特集 - アニュアルレポート2017
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SPECIAL FEATURE
モビリティとロボティクスの可能性を広げる先進技術
人とマシンが共に響き合うパーソナルモビリティ
「MOTOROiD」(モトロイド)は“人とマシンが共に響き合うパーソナルモビリティ”を目指した概念検証実験EVモデルです。知能化と自律技術を適用した高度なバランス制御を実装し、マシンが自らの状態をセンシングして重心移動によって起き上がり、そのまま不倒状態を保つ“移動の道具”を超えた新しいモビリティです。
AIと自律機構がライダーにもたらすエキサイティングな走行体験
「MOTOROiD」(モトロイド)は、人機官能に基づく新しい感動体験の創出を目的に、“アンリーシュド・プロトタイプ”(UNLEASHED PROTOTYPE:常識からの解放)をコンセプトに開発しました。AIによって人の顔や動作を認識して立ち上がり、ライダーのもとへやってきます。そして体を預けてハンドルを握ると、ライダーのスキルや運動能力に関わらずエキサイティングなスポーツライディングを提供します。
「MOTOROiD」(モトロイド)に搭載されている、“AMCES”※は、二輪車の車体を電子制御し、安定化させることを目指したヤマハ独自の技術です。車体をアクティブ制御することで、常に車両の姿勢を最適に維持し、車両自身で不倒静止・前進することが可能となっています。ヤマハはこうしたチャレンジに取り組みながら、新しい価値を生み出す技術の獲得を目指しています。
※AMCES:アムセス(Active Mass CEnter control System)。二輪の車体を電子制御で安定化することを目指した技術。車体をアクティブ制御することで、常に車両の姿勢を最適化するシステム。
デザイナーとエンジニアが同じスタジオに集い、共同で次世代製品を開発
2016年12月に完成したヤマハの新たなデザイン拠点、「イノベーションセンター」。そこではこれまでにない試みとして、デザイナーとエンジニアが同じスタジオに集い、共同で次世代製品の開発を行っています。「MOTOROiD」(モトロイド)は、「デザイナーとエンジニアによる共創」という新しい試みで誕生した自律モーターサイクルです。あるときはデザイナーがフレームやメカニズムを考案し、またあるときはエンジニアが仕上がりの美しさまで配慮するなど、担当業務の枠組みを超えた共創作業で生まれた「化学変化」は、大きなイノベーションをもたらしました。
ヒト型自律ライディングロボット
MOTOBOTとは、未知の領域を開拓する自律ライディングロボットです。MOTOBOTの特長は、近年取り組まれている自動車の自動運転化の方法とは異なり、乗り物本体は改造せず、ヒト型ロボットが通常の車両を運転するところにあり、操る側からのアプローチで自動運転に取り組んでいます。この開発で培った高度な技術や知見は、マリンジェットやスノーモビルなどのモビリティへの展開など新たな価値創造の広がりも期待できます。
MOTOBOTの技術
MOTOBOTは、スピード・エンジン回転数・姿勢などの情報をもとに、搭載した6つのアクチュエータ※を制御し、自律的な車両の運転操作を行います。今後は自車位置を認識する技術(高精度GPSや各種センサなど)や機械学習により、サーキットコースの最適ラインやマシン性能の限界をMOTOBOT自らが判断し走行することを目指します。また、車両を操作・運転する人側の情報の可視化、およびそれに対する車両の挙動の関係性を解明し、より高性能でより安全なモビリティの新しい価値創造の実現を目指します。
※ステアリング・アクセル・フロントブレーキ・リアブレーキ・クラッチ・シフトペダルを操作
オープンイノベーション
MOTOBOT開発はオープンイノベーション型のプロジェクトとして進めており、世界を主導する研究・技術開発機関であるSRIインターナショナルを当プロジェクトにふさわしいパートナーと位置付けて、共同開発を行っています。
時速200キロ以上の自律走行を実現
2015年の第44回東京モーターショーでVer.1を発表以来、ハードウェアの刷新、ソフトウェアの改善など、二輪自律走行技術の作り込みを行い続け、新たにVer.2を開発しました。2017年9月には、マイルストーンの一つ、時速200キロ以上の自律走行を達成しています。