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ゲルコート吹き付け ゲルコート塗装に見る「匠」の研ぎ澄まされた感覚

外観の色・仕上げを最初に行う

メス型のモールドの上にFRPのクロス・マットを積層して作られるボートは、最も外側の「塗装」が最初の工程となる。
完成した船体に吹付塗装を行うのであれば、修正や再塗装も容易であるが、常時海水や直射日光にさらされる船体外面の塗装強度を保つために使われる塗料「ゲルコート」は気温や湿度によって微妙な調整が必要となる繊細な塗料であり、ボート作りの最初の工程であり、後戻りすることが許されない重要な工程となる。

モールドに離型剤を塗った後、ゲルコートの吹付作業が始まる。
ゲルコートが薄すぎればFRP面が透けて見える形となり、厚すぎれば塗料が垂れてきてしまうため、絶妙な厚さを達成する熟練の「技」が必須となる。
ゲルコートの濃度に加え、その日の気温や湿度によって吹き付けたゲルコート面の状態が変化するため、吹付ガンの噴出量の確認も併せ、テスト吹付を行い、スプレーガンの振り幅とスピード調整を瞬時に判断し、その日のコンディションに合わせた吹付をおこなっていく。
モールドの凹凸部分は特に難易度の上がる作業となる。
マニュアルで規定できない熟練工の感覚のみが、数千万円にもなるボートの見た目の美しさを作り出す決め手となる。

完成時に凸部分になる箇所は、モールドは凹部となっている。
出来上がった際に最も塗装ミスが目立つ凹部分への吹付は、最もガンの噴霧が届きにくく、かつ、塗料が溜まりやすい部分となるため垂れを生じやすい。
凹部を様々な角度から見て、最も噴霧が当てやすい方向を瞬時に判断し、連続作業の中で吹付を行わないと、先に吹き付けた箇所が乾いてしまうため非常に難易度の高い作業である。
熟練の作業者の動きはリズミカルで全くよどみがなく、バレエを舞うように美しい。
信じるものは自分の目と感覚しか存在しえない、孤高の作業が続く。

これが、 ヤマハの手

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