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技報【バックナンバー】

ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW
技報No.39 表紙

ヤマハ発動機 技報 No.39(2005年3月)

特集:ユビキタス領域周辺の技術

特集
技報No.39 特集1 説明画像

ヤマハ発動機のユビキタス技術 PDF

鈴木 正人

今回の技報の特集は「ユビキタス技術」です。「ユビキタス」とはラテン語を語源とする英語で、「(神のごとく)遍在する」という意味の言葉です。ユビキタス・コンピューティングとは、「人間の生活環境の中にコンピューターチップとネットワークが組み込まれ、ユーザーはその場所や存在を意識することなく利用できるコンピューティング環境」をいいます(出所:情報マネジメント用語事典)。私たちの身の周りでは、今まさにユビキタス社会が始まろうとしています。携帯電話から会社のコンピューターにアクセスすることが、可能になろうとしています。また、PDA(Personal Digital Assistants)やマイクロプロセッサーが内蔵された情報家電、カーナビ、そしてコンビニに設置されているマルチメディア端末などがネットワークで接続され、場所を問わず遠隔地のほかのコンピューターを利用できるようになりつつあります。つまり、ユビキタス技術により、私たちの生活はどんどん「便利」になっています。家電産業や情報産業はこれらの技術により、私たち顧客に「便利さ」という価値を提供しようとしています。これは自動車の世界も同様で、カーナビをはじめとしてITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)など、すばらしく「便利」になってきました。
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技報No.39 特集2 説明画像

ヤマハASV-3(先進安全自動車)の開発 PDF

大富部 寿一/大場 純一/内田 吉陽/般若 洋征/安藤 裕介

ASV(Advanced Safety Vehicle)とは、先進安全自動車を意味し、国土交通省が推進するASV推進計画に従って、産・官・学の協力により活動を行っている。この活動では、ASVを交通事故を防ぐためのものと位置づけ、安全な車両を開発し、実用化・普及する対策を行っている。ヤマハ発動機株式会社(以下、当社)は第2期ASV(1996~2000年)、第3期ASV(2001~2005年)において、二輪車を対象に活動している。具体的には、二輪車単独、または他車両や道路インフラとの連携での安全技術の開発を行っている。当社は2004年10月に開催された、第11回ITS(Intelligent Transport Systems)世界会議愛知・名古屋2004において、ヤマハASV-3(提案車)を出展した。ITSとは、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報ネットワークで結ぶことにより、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい交通システムである。そのため、安全だけでなく、利便性も加えた技術の提案とした。以下に、ASV-3に搭載された4つのシステムを紹介する。
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技報No.39 特集3 説明画像

小型電動二輪車のための燃料電池システム PDF

安達 修平

ロシアの批准によって京都議定書の発効が確実となり、地球温暖化ガスの削減義務が現実のものとなってきた。二酸化炭素排出における自動車の寄与は、およそ20%といわれている。輸送機器を事業とする企業では、環境性能に優れた製品のための技術開発に拍車がかかっている。中でも燃料電池は、有害な排気ガスを出さず、高効率なエネルギー変換ができることから、究極の動力源として期待されている。この燃料電池システムを小型電動二輪車に適用する試みにおいては、技術的な課題と対策の方向性が明らかになり、実用化へのロードマップが描けるところまできている。
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技報No.39 特集4 説明画像

ヒューマンセンシング PDF

水野 康文

人間という複雑な生命体を科学的に理解するための人間工学は、米国ではヒトをシステムの一部として捉えるシステム工学的発想からhuman engineeringと呼ばれる。human engineeringは人間と機械システムとの関係を最適化することを目的としている。その一方で、システム工学を駆使し、現代技術の粋を集めた自動化装置を搭載した航空機の重大事故の原因は、機械中心の自動化が進み過ぎたためであることが指摘されている。すなわち、自動化が進めば進むほど人間と機械システムに乖離が生じてしまったのである。そのために、航空機の分野では、NASA(National Aeronautics & Space Administration:米国国家航空宇宙局)が人間中心の自動化技術の原則を発表するなど、機械中心から人間中心の自動化の方向への思想転換が始まっている。一方、日本においては、物質的に豊かになり、こころの豊かさを求める時代になった1990年頃から「感性工学」という研究が開始された。哲学や心理学の学術用語としても使われている感性という用語をあえて工学に導入した背景には、個人の個性や価値観などを認めるモノづくりが必要とされる時代に突入したことを示す。このような状況の中で、人間中心の自動化技術や人間のこころを大切にする様々な技術開発が重要になるが、そのためには人間のこころの状態を定量的に把握するためのヒューマンセンシング技術の活用が必要となる。
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技報No.39 特集5 説明画像

二輪車サウンドデザインツールと新型サウンドシミュレーター PDF

前田 修

近年、自動車の騒音レベルが低下するにつれ、自動車の音は音量だけでなく音質も問われるようになってきた。これは二輪車も例外ではなく、むしろ二輪車の方が四輪車よりも趣味性が高いため、ユーザーの音質に対するこだわりも強いと思われる。そのような中で、自動車業界では音質をいかにして改善するかと共に、どのような音を作るかが技術課題となっている。それは単に各機種の音を良くするだけにとどまらず、メーカーのイメージ戦略にも関係している。海外ではブランドサウンド作りが進められており、その一例として米国の二輪車メーカーが自社製品の音を商標登録しようとしたことは、記憶に新しい。もの作りは対象が何であっても、目標がしっかりしていないと良いものは作れない。目標を持たないで良いものができたとしたら、それは単なる偶然であって、何度もあることではない。音についても目標を具体的に設定しなければ、良い音は作れない。騒音規制対応が目的である場合はdB値を目標にすればよいが、音質の場合はdB値ではなく音のデザインが必要になる。しかし、これまでは二輪車の音をデザインするためのツールは存在しなかった。二輪車の音をコンピューターで合成して聴くことができるサウンドシミュレーターは、ヤマハ発動機社内に存在したが、それはエンターテインメントが目的であった。そこで、この度、音のデザインを目的としたツールとサウンドシミュレーターを新たに開発したので紹介する。
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技報No.39 特集6 説明画像

音声認識と画像認識技術 PDF

望月 博文

音声認識・画像認識技術というと、どんなことを想像するだろうか?ロボットの視覚、聴覚だろうか?音声認識・画像認識技術は、人間が持っている認知能力の一部を機械で実現しているとも言えるのだが、分かっているようでも意外と誤解の多い技術領域である。それは、人が一目瞭然に分かることは簡単なことで、コンピューターは複雑で難しい計算ができるという認識があるからである。ここでは、音声認識・画像認識とはどの程度のことができるのか、私たちの身近なところでどのように使われているのか、今後の産業応用はどうなっていくのかについて簡単に述べる。
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技報No.39 特集7 説明画像

ユビキタス領域技術を応用したUnmanned Vehicleシステム~UGVの開発~ PDF

神谷 剛志/今井 浩久/増田 裕

1980年代から取り組まれているユビキタスコンピューティング技術は、インターネットを代表とするネットワーク環境、どんな機器でもネットワーキングコンピューティングを利用しやすくしたリアルタイムOS(Operating System)、環境などを認識するセンシング技術など、実際の応用が様々に広がっている。ヤマハ発動機株式会社UV(Unmanned Vehicle)プロジェクトでは、これらユビキタスコンピューティング領域の技術を応用して、無人ビークルによる新たな社会貢献を目指し、3D(Dangerous、Dirty、Dull)領域の仕事を無人で遂行可能なビークルを、無人ヘリコプターに加え、陸、海で新たに開発した。現在プロジェクトでは、港湾セキュリティー・災害救助・観測・監視・測量・危険地域監視観測などに利用されるプラットフォームビークルとして、実用車両の開発や事業化の検証を進めている。今回はこれまで開発したUGVシステムと、UGVで応用したユビキタス領域の技術を中心に紹介する。
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製品紹介
技報No.39 製品紹介1 説明画像

モジュール型サーフェースマウンター YG100 PDF

中村 亮介

携帯電話やパソコン、デジタル家電等の電子・電気機器などに使われているプリント基板に電子部品を搭載する表面実装機の業界において、ヤマハ発動機株式会社は、製品の多品種化や開発サイクルの短縮に対応するため、中型機を複数台でライン化した、汎用性の高いモジュール型高速実装ラインの導入を提唱してきた。また、マシンの高速化や信頼性、作業効率の向上にも取り組んできた。このような取り組みの結果、市場において非常に高い評価をいただくようになった。しかし、市場ではさらなる高精度、高効率、高機能、高信頼性化の他にも、省スペース、省エネルギー、維持管理の簡易性など、ますます高い付加価値を求められている。このような高度化していく市場ニーズに応えるべく、コンパクトでありながら高速、高精度、高機能な万能モジュールマウンター「YG100」を開発したので紹介する。
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技報No.39 製品紹介2 説明画像

ロッドタイプ単軸ロボットYMSシリーズ PDF

菊地 秀幸

ヤマハ発動機株式会社のIM(Intelligent Machinery)カンパニーでは、エアシリンダーより静粛性に優れ、クリーンな作業環境と省エネルギーをもたらし、厳しい作業環境下でも使用可能なロッドタイプ単軸ロボット「YMSシリーズ」、および、ロボットコントローラー「ERCD」を開発したのでここに紹介する。
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技報No.39 製品紹介3 説明画像

5人乗りゴルフカー ターフジョイ&ターフライナー PDF

内山 敦/竹下 正敏/稲川 宏之

現在、日本には約2,400のゴルフコースがあり、その90%以上がゴルフカー(以下、GCという)を導入している。プレーヤー、ゴルフバック、その他ゴルフ備品を搬送する道具として、GCはゴルフコースの必需品になっている。GCの導入は、プレーヤーにとっては安心や快適、ゴルフ場にとっては、プレーのスピードアップや従業員の労力低減、および集客条件のひとつになっている。なお、日本では、プレースタイルに合わせ、5人(キャディ1人+プレーヤー4人)乗りのGCが主流である。ヤマハ発動機株式会社(以下、当社という)は、1994年に国内で初めて本格的な5人乗り手動運転型ガソリンエンジン車のターフジョイG15Aを市場導入した。引き続き、電磁誘導型ガソリンエンジン車のターフライナーG17A、同電気車のターフライナーG17E、また、車両が停止すると自動的にパーキングブレーキがかかるオートパーキング機能付き手動運転型車両ターフジョイG15AP、G15EPを次々と市場導入してきた。機能、性能、経済面など、顧客ニーズをつかんだ当社GCの国内市場シェアは、現在約60%となっている。今回、商品価値(機能・コスト)、安心、快適性などのさらなる向上および市場環境変化に合致したGCの実現を目指し、新型の5人乗りGCの商品開発を行ったので、ここに紹介する。
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技報No.39 製品紹介4 説明画像

4ストローク船外機 FT60Bハイスラストモデル PDF

中山 学/原田 博

2002年6月より発売されているF60A船外機は、小型軽量艇に対してベストパフォーマンスを示し、市場での評価が高い。また、中~大型艇向けにFT60B(ハイスラストモデル:高推進力モデル)を2003年8月から生産を開始し、現在市場で好評をいただいている。以下に、FT60Bについて概要を説明する。
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技報No.39 製品紹介5 説明画像

4ストローク パーソナルウォータークラフト(PWC)VX110 Sport/VX110 Deluxe PDF

井端 俊彰/小柳 智義/中村 光義

2002年、ヤマハ発動機株式会社(以下、当社という)がPWC(Personal Water Craft)業界に先駆けて投入した4ストロークモデルFXの発売以来、市場の主流を占めているのは、3人乗りのファミリー向け4ストロークモデルである。現在では、4ストロークエンジンの最大馬力は215馬力(158kW)であり、高馬力、高価格モデルがトレンドになってきている。一方、手頃感のある2ストローク、低馬力、低価格帯モデル市場は、人気も根強く、新規購買層をはじめ、レンタルマーケットを中心とした活気のある市場である。このような状況の中、当社は、新規購買層を含めた低価格帯モデル市場の拡大を目的に、4ストローク110馬力(81kW)を搭載し、乗る楽しさと快適性を追求した3人乗りファミリー向け戦略モデルである、WaveRunner VX110を市場投入した。
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技報No.39 製品紹介6 説明画像

監視用UAV RMAX G0-1 PDF

鈴木 弘人

2004年夏、ヤマハ発動機株式会社スカイ事業部は、監視用のUAV(Unmanned Aerial Vehicle、無人航空機)としてRMAXG0-1をリリースした。本機は、自律航行型の産業用無人ヘリコプターを監視専用用途に限定して開発したものである。昼夜、季節を問わずに運行をするところに開発の重点を置き、機体開発とともに、運行者の訓練システムも構築された。
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技術論文
技報No.39 技術論文1 説明画像

カテゴリー判断法による全身振動の評価と 尺度構成 PDF

兼子 千夏子/萩原 孝英/前田 節雄

乗り心地"の定量的評価は商品性の評価や設計目標値の設定のため、乗り物の開発をしていく上でも重要な課題である。本研究ではこの課題解決のために、尺度構成法の1つであるカテゴリー判断法を使用して、全身振動の評価のための尺度構成を試みた。実験には振動の周波数成分の違いによる評価への影響を見るため、スペクトルの異なる3種類のランダム振動を使用した。この結果、振動刺激と快適性の定量的関係が明らかになると共に、振動の加速度レベルが同じでも、低い周波数成分を多く含む振動の方がより不快に感じることも分かった。
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技報No.39 技術論文2 説明画像

破断分割(FS)式浸炭コンロッドの開発 PDF

久保田 剛/岩崎 進也/磯部 恒雄/小池 俊勝

コンロッドの破断分割(Fracture Splitting、以下FS)工法は、精度および生産性の向上を目的として、破断が比較的容易な、焼結鍛造材や高炭素鋼などを素材としたものに対して、適用が進んでいる。一方、高性能バイク用のコンロッドでは、軽量化を目的として、高疲労強度である肌焼き鋼(例えばJISSCM420)の浸炭材が用いられている。本報では、JISSCM420浸炭材を用いたコンロッドに対して、FS工法の適用を検討した。この材料では、硬さが深さ方向に変化し、内部では硬度が低く脆性が低い。そのため、これまでの破断方法では、破断面全面に脆性破面を得られず、再組みが不可能であった。また、破断の発生起点が不規則になり、その結果、破面から欠落片が発生するという課題が見られた。そこで、重錘落下式破断機を用い、パラメーターとして温度と仮想歪み速度を用いて、脆性破面を得るための条件を示した。さらに、破断の発生起点については、陽解法非線形シミュレーションを用いて解析することにより、対策を行った。本工法によるコンロッドは、スーパースポーツバイクYZF-R1用として、2003年より生産が開始されている。
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