環境マネジメント
ヤマハ発動機グループの環境活動の推進管理に関する体制などをご紹介します。
環境マネジメント基本方針
事業活動すべての領域において、気候変動や生物多様性をはじめとする環境課題の最小化に努めます。その実行にあたり、環境負荷低減のための目標を設定し進捗・管理と改善を継続して行うと同時に、環境負荷低減にむけた教育や研修にも注力いたします。
推進体制
ヤマハ発動機グループでは、取締役を委員長とする「環境委員会」を国内外における環境活動の中核を担う組織として位置づけています。この委員会が、環境にかかわる活動の方針やビジョン、中長期の環境計画、環境保全に関連する戦略投資案件、環境モニタリングに関する事項および課題への対応、そのほか環境経営に関する重要課題についての審議を行っています。審議された方針や活動については、必要に応じて取締役会に報告を行っています。
環境連結対象範囲
環境マネジメント上重要と判断したヤマハ発動機および連結子会社130社を含む全149社を対象範囲としています。(2023年12月末時点)
統合マネジメントの強化推進
グローバル環境ISO14001統一認証による環境ガバナンス強化
ヤマハ発動機グループでは、サステナビリティ基本方針「地球環境」の下、グローバルに統一された環境マネジメントシステム(以下、グループ環境MS)を構築しています。日本・アジア・欧米・南米など各地の製造会社を中心にISO14001統一認証を推進するなど、グループ全体で環境活動レベルの継続的改善に取り組んでいます。
グループ環境MSでは、各社のトップマネジメントの責務として、環境MSに関連する役割・権限の決定、推進体制の整備、自社の活動が適切に運用されているかのモニタリング、マネジメントレビューを実施し必要な指示を行うことで、実行性のある環境マネジメント活動を推進しています。また、グループ各社のマネジメントレビュー結果を集約し、ヤマハ発動機社長執行役員に対してグループ全体のマネジメントレビューを実施することで、グローバルな環境ガバナンスの強化に努めています。
各社はコンプライアンス最優先の下、ステークホルダーのニーズの把握、事業の環境活動に関わるリスクと機会の評価に基づき重要リスクを特定し、環境リスクの低減並びに汚染の予防に取り組んでいます。また、環境内部監査を通じてシステムの適合性、有効性を検証しシステムの継続的な改善を図っています。
2020から2023年度の4年間において、各社で環境法令に関する違反、および、罰金は発生しておりません。
グループ環境ガバナンス強化のため、独自に構築した情報ネットワーク『G-YECOS※』を活用し、環境方針の展開、環境活動の共有、環境データの収集など、マネジメントシステムの強化、効率化に取り組んでいます。
※G-YECOS:Global Yamaha Motor Environment & CSR Operation System グローバル環境&CSR運用システム
グローバル環境&CSR運用システム
ヤマハ発動機グループでは、独自のグローバル環境&CSR運用システム(G-YECOS)を活用し、グループ各社の環境情報やCSR活動の共有と見える化を促進することで、本社を含めたグループ会社間の双方向コミュニケーションの向上に役立てています。さらに、ステークホルダーへの情報開示を目的とした各種環境データの収集や分析を適時適切に行うためのツールとしても活用しています。環境を含めたESG情報のヤマハ発動機グループのポータルサイトとして今後もシステム活用の有効性を高めていきます。
統合マネジメントシステムの採用
ヤマハ発動機では、環境と安全のマネジメントシステムを一体で運用する「統合マネジメントシステム」を採用し、現場の業務改善や効率化に効果を上げています。PDCAサイクルによる継続的な改善を実践することにより、マネジメントシステムの実効性、有効性の向上を図っています。
統合システム監査では、社内資格を保有する監査員が独自の育成システムで計画的にスキルアップを図り、プロセス指向の監査を実施することで、現場の業務改善につなげています。また、監査の重点項目を年次で設定しグループ全体へ展開することで、ガバナンスの強化につなげています。
ライフサイクルアセスメント
事業活動 | 環境負荷低減の取り組み | 地球温暖化への影響(CO2排出量) |
---|---|---|
研究・開発 |
開発段階 |
Scope 1.2に含まれる |
調達 |
調達段階 |
Scope 3 |
生産 |
生産段階 |
Scope 1 |
物流・販売 |
物流段階 |
Scope 3 |
製品の使用 |
使用段階 |
Scope 3 |
回収・リサイクル |
廃棄段階 |
Scope 3 |
環境法令遵守と製品含有化学物質管理の強化
近年、各国で製品含有化学物質の使用規制が強化され、規制物質も飛躍的に増加しており、製品含有化学物質管理は以前にも増して会社経営において非常に重要な課題となっています。ヤマハ発動機グループは、ストックホルム条約、日本(化審法)、欧州(REACH規則、RoHS指令等)、北米(アメリカTSCA及び各州法、カナダCEPA)等をはじめとする各国法規動向のモニタリングを行うと同時に、製品含有化学物質管理部会を設け、製品含有化学物質管理の体制構築と各国法規に対するヤマハ発動機グループ方針策定、活動推進、活動状況の確認等を行い、PDCAサイクルを回しながら、日本国内のみならず、海外各工場における活動の展開を着実に進めています。全従業員に対するアスベスト管理を中心としたEラーニングを実施するなど従業員教育にも力を入れるとともに、規制物質への対応にとどまらず、将来規制が予想される鉛のフリー化など時代を先取りした活動も実施しています。
グリーン調達ガイドライン
ヤマハ発動機グループは、「グリーン調達ガイドライン」によって環境負荷物質の管理と削減、資源エネルギー効率活用などをサプライヤーと共に進めています。
各国・各地域の大気汚染改善への貢献
ヤマハ発動機は、工場から排出する環境負荷物質を法・条例等に則って管理し、設備の運転条件適正化によるNOxの生成抑制、熱効率改善による燃料使用量の削減、低窒素・低硫黄燃料への切り替え等の活動を通して、環境負荷物質の排出削減を図っています。
生産活動におけるVOC排出の低減
ヤマハ発動機グループでは、人体や環境にとって有害となる化学物質の排出物や廃棄物などへの含有量について、各国の規制に準じて把握・報告を行っています。また、ヤマハ発動機が排出するPRTR制度報告対象物質の99%以上はVOCとなっており、そのほとんどは塗装工程に関わるものです。
ヤマハ発動機グループではVOCの含有が少ない塗料の採用拡大や塗着効率の改善、廃塗料の削減を今後も引き続き推進していきます。2023年度は、塗装面積当たり排出量は原単位で96g/m2となり目標を達成しました。
サプライヤーと連携した環境活動の推進
2019年から、環境施設部門が調達部門と連携してサプライヤーに対して環境活動推進の支援を行っています。具体的には、国内外のサプライヤーの中から環境影響の高いと思われる会社を選定し、環境施設部門が電力測定やロスの洗い出しを行い、アドバイスとノウハウ伝授をします。これを受けて活動を始めたサプライヤーは自社の他工場への展開を図ります。今後、年ごとにサプライヤーを変更しながら拡大し、サプライヤーを含めてグループ一丸となって活動を推進していきます。
2023年は各国主要サプライヤー約230社を集めた会議に於いて、原材料や省エネルギーなど弊社のカーボンニュートラルに関する取組み状況の説明を実施し、弊社の考え方と方向性を共有しました。
従業員への環境意識啓発
ヤマハエコポイント制度の導入
ヤマハ発動機では、2008年1月から従業員に対するヤマハエコポイント制度を導入しています。この制度は、エコ通勤への参加や、クリーン作戦などエコ活動をポイント化し、年間ポイントの獲得と活動項目数に応じて、エコ賞品が選べる仕組みになっています。
イントラネットを活用したエコマインドの醸成
ヤマハ発動機のイントラネットでは、エコ通勤活動やボランティア活動への参加状況の報告をはじめ、ビーチや会社施設周辺などを対象にしたクリーン作戦、近隣地域・社会での環境コミュニケーション活動についての報告をタイムリーに情報発信しており、従業員の環境に対する意識向上や参加意欲の醸成に取り組んでいます。
電子メールでのESG関連情報の配信
2019年1月から、環境情報を含むESG関連情報をヤマハ発動機本社と国内グループ企業に毎月1回、電子メールで配信するとともに同じ内容の記事をイントラネットで掲載して海外グループ会社からもアクセスできるようにしています。
これまでの記事では、環境問題を取り巻く外部環境、当社が発表した「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」などを説明しています。
環境教育
アメリカのイーストサイド小学校教諭からのパートナーシップ(助成金と支援の提供)の依頼によりヤマハ・モーター・マニュファクチュアリング(YMMC)は、生徒たちが自然環境を学ぶ環境教育プロジェクトを立ち上げました。生徒たちは、生態系や食物連鎖、汚染など環境課題についてウェストポイント湖周辺の大自然の中で学ぶ貴重な体験をし、小学校の中で大気環境を改善する方法を考え出し、植樹を行いました。