技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 特集 | 飯尾 俊光 近年、お客様の製品・サービスの品質に対する要求レベルは一段と高まり、企業にとっては、クレーム費等のロスコストが収益に大きく影響を及ぼす状況になってきております。最近起きた品質に関係する大きな出来事として、国内での食品会社中毒事件や自動車メーカー不祥事、そして、アメリカでの自動車用タイヤリコール問題等々がありました。これらの出来事は、品質問題に起因して、一夜にして有名ブランドが崩壊してしまうこと、又、大きなPL問題に発展した場合には、企業の死活問題となってしまうこともあり得ることを教えてくれました。製造業にとって、提供する製品・サービスの品質がいかに重要であるかを改めて認識させられる毎日であります。 |
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宝泉 誠 以前にある方から「昔の人は、よい設計ができた。」と言うお話を聞きました。それは、戦後のことで品質が安定しない粗悪材、粗悪品しか手に入らない中で、いかによい設計をして機能を発揮させるか、必要に迫られてそうするしかなかったとのことです。今の時代、お金さえかければ、良質材、高級品に困ることはありませんが、それではコストが成り立ちません。ここでの品質が安定しないとは、ばらつきの大きいことを指し、よい設計とは、お金をかけずに、ばらつきがあっても影響を受けにくい、安定した(=ロバストな)機能を発揮する設計、つまりロバスト設計を指しています。ばらつきは、単にもののばらつきに限らず、もっと大きな使用、環境条件の変化、劣化も含めてばらつきと言っています。これらの市場での使われ方、製造のさまざまなばらつきに対して、開発時にロバスト設計されていれば、コストダウン、品質ロスコスト低減に大きく貢献できるでしょう。特に価格競争の激しい商品開発においては、ロバスト設計は欠かせません。 | |
早田 修 日本の製造業は、その歴史の中で品質を軸に成長して来たと言われます。もちろん当社もその例外ではありません。しかし最近のグローバル化や社会からの製品安全性を含む品質要求の高まりの中で、今一度ヤマハモーターサイクルの品質の在り方を再構築し、この環境変化にすばやく対応する事が急務となっています。数年前から話題になっている食品や自動車等の安全性、信頼性確保に対する社会からのさらなる要求は、日本だけではなく全世界的な傾向であり、これに責任をもって応えられない企業は即座に淘汰される時代になりました。製品安全性確保の代表的な傾向を示す例として、国内における2、4輪車のリコール件数の大幅増加が挙げられます。この件数増加の背景を製品の品質が低下してトラブルが増加したというように見るのではなく、各企業が安全性に関わる問題発生を未然に防止する活動を、積極的に行っていると認識すべきでしょう。当社においても、市場に流出した可能性のある重要問題に対しては速やかに対策を打ち、販売店の皆様に協力をお願いしながら製品の改善を行いお客様の安全を確保して来ました。このような各企業の動きに対しては、欧米社会がそうであるように、日本の社会においても以前のようにリコールを単に悪い問題として見るのではなく、メーカーの製品改善対応をむしろ責任ある正しい行為と認識するように徐々に変化し始めています。これらの変化を踏まえて、MC事業本部で近年推進してきた品質向上活動と改善への取り組みの経緯と今後の方向性を紹介致します。 | |
入手 和秀 当事業部では、電磁誘導ゴルフカー、発電機、除雪機、汎用エンジン、カートなど多種類の商品を開発しています。生産は、一部の商品を除いて、創輝㈱に委託しています。YMMC(米国製造子会社)には、2人乗りゴルフカー用のエンジンとモータ制御用コントローラを供給しています。ここで、各商品の開発品質向上に向けて取り組んでいる点について紹介します。 | |
上野 肇 船外機のエンジンとモーターサイクルのエンジンは、縦置きか横置きかという違いがあるだけで、それ以外には、さほど違いがないと思われがちである。しかし、実際には、両者の間には大きな違いがある。お客様が船外機に求められるものは、軽量である事、故障しない事、錆びない事である。モーターサイクルや自動車などに求められるものとは異なっている。自ずとエンジンの作り方も違ってくる。船外機トップモデルには、オールアルミニウムで2サイクルV型6気筒の3,000cm3で183.9kW(250ps)を発揮するエンジンが搭載されている。また、船外機業界にもUSAを中心とした排気ガス規制の波が押し寄せてきている。これにより、商品構成は2ストロークから4ストロークエンジンへと大きく変化しようとしている。各社とも新しい商品作りに必死で対応している。三信工業㈱も、ここ数年間で新しい4ストロークエンジンやシリンダ内へのDI(直接噴霧)方式の2ストロークエンジンを数多く開発してきた。 | |
矢野 文夫 開発論文を読みなれた技報読者の期待に応えるような“信頼性工学を活用した品質改善事例”のような固い話ではなく、今回はリラックスして読んでもらえればよい話を以下に書かせて頂いた。 | |
武智 裕章 PAS事業部では、電動アシスト自転車と電動車椅子の開発をしています。1993年に世界初の電動アシスト自転車としてヤマハPASを世に送り出して、は9年目を迎え、その間の累計生産数は50万台を突破しました。また、電動車椅子は、1996年に全国販売を開始し、すでに2万人近くの方々に御愛用いただいています。販売地域は国内のみならず広く欧州まで拡大し、機能向上と商品熟成を図りつつ常に高いお客様満足度を維持し続け、数多くの方々から感謝のお言葉を頂いています。今やお客様の日常の友としてご使用いただける存在となっています。当事業部としては、電動アシスト自転車や電動車椅子は、お客さまにとっては生活に欠かせない乗り物として、安全性、信頼性はもとより、どなたにでも簡単に扱え、手間のかからない商品でなければならないと考えています。しかしながら、自転車の発展の歴史やその規模に照らしてみれば、これらの商品はまだまだ改善の余地があります。お客様に優しさと感動を与え続ける商品として満足して御使用いただけるよう、継続して改善に取り組む必要があります。そこで、今までの品質への取り組みと、その結果から反省を踏まえて今後の取り組みについて以下に述べます。 | |
| 製品紹介 | 久保 裕/山崎 茂人/田中 裕/河崎 伸一/隆谷 文緒/海野 仁/尾鍋 文光 1998年にXV1600 Road Starを北米、欧州、日本市場向けに発売し、世界最大排気量のV2エンジンを搭載したことで高い評価を得た。XV1700PC Road Star Warriorはその世界観を拡張し、従来のクルーザーでは得られなかった「オープンロードでのエキサイティングな感覚」を実現するために開発された。Vツイン・パフォーマンス・クルーザーをコンセプトに、走行性能、外観、エンジン特性、フレーム構造など多方面にわたる技術革新を盛り込んだ。量産クルーザー初のアルミ製フレームや電子制御式燃料噴射装置などを採用し、高次元の走行性能と個性的なスタイルを両立させている。 |
小池 美和/西村 慎一郎/阿部 健児/仲秋 一/荻野 光弘/野澤 久幸/谷崎 渡 欧州スポーツバイク市場(スクーターを除く)の中で、スーパースポーツカテゴリーは約30%を占め、各社から競合モデルが投入されている。1997年に“スーパーコーナーリングマシン”としてミラノショーでデビューしたYZF-R1は、1,000cm3のパワーと600cm3クラスの車体の融合というテーマを高次元で具現化し、多くのユーザーから支持を得た。2002年モデルでは、より高速域での旋回性能、スロットルにリニアに反応するパワー感、積極的なコーナー攻めへの対応など市場ニーズを反映し、次世代スーパースポーツとして開発された。 | |
松木 閲央/望月 卓也/田中 豊二/小栗 幹夫/栗田 浩明/谷垣内 慶朗/中村 伊久雄 “キング・オブ・ザ・マウンテンロード”を提唱して1991年にデビューした初代「TDM850」は、山岳ワインディングから市街の石畳路まで路面を選ばない軽快でスポーティな走破性、高い視線と楽なポジション、個性的外観などが市場で評価され、一躍人気モデルとなり欧州市場をリードした。この「TDM850」はその後1996年、搭載エンジンを360度クランクから270度クランクへ変更した2代目「TDM850」に進化。不等間隔爆発によるパルス感溢れるフィーリングと優れた駆動力、幅広いトルク特性、ニュートラルな操縦安定性、そして個性的スタイルがファンの支持を得て、「オールラウンダー」の名を欲しいままにし、スポーツ市場の基準モデルのひとつとして強く存在感をアピールしてきた。なお、これまで初代と2代目を合わせると約62,000台の販売数(全欧2000年末迄)を記録した。このほど新開発の「TDM900」は、1991年初代の「TDM850」の基本コンセプトを継承しながら、最新技術の投入により新しい「TDM」ワールドの具現化を狙いに設計開発にあたったモデルである。開発においては“軽量化を軸に胸のすくような扱い易さの具現化”を主題に、エンジンから車体細部まで各部に新技術やノウハウを投入し、デザインにおいても、外観部品を全面刷新しリニューアルを果たした。 | |
斉藤 真康/山本 正信/井野口 欣孝/徳竹 浩志 地球温暖化現象が継続し、スノーモビル全体需要が縮小する中、北米市場において、スポーツカテゴリー需要は堅調に推移している。この領域における主戦場となるクロスカントリーカテゴリーに、機能と性能で最高のマシンを投入することにより、スノーモビル市場での存在感を再構築する。ここに紹介するSXV70 SXViperは、2001年より市場にて販売され、他社競合モデルに対する、性能機能の優位性、かつ斬新なデザインが、顧客の心を捉えた。商品導入戦略も功を奏し、予約当初より販売数量を伸ばし、大幅増産をするまでのヒット商品となっている。 | |
杉山 恵一/高橋 康雄/服部 敏幸/平澤 武 21世紀は環境の時代と言われている。1999年よりパーソナルウォータークラフト(以下PWCと言う)においても米国にて排気ガス規制が始まり、当社は同年、3元触媒付きのXL1200LTDを市場導入し対応してきた。今回、今後展開されるさらに厳しい規制に対応するため世界で初めての4ストロークエンジンを搭載したPWCであるFX140を開発したのでここに紹介する。 | |
福山 美洋/門田 律 プレジャーボートの新艇需要は年々下降線をたどり、われわれボート開発者にとって頭の痛い状況となっているが、この時期においても中古艇の国内需要は堅調であり、対象層の要求に見合った価格と商品自体の魅力が釣り合えば、新艇需要を活性化させることが可能であると考えた。特に100~200万円の価格帯のレジャーボート販売需要は約2,000隻と推定され、このボリュームゾーンの自社製品の商品力低下による販売減少とシェア低下を食い止め、増売を達成すべく新たなフィッシングボートUF-21CCの開発をスタートさせた。 | |
平岡 徳由/入尾野 靖 VMAXシリーズ大型船外機は、主に米国のBASSフィッシング市場用に開発されたモデルである。近年、日本においてもBASS釣りがブームとなっているが、米国ではBASSは最もポピュラーな釣りであり、船外機の市場規模としてソルトウォーター(海釣り)に対して二倍の大きさがある。この大きな市場に対して、ヤマハ発動機(株)としては最大出力モデルとなるVMAX250の開発を行い、2001年5月より市場導入したので紹介する。 | |
鈴木 弘人 スカイ事業部がかねてより開発を進めて来た自律航行型RMAXを、アメリカ合衆国で行われたAUVSI(Associationfor Unmanned Vehicle Systems International 世界無人機協会)主催のシンポジウム及びAUVSIと米海軍共催のフライトショーに参加させることになった。我々スカイ事業部技術スタッフは、現状の技術レベルを持って航空大国アメリカへ乗り込むべきであるか否か迷ったが、意を決してその催しへの参加を決めた。今回紹介するのは、2001年7月30日に行われたボルティモア近郊の海軍飛行場Webstar Field飛行場でのデモフライト、および8月1日から3日にボルティモア市で行われたシンポジウムへの参加記録である。シンポジウムにはスカイ事業部の佐藤彰が講演者として、機体展示、デモフライトへは同じく技術開発スタッフが参加した。 | |
今里 藤勝/佐々木 茂彦/森田 隆司/片山 隆康 2001年7月16日~29日福岡市において第9回世界水泳選手権大会が開催された。大会には世界134ヶ国から役員、選手を含めて2,500人が参加。世界記録8、大会新記録48、日本新記録20と15万人を超える観客動員数を達成し、成功裏に幕を閉じた。この世界大会で、史上初の試みとしてヤマハ発動機(株)のFRP製プール「水夢21」が国際公認50m特設プールとして採用されただけでなく、大きな評価を受けた。「水夢21」開発に当って国際水泳連盟から要求された課題と対策を含めて紹介する。 | |
| 技術紹介 | 自動車シャシー技術の開発 X-REAS/パフォーマンスダンパー 沢井 誠二/坂井 浩二 ヤマハ発動機(株)では、自動車関連の製品としてトヨタ自動車(株)向けを中心に高性能エンジンの開発、生産を行なってきたが、近年市場での嗜好の変化や自動車エンジン全体の高性能化などに伴いエンジン単体の魅力だけでは車両の差別化、商品性向上が困難になりつつある。そこで自動車事業推進の一環としてシャシ技術の開発に取り組み、“X-REAS(エックス-リアス)”と“パフォーマンスダンパ”というコンポーネントを製品化するに至ったので概要を紹介する。なお、“X-REAS”、“パフォーマンスダンパ”ともに当社の商標(出願中)である。 |
齊木 英夫/戸口 孝則/土手 啓二朗/大上 智之 製品競争力の強化のために、開発期間の短縮は常に課題とされている。開発期間の短縮のためには製品開発の早い段階において製品品質、製品コスト、製造要件などを作り込むという製品成熟度の早期立ち上げが有効である。またそれを実現するための大きな手段としてプロセス改革がある。本報ではそれらの内容、関係などを解説、考察する。 | |
| 技術論文 |
田代 庸司/葭野 民雄 パイプ曲げ加工は機器の軽量化や多品種少量生産に対応した生産技術である。最近の省資源、コンパクト化などのニーズに伴い、薄肉管で曲げ半径が小さく、また断面変形、傷などの少ない高品質な曲げが要求されている。薄肉管の曲げ加工ではシワが発生し易く、形状精度などを維持することが難しくなっている。世の中には薄肉管の曲げに対応するいくつかの方法があるが工程が増え量産には不向きと考えられていた。当社ではパイプ両端を再使用可能な耐圧栓で密栓し、内部に高圧水を充填して曲げる方法(ハイドロベンド)に着目した。開発にあたり、安全対策として高圧水へのエアーの混入量極小、高圧水の水漏れ時の対策等を実施した。生産性向上に際しては、密栓・注水工程と開栓・排水工程を外段取り化し、曲げ工程のサイクルタイムに合わせた。これらの結果、従来方式では量産困難であった薄肉パイプ(外径38.1mm、板厚0.85mm、曲げ半径60mm)を良品一発で従来並の生産性(サイクルタイム1分)を確保して、高品質に曲げ加工できる工法を開発、実用化できた。 |
深津 英治 モータサイクルエンジンのクランクケースにおける埋栓では、従来から油圧プレスによる圧入が行われてきたが、高荷重ゆえに設備の大型化やワーク変形などの問題点も多い。そこで圧入荷重を低減するために超音波振動を応用した圧入機を開発した。テスト機による実験では、圧入ポンチ部先端にエアシリンダによる荷重と超音波振動を加えることにより、φ7.9ボール圧入時の圧入荷重を従来の2,000Nから700Nへ低減できた。また、抜け荷重が従来の方法で圧入した場合より大きくなった。φ12テーパープラグの圧入テストでは、1,000Nにて圧入可能であり圧漏れ、カジリなどの不具合も発生しなかった。テスト結果をもって圧入機を製作した。この設備は油圧ユニット廃止、軽量治具、ワーク姿勢自由度向上、消費電力削減といった特長を持っており、現在生産稼動中である。 | |
水野 裕/久保田 剛 高性能化するモーターサイクルの評価を、高精度かつ効率的に行うため、社内において人型ロボットを使用したモーターサイクルの自動運転用制御システムが開発されている。その制御システムに不可欠なシフト荷重センサは、当初、歪みゲージ式ロードセルを用いていたが、エンジンの振動条件下で検出感度、強度および応答性を全て満足することはできなかった。そこで、この問題を解決するために、新たに磁歪式荷重センサの適用を試みた。実機テストの結果、磁歪式荷重センサはモータサイクルの運転用制御システム及び計測システムの条件を満足することが分かった。 | |
小池 俊勝 高性能鍛造ピストンのための連続鋳造アルミニウム合金AFC12(Al-12Si-4Cu-0.5Mg)、粉末アルミニウム合金AFP10(Al-10Si-5Fe-1Cu-0.5Mg-1Zr)、AFP20(Al-20Si-5Fe-1Cu-0.5Mg-1Zr)を開発した。各材料にピストン鍛造に相当する加工を付与した後に、ピストン使用温度域、すなわち室温から623Kにおける機械的特性を調べ、従来の鋳造ピストン合金JISAC8Aアルミニウム合金の結果と比較した。AFP10とAFP20の加熱保持後の室温硬さ変化はほとんどない。AFP20はすべての温度域において、またAFC12は423K以下の温度域でAC8Aに比べて高い引張強度、耐力、疲労強度を示す。以上の結果より、AFC12を使った鍛造ピストンは低温域の、AFP20を使った鍛造ピストンはすべての温度域において、それぞれ高性能化が期待できる。 | |
水野 康文/山口 昌樹/吉田 博 ハンス・セリエが「ヒトが外界から刺激を加えられたときに生体に生じる反応」をストレスと呼んでから既に半世紀以上が経過した。しかし、ストレスを定量的に評価できる指標は今だ考案されていない。筆者らは、唾液中のα-アミラーゼ(唾液アミラーゼ)の活性変化に着目し、健常被検者6名を対象とした実験により精神的ストレスの判別を試みた。精神的なストレッサーとしてはクレペリンテストを用いた。その結果、ストレス負荷に対して活性値の比較的速い応答が観察された。また、快適、不快のストレス反応に対応して活性値の時間勾配の符号が正負に反転した。さらに、活性値と唾液総タンパク量を同時測定することによって唾液分泌流量の影響を検討したところ、ストレスに起因した唾液アミラーゼ活性の変化が確認できた。これらより、唾液アミラーゼはストレスを定量的に評価するための有効なマーカー物質であることが示された。 | |
田中 廣 タイプの異なる流体数値解析コード、SCRYU/TetraおよびAVL/FIREを用い、競泳用プール給水噴流の到達距離予測、簡易モデルによる浄化流れ予測、給取水口配置変更の影響解析、1/3区画モデルの浄化解析を実施した。これらの数値解析により、小規模多数の給水口と取水口をプール長辺に沿って分散配置する当初計画では、長辺壁面の近傍だけで循環流が形成されてしまい、プール全体の浄化は達成できないことが分かった。また合計ポンプ能力を維持したまま給水口と取水口の間隔を大きくすると、浄化に関わる水置換の促進に顕著な効果があることが認められた。これらの解析結果を踏まえ、給水口と取水口の配置が変更された。完成した競泳用プールでは浄化装置が本来の機能を発揮することができ、前例のない高いレベルの清浄度が達成できた。 |
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