人権
人権に対する取り組みについてご紹介します。

グローバルに事業を展開している私たちは、サプライチェーンを含めて高い人権リスクにさらされていると認識しています。リスクの高い地域や業種を特定しリスクをマネジメントしていくとともに、現地に溶け込み現地の人たちと手を取り合って事業を推進していけるという当社の強みを十分に生かして人権リスクへの取り組みを機会獲得にもつなげていきます。
方針・ガイドライン

国連グローバル・コンパクト
ヤマハ発動機グループは2017年、国連が提唱する国連グローバル・コンパクトに署名しました。国連グローバル・コンパクトにおける人権および労働に関する原則の基礎となっている「世界人権宣言」、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」を当社グループはこれまでも、そしてこれからも支持していきます。
当社グループは事業活動を行うすべての国・地域において法令の遵守を徹底していますが、当該法令がいかにあろうと、国際的な取り決めおよび国連グローバル・コンパクトの精神を優先して活動します。また、私たちは、当社グループの従業員だけでなく、取引先等に対しても人権の尊重を求めます。
ヤマハ発動機グループサステナビリティ基本方針
従業員・取引先をはじめとして、あらゆるステークホルダーに対して「私たちは、人権を尊重し、差別をせず、いかなる形であれ児童労働・強制労働は行いません」と宣言しています。
ヤマハ発動機グループ人権方針
「ヤマハ発動機グループサステナビリティ基本方針」に基づいた人権に関する方針として、ヤマハ発動機グループすべての事業活動における基盤となる人権方針を策定しています。
倫理行動規範
従業員に対して人種・国籍・思想・宗教・性別・生活信条・身体・性的指向・性格・親族・年齢・疾患等の基本的人権に関わる事項についての誹謗中傷、および性的ハラスメントやパワーハラスメントを含むあらゆる形態のハラスメント、児童労働・強制労働を禁止し、多様性を尊重して相互に認め合い活き活きと能力を発揮できる環境づくりに努めることをうたっています。
サプライヤー サステナビリティ ガイドライン
あらゆる雇用の場面において、人種や民族、出身国籍、宗教、性別等を理由にした差別を行わないこと、児童労働の禁止、強制労働の禁止、適正な労働時間や賃金の遵守、従業員との誠実な対話と協議を行うことなどを取引先に要請しています。
現代奴隷法に係る声明
現代奴隷法に沿って私たちは、英国およびオーストラリアでWebサイトにステートメントを公開し、毎年更新しています。
人権方針の周知徹底

従業員教育については、階層別研修の中でサステナビリティを取り上げて人権について解説するとともに、コンプライアンス研修やE-ラーニングの中で人権をテーマに設定して教育を行っています。
グループ会社に対しては、ヤマハ発動機グループ人権方針の遵守についてすべてのグループ会社の取締役会決議書を取得するとともに、主要なグループ会社に対しては経営幹部および担当部門への説明を行い、従業員教育のための素材を提供しています。
取引先に対しては、人権方針遵守要請のステートメントを社長名で送付し、サプライヤーからは「サプライヤーサステナビリティガイドライン」の合意確認書を取得し、販売店からは契約更新時に人権方針の遵守を織り込むようにしています。また「サプライヤーサステナビリティガイドライン」の中に「人権」と「労働」の項目を設け、人権の尊重、児童労働の禁止、強制労働の禁止、適正な賃金、従業員との対話と協議などについて明記しています。
人権デュー・ディリジェンス

本社を含めたグループ会社
サプライチェーンを含めた事業活動の中で、どの領域で人権への影響が大きいかを理解することが重要です。自らの事業活動における人権への負の影響を特定し、それらを回避・緩和するよう努めています。
新規事業を始める際には、その事業性や地域性による環境、社会、人権、労働リスクを含めたデュー・ディリジェンスを実施しています。
グループすべての事業部門および子会社にてリスクマッピングを実施し、人権侵害リスク可能性を抽出しました。また第三者機関と連携して設定した基準に基づきリスク評価を実施し、事業部門・グループ会社のリスク環境を評価しました。
関係ステークホルダー | 人権課題 | |
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企画・研究・開発 |
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調達 |
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製造 |
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保管・物流 |
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販売・営業 |
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アフターサービス |
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廃棄 |
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人権デュー・ディリジェンスのサプライチェーン展開は、本社の一部門ではなく、各事業部門・子会社にて実施し、デュー・ディリジェンスの手続き手順の理解を深め、実施実績の取得を促進しています。
2025年以降、本社主管部門・事業部門・子会社による人権デュー・ディリジェンス取引先現場確認を開始、課題の指摘と取引先改善活動の支援を進めていきます。
取引先
2019年に人権侵害課題の観点を含む労働環境について、第三者によるアセスメントを当社の主要市場であるインドネシアサプライヤーに実施、2021年2022年は人権を専門とする第三者機関と連携し、本社の外国人技能実習生に焦点を当てて日本国内サプライヤーにアセスメントとフォローアップを行いました。


2023年は、新たにヤマハ発動機グループ人権方針を策定したのを機に網羅性を高め、直材調達先を対象に、リスク評価と自己診断調査を開始しました。
2024年ではリスク評価は100%完了、自己診断は目標としていた高中リスク取引先に対し149%、 つまり低リスク取引先にも広げて情報取得することができました。リスク評価・自己診断双方の結果を基に、調達先別にリスクの最終化に取り掛かりました。その情報を先取りし、リスク環境として高いとわかっていたインド・インドネシアにて直材調達先の現場訪問を実施しました。訪問した取引先では、サステナビリティや人権といった方針の重要性は理解していますが、具体的な活動の企画、内外への啓発・展開まで至れていない会社が多く、特に人権尊重の活動では顕著でした。
こうした背景から当社グループとしては、取引先の監査やモニタリング以前に、指導・改善支援の必要性を再認識し、現場確認を通じて各社に浸透のための活動推進やサプライチェーン展開を促していく、という活動を今後推進していきます。
是正・救済
社内に対しては、人権を含むコンプライアンスに関わる課題について速やかに報告ができるよう、コンプライアンスホットラインによる内部通報制度の整備・運用を図っています。
社外に対しては、以下の社外ステークホルダー向け人権ホットラインにより、是正・救済を図ります。2024年には同ホットラインへ9件の事案が報告され、適切な対応が実施されました。
社外ステークホルダー向け人権ホットライン
当社の社外ステークホルダーからの人権ホットラインへの通報は、下記ボタンから表示されるフォームページで受け付けています。
対象事案
当社グループの事業活動または当社グループの事業活動に係わる取引先等の事業活動 によって、国際規範や各国の国内法に反して人権に関する組織的かつ具体的な負の影響(被害)が生じている事案(例:強制労働、児童労働、労働安全衛生の著しい欠如、環境汚染による地域住民への負の影響など)、または、組織的かつ具体的な負の影響(被害)が生じることが懸念される事案を対象として受け付けています。
職場における人間関係もしくは人事権の裁量行為に関する不満または当社グループの製品もしくはサービスの品質に関する相談等、国際規範や各国の国内法に定められた人権に関する権利と関係のない事案については対象外となります。
対象利用者
対象事案において、人権に関する負の影響(被害)を受けている本人、負の影響(被害)を受けている本人と同じ組織・団体等に属する方を対象とします。
通報にあたっての留意事項
- 本窓口では、匿名での通報も受け付けていますが、匿名の場合には、事案の調査や対応が制限される可能性があります。
- 対象事案、対象利用者その他所定の要件を満たさない通報については、原則として調査・対応をおこないません。また、要件を満たす通報であっても、内容などによって調査・対応をおこなわない場合があります。
- 通報内容および提出いただいた資料は、事案の調査や対応などの是正・救済措置のために必要な範囲で当社グループまたは調査協力者によって利用されます。
- 当社は、本窓口の運用状況や調査結果等の概要を外部に公表する場合があります。
- 従業員などの社内ステークホルダーは、社内のコンプライアンスホットラインを活用ください。
- 本窓口では、日本語と英語で受け付けています。
※上記は標準的な対応フローであり、実際のフローは事案によって異なる場合があります
ハラスメントの防止
サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まっている中、ヤマハ発動機グループでは従業員に対して、人種・国籍・生活信条・身体・性格・親族等についての誹謗中傷、人格を否定するような言動の禁止、セクシャルハラスメントをはじめとしたすべてのハラスメント行為の禁止を倫理行動規範でうたっています。しかしながら、ハラスメントは誰しも意図せず行為者になりうるものであり、ひとたび重大なハラスメントが発生すると、被害者だけでなく、会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループで展開しているダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の浸透、社員のエンゲージメント向上等の取り組みを通じ、ハラスメントが起きにくい組織風土を醸成し、事案発生時には、再発防止も含め、迅速・適切に対応するとともに、ハラスメントを未然防止するための啓発、教育活動にも継続的に取り組んでいます。
また、2023年には日本国内を対象にこれまでのコンプライアンス案件通報窓口に加え、ハラスメント・労務問題専用の相談窓口を新設し、ハラスメントを受けた、見聞きした、という場合には速やかに相談できるレポートラインを整備しました。もしハラスメントの報告を受けた際には当事者からヒアリングを行い事実確認した上で、懲戒や指導などの適正な対応を行うとともに、再発防止に向けた取り組みを進めています。