Part 3 YZR500&YZR-M1特集
2011年 企画展 Vol. 1
YAMAHA Grand Prix Racing 50th Anniversary
世界グランプリへの挑戦 1961-2011
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YZR500 GP500・2ストロークマシンの進化
ヤマハ発動機が、当時のトップカテゴリーGP500に初めて挑戦したのは1973年。4ストロークマシンが主流を占めるなか、2ストローク・並列4気筒マシンYZR500(0W20)を投入。モノクロスサスペンションを装備した1974年にメーカーチャンピオン、1975年には軽量・コンパクト設計の0W23でライダーチャンピオン(ジャコモ・アゴスチーニ)を獲得した。
そして1978年、画期的な可変排気バルブYPVSを装備した0W35Kでケニー・ロバーツがチャンピオンを獲得。さらに1980年まで3連覇を達成し、ヤマハ並列4気筒マシンも絶頂期を迎えた。しかし1981年、スズキの2ストローク・スクエア4気筒マシンに敗れ、ヤマハは新しい武器としてロータリーディスクバルブ吸気のV型4気筒エンジンを開発。また車体についてもアルミ製フレームやモノクロスサスペンションなどの改良を進め、1983年、それらを集大成したYZR500(0W70)を完成させた。そしてロバーツが、ホンダV型3気筒マシンのフレディ・スペンサーと熾烈なバトルを展開。惜しくもタイトル奪還はならなかったが、翌1984年、クランク室リードバルブ吸気を採用した0W76に乗るエディ・ローソンが自身初のチャンピオンを獲得した。
その後、クランク室リードバルブ吸気・V型4気筒エンジンとデルタボックスフレーム、リンク式モノクロスサスペンションは改良を重ねながら定着。他社にも大きな影響を与えるGPマシンの新基準となった。
YZR-M1 MotoGP・4ストロークマシンの進化
新しい最高峰クラスMotoGPのスタートに伴い、従来主役を務めてきた500cc・2ストロークマシンは990cc・4ストロークマシンに席を譲ることとなった。ヤマハ発動機は、長い熟成を重ねたYZR500のフレームを継承するとともに、優れた車体バランスを生かすことができ、TT-F1やスーパーバイクレースなどで技術的な蓄積もある並列4気筒エンジンを搭載。突出したパワーよりもトータルバランス、扱いやすさ重視のマシン開発を行った。
そして2002年、排気量942ccでスタートした初代YZR-M1は、レース結果やライダーの反応を見ながら段階的に排気量とパワーを上げ、フレームやカウル形状の改良にも着手。2度の優勝を果たしたM・ビアッジがランキング2位、C・チェカも5位に入った。
これにより、並列4気筒エンジンとデルタボックスフレームの組合せに自信を得たヤマハは、そのバランスに配慮しながら、それぞれの性能開発を継続。なかでもエンジンは、クロスプレーン型クランクシャフト導入や各種電子制御装置によるハイテク化で大きく進化し、ライダーとの融合をはかるエンジンマネジメントシステムが第3の柱として重要視されるようになった。また排気量変更(990cc→800cc)やエンジン、タイヤの使用数制限などさまざまな規定変更にも柔軟に対応。ヤマハは2010年まで、ライダーチャンピオン5回、メーカーチャンピオン4回を獲得した。
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カテゴリー | 年式 | 製品名 |
GP125/250 | 1968 | |RA31A|RD05A| |
1986 | |YZR250(0W82)| | |
1990 | |YZR250(0WB9)| | |
GP500 | 1974 | |YZR500(0W20)| |
1983 | |YZR500(0W70)| |YZR500(06K)| |
|
1986 | |YZR500(0W81)| | |
1987 | |YZR500(0W86)| | |
1988 | |YZR500(0W98)| | |
1993 | |YZR500(0WF2)| | |
1997 | |YZR500(0WH0)| | |
1998 | |YZR500(0WK1)| | |
2001 | |YZR500(0WL6)| | |
2002 | |YZR500(0WL9)| | |
MotoGP | 2002 | |YZR-M1(0WM1)| |
2003 | |YZR-M1(0WN3)| | |
2005 | |YZR-M1(0WP4)| | |
2006 | |YZR-M1(0WR3)| | |
2007 | |YZR-M1(0WS4)| | |
2008 | |YZR-M1(0WS5)| | |
2009 | |YZR-M1(0WS8)| | |
2010 | |YZR-M1(0WS9)| | |
2011 | |YZR-M1(0WT1)| | |
切磋琢磨 | 1966-67 | |RC166/Honda| |
1967-68 | |RD05A| | |
1983 | |YZR500(0W70)| | |
1984 | |NS500/Honda| | |
1990 | |YZR250(0WB9)| | |
1991 | |NSR250/Honda| | |
1993 | |YZR500(0WF2)| | |
1994 | |NSR500/Honda| | |
2002 | |YZR-M1(0WM1)| |RC211V/Honda| |
|
特別展示 | 1980 | |001Aエンジン| |
2000 | |OW-M1テスト車| | |
2004 | |YZR-M1(0WP3)| | |
2010 | |YZR-M1(0WS9)エンジン| |
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