人的資本経営
人的資本経営への考え方や取り組みについてご紹介します。
私たちは、グローバルな視野に立ち、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを目指しています。そして、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
人的資本の基本的な考え方
グローバルな事業展開の中、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで感動を創造し続けることができると私たちは考えており、人事の目指す姿として以下の3つを掲げています。
- 性別・年齢・国籍・人種・価値観等にとらわれず、一人ひとりがそれぞれのチャレンジへ果敢に挑める施策を構築し、挑戦する風土を醸成すること
- 個人が自らの手で、生涯にわたり啓発する意欲を持つ役職員に対し、適宜その機会と支援を提供すること
- 「発、悦、信、魅、結」の共有価値を基本とし、「ヤマハらしさ」を開発・育成することで人財における他社との差別化を図ること
そして、目指す姿に向けて次のような人財と共に働きたいと考えています。
- 自己価値向上に努力する自立・自律型の人財
- チームワークを大切にした行動ができる人財
- ヤマハブランドの価値を高められる人財
上記のような職場づくり・人財づくりを実現するため、ヤマハ発動機グループでは人材マネジメントグループ業務指針を定めさまざまな取り組みを行っています。
また、人的資本経営のさらなるガバナンス強化と戦略の最適化を実行するために、2024年に人的資本経営委員会を設置しました。役付執行役員、海外拠点長を参加者とし、グローバル規模での人的資本に関する主要課題である人財投資戦略、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの促進等の議論を積極的に行っています。また、ヤマハ発動機グループの経営幹部候補の人財育成計画、配置および育成状況についての審議を行うことを目的に、タレントマネジメント委員会を設立しました。これらを通じ、従業員のキャリアに対する自主性ならびに将来のキャリアパスの透明性を向上させていきます。
多様性を認めた一人ひとりが働きやすい環境づくり
ヤマハ発動機グループの企業目的である「感動創造企業」を実現するためには、さまざまなバックグラウンドで活躍する人々がお互いを認め合い、成長していくことでその価値を最大限発揮することが重要です。また、持続的な成長を実現しお客さまの期待を超える新しい価値を生み出し続けるためにも、多様な視点や価値観を持った人財の育成、活躍が不可欠であると考えています。
多様な人財が集まり、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造につなげていける組織風土を醸成するために、2023年9月に「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、職場内および子会社への周知を行っています。当方針の中で「ダイバーシティを通じて感動を創造する」ことをステートメントの中心に置き、「RESPECT.」(リスペクト ピリオド)を行動原則としています。「RESPECT.」とは、ヤマハ発動機グループの全員が同僚、お客さま、サプライヤー、その他のステークホルダーに対して、他者の意見や権利を価値あるものとして認識し、接する責任を持つことを意味します。その上で 「重点領域とヤマハ発動機グループの姿勢」を定め、全ての役職員が年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、国籍、人種、宗教・信条、価値観、経験などに関わらず自分の個性(強み・経験・考え方)を最大限に発揮できる職場を目指しています。
「性別」に関わる取り組みとして、女性活躍推進の観点から、女性の管理職比率について目標を設定し取り組んでおり、ヤマハ発動機グループ全体では、女性管理職比率を2023年の11.1%から2027年に13%とする目標を設定しました。この目標の達成に向けて継続して取り組みを進めていきます。
さらに、重点領域の一つである「LGBTQ+」については、性自認や性的指向に関する働く上での悩みや困りごとを相談できる社外相談窓口を本社に新設しました。今後も、性自認や性的指向に関わらず、社員一人ひとりが安心して受け入れられ、自分らしく働くことができるような職場環境の整備を進めていきます。
本社におけるキャリア採用者(中途採用者)の管理職登用比率は、新卒採用者と同程度となっています。採用形態等の属性によらない人物・能力本位での管理職登用を今後も継続していきます。
グローバル人財の活用
人財のグローバル化については、性別・年齢・国籍および原籍等を問わず優秀な人財の早期発掘、キャリアプランの検討、育成、登用を進めています。具体的には、以前から進めてきたグローバルコアポジションの後継者管理に加え、グローバルでの次世代経営人財の発掘と育成強化、人財の可視化を目的としたグローバル人財データベースの拡充に着手しました。
また、2020年からグローバル人事異動を促すGAP(Global Assignment Policy 旧:Yamaha Assignment Policy)を導入し、優秀な人財の国際間異動を推進しています。これまでに19件の実績があり、今後もさらなる拡大を図っていきます。
人財育成
階層に応じた研修をはじめ、ハイポテンシャル人財に対する選抜研修、機能面での専門スキルを磨く研修、世界で活躍できる人財を目指す海外トレーニー制度、チーム力を高めて組織としてのパフォーマンスを高めるコーチング研修やダイバーシティ研修などを整備しています。また、自ら学ぶ風土の定着に向けて、自己啓発への支援を拡充し、学びの選択肢を増やすとともにオンデマンド型教育を整備しています。
成長を望めば誰しもが機会を与えられる仕組みの構築を目指し、Yamaha Motor Learning System (YLS)オンライン・オンデマンド型の学習プラットフォームの導入と、自己啓発講座を推進してきました。YLSの利用者数は約2万人に達し、自己啓発講座は社員の多様な学びのニーズに対して豊富な選択肢を提供できるようカフェテリアプラン(注)の適用範囲を外部の自己啓発講座・セミナー・オンライン語学講座・オンライン学習サービス・自己啓発用テキスト・書籍購入にまで拡大しました。また、グローバルな経営人財を育成するための選抜研修プログラムを2015年から実施し、これまで延べ155人が参加しています。
(注) 『カフェテリアプラン』とは、それぞれのライフスタイルに合わせて、会社が設定した福利厚生メニューの中から好きなメニューを選び、補助を受けることができる『選択型福利厚生制度』です。
| 選抜研修 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| Global Executive Program(注1) | 16人 | - | 18人 |
| Yamaha Business School Global(注1) | - | 24人 | - |
| Regional Development Program | 39人 | 71人 | - |
| Yamaha Business School Junior(注2) | - | 25人 | 25人 |
- (注)
-
- Global Executive Program、Yamaha Business School Globalは隔年で実施
- 2022年はコロナ禍のため実施なし
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体 | 2,795人 | 4,219人 | 3,250人 |
| 国内グループ会社 | 292人 | 820人 | 773人 |
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体 | 5.7時間 | 14.8時間 | 18.0時間 |
| 国内グループ会社(注3) | - | 9.7時間 | 10.4時間 |
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体 | 19,000円 | 39,000円 | 52,000円 |
| 国内グループ会社(注3) | - | 23,000円 | 24,000円 |
- (注)
-
- コンプライアンス教育・安全衛生等法令に関する研修や新入社員研修を除く。また、2024年から自己啓発講座の機会提供の拡大(会社が対象講座を指定する方法から、個人が自由に選択する方法へ変更)を実施したことに伴い、自己啓発講座受講時間数の把握が困難となったため、自己啓発分を除いた時間数を遡及して計算
- 社内の人件費、施設運営費等は除く
- 国内グループ会社で提出のあった拠点のみが対象
従業員エンゲージメント
当社は、人事のミッションステート”Challenge & Growth”の体現に向け、社員エンゲージメントを重要な指標の一つとして位置づけています。毎年実施する調査結果を参考に、各社/各組織の状態を振り返り、ヤマハ発動機ならではのさまざまなチャレンジを増やす環境づくりに向け、全社を挙げて推進しています。 2025年からの新中期経営計画においてエンゲージメントポジティブスコア80%以上を維持することをグローバル共通の目標として設定しました。2024年はグローバル82%、単体63%のため、特に単体での取り組みに注力しています。
単体では2020年からの継続的な取り組みにより少しずつスコアの向上が見られ、全社・職場での取り組みが定着しつつあります。そのため活動を継続しつつさらなる向上に向けて、調査結果を通じて明らかになった当社の強みである「組織内での助け合う風土」や「社員が改善を促進する風土」を大切にし、エンゲージメントへ特に相関の高い2つのキードライバーを特定して全社施策を進めています。また、各組織での自律的な組織開発も推進しており、全ラインマネジメントにエンゲージメント向上への取り組みを“Revup目標”として目標管理へ組み込むことや、調査結果をもとにした各組織内での対話の実施を続けています。
キードライバー:1 将来へ期待感の醸成
会社のチャレンジや経営層の思いを伝えていくために、経営層と社員の対話の場である“Revsミーティング”を実施しています。事業や肩書を超えて自由闊達に対話する本イベントは、2024年には延べ1000人程の社員と21人の経営層がイベントに参加。参加者のモチベーションの向上に加え、会社に対する認識の変化が見られることから、継続して今後も実施していきます。
キードライバー:2 仕事のやりがいを感じられる環境づくり
誰もがチャレンジできる機会を作るため、2025年より一般職の職類を撤廃した人事制度を導入しました。また、社員のチャレンジを後押しする施策として、社内公募制度(セルフ・キャリア・チャレンジ)や社内副業制度を拡充しています(2024年は136人が制度を利用して異動・社内副業実施)。さらに、社員のスキル向上を目的に全管理職への1on1研修導入や自己選択型の研修の拡充も継続的に行っています。
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体 | 62% | 61% | 63% |
| 海外主要子会社(12社)(注) | - | 80% | 83% |
| ヤマハ発動機 単体+ 海外主要子会社(12社) (注) | - | 79% | 82% |
- (注)
- 各社エンゲージメントスコアの合計を会社数で除して算出
ハラスメントの防止
サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まっている中、ヤマハ発動機グループでは従業員に対して、人種・国籍・生活信条・身体・性格・親族等についての誹謗中傷、人格を否定するような言動の禁止、セクシャルハラスメントをはじめとしたすべてのハラスメント行為の禁止を倫理行動規範でうたっています。しかしながら、ハラスメントは誰しも意図せず行為者になりうるものであり、ひとたび重大なハラスメントが発生すると、被害者だけでなく、会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループで展開しているダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の浸透、社員のエンゲージメント向上等の取り組みを通じ、ハラスメントが起きにくい組織風土を醸成し、事案発生時には、再発防止も含め、迅速・適切に対応するとともに、ハラスメントを未然防止するための啓発、教育活動にも継続的に取り組んでいます。
また、日本国内ではコンプライアンス案件通報窓口に加え、ハラスメント・労務問題専用の相談窓口を設置し、ハラスメントを受けた、見聞きした、という場合には速やかに相談できるレポートラインを整備しています。
障がい者の雇用促進とモチベーション向上
障がい者に対しては、能力と適性に応じて活躍できる場の提供と社会的自立の促進を目指し、「ヤマハモーターMIRAI株式会社」を2015年10月に設立。2016年から本格稼働し、業務分野を広げるとともに会社見学会や体験発表会などのさまざまなイベントも実施し、社員の働きがいやモチベーションの向上を図っています。さらに、掲示板や社内報を通じて活動を紹介することで全社の理解と協力を促進しています。
ヤマハ発動機の障がい者雇用率
仕事と生活の両立支援
私たちは、社員と会社の相互確認を前提としたキャリアプランの設計を支援するとともに、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)を確保した職場づくりを目指しています。
育児休職・介護休職のほか、看護休暇やフレックスタイム制度、短時間勤務制度、配偶者の海外駐在赴任帯同に伴う退職者の再雇用制度など、各自の状況に適した働き方ができるように制度の充実を図っています。とりわけ育児休職については、取得事例や取得しやすい職場環境づくり等を積極的に社内に周知し、男性社員の取得率向上にも取り組んでいます(2024年の「産後パパ休暇」を含めた男性育休取得率は84.2%)。 施設面でも、より働きやすい環境を子育て世代の社員に提供して「仕事と家庭の両立」を広く支援するため事業所内託児施設「わいわいランド」を運営し、2016年には増床を行って定員を増員しました。
2021年から 「私らしく働く、ヤマハらしく働く。」の下、多様性に対応するために在宅勤務の制度化、時間単位特別休暇や傷病短時間勤務制度を導入しています。さらに、2023年からは出社・リモートを併用したハイブリットワーク制度や、コアレスフレックス制度を導入し、いかなるライフステージにおいても活き活きと情熱を持って活躍し続けることができるよう、働き方の選択肢を増やしています。
長時間労働の削減に向けては心身の健康維持等の観点から、過剰な労働時間を削減することを方針としています。そして労使協議の上、法令よりも厳格な「時間外労働に関する規則」を設定しています。さらに、労働組合と会社の双方が参加する「労働時間に関する労使委員会」を毎月開催し、現状確認を行っています。
また、一般社団法人日本自動車工業会の「人財部会」にも参加し、そこを通じた情報や意見交換等で得た知見を自社の状況チェックや取り組みの推進に役立てています。
有給休暇の取得については、働き方改革関連法の遵守はもとより、労使で設定した取得目標に向け、連続有給休暇取得制度等により取得を促進しています。特に、5連続有給休暇対象者にはメッセージカードを送付するなどして意識付けを行い、実効性を高めています。
2024年度の休暇取得実績は、育児休職276人(男性:産後パパ休暇含め230人、女性:46人)、介護休職6人、看護休暇12人(取得日数13日)、ライフサポート休暇3,373人(取得日数9,792日)でした。
| 制 度 | 内 容 |
|---|---|
| 育児休職 | 子どもの満2歳の誕生日まで休職可能(法令は基本満1歳まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
| 産後パパ休暇 (産後パパ育休) |
子の出生日以降57日の間で4週間(28日)を限度として取得可 |
| 介護休職 | 1年以内で本人が申請する期間で休職が可能(法令は対象家族1人につき3回までで通算93日まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
| 子の看護等休暇 | 小学校3年修了までの子どもを看護または世話等のための休暇を、子ども1人の場合は年間5日まで、子ども2人以上の場合は年間10日まで取得可能(時間単位での取得も可能/法令は小学校就学前までの子ども) |
| ライフサポート休暇 | 傷病、家族の介護、子の看病、不妊治療を取得事由とする有給の特別休暇を、1日、半日、時間単位で年間6日まで取得可能 |
| フレックスタイム制度 | 6:30~22:00の時間帯で労働時間の設定が可能(コアタイムなし) |
| 勤務の軽減 | 小学校3年修了までの子どもを養育する従業員、または家族を介護する従業員に対しては、時間外労働の制限や深夜業務免除 |
| 短時間勤務制度 | 育児、介護を理由としたものに加え、がん、脳血管疾患、メンタル疾患等を起因とする傷病休職からの復職者を対象に2時間もしくは1時間の勤務時間短縮が可能 |
| 在宅勤務制度 | 部門ごとの環境に応じて出社と在宅を使い分けるハイブリッド型勤務が可能。在宅勤務に掛かる通信・光熱費の負担分として在宅勤務手当を支給 |
| 勤務中の中抜け制度 | 所属長の許可を事前に得た上で自己都合の要件に制限なく5分単位で勤務中の中抜けが可能(フレックスタイム適用職場に限る) |
| その他 |
・定時退社デーの設定(製造職場:当社休日の前日、給与日、賞与日) ・ノー残業デーの設定(非製造職場:週1回、年間60日目標に個人で自由設定) ・3日連続の有給休暇取得(30歳以上は5歳ごとに5日連続取得) |
働き方以外の面でも、会社が設定した福利厚生メニューの中から個人のライフスタイルに合わせて好きなメニューを選び補助を受けることができるカフェテリアプランを2023年から導入し、子育て・育児補助、介護補助のほか旅行費用の補助など、家族向けを含むさまざまな福利厚生の充実を図っています。
労働安全衛生
姿勢と方針
当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」の中で掲げているように 従業員の安全・健康を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努めています。「安全・健康 最優先」の文化を醸成し、労働災害ゼロに向けた取り組みをグループ全体に根付かせることを目的に、「サステナビリティ基本方針」の内容をより明確にした「ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針」および行動指針、労働災害削減目標を制定しました。従業員全員参加で安全と健康の確保に取り組むとともに、快適な職場環境の形成を促進しながら、業務遂⾏の円滑化を図り⽣産性の向上にもつなげています。
《 ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針 》
”安全・健康 最優先”
ヤマハ発動機グループで働くすべての人が心身ともに健康で、いきいき安心して働ける安全で快適な職場づくりを全員参加で追求し続けます
《 ヤマハ発動機グループ労働衛生行動指針 》
- 私たちは、安全・健康への意識を高め、自ら考え、安全・健康 最優先の行動に努めます
- 私たちは、組織の枠を超え、一致協力して、安全衛生リスクの最小化に取り組みます
- 私たちは、安全衛生に関わる法令・ルールを理解し順守します
《 ヤマハ発動機グループ労働災害削減目標 》
- 業務上の死亡・後遺障害災害ゼロ
- 休業労働災害件数 前年比50%減(半減)
- 全労働災害件数 前年比50%減(半減)
推進体制
ヤマハ発動機においては、この基本方針の下、社長執行役員から権限委譲を受けた中央安全衛生委員会(人事総務本部長を委員長として産業医、製造・技術・事務の各部門の管理監督者の代表、労働組合等で構成)が中心となり、労働安全衛生に関する規格・規制、労働協約を順守した安全で健康的な労働環境の整備に努めるとともに、災害ゼロを目指したさまざまな活動を中期・年間計画に織り込み、取り組んでいます。こうした取り組みは、労働安全衛生の主管部門が各国グループ会社にも展開しています。
労働安全衛生マネジメントシステムの推進
ヤマハ発動機においては、職場におけるリスクアセスメント、その結果に基づく計画的な労働安全衛⽣リスクの除去・低減に継続的に取り組むため、従来の労働安全衛生マネジメントシステムを再構築し、国際規格であるISO45001の認証を2023年より取得しています。また、全従業員の安全意識向上のため、法規制上の教育・講習はもちろん、リスクアセスメントや実践的な危険予知トレーニング等、各種教育・研修の充実にも取り組んでいます。
なお、2023年5月、当社浜北工場(浜松市浜北区)にてエンジン部品加工作業に従事していた社員1人が死亡する労働災害事故が発生しました。このような重大な労働災害を二度と発生させないため、グループを挙げて設備機械の安全総点検と対策、リスクアセスメント徹底によるリスク除去・低減など、再発防止の取り組みを進めています。また、当社においては、「安全の日」設定による安全意識の高揚にも継続して取り組んでいます。
万が一の緊急事態への備えとして、業務上のケガ・体調不良・病気・事故発生時の報告基準・方法、連絡ルートおよび緊急処置の手順を定め、定期的に対応訓練を実施し、その有効性を高めています。また、実際に労働災害が発生した場合には、被災者の救護を最優先に、災害現場の調査、発生要因の究明等の手順を明確にし、再発防止に努めています。なお、定期的に内部監査を実施し、マネジメントシステムの有効性を検証し、システムの継続的な改善を図っています。
グループ会社においては、2024年末時点で製造会社を中心に19社が個社ごとにISO45001認証を取得しています。今後は他の製造拠点においてもISO45001を基軸とした労働安全衛生マネジメントシステムを整備するとともに、順次、統一認証化(グローバル認証)を進めることで、ヤマハ発動機グループ全体の労働安全衛生水準の向上、ガバナンスの強化も図っていきます。
また、外部請負業者に対しても作業安全要領を定めて労働災害防止に努めています。
職業性疾病(化学物質、有機溶剤、粉じん等)に関しては、職場巡視や特殊健診等を通じて状況を把握して、必要に応じて職場環境の改善に取り組んでいます。また、人間工学に基づいて安全で快適な職場づくりを推進しています。
安全教育・研修
安全管理者や監督者、作業主任者等を対象とした能力向上のための教育・研修や安全衛生大会の開催などを通じ、職場の安全と良好な衛生環境を支える人財の育成にも注力しています。2024年に実施した労働安全に関する主な教育や研修は以下の通りです。これらは国内グループ会社および取引先も対象に実施しており、海外グループ会社においても、安全衛生についての教育や研修を積極的に推進しています。
| 研修名 | 受講者数 | 受講した会社数 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 総括安全衛生管理者研修 | 24 | ヤマハ発動機のみ |
| 2 | 安全管理者選任時研修 | 101 | 7社 |
| 3 | 衛生管理試験前研修 | 121 | 8社 |
| 4 | 新任監督者研修 | 35 | 8社 |
| 5 | リスクアセスメント研修 | 175 | 15社 |
| 6 | 危険予知訓練研修 | 303 | 13社 |
| 7 | 粉じん作業特別教育 | 47 | 5社 |
| 8 | 特定化学物質作業主任者 能力向上教育 | 75 | 16社 |
| 9 | 監督者能力向上教育 | 87 | 4社 |
| 10 | 衛生管理者能力向上教育 | 33 | 6社 |
| 11 | テールゲート特別教育 | 400 | 2社 |
労働災害 発生件数
2023年のヤマハ発動機※1の死亡災害は0件、休業災害は11件、不休災害は29件で、災害総件数は40件(職業性疾病を含む)となります。また、2024年のヤマハ発動機グループ※2の死亡災害は0件、休業災害は137件です。
ヤマハ発動機グループ全体における2022年からの労働災害による死亡者数は2022年の1人、2023年の2人です。2024年は0人第三者保証でした。
発生した災害は全社に情報発信し横展開を図り再発防止に努めています。
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体※1 | 12 | 11 | 11 |
| ヤマハ発動機グループ※2 | 129 | 182 | 137 |
労働災害度数率※3
| 集計対象 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| ヤマハ発動機 単体※1 (派遣社員を含む) |
0.43 | 0.39 | 0.39 |
| ヤマハ発動機グループ※2 | 1.11 | 1.28 | 0.87 |
| 請負業者※4 (ヤマハ発動機) |
2.02 | 1.35 | 0.00 |
- ※1
- 2022年の対象範囲は、執行役員およびパート等含む常用雇用者。2023〜2024年の対象範囲は、執行役員およびパート等含む常用雇用者および派遣社員
- ※2
- 2022年の対象範囲はヤマハ発動機および生産機能を持つ連結子会社と関連会社の合計31社。 2023年は対象範囲を拡大し、ヤマハ発動機および連結子会社と関連会社の合計118社(YMC、連結子会社102社、非連結子会社3社、持分法非適用子会社8社、関連会社4社)。2024年は、ヤマハ発動機および連結子会社と関連会社の合計141社(YMC、連結子会社124社、非連結子会社3社、持分法非適用子会社11社、関連会社2社)
- ※3
- 100万延実労働時間当たりの休業労働災害(1日以上)発生率
- ※4
- 当社の敷地内で、契約に基づいて当社の事業の一部を実施している間接業務請負を除く第三者
安全・健康 最優先の健康経営への取り組み
ヤマハ発動機は、「感動創造企業」を目指し、お客さまに新たな感動と豊かな生活を提供することを企業の目的としています。そのためには、まず社員一人ひとりが心身ともに「健康」であること。それによって、個々の能力や情熱が発揮され、提供する商品やサービスに対するお客さまの信用にもつながるものと考えています。
また、「安全・健康 最優先」をヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針として掲げ、事業運営と会社の発展に欠かせない重要な経営課題に設定し、会社・社員が一体となって、社員一人ひとりが心身ともにいきいき働ける職場づくり(健康維持・増進)を目指しています。
本方針は、国内外グループ全体へ展開し、周知徹底を図っています。
推進体制
上記トップコミットメントの旗印のもと、中央安全衛生委員会(人事総務本部長を委員長、安全衛生部門、および各部門代表等で構成)を設置し、健康経営の推進について評価し優先順位付けをした上で中期・年間計画を決定、改善を図っています。
具体的な施策の企画・立案は、健康推進部門(産業医や保健師・管理栄養士などで構成)が主体となり、健康保険組合とも随時連携を図りつつ、コラボヘルス(One Management)体制で、各種健康増進につながる施策の立案、推進、および効果検証を実施しています。
その結果、経済産業省・日本健康会議主催の、健康経営に戦略的に取り組んでいる法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」において、特に優良な健康経営を実践している企業として、「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」に3年連続で認定されるなど、社外からも高い評価を得ています。
重点領域
ヤマハ発動機は、[ ① 労働安全、② 身体の健康、③ 心の健康、④ 働き方改革(ワークエンゲージメント向上)] の4分野を重点領域として定義するとともに、分野ごとに「健康経営戦略マップ」を策定し、経営上の課題-施策-成果指標のつながりを明確化しています。 また当該重点領域におけるKPI・KGIを設定するとともに、その進捗を可視化することで、PDCAサイクルの徹底を図っています。 例えば、「労働災害の発生件数」「健診受診率」「メタボ該当者・予備群数」「喫煙率」等の指標について、さらに踏み込んで具体的な数値目標や期限を設定し、社内外に公表しています。 こうした 取り組みを通じて、社員一人ひとりが心身ともにいきいき働ける職場づくりにつながる新たな健康施策の企画・立案・実行につなげています。 また、前述の4分野以外にも、感染症対策や海外赴任者サポートなど多角的な施策を展開し、社員の安全・健康面の包括的なマネジメントを行っています。以下に、ヤマハ発動機の4分野の重点領域の概要を紹介します。
① 労働安全:労働災害ゼロに向けた安全文化の醸成
ヤマハ発動機グループ「労働安全衛生基本方針・行動指針」のもと、グループ全体で「業務上の死亡・後遺障害災害ゼロ」、「労働災害件数前年比50%減(休業災害、全労働災害)」を目標に掲げ、安全管理の徹底を図っています。重大事故を二度と起こさないという強い決意のもと、安全意識を高めるために「全社安全の日」を設けるほか、リスクアセスメントを徹底し、職場に潜む危険源の除去・低減に取り組んでいます。これらの活動を通じて、社員一人ひとりが安全を意識し、全員参加で安心して働ける環境の実現を目指しています。
その詳細については、前述に記載の通りです。「労働安全衛生」
② 身体の健康:生活習慣病対策の強化と禁煙推進
「メタボ該当者率の増加」「喫煙率低下の鈍化」を健康課題として捉え、社員一人ひとりが心身ともにいきいき働ける職場づくりを目指しています。具体的には、健診結果に基づく保健指導や運動機会の醸成、禁煙支援など多面的な施策等(詳細は以下に記載)を通じて、生活習慣の改善を支援し、将来の疾病予防とさらなる健康増進に全社を挙げて取り組んでいます。
このような施策を展開することで、社員の自律的な健康管理を促進する環境づくりを加速させ、生活習慣病リスクのより一層の低減を図っていきます。

定期健診の受診率100%と受診勧奨および保健指導
全社員が毎年必ず定期健康診断を受診する体制を整え、健康診断受診率100% を実現しています。
健診結果は、本人への通知に加え、産業医がリスク者を抽出して保健指導を実施しています。再検査が必要な場合は、必ず受診するよう「イエローペーパー」制度で産業医から受診勧奨を行い、早期治療につなげています。また、健診結果で生活習慣病リスクが確認された社員に対し、産業看護職や管理栄養士による継続的な個別保健指導(特定保健指導)を実施するとともに、若年層を含む全年代を対象とした、国の基準より広い範囲の生活習慣病予防の指導を行うなど、重症化予防に努めています。
運動習慣づくり
社員の運動習慣の熟成と健康指標の向上を目的に、全社員参加型の健康づくりプロジェクト「ジョイネス(Enjoy Wellness)活動」を展開しています。社内のウォーキングコースを活用した「アクティブ10」(1日10分間のウォーキングを推奨する取り組み)や、スマホアプリと連動したウォーキングイベント等を通年にて実施し、日常的な運動機会の創出に努めています。さらには、職場単位での健康セミナーやスポーツ大会の企画など、楽しみながら継続できる健康増進イベントを実施し、運動習慣の定常化につなげています。
喫煙率ゼロに向けた施策
喫煙率の低減は、重要な健康課題の一つであり、これまで、会社敷地内全面禁煙や医療職による禁煙指導などの施策を実施しています。その結果、従業員の喫煙率は2013年の30.3%から2024年には21.3%まで低減しました。また、グループ会社についても、会社敷地内全面禁煙などの施策を実施することで、グループ全体での喫煙率のさらなる低減を目指しています。
食生活の側面からの健康サポート
社員食堂等を通じて、ヘルシーメニュー提供や、管理栄養士による栄養相談会の開催など、食生活の側面から社員の健康をサポートしています。
女性特有の健康課題への支援
女性社員がライフステージに応じて健康に働けるよう、女性特有の健康課題に対する支援プログラムを用意しています。具体的には、婦人科系疾患や更年期の悩みに対応する専用の健康相談窓口を設置し、社外専門医と連携して助言を行っています。また、社内で女性向け健康セミナーを定期開催し、月経や更年期に関する正しい知識やセルフケア方法を啓発するとともに、健保組合と協力して受診費用補助等を行っています。
③ 心の健康:メンタルヘルスケアと早期対応の推進
「メンタル不調を起因とした休職者増加」を重要な健康課題の一つとして捉え、メンタルヘルスの維持・増進に取り組んでいます。社員のメンタル不調の未然防止を目的とし、毎年、全社員対象とした「ストレスチェック」および「プレゼンティーズム」のWeb調査(WHO-HPQによる生産性自己評価)を実施しています。
2024年の受検率は96%以上に達し、集団分析による職場の健康リスク指標は前年より改善しました。ストレスチェック結果は集計後、各部門にフィードバックし、職場単位のストレス要因を可視化することで、今後の組織改善につなげています。併せて、高ストレスと判定された社員を対象に、産業医や保健師による個別フォロー面談を希望者全員に実施しています。

さらに、メンタルヘルス教育の強化にも注力しています。全社員向けに、ストレス対処やセルフケア研修、全管理職を対象の部下のメンタルに配慮した対応力の習得を目的としたラインケア研修を必須化しています。 さらに、新入社員や中途採用社員、新任管理職・監督職、部長職といった階層別にメンタルヘルス教育プログラムを実施しています。 メンタル不調で休職した社員の支援策として、復職前の専門プログラム(リワークプログラム)、復職後の所属長・産業医等の連携によるフォローアップ等を通じて、再発防止を図っています。 2025年より、一部部門や新任管理職を対象に公認心理師によるセルフケアコーチング制度をトライアル導入することで、メンタルヘルスケアのさらなる充実を図っています。
加えて、社内にメンタルヘルス相談窓口を開設し、産業医とは別に社外の専門医(顧問医)による健康相談をいつでも受けられる体制を整備しています。また、海外勤務者には、後述のとおり、現地からオンラインで日本人医師に相談できる環境を用意しています。
今後も継続して、心の健康の維持増進と不調者の早期発見・早期対応に努め、社員一人ひとりが心身ともにいきいき働ける職場づくりを推進していきます。
④ 働き方改革:長時間労働の是正とワークエンゲージメント向上
ヤマハ発動機は、心身の健康維持、および、働き方改革の観点から、社員の健康増進と生産性のさらなる向上を目的とした職場改善を行っています。その中で、法令より厳しい基準で時間外労働者に対する産業医面談や上長面談を必須化し、過重労働による健康障害の未然防止に努めています。
また、連続休暇取得推進や育児・介護面においては、法定以上の育児・介護休職制度や短時間勤務制度を提供し、男性の育児休業取得も推進しています。テレワークやフレックスタイム制度も整備し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を可能するとともに、ワークライフバランスのさらなる充実を図っています。
その詳細については、前述に記載の通りです。「仕事と生活の両立支援」
⑤ その他の重点施策と特徴的な取り組み
上記4つの重点領域以外に、特に重要なものを以下にご紹介します。
治療と仕事の両立支援
がんや糖尿病など継続的な治療が必要な社員については、産業医や産業看護職が主治医と連携を取りつつ、治療と勤務の両立支援プランを作成しています。勤務については、社員の症状に応じ、時差出勤や在宅勤務、業務内容・量の調整など柔軟な働き方を認め、社員のキャリア継続への配慮をしています。
感染症対策
ヤマハ発動機は、社員を含めたステークホルダーの生命・健康を第一にすることを主眼に置き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時の対策(対策組織の設置、在宅勤務・時差出勤制度の導入、海外勤務者・帯同家族の帰国指示、各種方針・対応の決定と情報発信 等)に加え、「事業継続要領(新型インフルエンザ編)」を策定・運用することで、未曾有の感染症の拡大リスクに備えています。また、季節性インフルエンザの流行期には予防接種費用の補助を行うなど、平時から感染症予防に努めています。
海外赴任前の健康支援
海外赴任前には、現地で注意すべき感染症(ウイルス性肝炎やマラリア等)の知識を含む健康管理研修を実施するとともに、必要な予防接種を行っています。また、赴任後も定期健康診断の受診徹底を継続しています。
海外勤務者と帯同家族のメンタル・フィジカルヘルスケア
ヤマハ発動機は、海外専用の医療チームや健康相談ホットラインを設置することでフォローアップ体制を整備しています。相談内容は、身体の不定愁訴、受診治療相談、メンタルヘルス等にとどまらず、現地スタッフとのコミュニケーションやスキルアップ、キャリア、妊娠、出産、家族家系、子女の教育、発達の問題など、海外勤務・生活等、多岐にわたります。
また、海外医療体制として、各専門科医はもちろんのこと、精神科専門医、臨床心理士・公認心理師・カウンセラーなどの心理職、キャリアコンサルタント、ビジネスコンサルタントなどがチームとなって、サポートしています。
| 赴任地域 | 相談件数 | メンタル相談 | フィジカル相談 | その他 (挨拶・近況報告等) |
|---|---|---|---|---|
| アジア | 154 | 70 | 74 | 10 |
| 北米 | 99 | 51 | 34 | 14 |
| 南米 | 26 | 20 | 6 | 0 |
| ヨーロッパ | 47 | 14 | 16 | 17 |
| オセアニア | 4 | 2 | 2 | 0 |
- ※ やりとり1回につき、1件とカウントしております。
- ※ 身体健康面/精神健康面/その他 の相談を、同じメール内でやり取りしている方については重複してカウントしていますので、内訳と総件数が異なります。
さらに、海外勤務者および帯同家族を対象にした「海外専用のストレスチェック」を年2回実施することで、当該対象者へのきめ細かなケアにつなげられるように海外専門医療チームでサポートしています。
| GMC(グローバルメンタルチェック)受検率 | |||
|---|---|---|---|
| 実施期間 | 対象者 | 受検者 | 受検率 |
| 2024年8月 | 466 | 441 | 94.6 |
| 2024年2月 | 477 | 456 | 95.5 |
健康経営の戦略マップと効果測定
ヤマハ発動機は、健康投資が社員の活力向上や事業成果に結びつくよう「健康経営戦略マップ」を策定し、その取り組みを体系化しています。 戦略マップは「私らしく働く、ヤマハらしく働く。」をコンセプトに、4つの重点領域の実施により、企業価値を高めることを目標としています。その実現に向け、各種KPIを設定しPDCAサイクルで進捗管理を行っています。 主な目標指標には、就業制限の判定基準該当者(以下「健康高リスク者」)率や労働災害件数、メンタル不調による長期休業者数などが含まれ、これらの低減を中長期的な目標値としています。 また、社員の生活習慣や意識に関する指標(健診受診者率、運動習慣率、喫煙率、ストレスチェック高ストレス者割合、エンゲージメントスコア等)も合わせてモニタリングすることで、健康投資の効果検証に役立てています。
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健康経営戦略マップ
健康経営アウトカムKPIおよびKGIの実績と2030年度目標
2024年の健康高リスク者率は、2.37%(2022年比:△0.33PT)と低減傾向にあります。また、特定保健指導該当者率は、2030年の目標値である17%の達成に向けて対策を強化中です。2024年の疾病による欠勤(アブセンティーズム)は延べ17,790日(全労働日の0.69%)となりました。今後は、重症化予防策の更なる充実により欠勤損失の削減を図ります。
一方、2024年の健康状態による生産性低下の度合(プレゼンティーズム)は改善が見られました。今後も引き続き、メンタルヘルスマネジメントの推進を強化し、高ストレス者の割合減少を図ります。
さらに、毎年の従業員意識調査は、社員エンゲージメントだけでなく、会社から大切にされていると感じる度合い(POS指標:Perceived Organizational Support)や安全・健康 最優先が実践されているか、そして職場の心理的安全性などの項目も継続的に確認しています。中でも、心理的安全性に関する設問は、肯定的回答が増加傾向にあります。
以上のように、ヤマハ発動機の健康経営への取り組みは、戦略マップに基づく体系的な施策展開と、KPI・KGIの数値目標の達成に向けて、着実に進化を遂げています。今後も「安全・健康 最優先」の理念のもと、社員がいきいきと働ける職場づくりと健康課題の継続的な改善に取り組んでいきます。そして、社員の健康と会社の成長が両立した健康経営の取り組みをさらに深化させ、持続的な企業価値向上と、ステークホルダーへの貢献を実現していきます。
労働組合との関係
ヤマハ発動機は、「労働条件並びに経営秩序を確立」するために、「相互の公正な理解と信義誠実の原則に基づき」、労働組合と労働協約を締結しています。この協約に則り、会社のさまざまな施策について労働組合に適宜説明し、労使それぞれでレポートを発行するなど、従業員への周知と理解に努めています。さらに、定期的な労使協議や委員会を開催するほか、会社施策に基づくテーマや労働組合から提起された課題についての労使協議などを適宜実施しています。企業年金基金や健康保険組合、共済会などの運営についても労働組合の役員が参画しています。
最低賃金の保証については、そのコミットメントとして最低賃金に関する協定を毎年労使で結ぶことはもとより、適正な賃金水準について消費者物価指数の傾向等も踏まえて労使で議論を行っています。
ヤマハ発動機は、管理職以外の社員は労働組合に所属するユニオンショップ制を採用しており、従業員の労働組合加入率は全社員の84%です。国内グループ会社では、労働組合や社員会を設立し、それぞれに労使の対話を進めています。また、ヤマハ発動機労働組合を含むグループ会社の労働組合はヤマハ労働組合連合会に所属してお互いに連携を深めています。海外グループ会社については、各国・各地域の労働慣行を踏まえて適切に労使が協議できる体制を整え、賃金の支払いに関しては現地法令に定められた内容を遵守して実施しています。
海外労働リスクへの対応
当社の生産拠点が所在するアセアン、インド、中国などでは労働争議などのリスクが高く、事業活動を継続する上で注視しておかなくてはならないと考えています。そのため、グループ共通のリスク管理台帳の中に「労働争議(ストライキ等)による操業停止」を織り込み、セルフチェックと対策活動の立案をモニタリングしています。
製造各社は、各国法制や地域での労働問題の定期的な収集や、労使関係の強化および相談窓口の周知といった施策に取り組み、本社では長年の労働争議事案の知見を生かし、グループ内のノウハウ共有と有事の際の連絡体制維持強化に努めています。
なお2024年は、特筆すべき労働問題は発生しませんでした。

