨のサイクルによる価値創造推進に取り組んでいます。① 知財分析を活用し未来を志向した技術の「先取り」領域や市場の「拡大領域」を見出し、② 当該領域で戦略的に知財KPIを設定・評価し、③ 発明報奨制度を活用して技術開発にドライブをかける、このサイクルにより新しい価値を生み出す発明創出をリードしていきます。
知財KPI評価
事業ポートフォリオにおいてコア事業と位置づける二輪車事業・マリン事業は、重要特許シェア率・新規発明者数ともに上位を維持し、競合企業に対して特許創出の効率性において高い優位性を確保。
二輪車事業
マリン事業
陰影は2024年公表データからの傾向を示す。赤丸のKPIに関しては、2025年統合報告書記載データ
※新規発明者数:2013年以降データ作成時までに新たに出願した発明者のみを集計
※重要特許シェア率:特定母集団における年平均被引用回数上位5%特許の保有割合
※点線は重要特許創出の効率性の競合事業者平均値を示す。
※指標は東京大学未来ビジョン研究センター「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関するKPI等の設定(中間報告)」(2022)ワーキングペーパーなどに依拠する。
※赤丸のKPIに関しては、2025年統合報告書記載データ