中期経営計画(2022~24年)で戦略事業領域として位置づける新規事業には、低速自動走行や農業関連など、当社がマテリアリティとして掲げる「交通・産業」「環境・資源」等の課題が含まれる。こうした分野の事業化を目指すパートナーとして、各領域において専門性の高いスタートアップ企業などとのグローバルな協業・共創が進められた。また、これらに関わる基盤技術も大きな進展を見せ、さまざまな社会課題の解決に向けての取り組みが加速した。

農業分野では、イチゴの自動収穫ロボットを手掛ける企業など、アメリカやオーストラリアのスタートアップに出資を行ったほか、国内では10社・団体によるコンソーシアムで高スペックドローンの開発を実現した。
「果樹園作業支援自動走行車」も、労働力の減少や高齢化といった喫緊の課題に対する提案の一つ。高齢者が扱いやすい自動化ソリューションの開発を進めている。

ポリプロピレンの製造現場で資材を搬送する「eve auto」

工場の敷地内などで活躍する自動搬送ソリューション・サービスを提供するため、自動運転のノウハウを持つティアフォー社との合弁により、(株)eve autonomyを設立したのは2020年。当社の車体開発技術と掛け合わせることで扱いやすい自動搬送ソリューションを開発した。工場建屋内も走れるコンパクトな設計ながら、高い牽引・積載力もつ車両「eve auto」を開発し、当社工場で試用を繰り返しながら実用化を目指した。

こうしたプロセスを経て、翌2021年からサービスの先行受注を開始。自動化を拒む初期投資のハードルを下げるため、サブスクリプション型の契約を採用し、運行管理システムやアフターサポートもワンストップでできる体制とした。2022年には、試験導入を含めて複数の工場で稼働が開始され、搬送工程の自動化に貢献している。

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