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技報【バックナンバー】

ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW
技報No.38 表紙

ヤマハ発動機 技報 No.38(2004年9月)

特集:コンポーネント技術

特集

高付加価値化、差別化をどこに求めるか PDF

戸上 常司

21世紀に入り、どの産業界でも勝ち組みと負け組みの区別がはっきりと見えるようになりました。同じようなビジネスをやっていても、一方は過去最高の収益で他方は赤字で存続さえも危うくなるという状況です。どこでそんな差が生じるのでしょうか。一方が汗水垂らして一生懸命やっていて、他方がサボっていたわけではなく、お客様にとっての魅力(価値)が有ったか無かったかということだと思います。 “ものづくり”も、本質は魅力づくり(価値づくり)です。どれだけお客様に認めてもらえる価値を素材に付けられるか、ということが勝負になります。全く新しいコンセプトの商品で特許で保護されるのであれば、どのプロセスでどんな付加価値を付けるかなどと考える必要はありません。とにかく早く作って希望の価格で市場を支配することが大事です。しかし、そんな商品はめったにありません。新しい商品でも、出した途端に他社が追いかけてきて、しかも、後から追いかける商品の方が強いことが多いのです。
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技報No.38 特集2 説明画像

パフォーマンスダンパーの開発 PDF

沢井 誠二/坂井 浩二/近藤 勝広/佐藤 正浩

自動車の操縦安定性及び乗り心地の開発においては、サスペンション性能はもちろんのこと車体性能の重要性が広く知られている。車体性能を表す一因子である車体剛性の最適化は、自動車メーカー各社が大きな努力を払っているところである。そのような中、車体剛性の最適化のみならず、適切な減衰要素を部分的に付加することにより、車体性能を大幅に向上させることを狙いとしてパフォーマンスダンパーの開発をスタートさせた。パフォーマンスダンパーは2000年秋にその基本概念が実走確認され、実用的な進化と性能向上を急ピッチで進めたのち、トヨタクラウンアスリートVX(2001年、限定300台)に世界初の技術として搭載された。そして2004年4月には、日、欧、北米向けトヨタカローラのスポーツグレード車に量産車として世界初採用された。パフォーマンスダンパーは構造がシンプルでかつ取り付けやすい上、操縦安定性と乗り心地がともに向上するのみでなく、振動騒音も低減することができる。それらの効果はとても分かりやすく、テストドライバーによる限界走行でなくとも、誰もが通常の走行状態において体感することができる。多数の国内外自動車メーカーからの評価も高く、自動車の新しい構成要素としての将来性が期待されている。ここではパフォーマンスダンパーの発想の起源に始まり、現在の構造に至った経緯と今後の展開について紹介する。
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技報No.38 特集3 説明画像

電磁誘導ゴルフカーの自動入出庫 PDF

雄谷 誠祐/内山 敦/松下 俊明

電磁誘導ゴルフカー(GC)は限定用途ながら、人の自動運送を具現化しているヤマハ発動機株式会社唯一の乗用ロボット車である。車両の操縦要素をバイ・ワイヤー化することにより、プレイヤーを安全快適に運送している。この車両の自動化機能を活かし、ゴルフ場の省力化に貢献している機能に「自動入出庫」がある。これは、使用後のGCをカート庫と呼ばれる車庫に無人で整列収納し、また逆に始業時、必要車両をカート庫からクラブハウス前まで順次送り出すGCの運用システムである。本報では、自動入出庫を実現する車両側、路面および車庫の自動化要素について紹介する。
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技報No.38 特集4 説明画像

ねじ締結と摩擦係数 PDF

米谷 俊一

ねじ締結は、主として部品と部品の結合のために用いられる。他の方法(接着、溶接、ろう付け、圧入)と比べて、ねじ締結の特徴は結合部内部に弾性エネルギーを蓄えることにある。ボルトには引張力が、被締結物には圧縮力が働き、これにより外部からの力や内部圧力に対して疲労破壊やゆるみが起こりにくくなる。締付け作業は、ジョイントに力学エネルギーを注入する行為であり、そのエネルギーはジョイントの挙動や寿命に大きな影響を与える。本稿では、ねじ締結における摩擦の重要性を解説し、摩擦計測装置とその計測例を紹介する。
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技報No.38 特集5 説明画像

スーパースポーツモデルのエンジン制御システム PDF

大迫 正岐/高柳 智一/橋本 茂喜

スーパースポーツというカテゴリーが注目されるようになったのは、YZF-R1がデビューしたころからだろう。その名の通り最もスポーツ性の高いバイクとしてお客様の期待も常に最高レベルとなっている。そのような状況でエンジン制御システムに求められるものとは、排気ガス規制への対応など環境性能とドライバビリティーを高次元でバランスさせることであると考えている。スーパースポーツモデルはそのことが最も難しいカテゴリーと言える。ここでは2004年モデルYZF-R1のエンジン制御システムを解説し、我々の取り組みを紹介したい。
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製品紹介
技報No.38 製品紹介1 説明画像

2004年 スーパースポーツバイク YZF-R1 PDF

小池 美和/安平 明彦/西田 豊士/藤原 英樹/荻野 光弘/鶴谷 知弘

初代(1998年モデル)のYZF-R1は、1997年9月のイタリアミラノショーにて、“スーパーコーナリングマシン”としてデビューした。排気量600cm3並の軽量コンパクトな車体と1,000cm3のパワーとトルクを高次元でバランスすることで、ツイスティーロードでも操る楽しさを提供、また斬新なスタイルと相まって、ライダーに最高のエキサイトメントを提供するモデルとして市場で絶大な評価を獲得した。リッタークラスのスーパースポーツモデルの新基準となった。市場ではRシリーズ=高性能モデルとして評価され、ヤマハ発動機株式会社ブランドイメージの向上にも貢献してきた。その後各社からも競合モデルが投入されスーパースポーツ市場が活性化。レースでは、GP500がMoto GPへ、WSB(World Super Bikes)への4気筒1000cm3が出場可能になるなど、注目度が上がり現在も市場規模としては堅調に推移している。そうした市場背景の中、Rシリーズの頂点モデルとして、2代目(2000年モデル)、3代目(2002年モデル)と熟成進化してきたYZF-R1ではあるが、お客様からもっとエキサイトメントを、もっとパフォーマンスをとの期待に応えるべく、新『YZF-R1』2004年モデルを開発した。
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技報No.38 製品紹介2 説明画像

モジュール型高速マウンター YG200 PDF

野末 智之

携帯電話、パーソナルコンピュータ等の電子機器内部のプリント回路基板には、数十から数百種類もの電子部品が使われている。大きさで言えば、0.4mm×0.2mmのチップ抵抗から100mmを超えるコネクタ部品まで、さまざまな形状、大きさの部品が存在する。電子部品実装機は、プリント回路基板上にこれらの電子部品を自動的に実装する装置であり、実装する電子部品の大きさ、実装するスピードによって高速実装機と多機能実装機に大別される。高速実装機は、□15mm程度以下の電子部品を1点あたり0.10~0.12秒のスピードで実装する高い生産性の求められる装置である。加えて昨今のモバイル機器等の小型化により高密度実装=高精度実装が求められている。一方、多機能実装機は、□15mm以上の大きな電子部品、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)といったIC(Integrated Circuit)部品や、コネクタ、スイッチ、カバー等の異型部品を実装、組み立てする装置で、高い部品対応力と実装精度が要求される。セットメーカーは、これら高速実装機と多機能実装機を、各種生産形態に応じて各々組み合わせてライン化し、プリント回路基板の組み立てに対応している。ヤマハ発動機(株)では、高速実装機としての更なる市場要求にこたえるため、従来のモジュールコンセプトを継承し、全幅を2m以下に押え、中型機と並べても違和感の無い、そして高いアウトプットを出せるモジュール型高速マウンターYG200を新たに開発したので、ここに紹介する。
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技報No.38 製品紹介3 説明画像

ヤンマー舶用システム(株)との共同開発 フィッシングボート UF-27 I/B PDF

半田 清隆

国内の景気低迷によりボート全般の需要が落ち込む中で、27フィート(8.2m)インボードフィッシングプレジャーボートUF-27I/Bの価格帯である750~1,000万円の需要は比較的安定している。毎年100隻強の販売実績があり、その中で、ヤマハ発動機株式会社(以下、当社)のシェアは約60%である。しかし、近年、フィッシングボートにおいては、スターンドライブ艇から、インボード艇へのシフト傾向が顕著であり、この高いシェアを維持するためには、この価格帯へのインボード艇の投入が必要になった。一方事業面で見ると、大きなボリュームを持たないゾーンであるため、新規開発に対する採算性に問題を抱えていた。そこで、同価格帯に同様の理由で新商品を投入したいという意向を持つヤンマー舶用システム株式会社と共同開発を行うことにした。お互いに共通型・部品をベースとして、できる限り区別化した商品を投入することで市場を活性化し、また、当社においては20%の開発投資を削減することが可能となった。
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技報No.38 製品紹介4 説明画像

リニア単軸ロボット PHASERシリーズ PDF

海江田 隆/長森 基樹/加茂川 良

単軸ロボットは手軽な位置決め装置として、工場の自動化設備に広く使用されている。この商品は成熟期にあり、ここしばらくは機構、性能とも各社横並びの状態が続いている。ヤマハ発動機株式会社IM(Intelligent Machinery)カンパニーでは、そのような状況を打破し、お客様に新しい価値観を提案する切り札として、駆動源にリニアモーターを用いた単軸ロボットPHASERシリーズを発売した。リニアモーターはボールネジなどを使った従来の機構に比べて、最高速度や精度など様々な面でアドバンテージがあることが知られていたが、コストが倍近い点、また大きく、重い点などから一般的なFA(Factory Automation)分野では普及していないのが現状である。PHASERでは主要部品、特に位置検出器(リニアスケール)を内製化したことで従来機構なみの価格を実現することができた。また業界に先駆けてシャフトタイプのリニアモーターを採用したことで、従来のリニアモーターに比べて大幅に軽量コンパクトとなった。高性能、長期メンテナンスフリー、低い動作騒音、ダブルキャリアなど様々な優位点を持ちながら、従来商品なみの価格を実現したPHASERシリーズは2003年11月の発売以来、市場では好評を持って迎えられている。
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技報No.38 製品紹介5 説明画像

ワイワイプール PDF

前田 文雅/増田 尚士

ヤマハ発動機株式会社ではボート製造で培ったFRP(Fiber Reinforced Plastics)成形技術を活かし、1974年よりオールFRPプールを製造・販売している。学校やスポーツクラブ向けのスクールシリーズをはじめ、レジャー用ウォータースライダーや流水プール、そして幼稚園や保育園で好評の小型プールまで、これまでの納入実績は25,000基を超える。この数多くの実績と経験を活かし、機能性と信頼性そして使いやすさを追究して開発した幼稚園向け「ワイワイプール」の紹介をする。
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技報No.38 製品紹介6 説明画像

ヤマハディスペンサー YGD PDF

福田 貴文

近年のディスペンサーに対する市場要求としては、(1)連結される複数のマウンターに対応できる高速塗布性能、(2)部品サイズの小型化に対応できる塗布精度、(3)設備外形寸法の小型化、(4)扱いやすさ、(5)安全性、(6)低価格などがある。今回は、上記の市場要求に対して、既存機種のYV64Dの後継機種としてYGDを開発したので紹介する。
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技報No.38 製品紹介7 説明画像

表面実装機サポートソフトウェア 「ITオプション」 PDF

山積 宏二

携帯電話やパソコン、家電製品など電子・電気機器に使用されるプリント基板に電子部品を搭載する表面実装機のメーカーであるヤマハ発動機株式会社(以下、当社)は、従来よりマウンター本体の「搭載の高速・高精度・高信頼性」に重点を置いて開発に取り組んできた。近年、電子部品実装業界では「製品の多品種化・ライフサイクル短期化」や「生産拠点のグローバル化」が進んでおり、実装設備ラインをいかに効率よく稼働させ、高い品質を維持させるか、という高度でかつ大きな課題を抱えている。これらの課題は設備メーカーである当社にとっての課題でもある。当社では設備単体の性能追求だけでなく、実装ラインとしての実生産を支援すべく、「稼働率の向上」と「品質管理の充実」をトータルで実現・提供する生産支援ソフトウェア(「ITオプション」と称するオプション機能群)を開発し、2004年4月より販売を開始した。
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技報No.38 製品紹介8 説明画像

電動ハイブリッド自転車 「New PASリチウム」の開発 PDF

中山 浩典/赤坂 雅之/村田 和弘/明田 久稔/高橋 秀明

2003年に発売されたNew PASシリーズは、軽さと使い勝手の良さで、多くのユーザーから高い評価を得た。小型ニッケル水素電池を搭載することで従来モデルに比べ軽量化が図られており、アシスト性能・走行距離・価格の観点で、電動ハイブリッド自転車としてのバランスに優れた商品である。その上位機種として、「走行性能の追求」をコンセプトに、軽量を維持しながら走行性能を高めた商品を企画・開発した。2003年New PASのスタンダードタイプをベースに、高容量・高出力のリチウムイオン電池を搭載し、更なる走行性能の進化と使いやすさを実現した、「New PASリチウム」の概要と開発内容を紹介する。
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技報No.38 製品紹介9 説明画像

新構造FOAMAPを採用した フィッシングボート「BaySports16」 PDF

福山 美洋/宮下 祐司/望月 保志/香山 晃/末森 勝

一時の爆発的なブームは落ち着きつつあるものの、バスフィッシングにみられるボートを使用したファッショナブルな釣りのスタイルは、ここ数年で若年層の間に定着してきた。また、最近ではシーバスをはじめとする海でのスポーツフィッシングも注目され始めている。こうした背景の中、ヤマハ発動機株式会社は、若者に受け入れられるスタイリッシュなデザインとフィッシングボートとしての機能性を高いレベルで両立させ、また、豊富なオプションを用意することによって、好みに合わせてカスタマイズできるフィッシングボート「BaySports16」を開発した。「BaySports16」は浮力や剛性の面で優れた一体成形三重構造「FOAMAP(Foam Manufacturing Process)」を商品として初めて採用した結果、安心感と快適性を大幅に向上することができた。
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技報No.38 製品紹介10 説明画像

スノーモービル RSVectorシリーズ PDF

中野 太久二/甲斐 学/窪田 隆彦

現在、スノーモービル(以下、SMB)の全世界の総需要は、約20万台である。その中で、最高出力が73.5~95.5kWのミドルクラスは、約9万台の最も大きなボリュームゾーンである。RSVectorシリーズは、このミドルクラスにおいて、「4ストロークエンジンSMBはYAMAHA」といわれる地位を確立する使命を負った。昨今、競合各社から、2006年より施行されるEPA(Environmental Protection Agency)の排ガス規制をクリアした商品(4ストロークエンジン+ターボチャージャー搭載モデル、2ストロークエンジン+ダイレクトインジェクション搭載モデル)が発表された。SMBに求められる軽量、高出力に加え、環境に配慮したエンジンが市場に導入され、環境対応を踏まえた新しい土俵での商品競争になっている。
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技報No.38 製品紹介11 説明画像

スポーツバイク tricker XG250 PDF

近藤 充/都澤 大樹/中山 邦彦/村上 仁

国内における軽二輪(126~250cm3)クラスの新車販売実績は、1990年には16万台あったものが、1990年代半ばには10万台を割り込み、1999年には6万台にまで落ち込んだ。2002年以降はスポーツモデルとビックスクーターの人気により9万台まで回復し復調傾向を持続している。この低迷する日本市場において新規需要を掘り起こし、復調傾向をより確実なものとすべく新規開発されたモデルがtricker XG250(以下、トリッカー)である。トリッカーは、バイクの本質的な魅力である「バイクを操る楽しさ」を訴求する新ジャンルのスポーツモデルとして、「フリーライドプレイバイク」をキーワードに、「遊べる」軽快な操縦安定性と高い運動性能を徹底追求した。その結果、自転車感覚で乗れる小型・軽量な車体と、低速から高速までストレスなく回るエンジンとのベストバランスを実現した。加えて、他モデルには無い特徴あるスタイリング、買い易い価格設定等、商品としての魅力の高次元での調和を目標に開発した。
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技報No.38 製品紹介12 説明画像

スポーツATV Raptor350& ユーティリティーATV Grizzly125 PDF

松浦 達也/鈴木 康弘/井上 真一

1986年に発売されたYFM350X Warriorは、スポーツATV(All Terrain Vehicle)の世界において扱いやすさやコストパフォーマンスの高さで初心者からベテランまで幅広いカスタマーに親しまれてきたモデルである。しかし近年競合他社からのニューモデル登場により販売面で陰りが見られ始めた。そこでWarriorの持ち味はそのままに、人気の高い上級スポーツモデル660 RRaptor譲りのアグレッシブなスタイリングへの変更や各部のリニューアルにより再生を図ったのが、YFM350 Raptor350である。1988年に発売されたYFA1 BREEZEは、初心者・女性に扱いやすい小排気量・オートマチックのエントリーモデルとして好評を博し、以来16年の長きに渡り堅調な販売台数を維持してきた。ところが近年このクラスにおいては海外メーカーによるBREEZEの安価なコピーモデルの販売台数が急伸長しており、これらのモデルに対抗できる新たな魅力の付加が急務となっていた。そこでBREEZEを人気モデルGrizzly660のデザインにリレーションを持たせたスタイリングに一新。今ある資源(モデル)を有効利用し、更に新しいデザインプロセスを活用することで、低コストかつ短期間の内に魅力的な商品に再生したモデルがYFM125A Grizzly125である。双方のモデルに共通して言えることは、市場において長きに渡りカスタマーに支持されてきたモデルの車体・エンジンをベースに、その基本構成を大きく変えることなく、最小限の開発投資による「商品再生」を狙ったことにある。
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技報No.38 製品紹介13 説明画像

サロンクルーザー LUXAIR(ラクシア) PDF

福山 美洋/門田 律

国内マリン市場は景気の影響を受けやすく、長らく低迷している。特に、クルージングなど釣り以外を主目的とするサロンクルーザーの市場については、輸入艇や中古艇は比較的堅調に推移しているものの、国内新艇については、新商品の投入がなく復調の兆しが見えなかった。そこで、ユーザーの嗜好に対応した新コンセプトのサロンクルーザーを開発することにした。
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技術紹介
技報No.38 技術紹介1 説明画像

2004年型YZF-R1用エンジンの開発 PDF

藤原 英樹

セカンダリーロードでの最速をキーワードにリッターバイクでありながらミドルクラス並みのハンドリングとそれ以下の車重を目標に開発されたスーパースポーツモデル、初代YZF-R1(1998年モデル)は、1997年9月に衝撃的にデビューした。2004年型YZF-R1(以下2004年モデル)は初代から数えて4代目であり、初のフルモデルチェンジを受けた。従来のYZF-R1のコンセプトは継承しつつ2004年モデルの目標には以下の項目を設定した。(1)クラス最高のエンジンパフォーマンスと優れたパワーウェイトレシオの達成(2)正確で応答性がよく、切り返しがはやいハンドリングの達成(3)スロットル開度に対し、正確にパワーが取り出せること(4)リッターバイクとは思えないコンパクトでホールドしやすいポジションの実現(5)YZF-R1イメージ+新規性のある外観(6)サーキットユースでも有効なフレーム・エンジンレイアウト。以下、2004年モデルのエンジンの仕様概要、開発項目と目標に対する具体的な達成手段について紹介する。
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技報No.38 技術紹介2 説明画像

Unmanned VehicleとしてのUMV(自律無人艇) PDF

柳原 序/神谷 剛志/増田 裕

現在、色々な国で無人ビークルの研究や開発が行われている。とくにアメリカを中心にAUVSI(Association for Unmanned Vehicle Systems International)が設立され、毎年展示会が開かれている。ヤマハ発動機株式会社(以下、当社)は、事業化の可能性を調べるため、航空、陸上、海上での無人ビークル(UAV、UGV、UMV)の応用研究を始めた。無人ビークルが単独で役に立つのは当たり前だが、当社が考えているのは、空、陸、海の無人ビークルが連携をとりながらひとつの任務を果たすような統合的なシステムである。2004年2月、東京国際ボートショーにおいて、このような経緯で開発した高速型のUMVの実験艇を初めて公開した。このUMVは、当社の自律無人ヘリコプターで培った技術、すなわち、姿勢制御、無線通信、GPS利用技術等を高速艇に応用したものである。以下、UMVの概要を紹介する。
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技報No.38 技術紹介3 説明画像

LUXAIR商品企画における商品コンセプト創出技法 PDF

田井 弘充

商品企画において品質機能展開(以下QFD)を適用するケースが多い。しかしQFD手法により顧客の要求品質を整理したが、競合品と差別化できる要求を発見できない、あるいは要求の重点化がうまくできない、といった課題があった。その背景には、QFD実施以前のコンセプトの明確化や、ターゲットの絞込みに弱みがあることが分かった。そこで今回、QFDの上流に商品コンセプトを設定するステップを加え、開発モデル(本技報製品紹介にあるサロンクルーザーLUXAIR)に適用した。その方法について事例を通して紹介する。
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技術論文
技報No.38 技術論文1 説明画像

過共晶Al-Si合金製オールアルミシリンダーの開発 PDF

栗田 洋敬/山縣 裕

エンジンシリンダーは軽量、高強度で、よく冷えることが必要である。アルミ化はこれらの要求に応えることができる有効な手段である。このため近年種々のアルミシリンダーが開発されている。代表的なものとしては、Niめっきシリンダー1)、MMC(Metal Matrix Composite)スリーブ鋳ぐるみシリンダー2)、アルミパウダーメタル(PM)スリーブ鋳ぐるみシリンダー3)、Fe溶射シリンダー4)等が挙げられる。オールアルミシリンダーとしてはAl-17%Si合金(以下A390合金)を使用したものが実用化されている。この合金はもともとレイノルズメタル社により開発され5)、1971年にシボレーベガに最初に採用された6)。その後、主として大排気量の乗用車用シリンダーとして広く使用されている。A390合金製シリンダーは低圧(以下LP)鋳造により製造され7)、強度を出すためT5処理(高温加工から急冷後、人工時効硬化処理したもの)またはT6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理したもの)を施して使用される。LP鋳造は優れた鋳造品質を得ることができる一方で、サイクルタイムが長くなる欠点がある。バイクのシリンダーには、ダイキャストのように薄肉成形が可能で短いサイクルタイムで製造できるプロセスが必要である。しかしながら従来のダイキャストプロセスでは鋳物中のガス量が多く、ブリスターと呼ばれる膨れが生じるため、T6処理を施すことは困難であった。本研究で我々は真空ダイキャスト技術を使い、T6処理可能なオールアルミダイキャストシリンダー「DiASil(Die casting Aluminum-Silicon)シリンダー」を開発、実用化した。本シリンダーはAl-20%Si合金を使用した、めっきレス、スリーブレスのオールアルミシリンダーである。開発評価においてはシリンダーボア温度、オイル消費量、耐久性等を評価、また耐久試験後のシリンダーボア表面観察およびEHL(Elastohydrodynamic Lubrication/弾性流体潤滑)シミュレーションにより摺動特性を評価した。
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技報No.38 技術論文2 説明画像

遺伝的アルゴリズムを用いた二輪車操縦モデルの開発 PDF

藤井 茂/Sergey A. Panfilov/Sergey V. Ulyanov

二輪車の走行をシミュレーションするためには車体モデルと共にライダーの操縦動作をモデル化する必要がある。本研究はライダーの操縦動作の代わりに車体を安定に目標コースに追従させる二輪車操縦モデルを遺伝的アルゴリズムを用いて開発したものである。シミュレーションで用いた車体モデルはSimMechanicsというMATLABの機構解析用オプションツールにて作成した。このモデルはスクーターを対象にモデル化したものであり、7つの剛体からなり、12自由度を持つ。操縦モデルは前方注視点にてコース上に到達するために適当な車体ロール角度を目標ロール角として、車体ロール角を目標ロール角に一致させるように制御する形式を用いた。また、この制御におけるゲインパラメーターは遺伝的アルゴリズムを用いつつ、定速度、定ロール角シミュレーションを行うことによって最適化した。この制御モデルを用いて行った走行シミュレーションは1~15m/sの速度範囲で、任意のコースを安定に走行することができた。また、実車走行の結果とシミュレーションの結果はよく一致した。
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