自然の価値を、未来につなぐためには?
産業用無人ヘリコプターと高精度計測技術で自然を可視化。「計る・知る・価値にする」の循環を通じて、人と自然の新たな関係づくりに貢献する。
問の背景
無人ヘリと森が出会うまで
RINTOの原点は、1980年代から日本の農業を支えてきた産業用無人ヘリコプターにあります。 安定した長距離飛行が可能で、重い機材も運べるこの「空の力」を、農地以外で活かせないか。その探索の過程で出会ったのが、日本の国土の約7割を占めながらも、担い手不足や荒廃といった課題を抱える「森林」でした。
「まずはやってみよう」。そんな発想で、LiDAR(レーザーで空間を立体的に捉える計測技術)を搭載して飛ばしてみたところ、結果は驚くべきものでした。複雑な地形はもちろん、樹木一本一本の高さや太さまでもが、かつてない精度で浮かび上がったのです。
この技術が、顧客の抱える課題や潜在的なニーズと重なったことで、2019年、森林デジタル化サービス「RINTO」は新規事業として正式にスタートします。
「森が好き」という、もう一つの原点
このプロジェクトを突き動かしているのは、決して技術や数字だけではありません。その根底には、立ち上げメンバーの「森が好きで、森で楽しみ続けたい」という純粋な思いが息づいています。
オートバイやボートなど、自然のなかで楽しむモビリティをつくってきたヤマハ発動機にとって、自然は事業を育んできた大切なフィールドでもあります。一方、日本にはこれだけ広い森がありながら、北米などに比べて、人々が自由に遊べる場所は決して多くありません。そんな「近くて遠い」存在を、誰もが関わり、楽しみ続けられる場所にしたい。そのために自分たちの技術を役立てることも、このプロジェクトが見据える未来の一つです。
「測る」から「自然の価値をつなぐ」へ
しかし、事業を進める中で見えてきたのは、どれほど高精度なデータがあっても、実際の行動や意思決定につながらなければ、社会的な価値は十分に生まれないということでした。そこで私たちは、森林計測で培ってきた技術と知見を起点に、森の価値そのものに関わる取り組みを始めます。
その一つの象徴が、「カーボンクレジットの創出」です。価値あるクレジットを生み出すためには、森を健やかに保つ整備が欠かせません。私たちが強みとする計測技術をこの仕組みに組み込むことで、「森の整備」と「経済価値の創出」が、ようやく一つの線で結ばれました。
そして現在、その可能性はカーボンクレジットだけにとどまりません。防災や自然保護、文化財の調査・保全など、活用の場は着実に広がっています。自然が持つ多面的な価値をどう守り、どう活かすか——それが私たちの重要なテーマです。
取り組みと事例
| 領域 | 内容 | 具体的事例 |
|---|---|---|
| 森林環境の高精度な可視化 | 産業用無人ヘリとLiDARを活用し、森林、地形、植生などを立体的なデータとして取得 | 王子ホールディングスとの共同実証 |
| カーボンクレジット | CO2吸収量の算定やモニタリングの信頼性向上に向け、客観的なデータ取得・解析を支援 | 東京都檜原村(ボランタリークレジット創出)、沖縄県石垣市(J-クレジット)、徳島県三好市など。 |
| 文化財など(遺跡調査) | 森林や植生に覆われた地形・遺構を把握し、調査研究、保全、観光・教育への活用につなげる | 奄美大島の戦争遺跡調査、ホンジュラスのコパン遺跡など |
目指す姿
自然の価値を可視化し、未来の意思決定につなげる
価値の循環をつくる
高精度な計測・解析によって適切な森林整備を促し、そこから生まれた経済価値を、再び自然へと還元する循環をつくる。
守る場所から楽しむ場所へ
自然を単に「守るべき対象」として捉えるのではなく、地域の安全や経済、さらには文化や学びを生み出す資源として捉え直す。そうすることで、多様な人々が主体的かつ継続的に関われる仕組みへと広げていく。
当プロジェクトでは、
共創パートナーを幅広く募集しています。




