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社長インタビュー - アニュアルレポート2017

社長インタビューをご覧いただけます。

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INTERVIEW WITH THE PRESIDENT

社会の価値観の変化を正しく見極め、
ヤマハ発動機らしい価値創造に挑戦することで、
さらに大きな個性的な会社にしていきます。

代表取締役社長
社長執行役員

日髙 祥博

以下項目について社長インタビューをしました。

就任にあたって

「ひとまわり・ふたまわり大きな個性的な会社へ」という大きな方向性を変えることなく、成長のスピードを速めていきます。

 本年から代表取締役社長に就任した日髙祥博です。
 私は1987年に、ヤマハ発動機に入社しました。学生時代からオートバイが好きで、なかでも洗練されたヤマハのバイクが大好きでした。また、就職活動中に、気さくで対等に話してくれる社員の方から、フラットでオープンマインドな会社の雰囲気を感じたことも、よく覚えています。
 入社してからは、まず調達担当として原価低減活動に携わり、その後、海外駐在を経験し、モーターサイクル事業では、事業部長として国内外の多くのプロジェクトに関わるなど、さまざまな業務を経験してきました。こういった仕事を通じて、「ヤマハらしさ」を大切にする、チャレンジ精神豊かな先輩たちから、多くを学べたことは私の財産です。
 2010年にスタートした柳・前社長の時代からの流れを見ると、2017年の業績からも、収益性の改善や財務体質の強化は一定のレベルに達してきたと認識しています。私は、これまでの「ひとまわり・ふたまわり大きな個性的な会社へ」という大きな方向性を変えることなく、ものづくりで輝く会社としてさらに実力を上げていくとともに、マーケティングやプランニングを強化することで、危機感を持ちながら成長のスピードを速めていきたいと考えています。

変化する時代の中で

電動化の波は、二輪車業界にも確実に押し寄せてきます。ヤマハらしい、お客さまをワクワクさせる新製品を提案していきます。

 時代は大きな変革期を迎えています。2015年にパリ協定が採択されたことを受け、気候変動への対応に向けた企業の取り組みへの期待が高まってきました。自動車業界に押し寄せている電動化のスピードはますます速まり、当社も無縁ではいられません。趣味性の高い大型二輪モデルやマリン製品、ROVなどではエンジンが残っていくと思いますが、小型モビリティの電動化は確実に進んでいくでしょう。当社は、世界で初めて電動アシスト自転車を発売し、電動スクーターも早くから手掛けています。私たちは、この分野で積み重ねてきた技術をさらに磨き、小型電動モビリティのリーディングカンパニーとして競争力を高めていきます。
 モビリティの世界は、電動化に加え、インターネットとのコネクティビティとAIとの融合によって自動運転に向かっていくと考えられています。私は、電動化はリスクである一方で、自動運転はチャンスであると認識しています。リスクへの対応としては、電動化商品のラインアップ拡充を最優先課題として取り組んでいきます。さらに、これまでに培ってきた画像認識や制御技術をもとに自動運転への提案を強化することで、成長戦略を推進していきたいと考えています。
 当社は、新しいことに挑戦する企業風土を持ち、世の中にはない新しい価値を提案することで、これまでにない市場の創造にチャレンジしてきました。これからの時代に「何が価値を生むのか」「社会に何が受け入れられるのか」を原理原則に基づいて見極めながら、ヤマハらしい、お客さまをワクワクさせる新たな製品を提案することで市場を活性化し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

2017年の振り返り

収益性改善や財務体質強化の成果により、2017年の営業利益は過去最高となりました。

 2017年は、先進国・新興国ともに緩やかな好景気が進行し、為替も安定した経営環境のもと、アセアン・ブラジルの二輪車事業、マリン事業、ロボティクス事業、SPV(スマートパワービークル)事業と多くの地域・事業で増収増益となりました。
 売上高は1兆6,701億円(前期比1,673億円・11.1%増加)、また、プラットフォーム開発、コストダウン、プライシング等、これまでの収益性改善の取り組みにより、営業利益は1,498億円(同412億円・37.9%増加)と過去最高を達成しました。営業利益率は9.0%と、中期経営計画の目標を達成しました。
 当社は、財務体質と収益性を総合的に評価するKPIとして、ROE(自己資本利益率)を重視しています。本中計では15%の水準を目指しており、2017年は17.6%で対前年+5.3ポイントと大きく改善しました。ROEの3つの要素、当期純利益率は6.1%(+1.9ポイント)、総資産回転率は1.22回(+0.08回)、自己資本6,228億円(+886億円)となり、自己資本比率は42.5%の目標値を超え44.0%となりました。フリー・キャッシュ・フローは、売上増加に伴う運転資金(在庫・売掛金)の増加をSCM(サプライチェーンマネジメント)の取り組みで適切値に抑え、通常投資を抑えることにより、+731億円と2年連続大幅なプラスとなりました。この結果、ネット借入金は1,979億円まで減少し、ファイナンス事業に係る借入金2,487億円を除けば、実質無借金にまで財務体質が改善しました。また、2017年の配当金につきましては、年間88円とさせていただきました。今後も運転資金の効率化を進めることで、機動的な成長投資と積極的な株主還元に備えていきます。

ROE

(%)

グラフ

当期純利益率

(%)

グラフ

総資産回転率

(回)

グラフ

自己資本・自己資本比率

(億円)(%)

グラフ

中期経営計画数値目標

連結売上高
2兆円
連結営業利益
1,800億円
連結営業利益率
9.0%
自己資本比率
42.5%
ROE(3年平均)
15%程度
コストダウン(3年間)
600億円

売上高・営業利益・営業利益率

(億円)

グラフ

2018年の取り組み

中期経営計画の最終年度となる2018年は、年度計画の達成を目指すとともに、その先の未来を描いていきます。

 当社は、モビリティ、マリンといった既存事業の成長を加速させることで、数年以内に売上高2兆円、「ひとまわり大きいヤマハ」の実現を目指しています。2018年は、2019年にスタートする新中期経営計画や、2030年に向けた長期ビジョンを策定する年になります。
 2018年の業績については、これまでに取り組んできたプラットフォーム化、原価低減、SCM改革等をさらに推進することで、売上高1兆7,000億円、営業利益1,500億円を見込んでいます。これは、対米ドルの円高リスクと成長戦略費用の積み増しを織り込み、米ドル105円・ユーロ130円のレートを想定した数値ですが、米ドルが2017年並みの110円であれば、65億円の営業増益となり中期収益性目標を達成する水準です。
 当社は、株主の皆さまの利益向上を重要な経営課題と位置付け、企業価値の向上に努めています。配当につきましては「安定的財務基盤を維持・強化し、新しい成長投資・株主還元を増やす」ことを主眼に、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当性向の目安としています。2018年の配当金につきましては、連結業績予測に基づき、年間90円(中間45円、期末45円)、6期連続の増配を予定しています。

当期利益・年間配当

(億円/円)

グラフ

ヤマハの可能性

コア技術を基盤に新たな価値を創造し、「ヤマハはこうきたか」という感動をお届けしていきます。

 ヤマハ発動機は、「パワートレイン技術」「車体・艇体技術」「制御技術」というコア技術に「生産技術」を組み合わせ、「発・悦・信・魅・結」のヤマハらしさを追求することで新たな価値を生み出し、新たな事業として成長させてきました。例えば、電動アシスト自転車は1993年の発売以来25年で売上300億円規模に、生産ラインのロボットを社外販売することからスタートしたIM(インテリジェントマシナリー)事業は600億円規模に成長しています。また「広がるモビリティの世界」という方向性を掲げてのさまざまな取り組みから2014年には、フロント2輪のコミューターLMW(Leaning Multi Wheel)を提案しました。これは小型のコミューターでスタートし本年には大型のモーターサイクルを発売します。そしてヤマハ発動機はこれからも、「ヤマハはこうきたか」と、お客さまをワクワクさせる新たな製品を提案していきたいと考えています。

※LMWは、モーターサイクルのようにリーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両の総称。

TRICITY
TRICITY
NIKEN
NIKEN

未来を創造する基盤

「ふたまわり大きなヤマハ」の実現に向けて、技術、組織、人材の成長戦略を進めていきます。

 「ふたまわり大きなヤマハ」を実現するには、当社の成長を担ってきたモビリティ技術に加え、これまでに培ってきた画像認識技術、ロボティクス技術、生産技術などが力を発揮していくと考えています。2017年は「種まき」が少しずつ具体的な形になってきた年でした。例えば、ロボティクスを応用した独自技術が「セルハンドラー」としてメディカル分野のソリューション提供につながったり、ゴルフカーベースの低速自動運転システムが国内各地で実用化試験に使われたり、また、さいたま市で進めるEV二輪車レンタルではE-Vinoが活躍するといった成果があがっています。2018年は、米国ラスベガスで開催されるCES(Consumer Electronics Show)に初出展し、ロボティクス、自動運転システム、ドローンといった当社の固有技術を発信し、社外との融合機会を広げていこうとしています。
 「種まき」から生まれた新事業の事業化のスピードアップに向けて、2018年1月に組織変更を行いました。新たなモビリティ分野を担う「モビリティ技術本部」、新規事業企画機能とデジタル戦略の推進および先進技術開発機能を融合した「先進技術本部」を新設したほか、「ソリューション事業本部」では産業用ロボットで培った技術と無人ヘリのノウハウを融合させた新たな事業戦略を加速させていきます。
 グローバル人材の育成とダイバーシティの推進も重要な取り組みです。当社は次世代グローバル経営幹部の育成に向けた研修を実施してきましたが、これまでに累計132名が修了しています。グローバル新卒採用は86名を数え、新卒総合職の10%を占めるまでになっています。さらに執行役員にも2名の外国人を登用しています。多様性は新たな価値を生み出すための企業風土となります。女性の活躍の場も徐々に広がってきました。2018年には、当社初の女性海外拠点長や、本社部長が誕生しました。 研修生を含む海外駐在員も10名と前年から倍増しており、今後も女性が働きやすい環境づくりを推進していきます。

ゴルフカーベースの低速自動運転システム
ゴルフカーベースの低速自動運転システム
CELL HANDLER
CELL HANDLER™(セルハンドラー)
産業用ロボット(表面実装機)の技術を応用し、メディカル分野へのソリューションを提供

ステークホルダーの皆さまへ

ヤマハ発動機は企業の社会的責任を果たし、社会と感動を共有しながら成長していきます。

 持続可能な世界を実現するための国際目標として、2015年9月に国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals)が採択され、また、ESG視点での企業評価や投資が拡大するなど、企業が社会から求められる役割が変化しています。当社は、モビリティにおけるEV化を通じた気候変動への対応や、ロボティクスの推進による人手不足への対応など、事業活動を通じた社会的課題解決への貢献が企業の社会的責任であると考えています。
 当社は、ステークホルダーとのコミュニケーションや、地域・社会・地球環境との調和を大切にしながら成長する企業を目指しており、この考えのもと2017年に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、国際社会において人権・労働・環境・腐敗防止を通じて持続可能な成長を実現するための活動推進への決意を社内外に宣言しました。例えば、マリン事業に関わりの深い「水」に関する取り組みを進め、海洋資源開発に向けた「Team KUROSHIO」への技術者派遣や、沖縄の海を守る自然保護活動「チーム美らサンゴ」の支援を行ってきました。また、アフリカにおいて浄水装置の提供も行っており、これにより村落の人たちは安全な水にアクセスできるようになっています。
 私たちは、これからも「ヤマハらしさ」を磨き、新たな価値を生み出すことで、この会社をひとまわり・ふたまわり大きな個性的な会社に育てながら、サプライチェーンに配慮して長期的な持続的成長を実現し、皆さまのご期待にお応えできるよう、全力で取り組んでまいります。
 ステークホルダーの皆さまにおかれましては、中長期的な視点から、当社へのご理解・ご支援をいただきますようお願い申し上げます。

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