従業員
人材育成、ダイバーシティへの配慮、職場の安全衛生など、従業員に対する取り組みをご紹介します。
グローバルな視野と多様性の尊重
ヤマハ発動機グループは、グローバルな視野に立ち、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを目指しています。そして、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
ヤマハ発動機グループの人的資本経営に関する取り組み
グローバルな事業展開の中、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることができると考えています。
「企業活動の原点は人」という基本認識の下、社員同士が協調し、互いの異なる視点や価値観を取り入れることは不可欠であり、各人のスキルを高め、多くの技術領域におけるスペシャリストを確保し、培った知見を先進国・新興国問わず活用していく。こういった取り組みの延長線上に、長期ビジョン「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」の実現があると当社は考えています。
当社は、事業の発展と個人の成長のために目標管理制度を導入しています。それぞれの社員は年初に今後1年間の目標を記述して明確化し、上司とのすり合わせを経て確定させます。業務遂行の中では必要に応じて上司と相談や確認を行い、期の中間で面接の機会を設けて目標の進捗を確認します。年度末の評価では、管理職層はチームの育成・開発や志気の向上・動機付けといった行動が、一般職層は組織への貢献行動がそれぞれ評価される仕組みになっており、組織力向上や組織貢献といった組織に対する業績も加味されています。 また、一部のマネジャー層に対しては180度評価を実施し、幅広い層からの評価による本人の気づきの機会を提供しています。
また、従業員の就業環境の改善や心理的安全性の確保、ハラスメント防止に関しても全社を挙げて取り組んでおり、具体的な目標数値を定めてエンゲージメントの向上を目指しています。
ガバナンス体制に関して、当社では、これまでGEC (Global Executive Committee)、人材開発委員会、GET-HR (Global Execution Transformation – Human Resources)を運営する中で積極的に人財戦略に関する議論を行ってきましたが、2024年より人的資本経営のさらなるガバナンス強化と戦略の最適化の一環として、社長執行役員を委員長とする人的資本経営委員会を設置し、役付執行役員、海外拠点長を参加者とする会議体においてグローバル規模での人的資本への投資戦略、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの促進に関する議論を積極的に行っています。また、ヤマハ発動機グループの経営幹部候補の人財育成計画、配置および育成状況についての審議を行うことを目的に、タレントマネジメント委員会を設立しました。これらを通じ、従業員のキャリアに対する自主性ならびに将来のキャリアパスの透明性を向上させていきます。
多様性を認めた一人ひとりが働きやすい環境づくり
当社は、社員エンゲージメントを重要な指標とし、2022年~2024年の中期経営計画においてグローバル共通のエンゲージメント指標の導入を進めています。2022年からはYamaha Motor Global Awardを導入し、翌23年には、社員も投票に参加することができる「社員投票最優秀賞」を新設しました。23年度は国内・海外事業部門とグループ会社から上がった30エントリーからヤマハらしさを体現する5つの優れたプロジェクトを表彰しています。このような成功を祝う活動を通じて社員エンゲージメントの向上を図り、Yamaha Day(当社の創立記念日にあたる7月1日とヤマハ株式会社の設立記念日にあたる10月12日をYamaha Dayと定め、本社および国内外グループ各社にて自律的なイベントを開催)と合わせて授賞式を行っていきます。また、エンゲージメントを高める取り組みとして、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンと人財育成に力を入れていきます。
ヤマハ発動機グループの企業目的である「感動創造企業」を実現するためには、さまざまなバックグラウンドで活躍する人々がお互いを認め合い、成長していくことでその価値を最大限発揮することが重要です。また、持続的な成長を実現しお客さまの期待を超える新しい価値を生み出し続けるためにも、多様な視点や価値観を持った人財の育成、活躍が不可欠であると考えています。
多様な人財が集まり、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造につなげていける組織風土を醸成するために、2023年9月に「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、職場内および子会社への周知を行っています。当方針の中で「ダイバーシティを通じて感動を創造する」ことをステートメントの中心に置き、「RESPECT.」(リスペクト ピリオド)を行動原則としています。「RESPECT.」とは、ヤマハ発動機グループの全員が、同僚、お客さま、サプライヤー、その他のステークホルダーに対して、他者の意見や権利を価値あるものとして認識し、接する責任を持つことを意味します。その上で 「重点領域とヤマハ発動機グループの姿勢」を定め、全ての役職員が年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、国籍、人種、宗教・信条、価値観、経験などに関わらず自分の個性(強み・経験・考え方)を最大限に発揮できる職場を目指しています。
また、女性活躍推進の観点から、女性の管理職比率について目標を設定して取り組み、ヤマハ発動機の女性管理職の人数を中期経営計画において2024年末に56人とする目標を設定しています。その目標に向けて2023年末時点で58人に達しました。ヤマハ発動機グループ全体では、女性管理職の比率を2021年の10.8%から2024年に13%とすることが目標です。この目標へ向けて継続して取り組みを進めていきます。
本社におけるキャリア採用者(中途採用者)の管理職登用比率は、新卒採用者の同比率と同程度となっています。採用形態等の属性によらない人物・能力本位での管理職登用を今後も継続していきます。
人財育成方針
ヤマハ発動機グループでは、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを目指すことを「人事の目指す姿」として設定しています。具体的な項目として以下の3つを掲げ、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
- 性別・年齢・国籍・人種・価値観等にとらわれず、一人ひとりがそれぞれのチャレンジへ果敢に挑める施策を構築し、挑戦する風土を醸成すること
- 個人が自らの手で、生涯にわたり啓発する意欲を持つ役職員に対し、適宜その機会と支援を提供すること
- 「発、悦、信、魅、結」の共有価値を基本とし、「ヤマハらしさ」を開発・育成することで人財における他社との差別化を図ること
そして、目指す姿に向けて次のような人財と共に働きたいと考えています。
- 自己価値向上に努力する自立・自律型の人財
- チームワークを大切にした行動ができる人財
- ヤマハブランドの価値を高められる人財
上記のような職場づくりを実現するためヤマハ発動機グループはさまざまな取り組みを行っています。
グローバル人財の活用
人財のグローバル化については、性別・年齢・国籍および原籍等を問わず優秀な人財の経営幹部への登用を進めています。特に、海外子会社の経営幹部層については、現地人財の積極的な登用を進め、2024年末にその55%を現地化することを目指します。また、本社新卒総合職におけるグローバル採用比率は2023年実績で6%ですが、目標とする10%に向け引き続き取り組みを継続していきます。
また、2020年からグローバル人事異動を促すYAP(Yamaha Assignment Policy)を導入して、国境をまたぐ優秀な人財の活躍を推進しており、経営幹部層のみならずラインマネジャーおよび専門性の高いスペシャリストの海外拠点から本社への異動、もしくは海外拠点同士間の異動を9件積み重ねていて、これからさらに拡大していくことを図っています。
人財育成
階層に応じた研修をはじめ、ハイポテンシャル人財に対する選抜研修、機能面での専門スキルを磨く研修、世界で活躍できる人財を目指す海外トレーニー制度、チーム力を高めて組織としてのパフォーマンスを高めるコーチング研修やダイバーシティ研修などを整備しています。また、自ら学ぶ風土の定着に向けて、自己啓発への支援を拡充し、学びの選択肢を増やすとともにオンデマンド型教育を整備しています。事業運営の安定性向上のための取り組みとして、当社で規定する重要ポジションへの後継者育成計画の導入を行い、適財適所による計画的な人員配置にも取り組んでいます。
人財育成に関しては、成長を望めば誰もが機会を与えられる仕組みの構築を目指し、Yamaha Motor Learning System (YLS)オンライン・オンデマンド型の学習プラットフォームの導入と、自己啓発講座の推進を進めてきました。YLSの利用者数は1万9千人に達し、自己啓発講座の受講者数は2023年末現在で延べ5,039人となりました。また、グローバルな経営人財を育成するための選抜研修プログラムを2015年から実施し、これまで延べ137人が参加しています。
当社はまた、研修を「受講して終わり」としないために一部の研修については効果の検証を行っています。
事例1:理論値生産研修
理論値生産とは、生産活動における作業の中身を分析して本当に価値を生む作業だけを価値作業(理論値)と定義し、それ以外を極力排除していく方法です。現状からの改善ではなく、最初に「理論上の価値作業」を設定し、無駄のない工程をゼロから構築します。2023年は製造部門社員、海外取引先での活動推進者の合計138人がこの研修を受講し、理論値生産によるコストダウンの額は全体で19億円でした。
事例2:選抜研修
海外拠点のハイポテンシャルな人材に対する選抜研修をGlobal Executive Program、Yamaha Business School Global、Regional Development Programとして実施しています。これらの研修には2021年71人、2022年65人、2-23年95人が参加し、海外子会社のコアポジション(本社部長級)に占める現地人材の比率も2021年50.8%、2022年51.6%、2023年55.6%と着実に伸長しています。
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
研修時間 | 5.8時間 | 17.3時間 | 22.9時間 |
研修費用 | 12,000円 | 19,000円 | 39,000円 |
グローバル・選抜(海外留学・海外トレーニー除く) | 163人 |
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チームワーク | 528人 |
自立・高度化 | 7,093人 |
階層別研修 | 1,291人 |
セルフバリューデザイン | 4,891人 |
従業員エンゲージメント
当社は1980年代から毎年社員意識調査を行い、社員満足度や業務意欲の測定、現状の課題抽出などを行ってきました。2020年はこれまでの手法に大幅な変更を加え、エンゲージメント(組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組めている状態)の程度を表す指標の意味合いを強くしました。具体的には、エンゲージメントに関連する4つの質問に焦点を当て、それらを向上させるために結果をリアルタイムにフィードバックし、それぞれの部門が課題解決のための計画立案と対策実施を迅速に行い、人事部門がそれをフォローしています。
ハラスメントの防止
サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まっている中、ヤマハ発動機グループでは従業員に対して、人種・国籍・生活信条・身体・性格・親族等についての誹謗中傷、人格を否定するような言動の禁止、セクシャルハラスメントをはじめとしたすべてのハラスメント行為の禁止を倫理行動規範でうたっています。しかしながら、ハラスメントは誰しも意図せず行為者になりうるものであり、ひとたび重大なハラスメントが発生すると、被害者だけでなく、会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループで展開しているダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の浸透、社員のエンゲージメント向上等の取り組みを通じ、ハラスメントが起きにくい組織風土を醸成し、事案発生時には、再発防止も含め、迅速・適切に対応するとともに、ハラスメントを未然防止するための啓発、教育活動にも継続的に取り組んでいます。
また、2023年には日本国内を対象にこれまでのコンプライアンス案件通報窓口に加え、ハラスメント・労務問題専用の相談窓口を新設し、ハラスメントを受けた、見聞きした、という場合には速やかに相談できるレポートラインを整備しました。もしハラスメントの報告を受けた際には当事者からヒアリングを行い事実確認した上で、懲戒や指導などの適正な対応を行うとともに、再発防止に向けた取り組みを進めています。
障がい者の雇用促進とモチベーション向上
障がい者に対しては、能力と適性に応じて活躍できる場の提供と社会的自立の促進を目指し、「ヤマハモーターMIRAI株式会社」を2015年10月に設立。2016年から本格稼働し、業務分野を広げるとともに会社見学会や体験発表会などのさまざまなイベントも実施し、社員の働きがいやモチベーションの向上を図っています。さらに、掲示板や社内報を通じて活動を紹介することで全社の理解と協力を促進しています。
ヤマハ発動機の障がい者雇用率
仕事と生活の両立支援
私たちは、社員と会社の相互確認を前提としたキャリアプランの設計を支援するとともに、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)を確保した職場づくりを目指しています。
育児休職・介護休職のほか、看護休暇やフレックスタイム制度、短時間勤務制度、配偶者の海外駐在赴任帯同に伴う退職者の再雇用制度など、各自の状況に適した働き方ができるように制度の充実を図っています。とりわけ育児休職については、取得事例や取得しやすい職場環境づくり等を積極的に社内に周知し、男性社員の取得率向上にも取り組んでいます。(2023年の「産後パパ休暇」を含めた男性育休取得率は65.2%)。 施設面でも、より働きやすい環境を子育て世代の社員に提供して「仕事と家庭の両立」を広く支援するため事業所内託児施設「わいわいランド」を運営し、2016年には増床を行って定員を増員しました。
2021年からは、新人事制度「私らしく働く、ヤマハらしく働く。」の下、多様性に対応するために在宅勤務や時差出勤を制度化するとともに、時間単位特別休暇や傷病短時間勤務制度を導入し、いかなるライフステージにおいても活き活きと情熱を持って挑戦し続けることができるよう、働き方の選択肢を増やしています。
長時間労働の削減に向けては心身の健康維持等の観点から、過剰な労働時間を削減することを方針としています。そして労使協議の上、法令よりも厳格な「時間外労働に関する規則」を設定しています。さらに、労働組合と会社の双方が参加する「労働時間に関する労使委員会」を毎月開催し、現状確認を行っています。
また、日本自動車工業会の「人財部会」にも参加し、そこを通じた情報や意見交換等で得た知見を自社の状況チェックや取り組みの推進に役立てています。
有給休暇の取得については、働き方改革関連法の遵守はもとより、労使で設定した取得目標に向け、連続有給休暇取得制度等により取得を促進しています。特に、5連続有給休暇対象者にはメッセージカードを送付するなどして意識付けを行い、実効性を高めています。
2023年度の休暇取得実績は、育児休職:236人(男性:193人(産後パパ休暇含む)、女性:43人)、介護休職:6人、看護休暇:取得日数23日、取得者10人、ライフサポート休暇:取得日数8193.5日、取得者2,494人でした。
制 度 | 内 容 |
---|---|
育児休職 | 子どもの満2歳の誕生日まで休職可能(法令は基本満1歳まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
産後パパ休暇 (産後パパ育休) |
子の出生日以降57日の間で4週間(28日)を限度として取得可 |
介護休職 | 1年以内で本人が申請する期間で休職が可能(法令は対象家族1人につき3回までで通算93日まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
看護休暇 | 小学校3年修了までの子どもを看護するための休暇を、子ども1人の場合は年間5日まで、子ども2人以上の場合は年間10日まで取得可能(時間単位での取得も可能/法令は小学校就学前までの子ども) |
ライフサポート休暇 | 傷病、家族の介護、子の看病、不妊治療を取得事由とする有給の特別休暇を、1日、半日、時間単位で年間6日まで取得可能 |
フレックスタイム制度 | 6:30~22:00の時間帯で労働時間の設定が可能(コアタイムなし) |
勤務の軽減 | 小学校3年修了までの子どもを養育する従業員、または家族を介護する従業員に対しては、時間外労働の制限や深夜業務免除 |
短時間勤務制度 | 育児、介護を理由としたものに加え、がん、脳血管疾患、メンタル疾患等を起因とする傷病休職からの復職者を対象に2時間もしくは1時間の勤務時間短縮が可能 |
在宅勤務制度 | 部門ごとの環境に応じて出社と在宅を使い分けるハイブリッド型勤務が可能。在宅勤務に掛かる通信・光熱費の負担分として在宅勤務手当を支給 |
勤務中の中抜け制度 | 所属長の許可を事前に得た上で自己都合の要件に制限なく5分単位で勤務中の中抜けが可能(フレックスタイム適用職場に限る) |
その他 |
・定時退社デーの設定(製造職場:当社休日の前日、給与日、賞与日) ・ノー残業デーの設定(非製造職場:週1回、年間60日目標に個人で自由設定) ・3日連続の有給休暇取得(30歳以上は5歳ごとに5日連続取得) |
働き方以外の面でも、会社が設定した福利厚生メニューの中から個人のライフスタイルに合わせて好きなメニューを選び補助を受けることができる「選択型福利厚生制度」を2023年からヤマハ発動機本社で導入し、子育て・育児補助、介護補助のほか旅行費用の補助など、家族向けを含むさまざまな福利厚生の充実を図っています。
労働安全衛生
姿勢と方針
当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」の中で掲げているように従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努めています。「安全・健康 最優先」の文化を醸成し、労働災害ゼロに向けた取り組みをグループ全体に根付かせることを目的に、「サステナビリティ基本方針」の内容をより明確にした「ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針」および行動指針、労働災害削減目標を制定しました。従業員全員参加で安全と健康の確保に取り組むとともに、快適な職場環境の形成を促進しながら、業務遂⾏の円滑化を図り⽣産性の向上にもつなげています。
《 ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針 》
”安全・健康最優先”
ヤマハ発動機グループで働くすべての人が心身ともに健康で、いきいき安心して働ける安全で快適な職場づくりを全員参加で追求し続けます
《 ヤマハ発動機グループ労働衛生行動指針 》
- 私たちは、安全・健康への意識を高め、自ら考え、安全・健康最優先の行動に努めます
- 私たちは、組織の枠を超え、一致協力して、安全衛生リスクの最小化に取り組みます
- 私たちは、安全衛生に関わる法令・ルールを理解し順守します
《 ヤマハ発動機グループ労働災害削減目標 》
- 業務上の死亡・後遺障害災害ゼロ
- 休業労働災害件数 前年比50%減(半減)
- 全労働災害件数 前年比50%減(半減)
推進体制
ヤマハ発動機においては、この方針の下、社長執行役員から権限委譲を受けた中央安全衛生委員会(執行役員人事総務本部長を委員長として産業医、製造・技術・事務の各部門の管理監督者の代表、労働組合等で構成)が中心となり、労働安全衛生に関する規格・規制、労働協約を遵守した安全で健康的な労働環境の整備に努めるとともに、災害ゼロを目指したさまざまな活動を中期・年間計画に織り込み取り組んでいます。こうした取り組みは、労働安全衛生の主管部門が各国グループ会社にも展開しています。
労働安全衛生マネジメントシステムの推進
ヤマハ発動機においては、従来から推進してきた労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を2023年に再構築し、国際規格であるISO45001を導入、認証機関による審査を受審し認証を取得しました。マネジメントシステム運用の中軸である、職場におけるリスクアセスメント(危険性や有害性を特定・評価)の実施、その結果に基づく計画的な労働安全衛⽣リスクの除去・低減に取り組み、労働災害の未然防⽌を図っています。また、全従業員の安全意識向上のため、法規制上の教育・講習はもちろん、リスクアセスメントや実践的な危険予知トレーニング等、各種教育・研修の充実にも取り組んでいます。
なお、2023年5月、当社浜北工場(浜松市浜北区)にてエンジン部品加工作業に従事していた社員1名が死亡する労働災害事故が発生しました。このような重大な労働災害を二度と発生させないため、グループを挙げて設備機械の安全総点検と対策、リスクアセスメント徹底によるリスク除去・低減など、再発防止の取り組みを進めています。また、当社においては、「安全の日」設定による安全意識の高揚にも取り組んでいます。
万が一の緊急事態への備えとして、業務上のケガ・体調不良・病気・事故発生時の報告基準・方法、連絡ルートおよび緊急処置の手順を定め、定期的に対応訓練を実施し、その有効性を高めています。また、実際に労働災害が発生した場合には、被災者の救護を最優先に、災害現場の調査、発生要因の究明等の手順を明確にし、再発防止に努めています。なお、定期的に内部監査を実施し、マネジメントシステムの有効性を検証し、システムの継続的な改善を図っています。
2023年末時点で製造会社を中心に18社が個社毎にISO45001認証を取得しています。ヤマハ発動機グループ全体の労働安全衛生水準の向上に向け、今後はISO45001を基軸とした労働安全衛生マネジメントシステムの整備を進めるとともに、継続的な改善に取り組んでいきます。また、グループ主要製造拠点を対象に2008年よりOSHMSのグループ認証制度を導入し災害防止を推進し、ヤマハ発動機が定期的なフォローアップを行い管理面でのレベル向上を図っています。また、外部請負業者に対しても作業安全要領を定めて労働災害防止に努めています。
職業性疾病(化学物質、有機溶剤、粉じん等)に関しては、職場巡視や特殊健診等を通じて状況を把握して、必要に応じて職場環境の改善に取り組んでいます。また、人間工学に基づいて安全で快適な職場づくりを推進しています。
安全教育・研修
安全管理者や監督者、作業主任者等を対象とした能力向上のための教育・研修や安全衛生大会の開催などを通じ、職場の安全と良好な衛生環境を支える人材の育成にも注力しています。2023年に実施した労働安全に関する主な教育や研修は以下の通りです。これらは国内グループ会社および取引先も対象に実施しており、海外グループ会社においても、安全衛生についての教育や研修を積極的に推進しています。
研修名 | 受講者数 | 受講した会社数 | |
---|---|---|---|
1 | 総括安全衛生管理者研修 | 36人 | ヤマハ発動機のみ |
2 | 安全管理者選任時研修 | 67人 | 5社 |
3 | 衛生管理試験前研修 | 179人 | 6社 |
4 | 新任監督者研修 | 128人 | 7社 |
5 | リスクアセスメント研修 | 222人 | 9社 |
6 | 危険予知訓練研修 | 74人 | 7社 |
7 | 粉じん作業特別教育 | 58人 | 6社 |
8 | 特定化学物質作業主任者 能力向上教育 | 79人 | 4社 |
9 | 監督者能力向上教育 | 48人 | 3社 |
10 | 衛生管理者能力向上教育 | 40人 | ヤマハ発動機のみ |
11 | テールゲート特別教育 | 750人 | 5社 |
労働災害 発生件数
2023年のヤマハ発動機※1の死亡災害は1件、休業災害は10件、不休災害は24件で、災害総件数は35件(職業性疾病を含む)となります。また、2023年のヤマハ発動機グループ※2の死亡災害は2件、休業災害は182件です。
ヤマハ発動機グループ全体における2020年からの労働災害による死亡者数は2022年の1人、2023年の2人です。第三者保証
ヤマハ発動機※1における2020年から2023年までの労働災害による請負業者※4の死亡災害者はありませんでした。
第三者保証
発生した災害は全社に情報発信し横展開を図り再発防止に努めています。
労働災害度数率※3第三者保証
※1 2020年~2022年の対象範囲は、執行役員およびパート等含む常用雇用者。2023年の対象範囲は、執行役員およびパート等含む常用雇用者および派遣社員
※2 2020年~2022年の対象範囲は、ヤマハ発動機および生産機能を持つ連結子会社と関連会社の合計31社。2023年は対象範囲を拡大し、ヤマハ発動機および連結子会社と関連会社の合計118社(ヤマハ発動機、連結子会社102社、非連結子会社3社、持分法非適用子会社8社、関連会社4社)
※3 100万延実労働時間当たりの休業労働災害(1日以上)発生率
※4 当社の敷地内で、契約に基づいて当社の事業の一部を実施している第三者(間接業務請負を除く)
社員の健康
《 ヤマハ発動機 健康宣言 》
今まで当たり前だと思っていた‘健康’は、決して当たり前にあるものではありません。
今回のコロナ禍で、私は経営者として、事業の継続・発展は社員とステークホルダーの健康の上になり立っていると痛感しました。
ヤマハ発動機は、社員の健康・安全を企業の成長の基盤と考え健康経営に取り組みます。
私たちが常にイキイキ・ワクワクできる心身の状態を保てなければ、人に感動を届けることはできないでしょう。
皆さん一人ひとり、自らの健康に意識をもちましょう。
2020年10月1日 社長執行役員 日髙 祥博
方針
ヤマハ発動機は、「感動創造企業」を目指し、お客さまに新たな感動と豊かな生活を提供することを企業の目的としています。そのためには、まず社員一人ひとりが心身ともに「健康」であること。それによって、個々の能力や情熱が発揮され、提供する商品やサービスに対するお客さまの信用にもつながるものと考えています。
また、ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針として「安全・健康最優先」を掲げており、社員の「健康」を事業運営と会社の発展に欠かせない重要な経営課題ととらえ、会社・社員が一体となって、社員の健康の保持・増進に取り組んでいきます。具体的には、健康診断受診率100%・メタボリックシンドローム(該当者+予備群)の低減・喫煙率の低減を三大課題とし、さまざまな取り組みを進めています。
推進体制
健康施策の推進については、中央安全衛生委員会(執行役員人事総務本部長を委員長として産業医、製造・技術・事務の各部門の管理監督者の代表、労働組合等で構成)を設置し、健康経営の推進について評価・改善を行い、優先順位付けをした上で中期・年間計画を決定しています。
具体的な施策実施は、健康推進チーム会議(事務局、産業医、健康推進センター、産業看護職等で構成)において検討し、成果指標を用いて実施状況を検証しながら取り組みを進めます。 また健康保険組合とは毎月、健康政策共同推進会議を開催し、施策の連携について協議を行っています。
健康診断受診率
法定の健康診断受診率は100%(2023年実績)です。また、産業医による就業区分判定も100%実施しています。さらに、健康診断結果のフォローを重視し、事後措置に関する社内規程を設け、重症化予防のための産業医等による保健指導の実施を徹底しています。また、専門医の治療に早期につなぐため、受診勧奨となるイエローペーパー制度の運用を行っています。2023年は、イエローペーパーの交付を受けた社員の78%が専門医を受診しました。
メタボリックシンドローム・喫煙率の低減
健康診断の結果、生活習慣病のリスクを抱えた社員に対しては、看護職・管理栄養士による継続的な保健指導(特定保健指導)を実施しています。生活習慣病の早期対応のために、若年層を含めた全年齢を対象に保健指導を実施し、国の基準よりも広範囲に指導を行っています。 喫煙対策については、就業時間内禁煙に関する規程を制定するとともに、禁煙に向けた指導やさまざまな支援ツールの提供を行っており、従業員の喫煙率は2013年の30.3%から2023年は22.2%まで低下しています。しかしながら依然として高い喫煙率は、当社の大きな健康課題であるととらえ、2024年1月より会社敷地内における全面禁煙を開始しました。今後、国内グループ会社にも展開していきます。
過重労働対策・ワークライフバランスの確保
人事労務部門と健康推進部門が連携して適正な労働時間管理を推進しています。2023年の全社平均残業時間は219.7時間(年間)でした。長時間労働者については、法定を上回るきめ細かな基準で産業医による面接指導を行うとともに、過重労働対策やワークライフバランスの確保などの健康確保措置を徹底しています。平均有給休暇取得日数は2013年の15.3日から2023年は18.4日まで向上しています。
新型コロナウイルス感染症への対応
2020年より猛威を振るってきた新型コロナウイルスに対しては社員を含めたステークホルダーの生命・健康を第一にすることを主眼に置き、対策組織を設置し、例えば在宅勤務・時差出勤制度の導入や駐在員・帯同家族の帰国指示など、各種方針・対応の決定と情報発信を実施してきました。これら対応内容については、今後新たに感染症が大流行するリスクに備え、「事業継続要領(新型インフルエンザ編)」として文書化を行っています。
健康増進
全社員参加の健康づくり「ウェルビー活動」として、運動や食事などの生活習慣改善の取り組みをポイント化する「健康マイレージ」やウォーキングイベント等の健康プログラムを展開しています。2023年に開催したウォーキングイベントは約600人が参加し、その後のアンケートでは、回答者の9割以上から”満足”とのフィードバックが寄せられました。これらの取り組みにより、スポーツ庁よりスポーツエールカンパニー2024に認定されています。
また、健康診断結果の分析を基に社員食堂でのヘルシーメニューの提供や食物繊維を豊富に含む食材を使用するなど、栄養面からも社員の健康をサポートしています。
女性の健康支援
女性社員に特有の健康問題に対応するため、専用の相談窓口やセミナー等のプログラムを用意しています。また、婦人科検診について健保と連携して受診しやすい環境を整備し、事後フォローの取り組みも進めています。
メンタルヘルスへの対応
社員のメンタルヘルス不調を未然に防止するため、当社では「ストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票(57 項目))」と「プレゼンティーズム調査(WHO-HPQ)」を合わせてWEB方式で実施しています。2023年の受検率は95%を超え、健康総合リスクは2022年の109から2023年は107へ改善しています。
ストレスチェック後は、高ストレス者の希望者全員に産業医や看護職等によるフォロー面談を実施し、さらに集団分析の結果を職場へフィードバックすることで、職場環境改善につなげています。
また、 Eラーニングシステムを活用し、全社員に対してメンタルセルフケア、全管理職に対しラインケアの教育を行っている他、 中途入社社員や新任の管理職・監督職・部長職に対してメンタルヘルスについての知識や職場での対応方法などの研修を行い、心身の健康維持、不調者の早期発見・早期対応に努めています。
フィジカル・メンタル共に休職者の復帰時には、復職前に社内リワークプログラムを実施、復帰後も所属長・人事部門・産業医が連携し1年ほど本人をフォローすることで、再発防止に努めています。
海外勤務者への健康支援
海外勤務者へは健康診断の受診徹底を図るとともに、現地の医療状況や生活環境を把握するためコロナ禍に中断していた産業医による海外拠点の医療巡回を2024年より再開しています。
なお赴任前には、ウイルス性肝炎などの感染症の予防を含めた健康管理研修、予防接種を実施し、マラリア等の風土病感染地域へ渡航する社員には予防薬の提供も行っています。
メンタルヘルスに関しては、2005年から海外勤務者向けに社外の電話相談サービスを提供していましたが、より積極的な取り組みとするために制度を見直し、当社顧問医による健康相談窓口を開設するとともに、日本で行われている「ストレスチェック」を2016年からアメリカで、2017年からインドで行い2018年からはすべての海外勤務者に展開しています。
健康経営推進の評価指標
当社では「私らしく働く、ヤマハらしく働く」をキャッチフレーズに掲げ、ワークエンゲージメントの向上を経営課題とし健康経営の推進を行っています。高リスク者数・労働災害件数・メンタル不調による休業者数の低減などを目標指標と掲げ、それに繋がる社員の生活習慣の改善に向けたさまざまな施策を展開、着実に改善を進めてきています。
具体的には、絶対的プレゼンティーズム(直近4年間)は、2022年の60.0から2023年は60.8へ、アブセンティーズム(疾病休業日数)は2022年の13,833日から2023年は11,455日に改善しています。今後も、地道に健康経営への取り組みを継続し、心身の不調による労働損失の低減と社員エンゲージメントの向上を目指していきます。
長期計画 |
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ヤマハ発動機目標 | 2021実績 | 2022実績 | 2023実績 | 2030目標 |
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特定保健指導動機付け支援+積極的支援該当者率 | 20.00% | 18.84% | 19.02% | 15.70% |
高リスク者率(就業制限)就業区分2・3対象者 | 2.90% | 2.68% | 2.30% | 2.33% |
休業者率メンタル1カ月以上延べ休業者数/従業員数 | 0.90% | 0.93% | 0.82% | 0.71% |
外部評価
経済産業省・日本健康会議主催の、健康経営に戦略的に取り組んでいる法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」において、2024健康経営優良法人(大規模法人部門)「ホワイト500」に認定されました。
労働組合との関係
ヤマハ発動機は、「労働条件並びに経営秩序を確立」するために、「相互の公正な理解と信義誠実の原則に基づき」、労働組合と労働協約を締結しています。この協約に則り、会社のさまざまな施策について労働組合に適宜説明し、労使それぞれでレポートを発行するなど、従業員への周知と理解に努めています。さらに、定期的な労使協議や委員会を開催するほか、会社施策に基づくテーマや労働組合から提起された課題についての労使協議などを適宜実施しています。企業年金基金や健康保険組合、共済会などの運営についても労働組合の役員が参画しています。
最低賃金の保証については、そのコミットメントとして最低賃金に関する協定を毎年労使で結ぶことはもとより、適正な賃金水準について消費者物価指数の傾向等も踏まえて労使で議論を行っています。
ヤマハ発動機は、管理職以外の社員は労働組合に所属するユニオンショップ制を採用しており、従業員の労働組合加入率は全社員の84%で、グローバルでは組合63%です。国内グループ会社では、労働組合や社員会を設立し、それぞれに労使の対話を進めています。また、ヤマハ発動機労働組合を含むグループ会社の労働組合はヤマハ労働組合連合会に所属してお互いに連携を深めています。海外グループ会社については、各国・各地域の労働慣行を踏まえて適切に労使が協議できる体制を整え、賃金の支払いに関しては現地法令に定められた内容を遵守して実施しています。
海外労働リスクへの対応
当社の生産拠点が所在するアセアン、インド、中国などでは労働争議などのリスクが高く、事業活動を継続する上で注視しておかなくてはならないと考えています。そのため、グループ共通のリスク管理台帳の中に「労働争議(ストライキ等)による操業停止」を織り込み、セルフチェックと対策活動の立案をモニタリングしています。
製造各社は、各国法制や地域での労働問題の定期的な収集や、労使関係の強化および相談窓口の周知といった施策に取り組み、本社では長年の労働争議事案の知見を生かし、グループ内のノウハウ共有と有事の際の連絡体制維持強化に努めています。
なお2023年は、特筆すべき労働問題は発生しませんでした。