マテリアリティへの取り組み
ヤマハ発動機のマテリアリティへの取り組みをご紹介します。
当社は社会の持続的な発展と地球環境との調和、中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に重要な社会課題(マテリアリティ)を特定し、定期的な点検・見直しを行いながら取り組みを推進してきました。
2024年には、長期ビジョンの実現に向けあらためて当社の歴史や企業目的を振り返り、「モビリティの楽しさ」「豊かな人生」「地球との共生」の3つの新しい価値を創出して持続的な成長と企業価値向上の実現を目指すとした価値創造ストーリーに再定義し、2025年からの中期経営計画に組み込みました。この新しい価値を創出するための課題となる「イノベーション」「カーボンニュートラル」「安全・安心」をマテリアリティに特定し、活動を推進・進捗していきます。
なお、ESG経営の指標となるマテリアリティKPIの実績は、担当役員の個人業績報酬の非財務評価の一部に、外部評価機関によるESG評価を含む総合的な進捗は代表取締役社長を含む役員の全社業績報酬の評価項目の一部になっています。
当社が取り組むマテリアリティ
イノベーション
お客さまを価値創造に巻き込む取り組み
目指す姿(2030) | 中期目標(2025 - 27) |
---|---|
デジタルの推進でヤマハ発動機の二輪車を購入し続けたいと考えるお客さまとの強固なつながりを醸成 |
|
「統合ボートビジネスへの進化」による顧客体験価値の拡大 *従来の推進機や艇体、周辺機器ビジネスを発展させ、ボート全体を統合して制御することを目指す当社の取り組み |
|
モビリティを購入できない人でも、生活水準の向上と安定した収入の獲得が可能なサービスを提供して、雇用機会を創出 |
|
自動運転EVによる屋外自動搬送サービスの普及を促進し、製造・物流業の人手不足の改善や安全で快適な労働環境を実現 |
|
カーボンニュートラル
事業拠点から排出されるCO2の削減(Scope 1,2)
目指す姿(2030) | 中期目標(2025 - 27) |
---|---|
生産活動から排出されるCO2排出量を2010年比で80%削減 (2035年カーボンニュートラルを達成) |
|
再生可能エネルギーの利用を拡大 (2035年電力に占める再生可能エネルギー割合を30%以上) |
|
製品使用から排出されるCO2の削減(Scope 3 Cat.11)
目指す姿(2030) | 中期目標(2025 - 27) | ||
---|---|---|---|
環境負荷の低い基幹製品の開発・販売の推進 | 電動化 | 電動二輪車の開発と販売: コミューター領域、FUN領域でのラインナップ強化 |
|
マリン推進機の電動化: 先進国の船外機全モデルの5%を置き換え |
|
||
省エネルギー化 | 二輪車の内燃機関燃費の改善 新エンジンの開発:4モデル |
|
|
船外機の軽量化によるエネルギー効率の向上 |
|
||
電動アシスト自転車の電費改善: 2019年比8% |
|
||
CO2排出が少ない燃料への対応 | フレックス燃料(E85)に対応した二輪車を開発:2モデル |
|
|
カーボンニュートラル燃料(水素、FCV、バイオ燃料、合成燃料)に対応したマリン製品技術の蓄積 |
|
||
アルコール燃料(E27)に対応した無人ヘリコプターの販売: 台数比率45%以上 |
|
安全・安心
当社の製品による死亡事故ゼロに向けた活動推進
目指す姿(2030) | 中期目標(2025 - 27) | |
---|---|---|
技 術 |
先進運転支援システムを搭載した二輪車を市場投入 |
|
更なる先進技術を織り込んだ電動アシスト自転車を市場投入 |
|
|
無人ヘリコプターによる事故を低減 (事故率3%以内、重大事故発生ゼロを継続) |
|
|
技 量 |
二輪車運転者による事故低減のための適切な教育を展開 |
|
電動アシスト自転車操縦者への安全運転に対する理解促進活動を実施 (2024年実績の2倍:2024年9回実施) |
|
|
ボート操船中の事故ゼロに向けた製品やサービスの市場導入 |
|
|
無人ヘリコプターの操作による事故を低減 (事故率3%以内達成、重大事故発生ゼロを継続) |
|
|
つ な が る |
二輪車の点検や整備の適切なタイミングをお知らせする機能を展開 |
|
電動アシスト自転車の安全安心走行のための情報や車両の異常をお知らせする機能を展開 |
|
|
安心を支えるコネクテッド機能を備えた船外機を普及 |
|
モビリティ技術の活用で高齢者や過疎地での交通弱者が利用できる交通インフラを提供
目指す姿(2030) | 中期目標(2025 - 27) |
---|---|
高齢者の生活の質の改善のためのグリーンスローモビリティのソリューションを確立し健康寿命を延ばすことに貢献 |
|
2024年の実績
環境・資源
カーボンニュートラルの実現を目指して
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs テーマ |
目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) |
---|---|---|---|---|
二輪車・船外機等CO2を排出する基幹製品の環境負荷軽減 | 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 |
生産活動から排出されるCO2(売上高原単位)を2010年比で80%削減 (2035年までにネットゼロを実現) |
|生産活動からの売上当たりCO2排出量を2010年比で58%削減 *カーボンニュートラル2035年前倒しに伴い、目標を2024年58%削減に上方修正 |
|69%削減(2010年比) |
|再生可能エネルギー設備を10以上の国・地域に展開 | |14の国と地域に導入済、 ー電力に占める再生可能エネルギー比率は36% ー日本、インドネシア、インド、ベトナム、タイ、台湾、アメリカ、パキスタン、フィリピン、コロンビア、ブラジル、イタリア、フランス、中国 |
|||
|ヤマハ発動機の国内事業所にCO2が排出されない方法で発電された電力を導入 | |国内主要事業所に水力発電由来の「静岡Greenでんき」を2022年7月に導入 |グループ全体におけるScope 1, 2 CO2排出量の21%を削減 |
|||
2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 |
電動化をはじめとする環境負荷の低いヤマハらしい製品開発・販売の推進 | |カーボンニュートラル燃料*を利用した、内燃機関の研究開発を推進 *水素、合成液体燃料、バイオ燃料など |
|国内二輪メーカー4社による水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE)の設立 |カーボンニュートラル対応のパワートレイン研究開発設備を導入、稼働 |HySEによるダカールラリー参加車両用水素エンジンの適合開発、2023年・2024年連続完走 |ゴルフカー用水素エンジンの開発、世界初公開として米国でのPGAショーに出展 |マリン用水素エンジン船外機の開発、マイアミボートショーに出展 |
|
|新たに8機種以上の電動二輪車をグローバルに市場導入 | |8機種を市場に導入 | |||
|新たなマリン電動コンセプトモデルの試作評価完了 | |マリン電動推進機メーカーのTorqeedo社買収により小型電動ラインナップを構築 |電動推進システム「HARMO」を欧州で発売 |
|||
|新たに6機種以上の電動アシスト自転車をグローバルに市場導入 | |9機種を市場に導入 |
海洋資源の保全を目指して
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs テーマ |
目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) |
---|---|---|---|---|
マリントップブランド企業として海洋生態系の破壊や漁業資源枯渇のリスクを低減 | 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 |
ボート製品のリサイクル性向上 | |FRP廃材リサイクル技術研究を進め2024年までに実現技術を獲得 | |FRP廃材からのガラス抽出実験に成功、再利用への課題を把握 |
|FRPの素材を自然由来素材に切り替え、2024年量産モデルより順次導入 | |植物由来セルロースナノファイバー強化樹脂材料を水上オートバイなどのエンジンカバーに採用して市場導入(輸送機器部品の量産品として世界初) | |||
2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。 |
漁業の持続可能性に寄与するソリューションを確立 | |漁獲管理ソリューションの実証実験を経て、2024年にパイロット導入 | |国内外で漁業管理ソリューションのPoC*を実施
*Proof of Concept(概念実証) |インドネシアでマングローブ植林プロジェクトを開始 |
交通・産業
すべての人に安全でやさしい移動を
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs テーマ |
目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) | |
---|---|---|---|---|---|
二輪車による交通死亡事故ゼロに向けた活動推進 | 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。 |
全交通死亡事故に占める二輪車運転者の割合を低減 | 技量 | |Yamaha Riding Academy(YRA)受講者数:前中計3年間の22万人に対し1.6倍増(35万2千人) | |開催数:6,302回/受講者数:38万3千人(累計) ※開催数:2,230回/36カ国 受講者数:14万6千人(2024年) |
技術 | |エアバッグ機能の技術研究・開発を推進 | |市場導入に向けて計画通り開発中 | |||
|事故回避のための周辺情報警報システム(前方・後方・死角・車線逸脱)の開発および2024年度内市場導入 | |新型TRACER9GT+を24年に開発完了 ※市場導入は2025年度モデル |
||||
モビリティ技術を活用し、高齢者、子ども、過疎地など、交通弱者が利用できる交通インフラを提供 | 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。 |
低速自動走行システムの導入による交通弱者の減少を実現 | |2024年までに3カ所以上での実装に向け、限定された公道でのサービスカー自動運転技術を確立 | |政府主導プロジェクトに協力し、福井県永平寺町にて日本で初めてレベル4実装運用を開始 | |
人をもっと幸せにする新しいモビリティの提供 | |2023年に新たな移動体験を提供するパーソナルモビリティ―を市場導入 | |市場検証結果から販売見送りと判断、改良を再検討 | |||
モビリティーサービスに対するアセット提供を通じて、利便性向上と雇用創出を実現 | 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 |
二輪車を購入できない人でも生活水準の向上と安定した収入の獲得が可能なサービスを提供 | |新興国市場2、3カ国でモビリティサービスとして提供する事業を開始 | |インド・ナイジェリアでモビリティサービス事業開始 |その他市場への拡大検討 |
|
|安全な移動・物流サービスを提供するスタートアップに対し資産リース(2024年で100〜150億円規模)などを通じて支援し、人々の基礎的サービスへのアクセス向上に貢献 | |インド・ナイジェリア事業の総資産残高は約80億円(円ベースの事業計画対比では新興国通貨安の影響で計画未達成) |
ロボティクス技術で仕事を楽に快適に精密に
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs | 目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) | |
---|---|---|---|---|---|
省人化により新たな時間を創出し、人が人らしく働ける環境を実現 | 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 |
製造・農業・医療分野における新技術の事業化と効率化の促進 | 製造 | |2022年に工場間自動搬送を事業化し、2024年までに海外でのビジネス展開を図る | |事業の立上りは遅れるも国内事業は業界内での認知度が向上、導入拡大(2024年度末で約70台が稼働) |海外展開に向けた検討を開始 |
|人による繰返し作業や高負担作業を支援し自動化するための自社製の協働ロボットを、2023年に工場へテスト導入し、2024年に本格的なビジネス展開を実施 | |協働ロボットは開発から量産準備の段階へ移行、安全認証を進捗 |工場での実運用評価のため、社内工場やお客さまに計13台を導入、フィードバックを受け製品改善への取り組みを実施 |
||||
農業 | |農林水産省事業として、収量10%向上、減農薬・減肥料を実現するスマート農業システムを販売 | |農林水産事業におけるスマート農業用ドローンを発売 |スマート農業システムとの連携・実証は継続 |
|||
|米国・豪州などで果樹農耕作業・育成状況監視の省人化技術・ビジネスを確立 | |オーストラリアの農業スタートアップThe Yield社を買収、2024年4月にYamaha Agricultureを設立 |2025年4月にニュージーランドのRobotics Plus社を買収、ソリューションの進化を進める計画 |
||||
高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。 |
医療 | |現行機種より精度の高い細胞ハンドリング装置の新機種を販売 | |AI技術を用いた画像解析技術搭載の新機種を開発完了、2025年から納入開始 | ||
|人それぞれにあった治療法を見出すための抗体検出サービスを提供 | |抗体を活用した医療・健康事業の新会社として2023年に米国法人・日本法人を設立、研究開発中 |
人材活躍推進
多様な人材で企業力強化を
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs テーマ |
目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) |
---|---|---|---|---|
グローバル視点で人材を適時適切に配置し、エンゲージメントとパフォーマンスを最大化 | 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 |
性別、出身国、原籍などの個人の属性によらない適材適所を実現し、多様な価値観を尊重しながら事業を推進 |
|海外子会社経営幹部のローカルタレント比率を55%以上 | |57.5% |
|グローバルモビリティ(国際間異動)を2024年末時点で10件程度実施 | |Global Assignment Policy(旧YAP)を2022年に導入し国際間異動案件を実施 ー実施済(ミッション終了後帰国済)9件 ー実施中(駐在中)6件 ー準備中3件 |
|||
|グループ全体での女性管理職比率13%以上(2024年末) | |12.1%(594人/4,922人) 拠点別女性管理職活用数 -YMC単体:54人(3.8%) ※出向者は出向先拠点でカウント -国内拠点:47人(6.5%) -海外拠点:493人(17.8%) |
|||
|本社社員エンゲージメントスコア70%(2021年 59%) | |63% |
人権尊重の企業責任を果たすために
SDGsのアイコンに触れると設定したターゲットの詳細を確認できます。
当社の課題 | SDGs テーマ |
目指す姿(2030) | 中期目標(2022~2024) | 実績(2022〜2024) |
---|---|---|---|---|
当社のサプライチェーン全体から人権侵害のリスクを排除 | あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。 |
人権に対する対応が体系的に整備され、人権リスクを最小化するための仕組みを効果的に運用 | |人権方針を策定し、グループ会社での採択100%を実現 | |グループ会社対象に100%完了 |
|サプライチェーンにおける販売店・調達先*との人権方針の合意割合の拡大 (2024年 80%→2027年 100%) *当社または子会社が、直接取引基本契約を締結している販売店・製品本体に関わるTier1の調達先 |
|本社・子会社の販売店81%・直材調達先87%に、人権条項契約の織り込みもしくは合意確認書を取得済み | |||
|グローバルでの救済メカニズム運用開始、リスク案件への適切な対応 | |社内向けは既存ホットラインを使用 |社外向けは2023年12月に新規設定し運用開始 |