YAMAHA 電動アシスト自転車30年の歴史
Marking Thirty Years as the Pioneer of the e-Bike
電動アシスト自転車のパイオニア
YAMAHA 電動アシスト自転車30年の歴史
グローバル規模で力強い成長を続ける電動アシスト自転車。その始まりは、ペダルを漕ぐ人の力とモーターの力を人間感覚に違和感なく融合する「Power Assist System」を搭載し、全く新しい乗り物として世界で初めて認可され、商品化されたヤマハPASでした。1993年のことです(地域限定販売)。
初代モデル発売以来、当社では“人間感覚を最優先する”という開発当初の意図を受け継ぎながら製品の進化熟成を重ね、なかでも人間の感覚に違和感のない、きわめてなめらかでパワフルなアシストを追求。まるで後ろから誰かに押してもらっているかのような乗り心地と高い評価をいただいています。
ヤマハPAS誕生30年の節目を迎える2023年、改めてお客さまに感謝をお伝えすると共に、これからも技術や製品をさらに進化させ、日々の生活を豊かに楽しくする製品を世界中のお客さまへお届けしていく所存です。
1989
プロトタイプ
ヤマハ発動機では1970年代後半からエネルギー問題、地球環境問題、交通問題、少子高齢化問題など、さまざまな社会問題対応のひとつの糸口として、パーソナル・モビリティの原点である自転車の有用性に着目。自転車の持つ手軽さや利便性を活かしながら、自転車の基本的弱点(坂道や向かい風、荷物積載時の負荷など)を効果的に補い、誰もが快適に乗れるパーソナル・コミューターとして「ペダル踏力に比例したモーター駆動補助機能付き自転車」を開発した。
1993
初代PAS誕生
ペダルを踏み込む力を検知する「トルクセンサー」と車速を検知する「スピードセンサー」、コンピュータを内蔵した「コントローラー」、さらに補助動力を発生させる「電動モーター」を含むドライブユニット」、そしてシステム駆動用の「バッテリー」からなる「Power Assist System」を搭載し、電動モーターが漕ぐ力とほぼ同じ力でアシストする電動アシスト自転車を世界で初めて製品化、発売した。
1995
脱着式ニッケルカドミウム電池搭載モデル登場
鉛バッテリーに比べ、軽量で外気温度による特性変化が少なく、安定した電流供給とサイクル寿命(繰り返し充・放電の回数)に優れた脱着式のニカドバッテリーを採用。車載充電のほか、バッテリーを車体から取り外して室内に持ち込んでの充電も可能になり、利便性向上を図った。
1999
バッテリーマネジメントシステム「I.F.E.S.(Intelligent Flexible Energy System)」採用
バッテリーの性能をフル活用するため、バッテリーマネジメントシステム「I.F.E.S.(Intelligent Flexible Energy System)」を開発。
バッテリー、充電器、車両コントローラーの主要3部品に互いの状況・情報を共有・交換し合う機能を持たせたコンピュータを搭載。常に変化するバッテリーの状況(電流、電圧、使用頻度、使用状況、バッテリー温度など)を充電器及び車両コントローラー側へ送ることで、バッテリーの維持・管理が簡単に。バッテリーのメモリー効果を防ぐリフレッシュ操作を必要に応じて自動で行う機能付き。
2003
小型軽量センターマウント式ドライブユニット登場
さらなる使いやすさを追求し、希土類磁石のブラシレスDCモーターを搭載した小型軽量センターマウント式ドライブユニットを開発。チェーン合力方式の採用と併せて高効率・低ロス化を図りスムーズでパワフルな走行が可能に。また、非接触磁歪式トルクセンサーの採用により、ペダルの抵抗感を減少させ、アシスト走行時以外でも普通の自転車同様の軽やかな漕ぎ心地を実現。ドライブユニットをペダル付近に集中搭載することで、取り回しの良い重量バランスも図った。
2004
リチウムイオンバッテリー採用
小型軽量ながらも出力特性に優れたリチウムイオンバッテリーを採用。同サイズのニッケル水素バッテリーに比べて容量32%増、25%の軽量化を達成。また、大電流での放電特性に優れている上、メモリー効果がないため、継ぎ足し充電も可能。スタンド式充電器の採用と合わせて、充電操作の簡便化を実現。また、このリチウムイオンバッテリーの特長を活かし、走行モードにパワフルな走行フィーリングを可能にする「パワーモード」を設定した。
2008
「PAS Brace」誕生
累計出荷台数100万台達成
電動アシスト自転車の楽しさを提案するモデル「PAS Brace」が誕生。内装8段変速機をはじめ、高剛性ダイヤモンド型フレームやフロントサスペンション、前後Vブレーキ、セミスリックタイヤ、角度調節機能付きアヘッドステムなど、高い走行性能を実現する機能装備を採用。外観も走行性能を表現した上質なスタイルとした。
またこの年、ドライブユニット累計出荷台数100万台を達成した。
2013
欧州市場向けe-Bikeシステムキット供給ビジネスの開始
新システムキット「PWシリーズ」登場
世界でも有数のe-Bike(スポーツ電動アシスト自転車)市場となった欧州の自転車メーカーへ、ドライブユニット・バッテリー・ディスプレイ・スイッチ・充電器から構成される「e-Bikeシステムキット」の供給をスタート。
また同年、新しいシステムキット「PWシリーズ」を欧州市場向けに開発。小型軽量・高性能(スプロケット除く重量3.5kg、最大ピークトルク80Nm、連続最大トルク70Nm)を達成したクランク合力タイプのセンターマウント式ドライブユニットで、車体搭載時のレイアウトの自由度の高さを求める、欧州市場のニーズに応えるものであった。
2015
新感覚のスポーツ電動アシスト自転車「YPJ-R」発売
これまでにないスポーツ自転車の楽しみ方を提案しようと、高性能なスポーツ自転車の長所と、自転車の短所を補う電動アシスト機能を融合させた新感覚のスポーツ電動アシスト自転車「YPJ-R」を発売。小型軽量のシステムキット「PWシリーズ」を搭載し、軽さと高い走行性能を備え、これまでの「移動を楽にする」という電動アシスト自転車の価値に「走りの楽しさ(爽快感)」を加味するモデルとなった。
また4月にはドライブユニットの累計生産台数が300万台に到達。
2018
e-MTB「YDX-TORC(日本名:YPJ-XC)」誕生
アメリカ市場に進出
MTBでの走行に特化して開発したプレミアムクラスのドライブユニット「PW-X」を搭載したe-MTB「YDX-TORC(日本名:YPJ-XC)」を発売。ヤマハならではのパワフルかつ滑らかで、乗り手の動きに素早く反応するハイレスポンスなアシストフィーリングやe-MTBとしての走りを最大限に楽しめる高い走行性能を実現。
また急速に拡大している米国のe-Bike市場に参入し、先述の「YDX-TORC」をはじめ、ドロップハンドルのロードバイク「Urban Rush(日本名:YPJ-ER)」、フィットネスバイク「CrossCore(日本名:YPJ-EC)」、日常使いに便利なシティバイク「CrossConnect(日本名:YPJ-TC)」の4機種を投入した。
2019
ドライブユニットの累計生産台数500万台到達
1993年より製造を開始した電動アシスト自転車用ドライブユニットの累計生産台数が500万台に到達。
2020
フラッグシップ フルサスペンション
e-MTB「YPJ-MT Pro」誕生
オフロードモデル「YPJ-MT Pro」を発売。当社e-MTBのフラッグシップモデルとして、「Fun and Exciting unusual experience」をコンセプトに開発した。パワフルで高いクランク回転数(ケイデンス)に対応した小型・軽量ドライブユニット「PW-X2」を、トップチューブとダウンチューブがそれぞれ左右に2本に分かれ車体剛性と重量バランスに優れた「YAMAHA Dual Twin® Frame」に搭載。さらにマウンテンライドに適した前後サスペンション、クワッドセンサーシステムの採用など、ヤマハらしいテクノロジーを随所に採用した。
2022
ヨーロッパ市場にe-Bike完成車投入
「YDX-MORO 07(日本名YPJ-MT Pro)」「WABASH RT」「CROSSCORE RC」3機種発売
ヤマハが考えるe-Bikeの魅力を体感いただきたいと、当社にとってはユニット販売が中心であった欧州に、完成車である「YDX-MORO 07(日本名:YPJ-MT Pro)」「WABASH RT」「CROSSCORE RC」の3機種を投入。
「YDX-MORO 07(日本名:YPJ-MT Pro)」は、さらに軽量・小型ながら、力強いトルクを発揮する新型ドライブユニット「PW-X3」を「YAMAHA Dual Twin® Frame」に搭載、コンパクトなスイッチ&メーターやライディング性能を向上させる最適なMTBコンポーネントを採用した本格オフロードモデル。
「WABASH RT」は、オンロードでの快適性とオフロード(林道・砂利道などの未舗装路)での走破性を両立したグラベルバイク。
「CROSSCORE RC」は、街中での通勤・通学などのコミューティングから郊外のロングライドまで快適に走行できる、オールマイティなクロスバイク。