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技報【バックナンバー】

ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW
技報No.47 表紙

ヤマハ発動機 技報 No.47(2011年12月)

巻頭言:技術の「本質」と「変化」

巻頭言

技術の「本質」と「変化」 PDF

三輪 邦彦

ヤマハの製品がまさに今、世界のどこで、どんな使われ方をしているのか?そしてそれがどのように変化していくのか・・・と言うことに思いを馳せてみてください。マリンの世界ではゴージャスなクルージングの世界から、アフリカの漁民が古い2ストローク船外機で漁をしている世界まで千差万別。発電機の世界では、地域のお祭り屋台の照明から、新興国の医療機関でシビアに使われている世界、さらにはもっと我々の想像を超える使われ方がなされているのでは・・・そんな気がします。モーターサイクルで言えば、世界中に年に5,500万台もの需要があり、実際使われている車両を含めれば約2億台が地球上あちこちを走っていると思います。その使われ方は、働く車両として信じられないような荷物や人を積載する世界から、都会への通勤の足として利便性と個性を兼ね備えた世界、さらには車重300kg以上もある車両に一人一乗ってクルージングする世界、そしてオーバー300km/hで駆け抜ける世界などまさに千差万別です。
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技術紹介
技報No.47 技術紹介1 説明画像

電動アシスト自転車PAS 2011年モデル「電動モーター」開発 PDF

松井 太憲/永田 俊彦/大谷 寿英/白石 朋成/栗田 洋一

人のこぐ力を「電動モーター」がアシストする自転車として、1993年に世界で初めて電動アシスト自転車PASを開発・発売して以来、ユニットの小型軽量化やバッテリー性能の向上等、熟成を重ねてきた。また、環境・健康意識の高まりやアシスト新基準といった法令改正等が追風となり、電動アシスト自転車市場は堅調に伸長し、2010年の年間国内出荷台数が輸入車を除くバイク全体の同出荷台数を初めて上回った。今回、耐久性を高め静粛性にも優れた新開発のドライブユニットに搭載される「電動モーター」について、紹介する。
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技報No.47 技術紹介2 説明画像

無人ヘリコプターによる緊急時空中放射線モニタリングシステム PDF

佐藤 彰/今井 純郎

原子力発電所の事故は、大規模広域災害のひとつであり、航空機を用いた空中からの監視が大きな効果をもつ。しかしながら、有人機では要員の被ばくが大きな問題となり、その活動には制限がおきてしまう恐れがある。無人機を用いることにより、要員の被ばくを受けないで、事故現場の遠方から放射線の放出状況をモニタリングすることが期待されている。当社では、(財)原子力安全技術センターが実施した無人ヘリコプタを活用した緊急時航空機サーベイシステムに関する調査に、無人ヘリコプタを提供してきた。ここでは、(財)原子力安全技術センターが実施した無人ヘリ測定システム調査の成果について紹介する。また、今回の福島第一原発事故発生に際し、文部科学省からの依頼により実施した、事故発生現場から20km付近の緊急時避難準備区域内における放射線モニタリングの状況について、あわせて紹介する。
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技報No.47 技術紹介3 説明画像

金型製作における環境対応と収益向上の両立 PDF

石塚 英俊/神谷 俊治

ヤマハモーターエンジニアリング株式会社では、ヤマハ発動機グループの地球環境方針を受けて、『地球環境の保全や環境レベルの改善につながるよう、各業務要素の質を常に高めていく活動を行い、環境改善に貢献する技術・製品の開発とサービスに努める』事を環境活動方針として宣言している。金型技術においても、金型の重量削減や歩留り(製品になる部分の重量を材料の重量で割った数値)の改善活動を行うことにより、使用エネルギーの削減(環境改善)に貢献できるものと考えている。本稿では、環境改善活動と収益向上を考慮しつつ実施された、金型技術開発への取り組みを紹介する。
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技報No.47 技術紹介4 説明画像

エンジン組立ラインにおける自動組立設備の標準化とフレキシビリティ PDF

伊藤 通章

ヤマハモーターエンジニアリング株式会社(以下、当社)生産技術部門は、その発足以来、グループ内の製造工程に対し様々な設備を供給してきた。中でもエンジン組立ラインにおける、ねじ締めや圧入・シーリングなど、工程特有の自動化要求に対しては、『専用機の開発(オーダーメード)』という形で応えている。昨今では、特に国内工場において、多品種少量生産に対するフレキシブルな対応が強く求められてきている。本稿では、主に船外機エンジン組立ラインにおける当社の取組を紹介するとともに、自動組立設備の標準化とフレキシビリティについて考察する。
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技報No.47 技術紹介5 説明画像

低圧鋳造加圧制御ユニットのリニューアル機開発 PDF

楠野 雅章

低圧鋳造機は鋳造機本体、金型、保持炉で構成されており、自動二輪の部品などの鋳造に採用されている。低圧鋳造の工程は、1型締め、2加圧、3凝固、4型開、5製品取り出しである。型締め後に保持炉内を加圧することで、アルミ溶湯がストークを通り金型内に押し上げられる。金型内のアルミは、加圧・凝固の工程を経て製品となる。これらの工程は金型温度や溶湯温度、保持炉内圧力値など多くのパラメータを使って、専用のユニットで制御される。この加圧制御は鋳造品質に大きく影響するため、常に安定した機能が求められている。本稿ではこの加圧制御ユニットのリニューアル機開発について紹介する。
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製品紹介
技報No.47 製品紹介1 説明画像

2012年モデル TMAX PDF

高畑 竜実/大野 隆志/田屋 健/稲葉 明紘/梅谷 利明/長谷川 恭広

欧州の401cc以上のコミューター(ビッグスクーター)は、2006年以降年40,000~50,000台規模の登録推移となっているが、ここには日欧ブランド合計で20機種近くのモデルが投入されている。数多くの競合溢れる中、TMAXは単独モデルでおよそ5割のシェアを占めるに至っている。市場に受け入れられている要因は、「毎日の通勤の足として便利で扱い易い」ことと「週末のファンライディングでスポーツ走行を楽しめる」という2つの側面にある。これらの要素を絶妙なバランスで融合しているからこそ、幅広いお客様を獲得し、また「TMAXからTMAXへの乗り換え」という高いブランド評価へと繋がっている。既にブランドとして確立され、多くのカスタマーに愛用されているTMAXシリーズであるが、市場からの更なる期待に応えるべく、エンジンおよび車体を含めた全体的な刷新を図ることとした。
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技報No.47 製品紹介2 説明画像

2012モデル スポーツATV YFZ450 PDF

松浦 達也/磯田 敬/内門 玄/太田 啓二郎/杉浦 利一/若泉 剛

ヤマハ発動機(以下、当社)が2003年に発売したPure Sports ATV「YFZ450」は優れた走破性で定評のある当社市販モトクロッサー「YZ450F」のエンジンをベースに開発し、2009年の最終モデルまでその卓越した性能でYFZブランドとして信頼を得てきた。また2008年には、各部に最新スペックを装備した、後継モデル「YFZ450R」を発売し、市場で好評を得ている。しかし、ATVの主要市場である北米では2007年からの景気後退を受け需要の減少が続いている。特にスポーツATVは、更なる高性能化を期待するカスタマーニーズの影響と為替の影響による価格の高騰、及びクレジット審査の厳格化などから、買い控えや旧型モデルの値下がり待ちをする傾向が強まっており、他カテゴリーに比べても、いまだ停滞が続いている。そこで、スポーツ領域を強みとする当社は、スポーツATVの需要を再び喚起するPure Sport ATVの値頃感のある新たなモデルの開発に取り組んだ。
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技報No.47 製品紹介3 説明画像

2012モデル スノーモービルRSVector PDF

中野 太久二

過去10年にわたり、世界のスノーモビル(以下SMB)新車購入市場規模は、縮小傾向にあったが、2011年にロシア市場の拡大を受け総需要はようやく底を打ち、復調に転じはじめた。当社では2011年モデル「APEX」に、世界初となるPower Steeringを搭載し、高次元にバランスしたコーナリング性能を達成、市場で高い評価を得た。本稿では、2011年モデル「APEX」で訴求した「スノーモビルのハンドリング新基準」のさらなる拡大普及を目指し、「長時間、無理をせず、気軽に、快適に走行を楽しめるSMB」を具現化した「Power Steering搭載 2012年モデル RSVector」について紹介する。
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技報No.47 製品紹介4 説明画像

2011年モデルゴルフカーG30A(電磁ガソリンモデル) PDF

吉井 芳徳/三木 将行/山田 好武

1996年に発売したG17A(ガソリン電磁モデル)TURFLINERは、ゴルフ場のキャディ業務負担軽減やセルフ化の動向に対応し、市場で好評をもって迎え入れられ、以降G17E(72Vエレキ電磁モデル)、G15AP(ガソリンオートパーキングモデル)とモデルラインを拡充することにより、市場ニーズに細かく応えてきた。フルモデルチェンジで2004年末に発売したG30Aは「快適な移動空間」、「安心感のある走行特性」、「優れた運行信頼性」という3つの基本コンセプトが受け入れられ、さらなる市場シェアを獲得した。本稿では、さらに上記3つのコンセプトについて改良を実施した2011年モデルのG30Aについて紹介する。
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技報No.47 製品紹介5 説明画像

最軽量 4ストローク中型船外機F70Aの開発 PDF

寒川 雅史

1995年以降、USAの環境排気ガス規制導入により船外機のエンジン形式は大きな変革期を迎えた。従来の小型軽量・シンプル構造の2ストロークキャブレターガソリンエンジン方式から、2ストローク吸気管燃料噴射ガソリン方式、さらに2ストローク筒内直接燃料噴射ガソリン方式へと変わり、そして現在の主流は4ストロークキャブレターガソリン方式を経て、4ストローク吸気管燃料噴射ガソリン方式へと変遷してきている。この変遷にともない、排気ガスの清浄化と燃費が大幅に改善されたが、反面、重量・コスト増加により本来の軽量・シンプルな船外機の長所を生かしきれなくなっていた。ヤマハ発動機株式会社では、第2世代の4ストローク船外機として、この船外機本来の長所をとりもどすべく商品開発を進めている。本稿では、大型V-MaxSHOシリーズに続いて70馬力クラスの中型船外機における最軽量モデルとして投入したF70Aについて紹介する。
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技報No.47 製品紹介6 説明画像

EXULT36 & S-QUALOの製品紹介 PDF

佐竹 秀紀/望月 保志

ボートという乗り物は水と空気の境界層を走る唯一の乗り物である。故にボートづくりはそのデザインと性能が高次元で融合することがより良い製品をつくるうえでの前提といわれている。三次元ツールを用いた開発も成熟期を迎え、昨今では3Dでのデザイン、設計、各種計算、型加工とものづくりの精度や自由度が飛躍的に高まってきている。そのような背景の中、Y.I.B.(ヤマハインテグレーテッドボディ)コンセプトによる左右分割式のモールドはデザイン上の表情に加え新しいデバイスを生み出し融合するきっかけとなった。サイズやカテゴリーは異なるが、同一のコンセプトにより派生し、2年連続で日本ボートオブザイヤー大賞の受賞に至った2009年10月発売のEXULT36と2010年10月発売のS-QUALOの2モデルを紹介する。
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技報No.47 製品紹介7 説明画像

WaveRunner VXシリーズ PDF

中村 光義/益子 徹也/鈴木 聡/山本 尚志/吉田 竜也

弊社パーソナルウォータークラフト(以下PWC)VXシリーズはVX系(搭載エンジン排気量:1100cc)とVXR系(搭載エンジン排気量:1800cc)の両モデルで構成されており、現在販売中のモデルの中で、北米PWC市場で累計ベストセラーを記録している。この両モデルはVX系が「安心感」、VXR系は「爽快感」をコンセプトとして掲げ、艇体は同一ながら似て非なる乗り味を有しており、実際に操船比較をすれば、その違いを体感することができる。本稿では、艇体サイズと性能に直結するハル形状を同一にするという難しい前提条件をクリアしつつ、それぞれ大きく異なる開発目標を達成することができた両モデルの開発プロセスについて紹介する。
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技術論文
技報No.47 技術論文1 説明画像

二輪操舵システムの開発(自動二輪車の低速走行時における安定性評価) PDF

辻︀井 栄一郎/木村 哲也/安藤 裕介

車両の開発を効率よく行なう上で、操縦性・安定性を定量的に評価することは重要な課題の一つであり、二輪車の安定性については高速域と低速域で低下する特性があることがわかっている。そのうち、高速走行中の直進安定性については、長年にわたって理論的・実験的な解析が行なわれ、定量的な評価が可能となっており、実際の開発にも応用されている。また、極低速での走行は不安定であるが、キャスター角・トレール長の違いによって、一本橋走行を模擬した極低速の走行においても車両の特性が変化することもわかっている。一方、車両の操縦性と安定性を両立させる手段として二輪操舵の研究もされており、後輪に舵角を付与することで車両の操縦性と安定性に影響を与えることも知られており、低速走行安定性の向上も期待されている。本研究では、二輪の運動特性について鑑みた結果、新たな二輪操舵機構を考案、その前後輪の操舵比の違いにおける舵角時の、等価なキャスター角・トレール長との違いを換算した上で、操舵比の違いによる特に低速直線走行時における車両の特性を実験結果から評価した。
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技報No.47 技術論文2 説明画像

VベルトCVTのV-N特性予測ツール開発 PDF

木村 哲也/平城 大典/小林 光司/坂本 和信

小型コミュータ系車両の変速装置として用いられているVベルトCVTの変速特性を設計諸元から予測するシミュレーションモデルを開発した。ベルトの伸び・圧縮変形などを考慮し、駆動力による推力変化をモデルに組込むことによって、全開加速時の変速特性を精度よく予測することが可能となった。また、定常走行時や中間加速時の変速特性についても計算できるようになり、様々な走行パターンでの変速特性を机上で検討することが可能になった。
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技報No.47 技術論文3 説明画像

車両走行シミュレーションによる実走行燃費の推算 PDF

平城 大典/木村 哲也/矢部 裕子

二輪車の低燃費化に対する市場の要求が高まっている中、開発上流段階で車両の燃費を精度良く見積もることが求められている。本車両走行シミュレーションは、車体諸元やエンジン性能から構成される車両モデルと走行パターンに沿って車両を操作する運転モデルを組み合わせることで、加速性能、燃費、排ガスなどを計算する手法である。今回、Manual TransmissionとContinuously Variable Transmissionの2種類の変速機構で二輪車の車両走行シミュレーションを行った。車両の運転モデルはPID制御からなるドライバーコントロールモデルを採用し、Matlab/Simulinkによって構築した。実測データとの比較を行い、燃費検討やエンジン使用頻度の解析を行う上で実用的な精度であることを確認した。
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技報No.47 技術論文4 説明画像

Analysis of Port Injected Fuel Spray Under Cross Wind Using 2-D Measurement Techniques PDF

森吉 泰生/飯田 実

二輪車用ガソリンエンジンには、ポート噴射システムが急速に広まりつつある。二輪車では自動車に比べ、インジェクタを設置する場所が制限されるため、燃料を吸気バルブへ直接噴射することが難しい。それに加え、スロットルが吸気ポートの直前に設置されるため、吸気ポート内の流速が非常に速い場所がある。また二輪車での課題として、サイクル変動が大きいことがある。どのようにインジェクタを設置しよい混合気を形成できるかは重要だが不明瞭である。この研究では、ILIDS(Interferometric Laser Imaging for Droplet Sizing)を使い、液滴の直径と速度・空間位置を同時計測し、噴射方向・流速・壁面粗さの混合気形成への影響をみた。これらをもとに、冷間始動・低中負荷・高負荷での影響を考察した。
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技報No.47 技術論文5 説明画像

レクサスLFAスーパースポーツエンジン 1LR-GUEこだわり生産 PDF

鈴木 幸一/岡田 祐介/安藤 純介/國重 祐介/小曽 勉/戸塚 進之

ヤマハ発動機(株)ではトヨタ2000GT以降、これまで多くのエンジンをトヨタ自動車(株)主導の下、共同開発し生産を受託してきた。その長い歴史の中で今回、LEXUSブランドのスーパースポーツカーLFA用エンジン1LR-GUE(以下、1LR)の生産をAM製造部で受託する運びとなった。1LRは、約2年間で、500台という極少量生産であり、高付加価値商品に相応しい高品質を求められる。当社はこの高い要求品質に呼応すべく、1台/日のセル生産方式の確立と“全数良品”の実現を目標に掲げ、技術・生技・生産現場が一体となったSE活動を通じ、鋳造・加工・組立までを一貫した良品条件の作り込み活動を行なった。本報では、1LRエンジンの極少量高品質生産に向けたシリンダヘッド加工とエンジン組立を中心とした取組みの概要を紹介する。
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技報No.47 技術論文6 説明画像

低圧鋳造サイクルタイム短縮技術開発 PDF

中西 崇雄/小堀 幸伸

近年、自動車やモーターサイクルにおいては、地球環境の観点からCO2削減、リサイクル性の向上が求められ、軽量でリサイクル性の高いアルミ合金の使用率が高くなっている。当社でもエンジン部品やフレーム部品において、設計自由度の高いアルミ鋳造品の使用比率が増加傾向にある。一方では、2008年に起こった世界的金融危機や円高の影響により、アルミ鋳造部品の生産コスト低減は重要な課題となっている。本開発では、低圧鋳造の充填溶湯温度を低下させることにより製品凝固を早め、低圧鋳造のサイクルタイム短縮を行う手法について報告する。
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