技報【バックナンバー】
ヤマハ発動機では研究開発の成果や製品を支える技術をご紹介するために、年1回(12月)、技報を発行しております。
本ページでは、PDFファイルのダウンロード・閲覧ができます。(現在、冊子の配布はいたしておりませんのでご了承ください。)
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| 製品紹介 | 高橋 博幸/板敷 俊一/青山 淳/関谷 直行/小関 徹 1995年の夏に発売以来、軽二輪スクータ市場を常にリードしてきた「Majesty」が、このほど丸4年ぶりにモデルチェンジを行ったので紹介する。スポーツセダンとして、新しい感覚の乗り物を「快適革新」をキーワードに作り込んだコンセプト/スタイリング/機能が評価され、通勤やレジャー等の用途に国内をはじめ海外(特に欧州・イタリア)では、40歳台の男性を中心にご愛用いただいている。今回のモデルチェンジは、国内外(特に欧州)の競争激化による商品性向上のニーズや、排ガス浄化、騒音低減といった環境対応のニーズが高まったことなどによる。そこで、今回のモデルチェンジでは、(1)排ガス浄化、騒音低減、性能向上をメインにエンジンのリフレッシュ(2)快適性、利便性、操縦安定性等のさらなる向上と外観一新をメインに車体のリニューアルを行った。以下にその特徴を紹介する。 |
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加藤 栄司/今井 浩久/都築 明宏/Troy Mann アメリカの好景気にささえられ、ATVの需要が伸長するなか、昨年4月よりYMMCにおいてATV現地生産の第1モデルである「BEAR TRACKER」の生産を開始し、市場でも好評を得ている。その中で、1998年より市場に売り出され、累計15万台販売されている「ビッグベアー」のモデルチェンジを現地生産の第2モデルとして開発し、この7月より市場に導入した。ここではYMMCで開発した車体、エンジンの補機部品について紹介する。 | |
寒川 雅史 船外機の世界でも1998年から2006年にかけて排ガス規制がUSにて実施され世界の先進国に広まる状況にある。世界3大船外機メーカのうち、USのMERC社はオービタルシステムによる0.7MPa圧のエアーアシスト式DIを最初に商品化し、OMC社はドイツFICHT社の電磁ポンプインジェクタによる2MPa加圧のDIを続いて商品化してきた。この2社共、大型船外機には軽量・高出力な2ストロークDIで勝負してきたといえる。当社では、エアーアシストの研究から高圧無気DIの研究へと進め、現在自動車ユニットで開発されてきたインジェクタ、高圧ポンプを使用しながら、前記2社とは全く異なるコンセプトである高圧筒内燃料直接噴射システム(略してHPDI)を開発し、147kWの量産型V6船外機で商品化したので、その概要を紹介する。 | |
ミニオフ・プレイバイク TT-R90/TT-R125/TT-R125LW 大下 茂/大勢待 滋/中 昭紀/神村 薫/水嶋 元昭/金野 敏彦/今村 隆昭/松島 厚/小池 直樹 日本では、あまりなじみのない言葉だが、北米地域や太平洋州などでは、「プレイバイク」という言葉が一般的に使われる。広大な土地柄、小さな子供から大人までモーターサイクルを楽しむ、そのためのモーターサイクルという意味で、「プレイバイク」という言葉が用いられている。これらのモデルは、モーターサイクルユーザーの導入モデルとしての位置づけで、近年も大きな市場を有しているカテゴリーである。当社では、PW50/80、RT100/180といった2ストロークのモデルをこれまで市場に提供してきたが、近年、排ガス規制の開始や、4ストローク化の波がこのカテゴリーにも押し寄せている。過去にも4ストロークプレイバイクとして、TT250、TT225、TT350といったモデルも導入した経緯もあるが、最近の環境の下、1999年モデルにてTT-R225、TT-R250、そして2000年モデルとしてTT-R90、TT-R125、TT-R125LWという4ストロークのプレイバイクの開発を行ってきた。 | |
| 技術紹介 | 武智 裕章/寺田 潤史/高橋 宏行/山本 泉/大石 明文/石井 喜好 近年、環境問題から電気自動車やハイブリッド車の開発が活発になっているが、当社もガソリンエンジンの2輪車だけでなく、PAS、電動車イスや電動ゴルフカー等の電動車両を開発・生産している。本文では、1993年に発表した電動スクータ「MEST」や「PAS」の開発を通じて得られた技術に加え、新規開発技術を織り込んだ電動スクータを研究開発したので紹介する。 |
福留 敏典/鈴木 誠/迫田 茂穂 国内の1998年におけるガスヒートポンプ(以下、GHPと略す)の普及容量は1,467千HPに達しており、家庭用から学校・病院・店舗・工場・各種ビルと、さまざまな用途へ普及している。このエアコンをEHPとした場合の定格消費電力は100万kWを超え、石油代替エネルギーとしてのガスの用途拡大や、夏場の電力負荷平準化といった、わが国のエネルギー政策に貢献してきた。GHP事業部では、環境負荷低減のために、NOx低減、ドレン水中和装置、排気脱臭触媒、代替冷媒等の開発に取り組んできた。NOxに関しては、横浜市など一部の地域で排出規制が実施されているものの、業界自主規制の一環として取り組み、マップ制御による稀薄燃焼方式により、NOx排出量を200ppm(12モード値)以下に対応してきた。今回、家庭用3HP「GHPリビングメイト」)において、NOx排出量を100ppm(12モード値)以下とするため、空燃比フィードバックによる稀薄燃焼方式「Y-NOCS(Yamaha NOx Control System)」を開発し、商品化したのでここに紹介する。 | |
水野 郁男 日本のエネルギー消費量は1986年から1996年の10年間に約40%増加した。中でも電力消費量は1985年から1997年の間に50%以上増加し、その増加分のほとんどは民生用のものである。生活レベルの向上等に伴い、電力消費量は今後も着実に増え続けると予測されている。夏と冬、昼と夜とで電力消費量の格差が非常に大きいことが、電力の効率的な供給を行う上で問題となっている。この年間の電力需要の格差、一日の間での電力需要の格差、電力消費ピーク値の押し上げに最も寄与しているのが一般家庭の空調用電力需要であると言われている。このようなエネルギー環境の中で、地球温暖化をはじめとした環境問題、エネルギー問題に対応するため、電力消費の削減と平準化、クリーンエネルギーへのシフトの必要性がますます重要な課題となっている。 | |
榎吉 政彦 点火ユニットの生産を始めて20年が経過し、これまでに約280モデルを生産、現在も100モデル余りを量産しており、パーツ生産のみのものも80モデルに達している。このため製品の種類が増え、多品種少量生産による管理工数の増大、生産ラインでの段取り時間の増加が起きており、工場の生産性向上の大きな障害となっている。従って、現場の生産性向上を実現するためには、製品の種類を減らし、かつ同一工程で組立ができるようにすること(製品・工程の標準化・統合化)が急務となっている。今回、主要な製品において統合化を実施したので紹介する。 | |
佐藤 彰 無人ヘリコプタには、固有の不安定性があり、その操縦の難しさを軽減するために、当社ではこれまで多くの制御装置を開発してきた。しかしながら、そのいずれも人間の操縦を主体にして、それをいかに簡単におこなうかという領域を出なかった。ボタン1つで自動的に離陸し、決められた飛行コースを決められた速度で飛行して、離陸地点に自動的に戻り着陸する。このような自律飛行をおこなう無人ヘリコプタを開発することが、開発当初からの開発者の夢であり目標であった。今回、この自律ヘリコプタの開発に着手し、実用化のための第一段階のレベルが終了した。モンゴルにおいて植物の生育観測調査をおこない、自律ヘリコプタの有効性が確認できたので、ここに紹介する。 | |
| 技術論文 | 藤原 俊三/乗松 信夫/田上 淳 4サイクルエンジンでは2サイクルエンジンに対して比出力が小さいことが課題となる。高回転化により出力向上は可能であるが、実用性を考慮した場合、4サイクルエンジンでのトルク改善が望まれる。過給によるトルク改善は一般的に行われているが、既存の過給方式を小型エンジンに適用することは、重量・コストの増加、レイアウト上の制約などの障害により困難と思われる。そのため、クランクケースを過給機として利用する新型過給システム:ACSC(Advanced Crankcase Super Charge)を考案し、50cm3の単気筒試作エンジンによる過給機能開発および車両での実走行テストを行った。この結果、自然吸気エンジンに対して約100%のトルク増加と、2サイクル車両同等の実走行性能が得られた。また、走行時の排出ガス値は自然吸気車両とほぼ同等、燃料消費率は2サイクル車両に対して改善できることが確認できた。 |
杉崎 昌盛 色は使い方次第で物や人の印象を大きく変えてしまうので、商品にとって非常に重要な要素である。二輪車においても例外ではなく、製品の評価を大きく左右するので、色の選択は非常に重要である。製品の色を決定するためには、顧客がどのような色の好みを持っているのかを知ることは不可欠である。今回は、前後フェンダと燃料タンクの色を変え、顧客の色の好みにはどのような傾向があるか、またどの色が好まれるかを調べた。方法は燃料タンク、フロントおよびリヤフェンダの色を変えたものを8種類コンピュータグラフィックスで作成し、これらを使って一対比較により好みの評価を行った。その結果、今回の評価対象車(Lanza)では色の組み合わせでは同系統の色の組み合わせを好む人が、異なる系統の組み合わせを好む人よりも多かった。また、好みに与える影響はフェンダの方が燃料タンクよりも大きい。色の好みでは、シルバーが全員に好まれていた。それ以外の色は、同系統の色を好むグループ、異なる色の組見合わせを好むグループで好みの色の違いは大きかった。一方、赤は評価者によって評価が大きく異なるので、注意を要する色であることがわかった。 | |
岩淵 正喜 当社の組立設備の代表格であるコンベアチェーンでは、チェーンスピードが一定でないために、搬送物が大きく揺れる現象(脈動)が作業者のリズムを乱し、品質・作業性・設備劣化に悪影響を与え課題となっている。また、チェーンの脈動に対しコンベアメーカでは原因の究明がなされていない。そこで今回、コンベアチェーンの脈動原因と増幅要因を解析した結果、脈動を防止することができた。脈動の原因は、コンベアモータを駆動するインバータ自身の出力電流であり、増幅要因は給油の不足、搬送荷物の大きさ等の6項目であることがわかった。要因への対策の結果、リズミカルな作業が実現し、ボルト斜め締付け、ボルト頭つぶれが減少する等の品質向上や生産性向上の成果が出たので報告する。 | |
内藤 則之 「ダイカストとは、精密な金型に溶融金属を圧入し、高精度で鋳肌の優れた鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式」と定義されているように、非常にダイナミックかつ生産性の高い加工方法である。しかし、近年ダイカスト業界においても多機種少量生産が進み、その結果、金型交換などの段取り替え時間が増加することで高い生産性が圧迫され、コスト競争力を低下させているのが現状であった。そこで当社においては、この従来からのコスト競争力を維持していくために、少数の人員で工場を運営していく少人化の推進に加え、多機種少量生産に柔軟に対応できる生産システムの開発が強く求められていた。鋳造作業の中ではスプレイ作業や製品の取出し作業はロボットによる自動化が進んでいるため、多機種少量生産にも柔軟に対応できる状態であったが、セキ折り作業はまだ手付かずの状態であり、少人化を行った上で多機種少量生産に対応できるセキ折り装置の開発は、これからの重要課題であった。 | |
木下 久寿/本山 雄 2サイクルエンジンのシリンダー内のガス流速を三次元で測定できるAnemometric Testerを用い、シリンダのポート形状を変更した場合のポート形状とガス流れ、およびエンジン性能との関係を調査した。ポート形状は、その形状を決定づける因子の中から、エンジン性能に関係すると考えられる因子を選択した。本研究では、最大出力を発生するエンジン回転数11750r/minにおける出力と、エンジン出力に少し谷が発生する回転数10000r/minにおける出力の2つの運転条件について関係を調べた。その結果、最大出力にはシリンダの流量係数が、10000r/minでの出力にはシリンダ内の上昇流の量が関係が深いことが明らかとなった。また、最大出力は主掃気ポートの対向掃気側壁の傾き角と、主掃気ポートの内側通路半径との相関が高く、10000r/minにおける出力は最大出力の場合と相反する形状が良いこともわかった。 |
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