ヤマハでは、モーターサイクルの需要喚起のための販売促進活動として、「週末はバイク人」キャンペーンを、1996年3月から1998年夏までにわたって大々的に展開した。当時、生活環境の変化から、モーターサイクルと親しむことが少なくなっていた10~20代の若者に、ツーリングの楽しさをアピールすることはもちろん、「若いころはバイク好きだったのに、今は免許を持っているだけ」という中高年層を引き戻すことを大きな狙いとした。
テレビ・ラジオでのコマーシャルをはじめ、店頭チラシやポスター、新聞各紙の全面広告、一般週刊誌、専門誌など、メディアミックスにより大々的なPRを実施する一方で、通勤手段としてもモーターサイクルを普及させるため、日本全国約500店の二輪販売店に「マジェスティ250」の試乗車を用意するなど、販売店と協力しながら大がかりな「モーターサイクルライフ・アピール・キャンペーン」を展開した。
週末はバイク人」キャンペーンでは、イメージキャラクターとして、広告コンセプトにふさわしい著名な中年タレントを起用した。歌手の宇崎竜童、俳優の根津甚八、冒険家の風間深志の各氏が、モーターサイクルと一緒にドラマチックに登場し、幅広い世代から注目を浴びた。
また、「週末はバイク人」キャンペーンと連動して、バイクの楽しみ方に関する作品を公募する「週末バイクライフコンテスト」も実施。懸賞論文やイラスト、写真など、バイクにまつわる楽しい作品が多数寄せられた。
1996年の第1回公募「週末バイクライフ論文」では、全国から1,886点の作品が寄せられた。応募者の7割以上が30代で、40、50代の応募も多かったことからも、「週末はバイク人」キャンペーンは、多くの人の共感を呼んだ。休眠中のライダーをモーターサイクルライフに引き戻したことはもちろん、新たな需要喚起への波及効果も大きく、広告戦略としては大成功を収めた。また、ヤマハ製品のイメージアップはもちろん、業界全体の需要喚起とモーターサイクルの地位向上にもつながるなどの効果をもたらし、内外から高い評価を得ることとなった。
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