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完成検査 出荷前の最後の砦

「OK」を出す責任と重圧

完成検査は、お客様に商品をお渡しする最後の工程である。
完成検査員が見逃した僅かな不具合は、お客様の「クレーム」に直結するため、外観の傷や塗装のムラ、シーリング材のはみ出しなど、お客様目線で微細なところまで確認しなければならない。
塗装の不具合や小さな傷を光の当たり方で見逃さないように、LEDライトを様々な角度から当てながら隈なくチェックする。
更に、塗装の内側の気泡や積層の浮きを確認するために、船体を隅々までハンマーで叩き、わずかな音の変化も聞き漏らさない様に、常に5感を研ぎ澄ましておかなければならない。

ハル(船体)をプラスティックハンマーで叩いて音で積層状態を見極める作業にマニュアルは存在しない。
気泡や浮きが有るときに生じるわずかな音の変化から、何センチも内側の積層状態を見極めるのは、いわばCTスキャンをハンマー音で再現することだ。
工場内はけっして静寂な状態ではなく、むしろ他の工程の作業音が鳴り響く中で積層状態や補強材の取付状態を聞き分けるのは至難の業ではあるが、「絶対に不具合を見逃さない」強い責任感のみが作業を完遂させうる「技」となる。
自分の耳の中で周囲の雑音を全てシャットダウンさせ、ハンマー音のみを増強させる。

大型艇の場合には、実際に海に浮かべ、走行テストも実施する。
急加速、急減速、急旋回など、通常の使用状態よりも過酷な使用状況を作り出し、その中からわずかな「違和感」を見つけ出さなければならないのだ。
加速や減速の中のエンジン回転数や速力のみならず、わずかな異音や挙動の違和感を見つけだす。
数値で表せる要素だけでなく、研ぎ澄まされた「感覚」が要求される。

これが、 ヤマハの手

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