「資源循環」への取り組み
ヤマハ発動機は、事業活動を通じて資源循環課題の解決に取り組みます。
循環型社会の実現に向け、製品の開発、生産、使用、廃棄の各段階で「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」の重要度はさらに高まってきています。ヤマハ発動機グループでは「限りある資源の有効活用と循環利用の促進」を目標として掲げ、サーキュラーエコノミー実現に向けさまざまな取り組みを行っています。
今後も省資源・リサイクル率向上を目指し、再生材の積極利用をはじめ、部品点数の削減、最適形状の追求による小型化、LED採用による長寿命化、解体容易化設計、また、部品のリサイクル性の向上など、さまざまなアプローチで製品3Rの向上に取り組んでいきます。
再生可能な資源活用による新規資源利用の削減
二輪車における3R設計
ヤマハ発動機グループでは、各種製品の「3R(リデュース、リユース、リサイクル)設計」に積極的に取り組んでいます。また日本国内に関しては、廃棄二輪車の取扱店が適正に処理を行う「二輪車リサイクルシステム」を業界他社との協力・連携を取りながら継続して推進しています。同様の取り組みとしてマリン分野でも「FRP小型船舶リサイクルシステム」があり、FRPプールでは「リニューアル・リデュース・リユース・リサイクル」に取り組んでいます。
二輪車における環境対応型リサイクルPP材の活用
ヤマハ発動機株式会社は、二輪車の主要外装部品への使用が可能な高品質の「環境対応型リサイクルポリプロピレン材(ポリプロピレン材=以下PP材)」の開発に成功しました。アセアン市場向けコミューターの2023年型主要モデルから、同原材料の使用を開始します。今後、この環境にやさしい再生PPを使用することで、二輪車製品におけるリサイクル材の採用比率を高めるとともに、他の製品カテゴリーにも順次採用していく予定です。
国内二輪車初※1「グリーンアルミニウム」を採用
ヤマハ発動機株式会社は、アルミニウム地金の調達先と「グリーンアルミニウム原材料の調達に関する契約」に合意し、2023年2月より、二輪車用アルミ部品の原材料として「グリーンアルミニウム」の採用を開始し、順次、適用範囲を拡大していきます。二輪車製品における「グリーンアルミニウム」の採用は国内初です。「グリーンアルミニウム」は、CO2の排出量が少ない再生可能エネルギーを用いて製錬されたアルミ材です。
二輪車製品は車両重量の約12~31%※2をアルミ部品で構成していることから、「グリーンアルミニウム」の採用は製品ライフサイクルの一部である原材料製造時のCO2排出量(企業活動における自社の排出/Scope 3 cat1に該当)を低減していく上で有効なアプローチの一つです。
当社ではこれまでも設計・生産技術を発展させることで、リサイクルアルミ材の活用を積極的に推進しており、現在、その比率は約8割※3まで高まっています。「グリーンアルミニウム」の採用は、これらリサイクル材に置き換えられないアルミ材を補完するものです。その皮切りとして大型二輪車製品や競技用モデルの部品の一部から採用を開始し、今後は供給量に応じて適用モデルを拡大していく計画です。
※1 当社調べ
※2 当社調べ(2022年)
※3 国内外主要工場の原材料使用量より算出(2022年)
植物由来の次世代素材を水上オートバイ部品へ採用〜輸送機器部品への実用化は世界初〜
ヤマハ発動機株式会社は、CO2削減、環境負荷低減に対する取り組みとして、植物由来のセルロースナノファイバー(以下、CNF)強化樹脂をマリン製品へ採用します。そしてこのたび、当素材の開発に関し、日本製紙株式会社(本社:東京都千代田区)と協業することで合意に至りました。当素材の輸送機器部品への実用化は、世界初※の事例となります。
当素材を用いて開発する部品は、水上オートバイおよびスポーツボートのエンジン部品で、2024年モデルの一部で採用する計画です。また、将来的にはマリン製品のみならず、二輪車などを含めた当社の幅広い製品群への展開を検討しています。
※ 当社および日本製紙株式会社調べ
サステナブル素材を利用したアパレル商品の企画
私たちは地球の恩恵を受け、この星で暮らし、その生活を楽しんでいます。次の世代にもこの環境を残すことが、今を楽しむ我々の責任です。今できることは、少しでも自然に還らない廃棄物を削減することです。わずかながらでも、できることから環境課題への取り組みを始めて行きます。
使用済みのペットボトルからポリエステル繊維にし、新しい商品として再利用します。
リサイクルされた再生素材を使用した、環境負荷軽減商品
メッシュジャケット
ポロシャツ
レーシングTシャツ
植物は成長過程に光合成でCO2を大気から吸収するため、石油を原料とした一般的な化学繊維のみを使用したものに比べ、総合的にCO2の排出を削減できます。
化学繊維からバイオマス由来繊維に置き換えた、環境配慮型商品
ストリートキャップバイオマス繊維18%使用
レーシングピットシャツバイオマス繊維18%使用
※ 図・写真はワイズギア・サイトより引用
二輪車リサイクルシステム
国内の二輪車リサイクルシステムは、廃棄される二輪車の適正処理・再資源化を促進し、循環型社会の実現をめざす自主的な取り組みです。2023年度の当社のリサイクル率実績は、97.8%でした。ヤマハ発動機グループでは「二輪車リサイクルシステム」の普及に取り組むとともに、お客さまが廃棄されるヤマハ製二輪車についての適正処理・リサイクルを責任を持って実施しています。
FRP小型船舶リサイクルシステム
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)を材料として使用している小型船舶(ボート、ヨット、パーソナル・ウォーター・クラフト、漁船など)のリサイクルシステムは、一般社団法人日本マリン事業協会のFRP船リサイクルセンターが実施主体となり、委託先の指定引取場所に収集された廃FRP船を粗解体した後、FRP破材を中間処理場に運搬し、粉砕・選別等を行い、最終的にセメント焼成することによりリサイクル(マテリアル・サーマルリサイクル)を行うものです。
ヤマハ発動機は、このリサイクルシステムに参加し、お客さまが廃棄・リサイクルを希望されるFRP船につきまして、責任を持って適正処理・リサイクルを実施します。
FRPプール「リニューアル」
ヤマハ発動機は、FRP素材の特徴を生かし、地球環境と共存するプール技術を開発することで循環型社会の実現に貢献していきます。ヤマハリニューアル工法は、既存のコンクリートプールの構造体を最大限活用できるため、解体時に発生する振動ドリルの破砕音や、大型重機の運転音などを最小限に抑えることができます。また、既存のコンクリートプールを解体すると約350トンの廃棄物が発生しますが、一部を撤去するだけでよいため廃棄物の量を約85%削減でき、一般的な改築や改修に比べて環境負荷を大きく低減することができます。
FRPプール「リデュース」
循環型社会では、廃棄物の抑制が最重要課題です。耐食性・耐震性に優れたFRPプールはきわめて長寿命で、定期的にメンテナンスを加えることで長期間の使用が可能です。1978年に納入されたスクールシリーズの初号機が40年以上たった現在でも安全に使用され続けています。
FRPプール「リユース」
ヤマハFRPリユース工法は、独自のユニット構造によりプールを解体移設して再利用することが可能です。
FRPプール「リサイクル」
FRPの再利用は、溶融化による再資源化、熱回収(発電)などさまざまな方法がありましたが、さらにポルトランドセメントの生成とその熱エネルギー源として、マテリアル・サーマル両面のリサイクル方法が加わりました。FRPはこれらの方法により100%に近いリサイクルが可能です。
製造段階における廃棄物削減と資源保護の取り組み
ヤマハ発動機は、金属、プラスチック、鋳物砂などは分別し、再び原材料として活用するマテリアルリサイクル処理を実施しています。また、油や一部のプラスチックは助燃剤としてサーマルリサイクル処理を実施しており、燃焼後の残渣についてもセメントや路盤材原料として活用することで直接および間接埋立量「0トン」を継続して達成しています(リサイクル率100%)。ヤマハ発動機の2023年の廃棄物量は15,514トンとなりました。また、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量は1,316トンでした。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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廃棄物量 | 14,926 | 11,319 | 13,516 | 14,173 | 15,514 |
排出物量※1 | 19,798 | 15,275 | 21,520 | 24,282 | 24,451 |
特別管理産業廃棄物量※2 | 288 | 122 | 178 | 198 | 404 |
※1 排出物量:外部に排出する物の量(産業廃棄物、特別管理⽣産廃棄物、有価物を含む)
※2 特別管理産業廃棄物:産業廃棄物のうち爆発性、毒性、感染症など、人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれのある性状を有するもの
ヤマハ発動機グループでは、分別の徹底、梱包資材のリターナブル化、切削液やオイルの長寿命化といった廃棄物量の削減に取り組んでいます。ヤマハ発動機グループの2023年の廃棄物量は63,620トン第三者保証となりました。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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a)リサイクル/再利用された廃棄物量 | 35,862 | 26,539 | 32,693 | 46,328 | 36,517 |
b)廃棄された廃棄物量(下記内訳の合計) | 15,466 | 14,146 | 16,864 | 17,897 | 27,103 |
・埋め立て処理された廃棄物量 | 6,919 | 6,827 | 8,666 | 10,496 | 15,233 |
・エネルギー回収を行う焼却処理された廃棄物量 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
・エネルギー回収を行わない焼却処理された廃棄物量 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
・その他の方法で処理された廃棄物量 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
・処理方法不明の廃棄物量 | 8,547 | 7,319 | 8,199 | 7,401 | 11,870 |
環境連結会社に占めるデータカバー率(%) | 96 | 100 | 100 (134社) |
100 (138社) |
100 (149社) |
廃棄物総量(a+b) | 51,328 | 40,685 | 49,557 | 64,224 | 63,620 第三者保証 |
対象範囲:ヤマハ発動機および連結子会社130社を含む全149社
原則として小数点以下を四捨五入して表示してあるため、合計と各項目の計は必ずしも一致しません。
グループ水使用量の推移
ヤマハ発動機グループは、水資源使用量の削減に努めています。2050年目標を生産活動における水使用量の低減と定め、グローバルな水使用量の把握の継続に努め、工場での冷却水循環化や回収水(雨水など)の利用をはじめ、RO膜を利用した水の再利用、ポスターによる社員への節水の呼び掛け、水道の蛇口への節水コマの設置など、グループ全体で水使用量の削減に取り組んでいます。
ヤマハ発動機単体では、2023年の取水量は1,137千m3、排水量は1,179千m3第三者保証でした。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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地下水 | 1,723 | 1,472 | 1,615 | 1,576 | 1,536 |
工業用水 | 934 | 731 | 859 | 946 | 583 |
上水道 | 1,251 | 1,002 | 1,226 | 1,228 | 1,396 |
その他淡水 | 375 | 380 | 328 | 300 | 115 |
取水量合計 (淡水) |
4,283 | 3,585 | 4,028 | 4,049 | 3,630第三者保証 |
注記:内訳には按分による推計が一部含まれます。
対象範囲:ヤマハ発動機および連結子会社130社を含む全149社
原則として小数点以下を四捨五入して表示してあるため、合計と各項目の計は必ずしも一致しません。