「資源循環」への取り組み
ヤマハ発動機は、事業活動を通じて資源循環課題の解決に取り組みます。
循環型社会の実現に向け、製品の開発、生産、使用、廃棄の各段階で「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」の重要度はさらに高まってきています。ヤマハ発動機グループでは「限りある資源の有効活用と循環利用の促進」を目標として掲げ、さまざまな取り組みを行っています。
今後も省資源・リサイクル率向上を目指し、再生材の積極利用をはじめ、部品点数の削減、最適形状の追求による小型化、LED採用による長寿命化、解体容易化設計、また、部品のリサイクル性の向上など、さまざまなアプローチで製品3Rの向上に取り組んでいきます。
再生可能な資源活用による新規資源利用の削減

3R設計と製品リサイクルの推進
ヤマハ発動機グループでは、各種製品の「3R(リデュース、リユース、リサイクル)設計」に積極的に取り組んでいます。また日本国内に関しては、廃棄二輪車の取扱店が適正に処理を行う「二輪車リサイクルシステム」を業界他社との協力・連携を取りながら継続して推進しています。同様の取り組みとしてマリン分野でも「FRP小型船舶リサイクルシステム」があり、FRPプールでは「リニューアル・リデュース・リユース・リサイクル」に取り組んでいます。
二輪車における3R設計

※ダイアジル(DiASil)とは、「Die casting Aluminum-Silicon」を略した造語。ヤマハが世界で初めて開発した、オールアルミ製ダイキャストシリンダー。 ダイアジルは、CFダイキャスト技術の応用により、ハイシリコン含有アルミニウム材の使用を可能にし、ライナー不要ながら高い摺動性を備え、耐摩耗性、生産効率を高め、リサイクル性に優れたオールアルミ製シリンダーの量産化を実現した製造技術です。
二輪車リサイクルシステム
国内の二輪車リサイクルシステムは、廃棄される二輪車の適正処理・再資源化を促進し、循環型社会の実現をめざす自主的な取り組みです。2021年度の当社のリサイクル率実績は、97.9%でした。ヤマハ発動機グループでは「二輪車リサイクルシステム」の普及に取り組むとともに、お客さまが廃棄されるヤマハ製二輪車についての適正処理・リサイクルを責任を持って実施しています。

FRP小型船舶リサイクルシステム
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)を材料として使用している小型船舶(ボート、ヨット、パーソナル・ウォーター・クラフト、漁船など)のリサイクルシステムは、一般社団法人日本マリン事業協会のFRP船リサイクルセンターが実施主体となり、委託先の指定引取場所に収集された廃FRP船を粗解体した後、FRP破材を中間処理場に運搬し、粉砕・選別等を行い、最終的にセメント焼成することによりリサイクル(マテリアル・サーマルリサイクル)を行うものです。
ヤマハ発動機は、このリサイクルシステムに参加し、お客さまが廃棄・リサイクルを希望されるFRP船につきまして、責任を持って適正処理・リサイクルを実施します。

FRPプール「リニューアル」
ヤマハ発動機は、FRP素材の特徴を生かし、地球環境と共存するプール技術を開発することで循環型社会の実現に貢献していきます。ヤマハリニューアル工法は、既存のコンクリートプールの構造体を最大限活用できるため、解体時に発生する振動ドリルの破砕音や、大型重機の運転音などを最小限に抑えることができます。また、既存のコンクリートプールを解体すると約350トンの廃棄物が発生しますが、一部を撤去するだけでよいため廃棄物の量を約85%削減でき、一般的な改築や改修に比べて環境負荷を大きく低減することができます。
FRPプール「リデュース」
循環型社会では、廃棄物の抑制が最重要課題です。耐食性・耐震性に優れたFRPプールはきわめて長寿命で、定期的にメンテナンスを加えることで長期間の使用が可能です。1978年に納入されたスクールシリーズの初号機が40年以上たった現在でも安全に使用され続けています。


FRPプール「リユース」
ヤマハFRPリユース工法は、独自のユニット構造によりプールを解体移設して再利用することが可能です。

FRPプール「リサイクル」
FRPの再利用は、溶融化による再資源化、熱回収(発電)などさまざまな方法がありましたが、さらにポルトランドセメントの生成とその熱エネルギー源として、マテリアル・サーマル両面のリサイクル方法が加わりました。FRPはこれらの方法により100%に近いリサイクルが可能です。

製造段階における廃棄物削減と資源保護の取り組み

ヤマハ発動機の2021年度の排出物総量※1は22千トンとなりました。金属、プラスチック、鋳物砂などは分別し、再び原材料として活用するマテリアルリサイクル処理を実施しています。また、油や一部のプラスチックは助燃剤としてサーマルリサイクル処理を実施しており、燃焼後の残渣についてもセメントや路盤材原料として活用することで直接および間接埋立量「0トン」を継続して達成しています(リサイクル率100%)。
2016年度よりヤマハ発動機グループの廃棄物量の把握を開始しました。国内外グループ会社においても、分別の徹底、梱包資材のリターナブル化、切削液やオイルの長寿命化といった廃棄物量の削減に取り組んでいます。ヤマハ発動機グループの2021年度の廃棄物量は50千トン(グローバル環境連結対象134社)第三者保証となりました。
※1排出物総量:外部に排出する物の総量(産業廃棄物、特別管理⽣産廃棄物、有価物を含む)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|---|
277 | 229 | 288 | 122 | 178 |
※2 特別管理産業廃棄物:産業廃棄物のうち爆発性、毒性、感染症など、人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれのある性状を有するもの
グループ水使用量の推移

ヤマハ発動機グループは、水資源使用量の削減に努めています。2050年目標を生産活動における水使用量の低減と定め、グローバルな水使用量の把握の継続に努め、工場での冷却水循環化や回収水(雨水など)の利用をはじめ、RO膜を利用した水の再利用、ポスターによる社員への節水の呼び掛け、水道の蛇口への節水コマの設置など、グループ全体で水使用量の削減に取り組んでいます。
ヤマハ発動機単体では、2021年の取水量は1,169千m3、排水量は1,198千m3第三者保証でした。
集計範囲:グローバル環境連結対象134社
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
地下水 | 2,221 | 1,501 | 1,723 | 1,472 | 1,615 |
工業用水 | 1,487 | 1,448 | 934 | 731 | 859 |
上水道 | 575 | 946 | 1,251 | 1,002 | 1,226 |
その他淡水 | 167 | 258 | 375 | 380 | 328 |
取水量合計 | 4,450 | 4,153 | 4,283 | 3,585 | 4,028第三者保証 |
注記:内訳には按分による推計が一部含まれます。