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「気候変動」への取り組み

ヤマハ発動機は、事業活動を通じて気候変動課題の解決に取り組みます。

製品から排出されるCO2を削減

当社は軽量・コンパクト、耐久性と信頼性をコンセプトとしたモノづくりを強みに、設立以来60年以上にわたり常に新たな価値の提案を目指し、新たな市場の創造にチャレンジしてきました。海で、陸で、空で。レジャーで、産業で、暮らしで。個性的かつ多様な製品を180を超える国と地域に提供しています。

ヤマハ発動機グループのCO2排出量のうち、当社製品の使用に伴うCO2排出量(Scope 3 Cat.11)が大半を占めています。そこで下記4つの重点施策を掲げ、製品使用時に伴うカーボンニュートラルを目指します。

世界地図に各種製品アイコン
  • ICE系燃費改善
  • BEV商材拡充
  • BEVモデル拡販
  • CN燃料対応パワートレイン開発
SDGs 13

ICE系燃費改善

当社製品群の使用時(Scope 3 Cat.11)におけるCO2排出量は、アジアが全体の60%以上を占め、うち二輪車が97%を占めています。二輪車は新興国において、通勤・通学・配達や二輪タクシーなど安価で便利な移動手段となっており、人、物、サービスの移動を支える社会インフラとして重要な役割を担っています。当社は、各国・地域の温室効果ガス削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)やエネルギー政策および規制動向を見ながら、選択肢の一つとして安価で便利なモビリティであるICE系燃費改善の更なる取り組みと低炭素製品“BLUE CORE” エンジン搭載モデルを普及拡大すること事で、SDGsの観点からも新興国の経済成長や雇用の創出および環境課題解決に貢献していきます。

エリア別 製品使用時CO2排出量
エリア別 製品使用時CO2排出量
BLUE CORE

“BLUE CORE”「走り」と「燃費・環境性能 」の両立を高次元で具現化する二輪車エンジン設計思想

当社二輪車におけるブルーコア搭載モデルの販売ウェイト推移
二輪車グローバル販売台数に占めるブルーコア搭載モデルのウェイト

インドでのモビリティサービスビジネスの拡大

当社は、モビリティサービスビジネスの拡大を目的に、インドに新会社「MOTO BUSINESS SERVICE INDIA Pvt. Ltd. (以下、MBSI)」を設立しました。そしてこのたび、同社から、二輪車レンタルサービス等を行う現地モビリティサービスプロバイダー「Royal Brothers」に対して二輪車両の貸与を始め、事業を開始しました。

「MBSI」は、シェアリングやタクシー業、物流サービス等を行うMobility as a Service事業者(以下、MaaS事業者)への二輪車両の貸与を通じて、アセットマネジメント事業を行います。また、事業を通じた就労機会の創出により、人々の生活の質向上にも貢献していきます。今後も、「Royal Brothers」に加え、インドのMaaS事業者との協業を通じて、インドでのモビリティサービスビジネスの拡大を目指します。

SDGs 01

BEV商材拡充

当社は、1980年代から環境・エネルギー資源問題の解決策のひとつとして“電気動力”に着目し、技術開発を進めてきました。2002年には、量産初の電動二輪車「Passol(パッソル)」を発売。以来、各地域の最適なEVの在り方を想定しながら、二輪車にとどまらず、電動のゴルフカーや小型低速車両(ランドカー)、電動アシスト自転車、電動車いす、ドローンなどを含めた多様な製品群での電動化を通じ、モビリティの可能性を広げ、より良い生活と社会の実現を目指しています。

領域

電動アシスト自転車

製品写真
YPJ-MT Pro

 

製品写真
BOOSTER

 

製品写真
PAS Kiss mini un SP

電動車いす

製品写真
JWX-1 PLUS+

電動二輪車

製品写真
NEO's

 

製品写真
E-VINO

 

製品写真
EX05

 

製品写真
EMF

電動ゴルフカー

製品写真
AR04

電動推進器

製品写真
HARMO

産業用マルチローター

製品写真
YMR-II

BEVモデル拡販にむけた実証実験 カーボンニュートラル時代の創造にむけて

BEV商材の拡販には充電ステーションなどの社会インフラが必要です。EVインフラやシェアリングビジネスなどの構築にあたって、顧客ニーズの把握やその他周辺ビジネスの可能性探求、新たな市場開拓などの実証実験用として、事業所、自治体、官公庁などに向けて「E01」を導入します。
「E01」は、通信制御装置(CCU:Communication Control Unit)を搭載しています。この通信情報は車両制御ユニット(VCU:Vehicle Control Unit)の情報と統合し、車両情報(位置情報・走行状況)として当社のWebサーバーに定期的にアップロードします。Webアプリケーションにアクセスすることで、走行ログ、バッテリー残量、最終駐車位置などを確認できます。当社はこのデータから、将来的な二輪EV利用団体、運転者のニーズを推測し、社会ニーズに呼応したインフラ提唱や製品開発の参考とします。

SDGs 09
SDGs 13
 ※「E01」:原付二種クラスのスクーターとしての実用性と都市間の移動に適した走行性能を備える電動スクーターのPoC(仮説検証;Proof of Concept)モデル
E01
将来の移動に向けたさまざまな実証実験の取り組み
将来の移動に向けたさまざまな実証実験の取り組み

電動二輪車用共通仕様バッテリーのシェアリングサービスを提供

ENEOSホールディングス株式会社、本田技研工業株式会社、カワサキモータース株式会社、スズキ株式会社、およびヤマハ発動機株式会社の5社は、電動二輪車の共通仕様バッテリーのシェアリングサービス提供と、シェアリングサービスのためのインフラ整備を目的とする「株式会社Gachaco(ガチャコ)」を2022年4月1日に設立しました。Gachacoは、電動モビリティを利用するすべての人に、充電切れの心配がなく、安全・安心に使っていただけるバッテリーの給電ネットワークをインフラとして構築することを目指し、脱炭素・循環型社会の実現に貢献します。

Gachaco(ガチャコ)

カーボンニュートラルを実現するパワートレイン技術の研究開発

当社は、カーボンニュートラルの実現に向け、電動モーターやバイオ燃料、eフューエルなどのカーボンニュートラル燃料など多様なエネルギー源に対応したパワートレイン技術を研究・開発しています。

SDGs 13

電動モーターの開発
小型モビリティ製品向けに開発した電動モーター(最大出力50kWクラス)は、コイルにセグメントコンダクタを採用し、占積率を上げることで高出力・高効率かつ軽量な(50kWクラスのユニット重量は13kg)ユニットを実現しました。また、内燃エンジンの開発で培った鋳造技術と熱マネジメント技術の活用によって冷却性能にも優れています。

50kWクラス、350kWクラス

高出力帯モビリティ製品での搭載を想定して開発した350kWクラスのユニットは、ギアとインバーターが一体となったコンパクトな構成の「機電一体型」で、最大電圧800Vで使用可能です。このユニットは、1台の車両に4機搭載の場合で最大1.47MW(2,000馬力)のアウトプットが可能です。

水素エンジンの開発
川崎重工業(株)、(株)SUBARU、トヨタ自動車(株)、マツダ(株)、ヤマハ発動機の5社は、カーボンニュートラルを追求した内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる共同研究の可能性について検討を開始しました。当社は、二輪車やROV(四輪バギー)等、自社製品への搭載を視野に入れた水素エンジンの技術開発を行っています。

5.0リッターV8水素エンジン

高性能レンジェクステンダー(航続距離延長)ユニット「αlive RX」
「αlive RX」は、小型・軽量・ハイパワーが求められるドローン等への搭載を想定し、コンパクトなユニットでありながら想定値約88kWの高いパフォーマンスを発揮します。電動モビリティのバッテリーの一部と置き換えることで航続距離や運用時間を飛躍的に延ばすことができます。また、次世代燃料にも対応します。

αlive H2E(水素エンジン)
既存のエンジン技術を活かし、水素を燃焼して得られるエネルギーを使うCO2を排出しない*1内燃機関。水素エンジンはモビリティのパワートレイン以外にも発電機等への活用の可能性が高く、カーボンニュートラルの選択肢を拡げることのできる技術です。

※1 超微粒のエンジンオイル燃焼分は除く

事業拠点におけるCO2を削減

ヤマハ発動機グループの事業拠点は、世界約30ヶ国・140拠点あります。うち生産本部が管轄する製造拠点は、16ヵ国27工場で展開し、多くの工場が鋳造や鉄やアルミの加工、プレス・溶接、鍛造、熱処理、樹脂成形、塗装、組み立てに至るまで内製しています。

ヤマハ発動機グループの事業拠点マップ

事業拠点におけるCO2排出量の削減は下記4つの重点施策を掲げ取り組んでいます。

4つの重点施策

  • 理論値エナジー活動
  • 再生可能エネルギーの利用拡大
  • 設備更新・工程改革
  • 化石レス・電化
SDGs 13

理論値エナジー活動 ~グローバル展開

当社では、日本国内で蓄積した省エネノウハウを、海外グループ会社と共有・協力しながら、グループ全体のCO2削減を進めています。具体的には国内外生産拠点の設備や工程別に価値/準価値を定義し、本質機能を見極めロス最小化を狙う“理論値エナジー”思考を展開しています。これまでに全13ヶ国30拠点を訪問し、グループ全体のCO2排出量の98%をカバーする範囲まで活動を展開し、エネルギーロスの削減を推し進めています。

SDGs 13

理論値エナジー
設備・工程において、理論上必要なエネルギーを価値エネルギーと定義し、準価値/無価値の部分を設備・運用両面の改善によって徹底的にそぎ落とし、エネルギーの最小化を追求する思考です。国内外のグループ会社に加え、サプライヤーへの展開を進めています。

~価値エネルギーの追求~

当社では、理論値エナジーの考え方に基づきCO2削減を進めています。理論値エナジーでは4つの活動STEPを設定し、そのSTEPに基づき削減活動が行われます。

■ 理論値エナジー活動
理論値エナジー活動

STEP1では設備ごとにエネルギーの現状把握がなされ、価値、準価値、無価値に大別されます。
無価値、準価値は改善対象と捉え、価値エネルギーの追求をします。

■ 加工設備 エネルギーの価値分類
設備名 年間電力量[kW] 価値比率 準価値比率 無価値比率
歯切り盤 083-621 18,298 6% 34% 60%
歯切り盤 183-015 17,765 7% 32% 61%
NC旋盤 097-782 16,054 16% 48% 36%
NC旋盤 097-796 12,180 21% 53% 26%
NCフライス 146-005 13,175 9% 40% 51%
バレル研磨 204-A13-40 1,995 13% 81% 6%
刻印機 204-A13-30 3,940 25% 70% 5%
面取り機 204-A13-20 1,558 11% 45% 44%

価値以外のエネルギーを削減する施策を徹底的に考え抜き改善を行っていきます。

■ 価値追及 油圧エネルギー最少化
価値追及 油圧エネルギー最少化
■ 加工設備 改善結果
加工設備 改善結果

理論値エナジー活動 ~理論値生産に基づいたスマート工場の展開

当社は、理論値生産に基づき生産活動には直接寄与しないことから無価値とされる搬送作業や単純作業の時間に着目したスマート工場の取り組みを実施しています。また、ロボティクスとモビリティ事業で豊富な実績を持つ当社ならではの着想と技術で、リニアコンベアモジュールや小型AGV(無人搬送車)、さらには屋内外対応の自動搬送ソリューション等をコネクトした次世代搬送の新たなスタイルの開発を進めています。

SDGs 08

従業員用駐車場にカーポート型太陽光発電設備を新設

当社は、本社従業員駐車場(静岡県磐田市)の一部に乗用車270台分の「カーポート型太陽光発電設備(ソーラーパネル)」を新設し、2025年1月より発電および給電を開始しています。

今回新設したのは、カーポート型ソーラーパネル計1,912枚(発電出力460W/枚)。同設備で発電した電力は隣接する自社工場で使用し、年間約458トンのCO2削減を見込んでいます。

当社では、2035年までに使用電力の30%を太陽光発電に切り替える計画です。2023年12月には袋井南工場(静岡県袋井市)の屋根全面に2,200kW規模のメガソーラーを配置するなど、各事業所施設へのソーラーパネル設置を進めています。

従業員用駐車場に新設したカーポート型太陽光発電設備

二輪車業界初 カーボンニュートラル塗装ラインを稼働

当社は、カーボンニュートラルに対応した量産塗装ライン「CN1」を本社工場に新設し、2025年2月20日より、二輪車用燃料タンクの製品塗装を開始しました。

新塗装ラインでは、これまで主に化石燃料を用いていた前処理や塗装、焼付、乾燥といった工程のすべてを電気エネルギーにシフトします。なお、オール電化による製品塗装ライン設備の稼働は、二輪車業界初(当社調べ)です。

従来の塗装ラインでは、塗料をはじめとする液体の加温や、塗装ブースの加温・加湿、また焼付・乾燥といった各プロセスで化石燃料が用いられています。これに対し、新設した塗装ラインでは、塗料メーカーとの共同による低温対応塗料の開発、コンパクトな設備設計や新たな断熱・給気リサイクル技術等、さまざまな技術要件を組み合わせることでオール電化を実現しました。

また、塗装工程の革新により、従来型のラインでは実現できなかったカラー表現が可能となるなど新たな魅力価値の創出にも貢献するほか、準備工程の簡素化による製造リードタイムの短縮や多品種少量生産への対応力向上、1部品ごとのトレーサビリティの実現、快適な作業環境による働きやすさの向上などにも寄与します。

二輪車業界初のカーボンニュートラル塗装ライン「CN1」をラインオフ

「理論値エナジー」の運用で2035年までの全自社工場カーボンニュートラル化に向け前進

当社では、自社工場でのカーボンニュートラル達成を2035年(海外拠点を含む目標)に設定し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速しています。そのステップの一つとして、当社初のカーボンニュートラル達成工場となった浜松ロボティクス事業所の稼働も始まりました。

カーボンニュートラルに向けた当社のアプローチの基軸は、エネルギーの「最少化」と「クリーン化」です。「最少化」は当社独自の「理論値エナジー」の考え方のもとに、エネルギー消費量の絶対量を減らしていく活動です。一方「クリーン化」は、再エネ発電設備やCO2フリー電気の導入により、よりクリーンなエネルギーへ切り替えていく活動です。さらに、化石由来のエネルギーについても、鋳造や塗装など高温プロセスと呼ばれる工程でも代替エネルギーへのシフトを進めています。

当社初のカーボンニュートラル達成工場として稼働を開始した浜松ロボティクス事業所

水素エネルギー実証施設を森町工場に新設~製造工程のカーボンニュートラルを目指して、2025年より総合的な実証実験を開始

当社は、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を森町工場(静岡県周智郡森町)に新設しました。
2025年より、水素ガスによるアルミ合金溶解技術の開発・検証をはじめ、施設・設備等に関わる総合的な実証実験を開始します。2026年末には水素ガスによるアルミ合金の溶解および鋳造部品の熱処理に関する技術開発を完了し、2027年以降、当社グループの国内外鋳造工場に順次導入していく計画です。

この実証実験は、製品ライフサイクル全体のCO2排出量のうち、スコープ1の最少化を目指した取り組みの一つです。二輪車や船外機等の鋳造部品の製造では、現在、アルミ合金を溶解するための熱エネルギーに都市ガスなどの化石燃料を使用しています。その代替エネルギーを探求する中で、大きな熱量を要する溶解工程の電化はエネルギー効率という点で不向きという判断から、当社ではスコープ3の選択肢の一つとしても研究を進める水素エネルギーに着目しました。
実証実験では、水素ガスを用いた場合の品質への影響を検証するほか、水素バーナーによる温度制御等の開発を進めます。また、グリーン水素を製造する装置と、外部加熱を使わずに合成メタンを製造するメタネーション装置(静岡大学との共同研究)についても導入を検討しており、水素ガスを安価に製造する設備や、排気ガス中のCO2を再利用する技術開発にも取り組みます。

静岡大学との共同研究によるメタネーション装置

物流活動におけるCO2排出量を低減

物流活動におけるCO2排出量を低減するために輸送効率の改善に取り組んでいます。海外拠点における物流CO2排出量の把握も進めておりグループ全体で削減活動の推進に努めていきます。2024年度のグローバル物流CO2排出量は、404,670トンCO2でした。

海外拠点における物流CO2排出量の把握

グローバル物流CO2排出量の推移(トンCO2
グラフ
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