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レース結果・ニュース

ヤマハ発動機は新たな「レース」の場で、新たなチャレンジに取組みます。舞台は電気自動車のF1とも称される「フォーミュラE」

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2025年7月27日

シーズン11 第16戦 ロンドン(イギリス)
エクセル・ロンドン・サーキット

タイムスケジュール(現地時間)

7/27(日)

10:00 - 11:10 フリープラクティス3
12:20 - 13:43 予選
17:05 - 18:00 決勝レース※ピットブーストなし

ヤマハ発動機からチームに帯同している
エンジニアのNorickです。
フォーミュラEの現地レポートをお届けします。

フリープラクティス

前日のトラクション不足、マシンの挙動が極めてスナッピー(コーナーリング中、突然、後輪のグリップが下がってスライドする等、マシンの挙動が不安定な状況)でコントロールが難しい状況に対し、昨晩は深夜まで改善に取組んだが、なかなか良い手が見いだせない。

7/27(日)、フリープラクティス3。天候は晴れ、気温19℃。
#11ルーカス・ディ・グラッシは3周のウォームアップの後、プッシュを開始。最初のうちは好調であったが、タイヤが温まると徐々にブレーキング時のジャダー(激しい振動)が増え、トラクションもかからない状況に。いくつかのセッティングの中から、タイヤの空気圧設定に打開策を見出す。#13アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(タグ・ホイヤー ポルシェ)と接触。
#22ゼイン・マロニーのマシンは、前日から続く過剰なオーバーステアが改善できない。ブレーキング時のジャダーやバランスの悪さに苦しむ。



予選

気温は20℃、ドライコンディション。雨雲の接近が確認され、ウェットになるか微妙なところであったが、セッション中はドライ。

ゼインはグループA、ルーカスはグループBでの予選。マシンのセッティングが決まらず、ともに10番手。ルーカスはフリープラクティスでの接触がグリッド降格ペナルティとなってしまい、結果21番グリッドからのスタート。ゼインは18番グリッドからのスタートとなった。






決勝レース

34周・ピットブースト※なし
気温22℃・ドライコンディション

※ピットブースト
34秒間のピットストップと10%分の急速充電。これをレース中に一度、行わなければならない。バッテリー残量が60~40%の時に実行することができる。

両ドライバーとも後方スタートのため、戦略を分ける。ルーカスは序盤にエネルギーをセーブし、終盤の余力を残す。アタックモードは4分・4分。ゼインは序盤にポジションアップを図る。アタックモードは6分・2分で、タイミングはドライバー判断。

#11ルーカス・ディ・グラッシ
1周目。#48エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)がスロースタートし、次周リタイア。他ドライバーはクリアな滑り出し。ルーカスは序盤、エネルギーをセーブ。18番手走行中の9周目、#17ノーマン・ナト(日産)と#5テイラー・バーナード(NEOMマクラーレン)がクラッシュし、セイフティカーが入る。2つポジションをあげ、16番手。16周目、#23オリバー・ローランド(日産)と#51ニコ・ミューラー(アンドレッティ)がクラッシュし、セイフティカーが入る。2つポジションをあげ、14番手。セイフティカーが解除になった20周目、1回目のアタックモード(4分)を使用。12番手を走行中の25周目。コーナーで#33ダン・ティクタム(クプラ・キロ)の後輪とルーカスのフロントウィングが接触し、フロントウィングが脱落。走行に支障はなかったため、そのまま走行。32周目、総周回数が2周追加で全36周となることが告知される。同周、2回目のアタックモード(4分)を使用。35周目に10番手までポジションアップし、そのままチェッカーフラッグを受ける。#33ダン・ティクタム(クプラ・キロ)にペナルティがあったため、9位でフィニッシュとなり、ポイントを獲得した。


#22ゼイン・マロニー
17番手走行中の9周目、1回目のアタックモード(6分)を使うが、直後に#17ノーマン・ナト(日産)と#5テイラー・バーナード(NEOMマクラーレン)がクラッシュし、セイフティカーが入ってしまい、350kW・四駆の6分の多くが無駄に過ぎてしまう。セイフティカーの解除後、懸命にプッシュ。15周目までに14番手までポジションアップ。16周目の#23オリバー・ローランド(日産)と#51ニコ・ミューラー(アンドレッティ)のクラッシュで12番手までポジションアップ。21周目、#55ジェイク・ヒューズ(マセラティMSG)と接触し、フロントウィングが大きく破損してしまう。タイヤに巻き込み、ブレーキングに影響が出たため、継続可能かスローダウンして確認。その間にフロントウィングが脱落したことでブレーキングに問題はなくなったが、ポジションを18番手まで落としてしまう。16位でフィニッシュ。

前日と同じく、22台中5台がリタイアという波乱の最終戦となった。






サーキットから

2024年の12月に始まった今シーズンですが、長いようで、あっという間に終わりました。当初はけっこう戦えるのでは?と思っていたところもありましたが、全然全くそんなことはなくて、簡単な世界では無いと改めて思い知らされました。


一方、モータースポーツ関係の方から「(ローラ・ヤマハABTが)最初のシーズンから、こんなに結果を残すとは思っていなかった」という声をけっこういただきまして、この厳しいレースの世界でしっかり戦えたのかも?と少し誇らしい気持ちにもなっています。

当社の役割である「エネルギーマネジメント」については、チームのフォーミュラE経験者に教えを請いつつ、何もない白紙の状態から制御構築を行い、毎戦ごとに改良を行い、精度を上げて、効率を上げて、無駄のないエネルギーマネジメントができるように取り組んできました。ローラやABTのメンバーからアメイジングだ!という誉め言葉もいただけました。次シーズンも頑張らねばという気持ちで一杯です。

ここで、チームに帯同しているヤマハ発動機の若きエンジニアたちのコメントも紹介させてください。

経験豊かなチームのメンバーたちが考えるレースシナリオに対し、われわれは即座にシミュレーター上で制御を作りこまなければなりません。この制御をもとにコースで実車テストを行うのですが、プラクティスの時間は限られていますし、天候などの外部環境も想定通りにはいきません。こういう状況のなかで、制御を極限まで突き詰めていくのはとても大きなチャレンジでした。
(T.Y)

私は入社5年目ですが、チームでは一人前として扱われます。ドライバーやチームの要望には、上司や先輩に相談する間もなく、すぐに反映させねばなりません。大いに鍛えられたと実感しています。毎レース後、ルーカスからチームの各セクションにフィードバックが入ります。私はまだ「EMS(Energy Management System)、パーフェクト!」と言ってもらったことがないので、来シーズンはパーフェクト!と言ってもらえる仕事をしたいです。
(N.K)

本当に多くの方のサポートや応援をいただき、無事にシーズンを終える事ができました。改めまして感謝を申し上げます。今後もエネルギーマネジメントやパワートレインのアップデイトが控えています。今は少し休息させていただき、ハードワークに備えます。

関係の皆さま、本当に一年間お疲れ様でした!
サポートや応援をいただいた皆さま、ありがとうございました!

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