Advanced Robotics Automation Platformに対応 フルモデルチェンジとなるスカラロボット「YKX」シリーズ新発売
2016年10月17日発表
ヤマハ発動機株式会社は、新開発の統合制御型ロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」に対応したスカラロボットの新製品「YKX」シリーズを2016年12月1日から発売します。
フルモデルチェンジとなる「YKX」シリーズは、当社独自のモータ減速機直結構造(完全ベルトレス構造)と駆動系の強化により、さらなる高剛性かつ高速な動作を実現しました。これによりツールやワークを保持した実用状態での動作性能が向上し、アーム長400mmモデルでは、標準サイクルタイムが0.28秒と業界最速※を誇ります。
ロボットアームには、ユーザーツールなどの周辺機器を取り付けるためのユーティリティスペースや取り付けネジをあらかじめ用意するとともに、エア機器や電磁弁、カメラ機器など、さまざまな用途を想定した内部配線・配管を標準装備しているのでロボットの導入がスムーズです。また、脱着式ロボット接続ケーブルにより、ロボット本体の設置やケーブル長さの変更などが簡単に行えます。
モータは完全アブソリュート方式とし、移設や起動時の原点復帰が不要。さらに駆動系のベルトレス化や長寿命グリスの採用によりメンテナンスフリーを実現しています。
なお「YKX」シリーズは、複数のロボット製品を制御可能な統合制御型ロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」に対応しており、スペース効率を高め、導入コストを削減できます。充実のラインアップとニーズに合わせた最適な性能とサイズで、導入先のさまざまな用途に迅速・柔軟に応えます。
※ 2016年10月ヤマハ調べ
名称 | 発売日 | 価格 | 販売計画 |
---|---|---|---|
スカラロボット「YKX」シリーズ | 2016年12月1日 | オープン価格 |
2,800台 |
〈市場背景と製品の概要〉
当社では、産業用ロボットからコントローラまで、生産現場の自動化を力強くバックアップする製品をバリエーション豊富にラインアップする強みを活かし、複雑・多様・高速化する生産現場での効率化・品質向上を追求しています。なかでもスカラロボットの製造販売は1984年に開始して以来、市場に鍛えられながら、高速・高精度の性能追求と同時に低価格化への取り組みを行い、普及に努めてきました。
今回、業界最速の標準サイクルタイムを実現した「YKX」シリーズによって、多品種変量生産とスピード化が求められる製造現場のニーズに応えます。あわせて、複数台設置の場合も、一つの統合コントローラで全ての制御が可能となり、導入時、稼働時のコスト削減やスペース効率の向上にも貢献します。
〈「YKX」シリーズの主な特長〉
1)業界最速の標準サイクルタイム
高い動作性能を求められる小型・中型モデルでは駆動系を大幅に強化。従来比2倍以上の容量をもつモータ、減速機を搭載するとともに新型ロボットコントローラによる制御により標準サイクルタイムは、0.28秒と業界トップクラスの動作性能を発揮します。
2)設置・導入時間の短縮
ロボットアームにはエア機器や電磁弁などの周辺機器を固定するためのユーティリティスペースや取り付けネジをあらかじめ用意。ロボット内部にはカメラやEthernet機器、小型電動機器など、さまざまな周辺機器に対応可能な配線・配管を標準装備しています。
また、ロボット接続ケーブルはロボット本体から容易に脱着できるため、ロボット設置作業やケーブル長さの変更作業がスムーズに行えます。
さらに、安全面や設置調整時への配慮として、アームに設けられたブレーキ解除スイッチを使うことで、上下軸のブレーキを解除することが可能です。
3)高い信頼性とメンテナンスフリー
ロボットの全ての関節をモータ減速機直結構造とすることで、ベルトなどを一切使用せず、定期的なベルト張力の調整が不要で、長期間にわたり高い精度を維持します。
また、減速機の潤滑には長寿命グリスを採用しているため、定期的なグリス交換は不要です。
さらに、駆動用モータには完全アブソリュート方式を採用し、移設時や起動時の原点復帰作業が不要です。
〈主要諸元〉
YKX250 | YKX400 | YKX600 | YKX800 | YKX1000 | |||
軸仕様 | X軸 | アーム長(mm) | 75 | 225 | 350 | 450 | 650 |
回転範囲(°) | ±130 | ±140 | ±130 | ||||
Y軸 | アーム長(mm) | 175 | 250 | 350 | |||
回転範囲(°) | ±150 | ±165 | |||||
Z軸 | ストローク(mm) | 200 | 200 / 450 | ||||
R軸 | 回転範囲(°) | ±360 | |||||
モータ出力(W) | X軸/Y軸/Z軸/R軸 | 750 / 400 / 400 / 320 | |||||
最高速度 | XY軸合成(m/s) | 4.9 | 6.2 | 8.8 | 11.2 | 12.9 | |
Z軸(m/s) | 2.8 | ||||||
R軸(°/s) | 1020 | ||||||
繰り返し位置決め精度*1 | XY軸(mm) | ±0.01 | ±0.02 | ||||
Z軸(mm) | ±0.01 | ||||||
R軸(°) | ±0.004 | ||||||
最大可搬質量(kg) | 8 | 21 | |||||
標準サイクルタイム(s)*2 | 0.28 | 0.28 | 0.33 | 0.34 | 0.38 | ||
R軸許容慣性モーメント(kgm2)*3 | 1.05 | ||||||
配線 | IO1*4 | 0.15sq × 12 (シールド無し、ストレート) | |||||
IO2*5 | 0.2sq × 6 (シールド無し、ストレート) | ||||||
IO3*5 | 0.15sq × 8 (シールド有り、ツイストペア) | ||||||
EtherNetケーブル*4 | 0.15sq × 8 (シールド有り、ツイストペア) | ||||||
照明ケーブル*4 | 0.5sq × 4 (シールド無し、ストレート) | ||||||
配管(外径) | φ4mm x 2本*4 φ6mm x 2本*4 |
||||||
動作リミット設定 | 1.ソフトリミット 2.メカストッパ(X、Y、Z軸) | ||||||
敷設ケーブル(m) | 3、6、15 | ||||||
本体質量(kg)*6 | 25 | 26 | 33 | 34 | 36 |
*1:周囲温度一定時の値です
*2:水平方向300mm、垂直方向25mm往復、2kg搬送、粗位置決めアーチ動作時
*3:慣性モーメントに応じ加速度等のパラメータを制限する必要があります
*4:本体背面とYアーム上面プレートを接続
*5:本体背面とYアーム内部ステーを接続
*6:ロボット接続ケーブルの質量を含みません