本文へ進みます

技報【バックナンバー】

ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW
技報No.34 表紙

ヤマハ発動機 技報 No.34(2002年9月)

特集:CAE

特集
技報No.34 特集1 説明画像

「CAE」の意義と課題 PDF

堀内 滋

「ドットコム、どこが混むのと、聞く上司」。この川柳を引き合いに出すまでもなく、まさに世はコンピュータ・デジタル技術で満ち溢れている。その技術と関連の深い本報の表題を見ておもむろに読み始めた読者の中には、よもや「CAE」を「カエ」と読む類いの人はいないと思うが、念の為、まずはこの「シーエーイー」を簡単に定義しておこう。「CAE」とはComputer Aided Engineeringの略である。「コンピュータを使った工学解析」とでも訳そうか、いわゆる大規模な技術計算のことを言う。物作りの過程で、対象となる複雑な物理現象をコンピュータで高速に演算・処理し、事前に予測・検討できることが大きな特長だ。その「CAE」に関する種々の話題の中から、本報では、「CAEの意義」と「実現化への課題」に絞って取り上げたい。共に、CAEの底流にある基本的な事柄と思うからである。
冒頭を表示
技報No.34 特集2 説明画像

二輪車の操縦安定性解析 PDF

内藤 重男

操縦安定性は、軽快な運動特性を持つ二輪車にとって重要なものである。現在の二輪車の操縦安定性は、高度な技術を持った評価ライダーと経験豊かな開発チームによって長い時間をかけて作り出されたものである。従来の方法では実現できない程の開発期間の短縮、試作回数の削減、設計初期段階での操縦安定性の作り込みが要求されるこれからの商品開発では、CAEの活用が有効かつ重要となってくる。二輪車の操縦安定性は人間の官能による評価が多く定量的に表わし難い。そのなかで、定量的な評価ができる割合が多い安定性解析については、部分的ではあるが計算による評価予測が可能になってきた。ユーザーに感動を与える絶妙なセッティングは、開発ライダーの官能評価によるところが大きいが、その前段階の基本特性の作り込みにおいては、CAE技術を用いることにより開発負荷の軽減が可能である。ここでは、当社での二輪車の安定性解析について紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 特集3 説明画像

二輪車の衝突解析 PDF

出口 基明/神戸 庄二

二輪車の安全性向上の研究開発は、四輪車に比べて目立たないが、着実に行われておりその成果も徐々に得られつつある。本稿ではその中の一分野である衝突時の安全性向上の研究開発に係わる部分を紹介する。二輪車の衝突時のライダーの障害を軽減する車体や保護具の開発には、実車による実験評価が欠かせない。しかし衝突現象には、衝突時の速度や方向を始めとして相手側の形状など考慮すべき事柄があまりにも多い。このため、全てを実験でカバーすることはほとんど不可能であり、衝突を計算機上で再現する数値シミュレーション手法が実験を補完する有効な手段となる。当社ではこのシミュレーションモデルの開発に「MADYMO」という運動機構ソフトの一種を採用している。また、同時に有限要素法(FEM)によるシミュレーションモデルの開発にも取り組んでいる。このFEMによるモデルはMADYMOに比べてデータ的に巨大であり、計算も非常に長い時間が必要である。従って、本研究開発のように数多くの計算例が必要なケースでは実用的ではないが、反面、詳細なモデルではあるがゆえに高い計算精度を期待できる。我々はこのFEMによる高い計算精度の結果を部分的にMADYMOモデルに取り入れることで、簡便ながら高い精度のシミュレーション手法の開発を目指している。
冒頭を表示
技報No.34 特集4 説明画像

二輪車の振動 PDF

田中 十四夫

物語は互いに対峙する配役があって初めて成り立つ。一方が肯定的保守志向であれば、他方は否定的革新志向、というパターンが多い。二輪車など機械構造系でいうと、剛性と慣性が、これらの対峙する配役に相当する。同じ外力に対して、剛性は頑なに自身のカタチを保持しようとするが、慣性は自身のモーションを押し通そうとする。これが共振の原因となる。振動開発の物語を起承転結とみれば、「起」で始まり、「承」で共振が浮上し、「転」で対策を考え、「結」でハッピーエンドを目指す。CAE は、まさに「承」を読み、「転」を描いて、最終的な対策手段の「結」につなげるためにある。ここでは、その物語のさわりを3つの事例(スクータの振動、モーターサイクルの振動、ブレーキの鳴き対策)で紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 特集5 説明画像

二輪車の騒音解析 PDF

浅野 俊二

一般的認識として、商品開発におけるCAE技術の適用については理論解析によるアプローチに多くの関心が寄せられる傾向がある。しかしながら実際的に有効に利用するためには、実験解析の必要性が理論解析以上に重要なものである。そしてこの認識は騒音開発の分野においてももちろん例外ではない。いかなる理論解析も実験的な裏打ちがあってその有効性が発揮されるものである。本論では、二輪車騒音開発に関して、当社で開発された理論解析例をいくつか紹介する。これらは実験解析によりその妥当性が実証されているもので、実際の開発に適用もしくは今後適用される見込みのCAE技術である。
冒頭を表示
技報No.34 特集6 説明画像

二輪車の流体力学 PDF

大滝 尚

モーターサイクルをはじめとする当社の主要な商品群は、大自然に分け入るための道具であると同時に、それを共に体験する心強い友人でもある。人々がよせる全幅の信頼を裏切らない高い品質は、当社の誇りであり、かけがえのない財産である。日常を一歩踏み出した先で出会う風や川のせせらぎのような「流れ」は、人々が自然につつまれていることを実感するのに欠くことのできない恵みであり、それらとの出会いは当社製品の重要なコンセプトとなっている。一方でこのような流れ現象は、製品の信頼性や安全性にかかわる重要な要素でもあり、開発の随所において検討がなされている。近年のコンピュータハードウェアのめざましい性能向上によって、安価で速くかつ充分な分解能をもった流れの数値シミュレーションが可能となり、開発の早い段階から流れの問題を詳細に解析できるようになってきた。本稿では、モーターサイクル開発を例にとり、エンジンの冷却と高速走行時の乗員ウィンドプロテクションを数値シミュレーションによって検討した事例を紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 特集7 説明画像

運動機構解析 PDF

木村 哲也

運動機構解析とは、機械系システムの運動を扱う解析分野であり、単に機構解析とよばれたり、マルチボディダイナミクス(多体系動力学)とよばれる場合も多い。この解析分野では、物体の運動を対象としており、その基礎原理はニュートンの運動法則であって、物体の運動方程式を導出して、その運動を求めるといった内容が基礎になっている。これは高校の物理の授業でも行われるように、一つの物体について運動を求める限りにおいては、特別難しいことではない。しかし、通常の機械系システムでは複数の物体が連結されて機構を構成しており、その運動方程式を導出するとなると、途端に非常に困難となる。このことは、1960年代に米ソにおいて盛んに行なわれた人工衛星の開発競争によって顕在化し、解析理論の飛躍的な発展が行われたといわれている。また、その後のコンピュータの大幅な高速化と利用技術の進歩、および1980年代に商用化されたADAMSやDADSといった汎用の運動機構解析ソフトの普及によって、様々な分野で盛んに利用されるようになった。現在では、宇宙構造物はもちろん、自動車、鉄道車輌、ロボット、建設機械などなどありとあらゆる機械系のシミュレーションに用いられており、その適用範囲は極めて広い。
冒頭を表示
技報No.34 特集8 説明画像

熱伝導解析 PDF

松岡 直樹/中野 実

当事業部の自動車用開発エンジンは、軽量・コンパクト・高出力が特徴である。一方、環境問題への対応や車両衝突安全性の確保のため、益々エンジンの高効率化・コンパクト化の要求が高まっている。それと共に、エンジン自体への熱伝達量の増大が、材料強度の低下や熱変形を引き起こさないように配慮しなければならない。また、燃焼室壁温度の気筒間ばらつきはエンジンの対ノック性を悪化させ、冷却水量の安易な増大はエンジン暖気性能を悪化させる。そのため、ウォータージャケットの設計にあたっては、これらの問題を未然に防ぎ高品質のエンジンを短期間に開発する為、CAE技術の活用による事前評価が必要不可欠になってきている。本報告では、自動車用エンジン開発業務における熱伝導解析の適用例としてシリンダーヘッドの冷却水流れ・熱伝導解析の手法について紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 特集9 説明画像

鍛造解析の二輪車設計・製造への適用 PDF

村上 剛

日本の製造業においてCAE(Computer-Aided Engineering)技術の進歩が著しい。自動車業界においても、鍛造、プレス、鋳造、樹脂成形、NC(数値制御)加工、ロボット制御等の製造系CAE(以下シミュレーションと呼ぶ)の活用が一般的になり、様々な部品の生産性向上に効果を上げてきている。鍛造は主にエンジン内部の駆動部品に対して使用され、形状精度と強度が要求される重要工程である。近年、エンジン技術の進歩と共にこれらの要求は厳しさを増し、従来からの実機トライに依存した開発手法は困難になってきている。本稿ではこの鍛造部品へのシミュレーションに対する当社の取組みについて述べる。
冒頭を表示
技報No.34 特集10 説明画像

ESPRi-CAE(PLATON)と解析系コンピュータシステム PDF

土屋 光生/近藤 雅孝

ヤマハ発動機㈱は、基幹システムとして自社開発の CAD/CAM/CAE 統合システムである ESPRi(Engineering System for PRecise design and manufacturing の略)を利用してデザインから生産準備までの商品開発(以下、設計)を行っている。この中の CAE システムは設計者自らが構造解析を利用し設計検討をおこなうことができるというポリシーのもとシステム開発をおこなった。今回、ESPRi-CAEと解析系コンピュータシステムについて紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 特集11 説明画像

MC事業本部におけるCAEの利用~設計者への構造解析普及~ PDF

上田 美佳子

MC事業本部に『SDグループ』が誕生したのは18年前である。当時研究部門で行っていた構造解析を、二輪車の開発に役立てるために新たに設立されたのが『SDグループ』であった。以来、『設計者自らが解析を行い二輪車の開発に適用する』事を目的に活動を続けてきた。活動は、グループ黎明期、グループ繁栄期、分家独立期、普及拡大期の各期間を経て、現在の形、すなわち当初想い描いた『設計者自らが解析を利用できる』状態に達した。今年からは更に高度なCAE技術を開発に適用するため、名前を『CAEグループ』に改めた。今後は、構造解析のみならず流体解析や機構解析を含めた広範なCAE技術を二輪車開発に適用していきたいと考えている。
冒頭を表示
技報No.34 特集12 説明画像

三信工業におけるCAEの利用 PDF

沼田 文夫

三信工業㈱ではヤマハブランドのマリン用エンジンの開発から製造を行なっており、商品としては、船外機、艇体を除くPWC(パーソナルウォータークラフト)、船内機および船内外機用ディーゼルエンジンがある。水上での安全を確保するために、全ての製品は軽量化とともに厳しい条件下での信頼性が求められる。CAEが活躍するのは主にこの信頼性と軽量をいかに両立させるかという場面が多く、FEM(有限要素法)による強度、剛性を中心として、振動、騒音、温度、流れの分野にも活用を広げている。主に製品開発で適用しているが、生産技術へも適宜適用している。また、最近ではプロセスエンジニアリング(開発過程を改革する試み)を進める中で、より広く有効なCAEの活用方法を考えている。
冒頭を表示
技報No.34 特集13 説明画像

モリックのCAE及びその事例紹介 PDF

鈴木 幸一

㈱モリックはヤマハ発動機グループの一員として、モーターサイクルの電装部品を主力商品として開発から生産、販売までを一貫して行っている。近年コア技術である小型電装品の技術を利用し関連商品の外販に注力しているが、ライバルである電機業界の生産までの開発リードタイムはモーターサイクルの9ヶ月からさらに短い6ヶ月である。その短いリードタイムに対応する為には今までのコンカレントエンジニアリングに加えて、やり直しのない試作又は試作レスの開発、同様にやり直しのない生産準備と開発開始から生産開始までの各アイテムのリードタイムを縮める必要性が生じてきた。
冒頭を表示
技報No.34 特集14 説明画像

YECにおけるCAEの利用 PDF

甲賀 利孝/松下 広規

(株)ワイ・イー・シーのCAE(Computer-Aided Engineering)グループはヤマハ発動機(株)(以下、YMCと言う)グループとの協業および協業による技術蓄積をベースとした対外アプローチを視野に入れて1991年に発足した。YMCグループ内でCAE環境を持たない事業部、関連会社の解析受託を幅広く行いながら、解析初期教育を含むコンサルテーション、社外でのCAEセミナー等も実施している。以下にその業務の概要を紹介する。
冒頭を表示
製品紹介
技報No.34 製品紹介1 説明画像

Winforce TRY/ウインフォース トライ PDF

尾崎 由斉

レーシングカート市場の全盛期には、一般のスポーツユーザー層のみを対象顧客としても新規ユーザーは増え続け、活動停止及び休止者への対策を講じなくてもカート人口の減少に悩まされる事はなかった。しかしながら、昨今スポーツレジャー層は減少の一途を辿り、カート業界も例外ではなくなっている。現在の市場動向の中で比較的順調に推移しているカテゴリーは、低年齢層を対象とする俗に言うところの「キッズ・ジュニア」層、そして年収面で比較的余裕のある中高年層である。そこで、将来のカート業界を支える基盤となりうる低年齢層への働きかけが急務であると判断し、1973年のヤマハカート市場投入以来、商品・普及政策共に手付かずとなっていた子供を対象とするモデル「Winforce TRY」を新たに発売した。本モデルは該当年齢の体格に見合い、大人向けに発売されている既存モデルの性能を損なうことのない、本格的なレーシングモデルとしてカート市場の底辺層の拡大を主眼に置いている。
冒頭を表示
技報No.34 製品紹介2 説明画像

創薬研究用自動倉庫&ピッキングシステム PDF

鈴木 信成/佐藤 睦比呂

(株)ワイ・イー・シーでは、かねてよりヤマハ発動機(株)のロボットコントローラ技術を活用した新規事業の一環としてラボラトリーオートメーション分野での各種自動化設備の開発に取り組んできた。特に注力してきた分野として、創薬部門での効率化を目指し、Y製薬会社と共同開発した、業界では世界初と目される化合物ライブラリ(1,000,000種)とハイスループットスクリーニング(高速多量薬効評価)を一体化したシステム『創薬研究用自動倉庫』を紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 製品紹介3 説明画像

NOUVO PDF

中畑 巌/石原 靖朗/神ノ門 裕之

ASEAN各国では、通勤通学等のいわゆるコミュータとして、通称モペットと呼ばれている遠心クラッチ付きアンダーボーン型モーターサイクルが社会性をもって市民生活に確実に根付いている。ヤマハ発動機はかかる市場に対し、既存商品と共生も出来、なおかつ新しい付加価値でより快適なコミュータを提案すべく、NOUVOを市場投入したのでその概要をここに紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 製品紹介4 説明画像

鉛フリー対応クリームはんだ印刷機 YVP-Xg PDF

墨岡 浩一

携帯電話や携帯型パソコン等の各種携帯端末機器、自動車制御機器、IT革命を担う電子機器製品の進歩、社会への浸透はめざましく、それらを支える電子部品には、さらなる小型高機能化、高密度実装化が要求されている。併せて、近年のデフレ経済下において、コスト削減も強く叫ばれている。搭載される電子部品のICは、QFP(Quad Flat Package)からBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)に進化し、電子部品実装後では、はんだ付け部が部品で隠れしまい、今までの外観検査機では検査できなくなってきている。そのため、部品搭載前の印刷状態を検査する機能が要求されている。また近年、環境問題対策の一環として鉛フリーはんだ実装への対応が急務となってきている。このような市場の変化により表面実装ライン装置には高い生産性、多様な電子部品への対応が可能な汎用性、高精度化が強く求められている。ヤマハ発動機(株)では、2000年夏から「YVP」クリームはんだ印刷機を販売してきたが、さらなる市場要求に応えるため、鉛フリー対応のクリームはんだ印刷機「YVP-Xg」を新たに開発したので紹介する。
冒頭を表示
技報No.34 製品紹介5 説明画像

4ストローク船外機 F2.5A PDF

新井 秀人/北島 和幸

各国の環境規制の施行に伴い、プレジャー用途での船外機は、2ストロークから4ストロークへのラインナップ展開が進んでいる。今回4ストローク最小馬力船外機であるF2.5Aの開発を行い、2002年4月よりフランスのMBKにて生産が開始されたので紹介する。
冒頭を表示
技術紹介
技報No.34 技術紹介1 説明画像

ヤマハ発動機 災害時社員安否確認システム PDF

名畑 哲郎/内山 勝/神崎 哲/鈴木 雅美/中村 英一

最近の東海地震の被害地域の拡大や、発生危険性の高まりの予想など地震発生時における会社としての対応はきわめて現実的な課題である。従来、ヤマハ発動機(株)の地震発生時における安否確認は、電話による連絡を前提とし訓練を行ってきたが、電話回線の混雑などの理由により連絡が取れない可能性が高いと予想されること、また安否情報を電話で受けた後の集計作業や確認に多大な時間がかかるなどの問題を抱えていた。このような状況の改善策として、最近の個人(家庭)のインターネット環境の普及に着目し、パソコンや携帯電話(i-mode)を利用した社員安否確認システムを開発した。2001年の12月1日に実施した安否確認訓練では対象者の7割がこのシステムを利用した。尚、当システムは新しい安否確認のモデルでありシステムの販売につながる可能性も高いとの判断で、ビジネスモデル特許の申請を2001年10月に行っている。
冒頭を表示
技報No.34 技術紹介2 説明画像

問題予測と評価~予測精度の向上と評価への結びつけ~ PDF

宝泉 誠

以前、品質問題に関する当事者側のアンケート結果を拝見したことがあります。それは、ある開発部門、製造部門において、図1に示すものでした。その品質問題の発生原因については、多くがノイズ(使用条件、劣化、もののばらつき)に起因し、「その項目は考えなかった。」「考えたが、そこまでのレベルになるとは思わなかった。」などでした。結果だけから「なぜ、未然に防止できなかったのか?」と言うのは簡単ですが、実際の開発、生産の中で、思わぬ(?)問題を予測し、評価で確認するのは、なかなか困難なものです。今回は、「問題予測と評価」について、現状の課題点を踏まえて、問題予測の精度向上を図り、評価で確実に確認をとるための工夫、改善点を考えてみることにします。
冒頭を表示
技報No.34 技術紹介3 説明画像

エアロギア21の開発/ウエイキコントロールシステム PDF

市川 尚友/門田 律

近年低迷している国内ボートレジャー分野において、20代から30代の若年層を中心にウエイクボードが盛り上がりを見せている。1995年に3万5千人だったその人口は2000年には30万人規模にまで増え、通例であれば閑散とする冬季のマリーナでも、ウエイクボードの若者グループだけは活気をもって楽しんでいる姿をよく目にする。今回ヤマハ発動機(株)としては初めてのウエイクボード専用艇であるエアロギア21を開発した。本艇にはそのための性能、機能、装備、スタイリングを満載しており、技術面の核となるウエイキコントロールシステム(Wake Control System)を筆頭にそれらの概要を紹介する。
冒頭を表示
技術論文
技報No.34 技術論文1 説明画像

FRP製プール「水夢21」での水中音響解析 PDF

山田 潤

第9回世界水泳選手権大会(2001年7月福岡、以下世界水泳)前に、FRPプールとコンクリートプール(RCプール)の水中音響の違いが指摘された。シンクロナイズドスイミングは、音楽に合わせて演技し、その美しさを競うスポーツであり、競技中、選手は空中および水中に流れる音楽を聞いてタイミングを計っている。したがって、水中音響は競技に影響を与える重要な要素であり、初めての仮設FRPプールによる開催にあたって、RCプールと同等以上の環境が求められた。そこで、プールの水中音響計測を実施し、現象を把握した。結果、音源自体の問題(水中スピーカーの出力、周波数特性)、プール材質と音源設置場所による影響、遮断周波数の影響があることが分かった。世界水泳では、壁の影響を避けるため、水中スピーカーをプール中央へ配置した。また、アクチュエータ駆動の新たな水中音響システムを開発した。新音響システムは、音量の確保、音質、音場分布の均一性において既存のシステムをしのぐ性能が得られた。世界水泳では、水中スピーカーと共に使用することにより、高品質の水中音響を提供することができた。
冒頭を表示
技報No.34 技術論文2 説明画像

予測を伴う場面での自転車運転時生体機能の変化 PDF

水野 康文/守屋 貴於/入島 和代/木竜 徹

人間と機械を一つのシステムとして取り扱う考えとしてマンマシンシステムがある。マンマシンシステムの確立には、人間の行動様式を客観的に計測するだけでなく、主観的指標も考慮する必要がある。ここで、移動体の操作では、その制御特性が生体機能の変化、および主観的指標に大きく影響する。特に、運動中のイベントを予測する場面で、制御特性の影響を大きく受けると考えられる。そこで、コースの勾配の変化時における心拍変動、表面筋電図を計測し、走行終了毎に主観的指標を計測した。その結果、イベント予測が発生する場面において、RR間隔時系列から2つのグループに分けることができた。また、イベント予測が発生する場面での表面筋電図を短時間フーリエ解析したところ、周波数帯域に変化が見られた。アシスト付き自転車を例としたこの様な解析によって、人間の生体機能の変化を移動体の設計に反映させたいと考えている。
冒頭を表示
※このウェブサイトにより提供を受けた技術(プログラムを含む)を非居住者へ提供、または引渡しを受けた貨物を輸出する場合は、「外国為替及び外国貿易法」等の輸出管理法令および米国の輸出管理法令を遵守してください。
ページ
先頭へ