従業員
人材育成、ダイバーシティへの配慮、職場の安全衛生など、従業員に対する取り組みをご紹介します。
グローバルな視野と多様性の尊重
ヤマハ発動機グループは、グローバルな視野に立ち、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを目指しています。そして、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
人事の目指す姿と求める人材像
ヤマハ発動機グループでは、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展および個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを目指すことを人事の目指す姿として設定しています。そして、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
具体的な項目として以下の3つを掲げています。
- 性別・年齢・国籍・人種・価値観等にとらわれず、一人ひとりがそれぞれのチャレンジへ果敢に挑める施策を構築し、挑戦する風土を醸成すること
- 個人が自らの手で、生涯にわたり啓発する意欲を持つ役職員に対し、適宜その機会と支援を提供すること
- 「発、悦、信、魅、結」の共有価値を基本とし、「ヤマハらしさ」を開発・育成することで人材における他社との差別化を図ること
そして、私たちは目指す姿に向け、次のような人材と共に働きたいと考えています。
- 自己価値向上に努力する自立・自律型の人材
- チームワークを大切にした行動ができる人材
- ヤマハブランドの価値を高められる人材
多様な人材の採用・確保と人材育成
私たちは、すべての人々の尊厳が守られる社会の実現に向け、人権(あらゆる差別の禁止、強制労働および児童労働の禁止、非人道的な扱いの抑止、安全で健康な職場環境作り等)の尊重に取り組み、多様性を受け入れることを最も大切と考えています。それは、人材確保においても同様です。
採用においては、多様な価値観を尊重して、さまざまなタイプの人材確保に取り組んでいます。新卒採用では、多くの学生に就業体験や企業理解をしていただけるよう、事業や業種別のインターンシップや大学との産学連携の強化なども推進しています。また、海外大学の学生採用などグローバル人材の確保にも努めています。キャリア採用では、新たな成長領域へのチャレンジと既存事業の維持成長のために、多様な経歴やバックグランドを持った人材の確保に向けた採用活動を行っています。
人材育成においては、階層に応じた研修をはじめ、機能面での専門スキルを磨く研修、世界で活躍できる人材を目指す海外トレーニー制度、チーム力を高めて組織としてのパフォーマンスを高めるコーチング研修やダイバーシティ研修などを整備しています。また、自ら学ぶ風土の定着に向けて、自己啓発への支援を拡充し、学びの選択肢を増やすとともにオンデマンド型教育を整備しています。
ワン・オン・ワン・コーチング研修は、管理職が組織のミドルマネジメントとしての機能を十分に果たしていくための標準ツールとして2017年から本格的な導入を開始し、着実に成果を挙げています。
なお、社員の能力開発に費やされた2022年の1人当たりの研修時間(延べ研修時間/ヤマハ発動機社員数)は17.3時間で、金額(総研修費用/ヤマハ発動機社員数)は19,000円(社内の人件費、施設運営費等は除く)でした(コンプライアンス教育・安全衛生等法令に関する研修を除く)。
グローバル・選抜(海外留学・海外トレーニー除く) | 138人 |
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チームワーク | 694人 |
自立・高度化 | 8,142人 |
階層別研修 | 787人 |
セルフバリューデザイン | 3,395人 |
個人とチームの能力発揮に向けて
当社は、事業の発展と個人の成長のために目標管理制度を導入しています。それぞれの社員は年初に今後1年間の目標を記述して明確化し、上司とのすり合わせを経て確定させます。業務遂行の中では必要に応じて上司と相談や確認を行い、期の中間で面接の機会を設けて目標の進捗を確認します。年度末の評価では、チームベースの業績も加味され、一部のマネジャー層に対しては180度評価を実施し、幅広い層からの評価による本人の気づきの機会を提供しています。
従業員エンゲージメント
当社は1980年代から毎年社員意識調査を行い、社員満足度や業務意欲の測定、現状の課題抽出などを行ってきました。2020年はこれまでの手法に大幅な変更を加え、エンゲージメント(組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組めている状態)の程度を表す指標の意味合いを強くしました。具体的には、エンゲージメントに関連する4つの質問に焦点を当て、それらを向上させるために結果をリアルタイムにフィードバックし、それぞれの部門が課題解決のための計画立案と対策実施を迅速に行い、人事部門がそれをフォローしています。
※2020年から指標を入社推奨、貢献意欲、誇り、業務達成感の4項目の肯定率平均へと変更したため2019年は参考値
多様性を生かした職場づくり
私たちは「企業活動の原点は人」という基本認識の下、その考え方を「サステナビリティ基本方針」「倫理行動規範」の中で明示しています。その上で、持続的な成長を確保するために異なる経験、スキル、属性を反映した多様な視点や価値観が重要と考え、多様な人材の確保を目指しています。
そのために、ダイバーシティ&インクルージョンについての社長から全社員に対するメッセージ発信や管理職向けEラーニング(インターネットを通じた学習)などで社内啓発を進めるとともに、全世界共通の幹部社員育成プログラムの開発・運用、競争力のある人材を育成・登用するためのグローバル人事制度の導入、グローバルな経験・見識を生かす組織づくりを進めています。
グローバル人材の活用
私たちは、日本人とローカル経営幹部がグループ課題を議論する場の1つとして2012年からGEC(Global Executive Committee)を開催しています。これは、経営会議での審議を前提にグループ中核会社のトップマネジメント層がグローバル経営に関するテーマを審議・検討する委員会です。当社のブランドスローガン”Revs your Heart”もこの場で検討され決定に至ったものです。
2020年から、担当執行役員と高い専門性を有するグローバル人材が共同責任者として「フィナンシャルサービス」「製造」「調達」「人材開発」に関わる活動をグローバルに推進するGET(Global Execution Transformation)を組織し、マネジメント手法の標準化・高度化、課題進捗、人材育成等に取り組んでいます。
経営幹部に関しては、国籍・原籍を問わず優秀な人材の活用を促進し、特に、海外子会社の経営幹部層については、現地人材の積極的な登用を進め、2024年までにその55%を現地化することを中期目標としています。そのために、本社の「人材開発委員会」で海外子会社の経営幹部層の現地化の可能性を審議し、現地との調整を図りながら取り組みを促進しています。
また、2020年からグローバル人事異動を促すYAP (Yamaha Assignment Policy)を導入して、国境をまたぐ優秀な人材の活躍を推進しており、経営幹部層のみならずラインマネジャーおよび専門性の高いスペシャリストの海外拠点から本社への異動、もしくは海外拠点同士間の異動を8件積み重ねていて、これからさらに拡大していくことを図っています。
女性活躍の促進
女性活躍の促進のために、女性の管理職について、2020年に2014年の2倍とする目標を達成し、この中期計画において、海外子会社も含めた管理職の13%を目指しています。
現在は妊娠中の女性社員を対象に「長いキャリアを見据えてどのように育児休職を位置づけるか」などをワークショップ形式で考える両立支援セミナー、自分の傾向を知って自分を動かす能力を磨くパーソナルブランディング研修、女性のためのリーダーシップ研修、女性部下のマネジメント研修、不妊治療休暇などの制度を導入しています。また、女性・男性など性別を問わず多様化する仕事への価値観に対応するための管理職向けのセミナーを開催するなど、女性活躍の推進を図っています。
ビジネスの現場でも、例えばインドで行ったEコマース(電子商取引)のタスク活動のリーダーを女性が務めるなど、女性活躍の機会創出に取り組んでいます。
項目 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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産休・育休取得率(単体) | 女性取得率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
女性復職率 | 97% | 100% | 100% | 99% | |
男性取得率 | 6% | 21% | 31% | 54% | |
男性取得者数 | 20人 | 71人 | 92人 | 152人 |
ハラスメントの防止
「倫理行動規範」の中で「人権の尊重」を掲げ、職場でのセクシュアルハラスメントだけでなく、職場における地位や人間関係など職場内の優位性を背景に相手の人格、尊厳の侵害など、あらゆる種類のハラスメントを一切禁止しています。そのために主にマネジメント層に対して「人権・ハラスメント」研修を毎年開催しています。もしハラスメントの報告を受けた際には当事者から詳細なヒアリングを行い事実確認をした上で、懲戒を含めた適正な対応を行うとともに、再発防止に向けた取り組みを進めています。
障がい者の雇用促進とモチベーション向上
障がい者に対しては、能力と適性に応じて活躍できる場の提供と社会的自立の促進を目指し、「ヤマハモーターMIRAI株式会社」を2015年10月に設立。2016年から本格稼働し、業務分野を広げるとともに会社見学会や体験発表会などのさまざまなイベントも実施し、社員の働きがいやモチベーションの向上を図っています。さらに、掲示板や社内報を通じて活動を紹介することで全社の理解と協力を促進しています。
ヤマハ発動機の障がい者雇用率
仕事と生活の両立支援
私たちは、社員と会社の相互確認を前提としたキャリアプランの設計を支援するとともに、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)を確保した職場づくりを目指しています。
育児休職・介護休職のほか、看護休暇やフレックスタイム制度、短時間勤務制度、配偶者の海外駐在赴任帯同に伴う退職者の再雇用制度など、各自の状況に適した働き方ができるように制度の充実を図っています。とりわけ育児休職については、取得事例や取得しやすい職場環境づくり等を積極的に社内に周知し、男性社員の取得率向上にも取り組んでいます。(2022年の「産後パパ育休」を含めた男性育休取得率は54.3%)。 施設面でも、より働きやすい環境を子育て世代の社員に提供して「仕事と家庭の両立」を広く支援するため事業所内託児施設「わいわいランド」を運営し、2016年には増床を行って定員を増員しました。
2021年からは、新人事制度「私らしく働く、ヤマハらしく働く。」の下、多様性に対応するために在宅勤務や時差出勤を制度化するとともに、時間単位特別休暇や傷病短時間勤務制度を導入し、いかなるライフステージにおいても活き活きと情熱を持って挑戦し続けることができるよう、働き方の選択肢を増やしています。
長時間労働の削減に向けては心身の健康維持等の観点から、過剰な労働時間を削減することを方針としています。そして労使協議の上、法令よりも厳格な「時間外労働に関する規則」を設定しています。さらに、労働組合と会社の双方が参加する「労働時間に関する労使委員会」を毎月開催し、現状確認を行っています。
また、日本自動車工業会の「人財部会」にも参加し、そこを通じた情報や意見交換等で得た知見を自社の状況チェックや取り組みの推進に役立てています。
有給休暇の取得については、働き方改革関連法の遵守はもとより、労使で設定した取得目標に向け、連続有給休暇取得制度等により取得を促進しています。特に、5連続有給休暇対象者にはメッセージカードを送付するなどして意識付けを行い、実効性を高めています。
2022年度の休暇取得実績は、育児休職:225名(男性:152名(産後パパ休暇含む)、女性:73名)、介護休職:5名、看護休暇:取得日数15日、取得時間 2,450分、取得者13名、ライフサポート休暇:取得日数6,861日、取得時間4,960時間、取得者2,279名でした。
制 度 | 内 容 |
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育児休職 | 子どもの満2歳の誕生日まで休職可能(法令は基本満1歳まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
産後パパ休暇 (産後パパ育休) |
子の出生日以降57日の間で4週間(28日)を限度として取得可 |
介護休職 | 1年以内で本人が申請する期間で休職が可能(法令は対象家族1人につき3回までで通算93日まで)。賞与支給対象全期間休職者には賞与支給日に支援金として基本給1ヵ月分を支給 |
看護休暇 | 小学校3年修了までの子どもを看護するための休暇を、子ども1人の場合は年間5日まで、子ども2人以上の場合は年間10日まで取得可能(時間単位での取得も可能/法令は小学校就学前までの子ども) |
ライフサポート休暇 | 傷病、家族の介護、子の看病、不妊治療を取得事由とする有給の特別休暇を、1日、半日、時間単位で年間6日まで取得可能 |
フレックスタイム制度 | 6:30~22:00の時間帯で労働時間の設定が可能(コアタイムなし) |
勤務の軽減 | 小学校3年修了までの子どもを養育する従業員、または家族を介護する従業員に対しては、時間外労働の制限や深夜業務免除 |
短時間勤務制度 | 育児、介護を理由としたものに加え、がん、脳血管疾患、メンタル疾患等を起因とする傷病休職からの復職者を対象に2時間もしくは1時間の勤務時間短縮が可能 |
在宅勤務制度 | 部門ごとの環境に応じて出社と在宅を使い分けるハイブリッド型勤務が可能。在宅勤務に掛かる通信・光熱費の負担分として在宅勤務手当を支給 |
勤務中の中抜け制度 | 所属長の許可を事前に得た上で自己都合の要件に制限なく5分単位で勤務中の中抜けが可能(フレックスタイム適用職場に限る) |
その他 |
・定時退社デーの設定(製造職場:当社休日の前日、給与日、賞与日) ・ノー残業デーの設定(非製造職場:週1回、年間60日目標に個人で自由設定) ・3日連続の有給休暇取得(30歳以上は5歳ごとに5日連続取得) |
労働安全衛生
姿勢と方針
ヤマハ発動機は、「サステナビリティ基本方針」の中で掲げているように 従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努めています。そのために、労使が協調して社員(構内請負業者を含む)の労働災害ならびに健康障害の防止に取り組み、より快適な作業環境の形成を促進しながら、業務遂行の円滑化を図り生産性の向上を目指しています。
労働安全衛生・環境の統合マネジメント方針
ヤマハ発動機は、サステナビリティ基本方針の下、事業活動を行う上で幅広く社会との連携・協力を図りながら全員参加で心身ともに安全・安心して働ける健康づくりと環境づくりを推進します。
このために、労働安全衛生や環境に関する法令・規制等公的基準の遵守はもとより自主的な規制値を設け、労働災害の防止や環境保全の向上に努めます。
又、これらを実現する為の手段としてマネジメントシステムを確立して、継続的改善を実施しながら実効性ある運用を展開していきます。
2021年6月1日 社長執行役員 日髙 祥博
推進体制
この方針の下、社長執行役員から権限委譲を受けた中央安全衛生委員会(執行役員人事総務本部長を委員長として産業医、製造・技術・事務の各部門の管理監督者の代表、労働組合等で構成)が中心となり、労働安全衛生に関する規格・規制、労働協約を遵守した安全で健康的な労働環境の整備に努めるとともに、災害ゼロを目指したさまざまな活動を中期・年間計画に織り込み取り組んでいます。こうした取り組みは、労働安全衛生の主管部門が各国グループ会社にも展開しています。
労働安全衛生マネジメントシステムの推進
ヤマハ発動機の各事業所・部門では、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS※1)の中核となるリスクアセスメントを行い、職場における危険性や有害性を特定・評価し、リスクレベルに応じて優先順位を付け、計画的に労働安全衛生リスクの除去・低減に取り組み、労働災害の未然防止に努めています。2022年は、リスク洗い出しの質向上や全社員の安全意識向上を重点課題に設定し、より実践的な危険予知トレーニングの導入、各種教育・研修の充実等の取り組みを実施しました。
万が一の緊急事態への備えとして、業務上のケガ・体調不良・病気・事故発生時の報告基準・方法、連絡ルートおよび緊急処置の手順を定め、定期的に対応訓練を実施し、その有効性を高めています。また、実際に労働災害が発生した場合には、被災者の救護を最優先に、災害現場の調査、発生要因の究明等の手順を明確にし、再発防止に努めています。なお、定期的に内部監査を実施し、マネジメントシステムの有効性を検証し、システムの継続的な改善を図っています。
グループ会社においては、主要製造拠点を対象に2008年よりOSHMSのグループ認証制度を導入し災害防止を推進しています。認証制度導入拠点については、ヤマハ発動機より定期的なフォローアップを行い管理面でのレベル向上を図っています。また、外部請負業者に対しても作業安全要領を定めて労働災害防止に努めています。
職業性疾病(化学物質、有機溶剤、粉じん等)に関しては、職場巡視や特殊健診等を通じて状況を把握して、必要に応じて職場環境の改善に取り組んでいます。また、人間工学に基づいて安全で快適な職場づくりを推進しています。
安全教育・研修
安全管理者や監督者、作業主任者等を対象とした能力向上のための教育・研修や安全衛生大会の開催などを通じ、職場の安全と良好な衛生環境を支える人材の育成にも注力しています。2022年に実施した労働安全に関する主な教育や研修は以下の通りとおりです。これらは国内グループ会社も対象に実施しており、海外グループ会社においても、安全衛生についての教育や研修を積極的に推進しています。
研修名 | 受講者数 | 受講した会社数 | |
---|---|---|---|
1 | 総括安全衛生管理者研修 | 28人 | ヤマハ発動機のみ |
2 | 安全管理者選任時研修 | 50人 | 5社 |
3 | 衛生管理者受験前準備研修 | 60人 | 8社 |
4 | 新任監督者研修 | 48人 | 13社 |
5 | リスクアセスメント研修 | 76人 | 8社 |
6 | 危険予知訓練研修(4ラウンド実践) | 126人 | 8社 |
7 | 粉じん作業特別教育 | 21人 | 6社 |
8 | クレーン・玉掛能力向上教育 | 40人 | 3社 |
9 | フォークリフト能力向上教育 | 42人 | ヤマハ発動機のみ |
海外でも、安全衛生についての教育や研修を積極的に推進しています。グループ主要製造拠点を対象に2008年からはOSHMS※1のシステム導入を図り災害防止を推進しています。グループ認証導入事業所においては、本社より定期的なフォローアップを行い管理面でのレベル向上を図っています。外部請負業者に対しても作業安全要領を定めて労働災害防止に努めています。
ヤマハ発動機における安全衛生目標・実績
ヤマハ発動機目標 | 2022目標 | 2022実績 | 2023目標 | 2024目標 | 2030目標 |
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労働災害度数率 ※2 | 0 | 0.32 | 0 | 0 | 0 |
労働災害度数率※2第三者保証
※1 OSHMS: Occupational Safety & Health Management System
※2 労働災害度数率:100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数
※3 ヤマハ発動機および生産機能を持つ連結子会社と関連会社の合計31社の合計
2022年のヤマハ発動機の休業災害は7件、不休災害は17件で、災害総件数は24件となっています。死亡災害はありませんでした。休業を伴う職業性疾病の発生はありませんでしたが、職業性疾病が3件発生しました。発生した災害は全社に情報発信し横展開を図り再発防止に努めています。
ヤマハ発動機グループ全体における2019年からの労働災害による死亡者数は2022年の1人です。第三者保証
社員の健康
ヤマハ発動機 健康宣言
今まで当たり前だと思っていた‘健康’は、決して当たり前にあるものではありません。
今回のコロナ禍で、私は経営者として、事業の継続・発展は社員とステークホルダーの健康の上になり立っていると痛感しました。
ヤマハ発動機は、社員の健康・安全を企業の成長の基盤と考え健康経営に取り組みます。
私たちが常にイキイキ・ワクワクできる心身の状態を保てなければ、人に感動を届けることはできないでしょう。
皆さん一人ひとり、自らの健康に意識をもちましょう。
2020年10月1日 社長執行役員 日髙 祥博
方針
ヤマハ発動機は、「感動創造企業」をめざし、お客さまに新たな感動と豊かな生活を提供することを企業の目的としています。そのためには、まず社員一人ひとりが心身ともに「健康」であること。それによって、個々の能力や情熱が発揮され、提供する商品やサービスに対するお客さまの信用にもつながるものと考えています。
ヤマハ発動機では、社員の「健康」を会社の発展に欠かせない重要な経営課題ととらえ、会社・社員が一体となって、社員の健康の保持・増進に取り組んでいきます。
- 会社は、社員がより健康でいきいきと働くことができるよう、職場における健康リスクの低減、快適な職場環境の形成を推進します。
- 会社は、健康保険組合と連携して、社員の健康に向けたセルフケアの取り組みを積極的に支援します。
- 社員は、自らの健康に関心を持ち、健康づくりに主体的に取り組みます。
推進体制
健康施策の推進については、中央安全衛生委員会(執行役員人事総務本部長を委員長として産業医、製造・技術・事務の各部門の管理監督者の代表、労働組合等で構成)を設置し、健康経営の推進について評価・改善を行い、優先順位付けをした上で中期・年間計画を決定しています。
具体的な施策実施は、健康推進チーム会議(事務局、産業医、健康推進センター、産業看護職等で構成)において検討し、成果指標を用いて実施状況を検証しながら取り組みを進めます。 また健康保険組合とは毎月、健康政策共同推進会議を開催し、施策の連携について協議を行っています。
健康診断及び事後措置
法定の健康診断は受診率100%で実施しています。(2022年実績)さらに、健康診断結果のフォローを重視し、事後措置に関する社内規程を設け、重症化予防のための産業医等による保健指導の実施を徹底しています。産業医による就業区分判定は100%実施しています。
過重労働対策・ワークライフバランスの確保
人事労務部門と健康推進部門が連携して適正な労働時間管理を推進しています。長時間労働者については、法定を上回るきめ細かな基準で産業医による面接指導を行うとともに、職場における健康確保措置を徹底しています。平均有給休暇取得日数は2012年の15.4日から2022年は18.5日まで向上しています。
新型コロナウイルス感染症への対応
2020年より猛威を振るってきた新型コロナウイルスに対しては社員を含めたステークホルダーの生命・健康を第一にすることを主眼に置き、対策組織を設置し、例えば在宅勤務・時差出勤制度の導入や駐在員・帯同家族の帰国指示など、各種方針・対応の決定と情報発信を実施してきました。これら対応内容については、今後新たに感染症が大流行するリスクに備え、「事業継続要領(新型インフルエンザ編)」として文書化を行っています。
生活習慣病対策
健康診断の結果、生活習慣病のリスクを抱えた社員に対しては、看護職・管理栄養士による継続的な保健指導(特定保健指導)を実施しています。 喫煙対策については、就業時間内禁煙を社内制度化するとともに、禁煙に向けた指導や様々な支援ツールの提供を行っており、従業員の喫煙率は2012年の31.1%から2022年は24.2%まで低下しています。しかしながら依然として高い喫煙率は、当社の大きな健康課題であるととらえ、2024年から会社敷地内を全面禁煙とすることを決定し、本年はそれに先駆け段階的な喫煙時間の短縮等を進めています。
健康増進
全社員参加の健康づくり「ウェルビー活動」として、運動や食事などの生活習慣改善の取り組みをポイント化する「健康マイレージ」やウォーキングイベント等の健康プログラムを展開しています。また、健康診断結果の分析を基に社員食堂でのヘルシーメニューの提供や食物繊維を強化したご飯の提供など、栄養面からも社員の健康をサポートしています。
女性の健康支援
女性社員に特有の健康問題に対応するため、専用の相談窓口やセミナー等のプログラムを用意しています。また、婦人科検診について健保と連携して受診しやすい環境を整備し、事後フォローの取り組みも進めています。
メンタルヘルスへの対応
社員のメンタルヘルス不調を未然に防止するため、当社では「ストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票(57 項目))」と「プレゼンティーズム調査(WHO-HPQ)」を合わせてWEB方式で実施しています。2023年の受検率は95%を超え、健康総合リスクは2022年の109から2023年は107へ改善しています。
また、高ストレス者に於いては希望者全員に対して、産業医や看護職等によるフォロー面談を実施し、さらに集団分析の結果を職場へフィードバックすることで、職場環境改善につなげています。
ストレスチェック後はEラーニングシステムを活用し、全社員に対して「治療と仕事の両立支援」やメンタルセルフケアの教育を行っている他、新任の管理職・監督職・部長職に対してメンタルヘルスについての知識や職場での対応方法などの研修を行い、早期発見・早期対応に努めています。中途入社社員に対しても研修を行い、心身の健康維持に努めています。
休職から職場復帰する社員に対しては「リワークプログラム」によって再発を防止し、復帰後は、所属長・人事部門・産業医が連携して1年程度本人をフォローします。
海外駐在員への健康支援
海外駐在員へは健康診断の受診徹底を図るとともに、現地の医療状況や生活環境を把握するため産業医による海外拠点の医療巡回を実施しています(2020年からコロナ禍により中断中)。
なお赴任前には、ウイルス性肝炎などの感染症の予防を含めた健康管理研修、予防接種を実施し、マラリア等の風土病感染地域へ渡航する社員には予防薬の提供も行っています。
メンタルヘルスに関しては、2005年から海外駐在者向けに社外の電話相談サービスを提供していましたが、より積極的な取り組みとするために制度を見直し、当社顧問医による健康相談窓口を開設するとともに、日本で行われている「ストレスチェック」を2016年からアメリカで、2017年からインドで行い2018年からはすべての海外駐在員に展開しています。
健康経営推進の評価指標
当社では「私らしく働く、ヤマハらしく働く」をキャッチフレーズに掲げ、ワークエンゲージメントの向上を経営課題とし健康経営の推進を行っています。高リスク者数・労働災害件数・メンタル不調による休業者数の低減などを目標指標と掲げ、それに繋がる社員の生活習慣の改善に向けたさまざまな施策を展開、着実に改善を進めてきています。
具体的には、絶対的プレゼンティーズム(直近4週間)は、2022年の60.0から、2023年は60.8へ改善しています。 一方、アブセンティーズム(疾病休業日数)は2021年12,295から、2022年13,833へ悪化していますが、地道に健康経営への取り組みを継続し、心身の不調による労働損失の低減と社員エンゲ―ジメントの向上を目指していきます。
長期計画 |
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ヤマハ発動機目標 | 2021実績 | 2022目標 | 2022実績 | 2030目標 |
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特定保健指導動機付け支援+積極的支援該当者率 | 20.00% | 19.44% | 18.84% | 15.70% |
高リスク者率(就業制限)就業区分2・3対象者 | 2.85% | 2.92% | 2.30% | 2.33% |
休業者率メンタル1カ月以上延べ休業者数/従業員数 | 0.90% | 0.82% | 0.93% | 0.71% |
外部評価
経済産業省・日本健康会議主催の、健康経営に戦略的に取り組んでいる法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」において、2023健康経営優良法人(大規模法人部門)「ホワイト500」に認定されました。
労働組合との関係
ヤマハ発動機は、「労働条件並びに経営秩序を確立」するために、「相互の公正な理解と信義誠実の原則に基づき」、労働組合と労働協約を締結しています。
この協約に則り、会社のさまざまな施策について労働組合に適宜説明し、労使それぞれでレポートを発行するなど、従業員への周知と理解に努めています。さらに、定期的な労使協議や委員会を開催するほか、会社施策に基づくテーマや労働組合から提起された課題についての労使協議などを適宜実施しています。企業年金基金や健康保険組合、共済会などの運営についても労働組合の役員が参画しています。
最低賃金の保証については、そのコミットメントとして最低賃金に関する協定を毎年労使で結ぶことはもとより、適正な賃金水準について消費者物価指数の傾向等も踏まえて労使で議論を行っています。
ヤマハ発動機は、管理職以外の社員は労働組合に所属するユニオンショップ制を採用しており、従業員の労働組合加入率は全社員の84%で、グローバルでは59%です。国内グループ会社では、労働組合や社員会を設立し、それぞれに労使の対話を進めています。また、ヤマハ発動機労働組合を含むグループ会社の労働組合はヤマハ労働組合連合会に所属してお互いに連携を深めています。海外グループ会社については、各国・各地域の労働慣行を踏まえて適切に労使が協議できる体制を整え、賃金の支払いに関しては現地法令に定められた内容を遵守して実施しています。
海外労働リスクへの対応
当社の生産拠点が所在するアセアン、インド、中国などでは労働争議などのリスクが高く、事業活動を継続する上で注視しておかなくてはならないと考えています。そのため、グループ共通のリスク管理台帳の中に「労働争議(ストライキ等)による操業停止」を織り込み、セルフチェックと対策活動の立案をモニタリングしています。
製造各社は、各国法制や地域での労働問題の定期的な収集や、労使関係の強化および相談窓口の周知といった施策に取り組み、本社では長年の労働争議事案の知見を生かし、グループ内のノウハウ共有と有事の際の連絡体制維持強化に努めています。
なお2022年は、特筆すべき労働問題は発生しませんでした。