IT セキュリティ

セキュリティの脅威から、ITシステム・IT環境を守るミッション。

IT技術の進化と普及は、人々の暮らしや仕事に革命といえるほどの利便性をもたらした。同時に、企業や団体では悪質なサイバー攻撃からITシステムをいかに守るかが重要になっている。ヤマハ発動機においてそのセキュリティを担当しているエンジニアの一人が拝形だ。

「会計システム、生産システム、開発システム、販売システムなど、社員は業務の中で日々、何らかのシステムを利用しています。例えば、もしお客さまのデータを扱っているシステムが攻撃を受けて個人情報が漏えいしてしまったら、お客さまからの信頼を一気に失ってしまいます。もし生産システムが攻撃を受けて止まってしまったら、社員は働くことができなくなってしまいます。こうしたリスクに対して、安心してシステムを利用してもらうためのセキュリティ対応に取り組むことが私たちのミッションです」

では、どのようにシステムを守るのか。

「方法はいろいろあります。家の防犯に例えると、空き巣を防ぐためには鍵を締めますよね。まず外からシステムに入れないようにすることが基本となります。他にも玄関に監視カメラを設置する、番犬を飼う、などの方法が考えられるように、ITでも『攻撃者から狙われにくくする』『侵入されたらすぐにアラートを発するようにする』といった対策を講じます」

攻撃の手法も巧妙化しているため、常に情報収集が欠かせない。

「世の中のセキュリティ事故の事例やセキュリティリスクの情報には日頃から注目しています。より深い情報を得るために、セキュリティ専門家のセミナーに参加することもあります。勉強に終わりはありません」

セキュリティ、コスト、労力のバランスを意識。

仕事の喜びを感じる瞬間は「セキュリティに関するアドバイスや支援を通じて社員から感謝された時」だという。

「以前、ITシステムの開発過程で『危険な状態に自動的に気付く仕組み』を導入しました。それまでは対面で打ち合わせをして、セキュリティに関する設定について一つひとつ確認する必要がありました。しかし、その方法だと私たちセキュリティ部門もシステム開発部門も、時間と労力がかかります。そこで自動的にセキュリティ設定を確認できるツールを導入。システム開発担当からは『確認の手間が大幅に減った上、危険な状態にも気付きやすくなった』と感謝されました」

拝形は、セキュリティ、コスト、労力のバランス調整を常に意識している。

「セキュリティ担当なので、もちろん安全な状態を追求したい。ただ、そのためにはコストと労力もかかります。常にセキュリティを最優先にすればよい、と考えるのではなく、バランスを取っていくことが非常に大事だと思っています」

その考えの背景には「ヤマハ発動機の風土も守りたい」という思いがある。

「ヤマハ発動機には挑戦する風土があります。セキュリティを高め過ぎることで業務中の負担や制約を増やし、挑戦の足かせになるのはよくないと考えています。大事なのは挑戦できる環境を整えつつ、IT環境のセキュリティをサポートすること。この2つをどう両立させていくかをいつも意識しています」

「お客さまとつながる」をセキュリティ面から支える。

ヤマハ発動機でセキュリティを担当する醍醐味は、多彩な事業の動きを把握できることだと話す。

「私たちはバイク、マリン、ロボティクスなど、日頃からさまざまな部署の人と会話する機会があります。それぞれの部署がこれから何を目指していくかを知ることも多く、その点は多彩な事業を展開しているヤマハ発動機のセキュリティ担当ならではの面白さだと思います」

ヤマハ発動機ではデジタルトランスフォーメーション（DX）戦略を推進している。最新デジタル技術やデータのさらなる戦略的活用を図ることが目的だ。

「DX戦略における大きなテーマの一つが『お客さまとつながる』です。これからヤマハ発動機はデジタル技術を活用し、パーソナライズされた新しい製品・サービス体験をお客さまに提供することに力を注いでいきます。お客さまのデータを従来以上に活用して事業活動を展開していくことになるため、安心・安全なシステムを整えることがますます重要です。セキュリティ担当としてしっかりと支え、お客さまに高い満足と感動を届け続けることのできる体制づくりに貢献していきます」