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県境を越えて、やってみよう。ヤマハ発×東三河×浜松・浜名湖で始める「やらまいかツーリズム」

グローバルに展開するモビリティメーカーが、足元の地域に目を向けた理由。観光地域づくり法人(DMO)との対話から探る、企業と地域連携の新しいかたちとは。

グローバルに展開するモビリティメーカーが、足元の地域に目を向けた理由。観光地域づくり法人(DMO)との対話から探る、企業と地域連携の新しいかたちとは。

2026年9月29日

  • RePLAY STUDY
  • #MOUNTAIN RIDE HUB
  • #アドベンチャートラベル
  • #DMO
  • #やらまいか

マウンテンバイクをきっかけに、山と人、地域をつなぐ──。そんな発想から生まれたヤマハ発動機のMOUNTAIN RIDE HUB(以下、MRH)。手入れの行き届かなくなった里山にマウンテンバイクコースを整備することから始まり、現在はモーターサイクルやマリン製品などのモビリティを活用したアドベンチャートラベルへとその取り組みを広げています。

新たな収益の柱を模索するなかで、同プロジェクトがいま積極的に連携を進めているのが、地域の魅力を掘り起こし、観光づくりを進める「観光地域づくり法人(以下、DMO)」です。

地域の価値に向き合い続けてきたDMOとの連携は、世界をフィールドに遊び道具を生み出し続けてきたモビリティメーカーにとって、どんな意味を持つのでしょうか。

ほの国東三河観光ビューローの田中三文さん、浜松・浜名湖ツーリズムビューローの伊藤典明さん、そしてMRHのメンバーでありヤマハ発動機の太田祐介。三者の対話から、企業と地域連携のあり方を探ります。

左から、ヤマハ発動機・太田祐介、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー・伊藤典明さん、ほの国東三河観光ビューロー・田中三文さん

「遊びの編集者」として、地域へ

まずはMRHが現在、どのような活動をしているのか教えてください。

太田大きく二つの活動を並行して進めています。一つは、地域と共創しながら、全国の里山をマウンテンバイクのフィールドとして整備していく活動。電動アシスト自転車「PAS」のふるさとである静岡県森町を起点に、全国各地の自治体や地主さん、民間の事業者さんと相談しながら、少しずつフィールドを広げているところです。 もう一つの活動が、近年力を入れているアドベンチャートラベル事業です。アドベンチャートラベルというのは、「アクティビティ」「自然」「文化体験」のうち、二つ以上を組み合わせた旅を指す言葉で、海外ではすでに一つのジャンルとして確立されています。ただ景色を見るだけの観光ではなく、自分の身体を動かしながら、その土地の自然や文化に深く触れていく旅、というイメージですね。

MRHの出発点となった、静岡県森町の「ミリオンペタルバイクパーク」。手入れの行き届かなくなった里山を、ヤマハ発動機の社員有志が1年かけて手作業で切り拓いた

マウンテンバイクのフィールド整備と並行して、アドベンチャートラベル事業へと発展していったのはどういった理由があったのでしょうか。

太田マウンテンバイクのフィールドは自然と隣り合わせなので、手入れを続けなければすぐ元に戻ってしまいます。一方、収益の大半を占めるパークの利用料は、維持コストを差し引くと手元にそれほど残らない可能性がある。継続的な整備を実現するためにも、別の収益の柱が必要だと考えました。 そこで着目したのが、ヤマハ発動機が世界中に持つ顧客ネットワークです。当初は海外のマウンテンバイカーを呼び込むことを考えていたのですが、昨年ツーリズムEXPOジャパンに出展した際、「インバウンドの入口としては、ヤマハ発動機が世界中に持つ顧客のほうが有効では」と何人もの方から言われて。 確かに、すでにモーターサイクルやマリン製品を通じてヤマハブランドに愛着を持ってくださっている方々なら、日本まで足を運んでもらえる可能性は高い。また、モーターサイクルやマリンの拠点は全国にあるので、単に商品を届けるだけでなく、実際に人が集まり、遊びが生まれる"場"としても機能させられる。そこも大きな強みだと思っています。

太田 祐介(おおた ゆうすけ)ヤマハ発動機株式会社 新ビジネス開発部 MRH企画G。名古屋市出身。名古屋工業大学卒業。2016年ヤマハ発動機入社後、2022年まで台湾やインド市場を中心にモーターサイクル製品の排ガス法規適合業務、エンジンの性能・信頼性の実験業務に従事。2023年より新規事業開発部門にて、バイオマスを用いた環境ビジネスの企画やモビリティを活用した観光・地域共創事業の企画開発、事業検証および事業化推進を担当している

つまり、海外の顧客基盤を地域への送客に変えるという発想に切り替えたと。

太田そうですね。ヤマハ発動機のモビリティは世界180以上の国と地域で販売されていて、モーターサイクルだけでも年間500万台以上の販売実績があります。国内のマウンテンバイク市場と比べても、桁違いに大きなマーケットです。 円安を背景にインバウンド需要が拡大する一方、国内では人口減少によって市場の縮小が進んでいる。国内市場の拡大を前提にはできない状況の中で、海外からどれだけの人と関心を呼び込めるかが、これからの事業にとって重要な鍵になってくると思っています。

具体的にはどのように運用されているのですか?

太田まだ試験的な運用ではあるのですが、昨年11月にはフィリピンのお客さまを対象にした4日間の有償ツアーを実施して、ヤマハブランドと日本の魅力を多角的に感じてもらえるプランを提供しました。 モーターサイクルでのライドやマリン体験に加えて、弊社の歴史に触れてもらうプログラムも組み合わせたのですが、「ヤマハ発動機ってこんなこともやっているんだ」という声が上がり、帰国後にヤマハの新車を購入した写真を送ってくれた方や、「次は船外機もヤマハにするよ」と言ってくれた方までいて。確かな手応えを感じましたね。自分たちが持っているさまざまな「遊び」を、一つの体験として組み立て直す。やっていることは編集者に近いと考えています。

フィリピンのヤマハ発動機ユーザーを招待し、4日間のツアーを実施

面白い視点ですね。

太田ただ、一口に編集と言っても、料理のレシピを考えるのと一緒で、素材の味を知らなければ、本当に「おいしいもの」はつくれないですよね。だから、私自身もモーターサイクルや釣り、マリン、マウンテンバイクなど、いろいろな遊びを経験して、その面白さを自分の言葉で伝えていきたいなと思っているんです。 その一方で、商材の魅力をアピールするだけでは、海外の人をお招きするアドベンチャートラベルとしては、十分ではないとも感じていて。

どういうことでしょうか。

太田例えば、自分が海外に行ったとき、現地の人しか知らないような場所に連れていってもらったり、そこでしか食べられないものを食べたりすると、すごく印象に残るじゃないですか。海外からわざわざ日本まで来てもらうのであれば、弊社の製品を体験してもらうだけでなく、「ここでしかできない体験」をつくることが重要だと思うんです。 その土地にどんな文化や歴史があって、地域の人たちが何を大切にしているのか。そうした外からは見えにくい地域固有の価値をツアーに組み込むには、やはり地域の方々の知識や経験が欠かせません。 私たちが今、積極的に連携を進めているDMOは、まさにそうした地域への知見を持ち、地域にある資源を観光の価値へとつなげていく役割を担っている。そこが、私たちにとって大きな意味を持つんです。

「やりたい」と地域をつなげる、DMOの存在

ではここからDMOのお二方にも話を伺っていきます。まずはそれぞれどういった活動をされているのか教えてください。

田中「ほの国東三河観光ビューロー」といいます。豊橋や豊川、新城など、東三河8市町村の地域連携DMOです。「四季彩」「食」「アウトドア」「歴史文化」という四つのブランドを軸にしながら、地域のマーケティングやブランディング、国内外への発信まで、一通り手がけている感じですね。

伊藤「浜松・浜名湖ツーリズムビューロー」です。浜松や湖西とその周辺を対象にした地域連携DMOで、インバウンド向けに周遊コンテンツを整備したり、企業の会議や研修旅行、学会や展示会といった大きな催しを誘致したり。あとは特産品の販路拡大にも取り組んでいて、観光振興とコンベンション、その両軸でやっています。

ヤマハ発動機との連携はどのようなかたちで始まったのでしょうか?

田中新城で自転車に取り組んでいる地域の担い手の方からの紹介で、うちがまず最初に声をかけていただきました。「ヤマハ発動機の製品を起点にしたアドベンチャーツーリズムをやりたい」という話を聞いて、ぜひご一緒したいなと。ただ、すぐにこれはうちだけじゃなくて浜松・浜名湖さんを入れるべきではないかとも思って。

田中 三文(たなか みつふみ)一般社団法人ほの国東三河観光ビューローマーケティングディレクター。豊橋市出身、明治大学卒。集客ビジネスの総合情報会社、民間シンクタンクの観光政策室長を経て、現職。DMOの立ち上げに携わり、マーケティング、ブランディング、プロモーション等を実践。愛知大学地域政策学部(観光まちづくり論)非常勤講師。中日新聞WEBで旅ブログ、中部経済新聞で観光コラムを連載中

田中理由はシンプルに、浜松・浜名湖がモーターサイクルの聖地だからですね。ホンダ・スズキ・ヤマハという三大バイクメーカーが生まれた土地でのアドベンチャーツーリズムなら、海外の方々もきっと興味を持ってくれるはずだと。それでこちらから伊藤さんに声をかけさせてもらって。

伊藤非常に光栄なお話でした。ヤマハ発動機さんの名前はこの1年くらい、マウンテンバイクやマリンのコミュニティなど色んな場面で聞いていましたし、いつかご一緒できたらと思っていたので。確かにうちの地域は、田中さんがおっしゃるようにモーターサイクルの聖地ですが、例えば知床や熊野古道のような看板コンテンツのある地域と同じ土俵で語るにはまだまだ力不足だと感じていて。 どうやったら自分たちなりの打ち出し方ができるか、それを模索していたところだったので、今回こうしてヤマハ発動機さんの方から「一緒にやりたい」という強い意思を示していただけたのは、まさに「渡りに船」でしたね。

伊藤 典明(いとう のりあき)公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー事業部長。広告会社を経て遠州鉄道に入社。広告事業や、中心市街地の活性化を担う浜松まちなかマネジメントへの出向、社内プロジェクト担当などを経て現職。「地域をキュレーションする」をテーマに観光商品の造成や地域連携、インバウンド誘客、テーマツーリズム推進に携わる

田中我々のようなDMOは、限られた予算の中で最大限の成果を出していかなければならないんです。財源は基本的に行政からの負担金や会員からの会費で、新しいツアーやコンテンツを自前で企画・実行しようとしても、そのために投資をする体力には限界がある。地域の観光をマネジメントする役割ではあっても、事業そのものを動かすプレイヤーにはなりにくいんです。 ただ、私たちは単独で事業を動かせなくても、地域の魅力には精通している。例えば、新城には長篠の戦いの史跡があったり、奥三河には数百年続く花祭りという伝統芸能が伝わっていたりします。こういう固有名詞を、企業側に挙げても、なかなかピンとは来ないと思うんです。でも私たちにとっては、日々向き合っている資源そのものなんですよね。

企業には「やりたい」という意思と実行力がある。一方のDMOには地域の知見や、そこから生まれるアイデア、マーケットの見立てがある。それが掛け合わされたのが今回のプロジェクトなんですね。

田中おっしゃる通りです。民間の「これをやりたい」という思いと、地域の「こうしていきたい」という思い。この二つをうまくマッチングできたこと自体が、今回のプロジェクトの一番の特徴だと思っています。 もう一つ具体的な効果を挙げると、今回、観光庁の補助金を活用しているんですが、私たち地域DMOが加わったことで、地域に根ざした事業であることを示しやすくなった。その結果、国からの応援を得られる仕組みができたことも、今回の連携がもたらした成果の一つだと思います。

越境する「やらまいか」ツーリズム

DMOのお二方はそれぞれの地域性をどのように捉えているのでしょうか?

田中東三河で言うと、海・山・川があるというのが、昔からのキャッチフレーズです。三河湾に面した海があり、奥三河には山があり、豊川という大きな川もある。海・山・川のすべてが一つの地域に揃っているというのは、実は珍しいことなんですよ。 ただ、東三河はこの自然資源のほかに、海外の方へアピールできるものがまだ多くありません。だからむしろ、それを逆手にとって、「まだ見ぬ日本」という打ち出し方をしていけたらと考えていて。

伊藤浜松・浜名湖は、新幹線の駅もあるような都市機能を持ちながら、浜名湖という大きな汽水湖を抱えているのが特徴です。湖の周りにはうなぎの養殖池やみかん畑が広がっていて、都市と農漁業がすぐ隣り合って共存している。東三河のような手つかずの自然というより、人の暮らしと自然がずっと隣り合ってきた土地、という感じですね。 あとはやっぱり「ものづくりの土地」であるということ。三大バイクメーカーに加えて、楽器メーカーもこの地から生まれていますし、実際に工場見学やミュージアムを訪れられる場所もいくつかあります。単に「発祥の地」という看板だけでなく、今もその現場を目にできるのが特徴の一つだと思っています。

静岡県西部に広がる汽水湖・浜名湖
愛知県渥美半島の先端に位置する伊良湖岬(いらごみさき)

今回の連携によって、アドベンチャーツアー自体にはどのような動きが生まれていきそうでしょうか?

伊藤行政区分を越えた体験の掛け合わせには可能性を感じています。例えば、新城の古道を走ったお客さんに「足を延ばせば浜名湖でマリン体験もできますよ」と勧めたり、逆に浜松側で醤油づくりを案内している担当者が「東三河では日本酒造り体験もできますよ」と紹介したり。 こういう組み合わせが自然に生まれてくるようになれば、そもそも「東三河」「浜松・浜名湖」という区分自体、旅する人にとってはあまり意味を持たなくなっていくんじゃないかと。

田中それは本当にそうですね。車で走っていれば、気づかないうちに県境をまたいでいたりする。行政区分ではなくて、旅人が求めるものに寄り添うのが観光開発の本質で、むしろ県境を越えたほうが、旅の選択肢は広がります。 浜松には磐田を含めれば100万人規模のマーケットがありますし、愛知県側には名古屋という大都市マーケットもある。それを県境で区切らず一つの観光圏として捉えていければ、単独ではつくれない新しい旅の価値を生み出せるはずです。

そもそも、県境を越えて一つの観光圏をつくろうとする連携はこれまでになかったものなのでしょうか?

田中なかったですね。そもそも東三河と浜松・浜名湖を含む静岡県西部の遠州地域って、隣同士でありながら、情報がほとんど行き来していないんです。テレビもラジオも新聞も、うちは名古屋圏、浜松側は静岡圏で、完全に分かれている。私自身、豊橋に住んでいても、浜松の情報はほとんど入ってこないくらいで。

伊藤そうですね。だから今回、ヤマハ発動機さんが、近くて遠かった我々に横串を挿してくれたような感じなんですよ。それで実際に田中さんたちと頻繁に顔を合わせるようになって、あらためて気づいたのは、これはアドベンチャーツーリズムという名の「やらまいかツーリズム」だなということで。

やらまいかツーリズム、ですか。

伊藤「やらまいか」というのは、浜松周辺で使われる遠州弁で「やってみようじゃないか」という、この地域に根付いたチャレンジ精神のことです。よそから来た人を受け入れて、一緒に何かをつくっていく。そういう土壌が、浜松にも東三河にも、実は同じように息づいていると感じたんです。 ヤマハ発動機さんも、まさにその精神を体現している会社だと思っています。海外の売上が中心の中で、あえて日本の地域に目を向けて、私たちのような小さなDMOと組み、前例のない事業をゼロから立ち上げようとしている。それって、もう「やらまいか」そのものなんですよ。

三方よしの、その先へ

今後このツーリズムが育っていった先に、みなさんはどんな景色を見据えていますか?

田中私は活気を取り戻した地域の姿を想像したいですね。廃校になりかけていた小学校に、また子どもたちの声が戻ってくる。集落のお祭りに、海外から来たお客さんも一緒に混ざって、笑い声が響いている。そんな光景を、心のどこかで思い描いています。 ただ、現実には、奥三河のように人口が1,000人を切った村も出てきています。そのくらいの規模になると、地域の中だけで経済を回すのは、正直もう難しいんです。商店を支えるだけの消費者も、新しい産業を興すだけの担い手も足りない。だからこそ、外からお金を持ち込んでくれる観光が、数少ない現実的な選択肢として残ってくる。 今回の企画でヤマハ発動機さんのような大きな企業が、実際にインバウンドのお客さんを連れてきてくれれば、地域にも「まだやれる」という希望が生まれていくのではないかと期待しています。

伊藤私も同感です。それに加えて、地域社会が観光を前提としたかたちに成熟していくことも大事だと思っています。例えば今、当地域では外国人を見かけても、特に挨拶もしないことが多いんです。観光と縁のない土地なのでそれも仕方のないことですが、もはや外国人が地域を訪れることを「特別な出来事」として捉えていられる時代でもないと思うんです。 もちろん、外国人観光客をめぐるマナーや防犯面の懸念があるのも事実です。ただ、僕らが目指しているのは大量集客ではなく、同じ興味を持つ方を地域の担い手が直接案内するスタイル。顔の見える距離で交流が生まれれば、「よくわからないから警戒する」という壁も自然と低くなっていくと思っています。

太田私は企業側の視点ですが、地域に人が集まり、そこで暮らす人たちが地域の価値をあらためて実感できるような状態になっていけばいいと思っています。例えば、ツーリズムによって地域に外からお金が入り、それが祭りや伝統行事、地域の暮らしを支える投資に回っていく。そうやって、これまで途絶えかけていたものがもう一度価値を持ち、次の世代へ受け継がれていくといいなと。 これはきれいな社会貢献の話だけではなくて、事業を続けていく以上、利益を出し続ける必要がある企業にとっても、長い目で見てメリットのある話です。文化が続けば、その土地に住みたいと思う人が増え、そこでの暮らしの中で自社の製品が選ばれることにもつながっていく。地域が育てば、市場も育つ。そのサイクルを、事業としてきちんと回していきたいですね。

今回の共創は、企業とDMOという立場の異なる組織同士の強みが重なっているところに特徴があります。この動きをさらに広げていくためには何が必要だと考えますか?

田中単年度で終わらせず、2年、3年、5年と続けていくことだと思います。1年やってみて終わり、では他の地域にとっても「本当に効果があるのか」が見えてきません。東三河と浜松・浜名湖で手探りながらもやり続けたことが、他の地域にとって「自分たちもやってみよう」と思えるものになるように、実績を積み上げていきたいですね。

伊藤私は編集的な視点を突き詰めていくことが大事だと思っています。大きな箱物をつくるのではなく、すでにある醤油蔵や古道、祭りといった"本物"の資源を組み合わせていく。小さなものでも、掛け合わせれば大きな観光施設に匹敵する価値になり得るということを示せたら、日本中に可能性が広がっていくと思うんです。

太田まず今期は、ヤマハ発動機の海外拠点と連携し、「送客側」の協力体制をしっかり築くことが重要だと考えています。DMOのお二人も触れてくださったように、私たちの強みは、顔も名前もわかる世界中のヤマハのお客さまにアプローチできることです。 ただ、そのお客さまと日々向き合っているのは、日本を含む世界中の現地拠点です。まずは彼らにこのツーリズムの価値を実感してもらわないことには、前へ進めません。今期は最初のステップとして、その価値がきちんと伝わるツアーを開発する。送客側はもちろん、受け入れ側の横展開も見据えながら、この三遠エリアから広げていきたいですね。 課題は山積していますが、東三河や浜松・浜名湖で生まれている動きには、確かな手応えを感じています。ここで得た経験を、次はどの地域に広げていけるか。今から楽しみにしています。

取材:岡野春樹(Deep Japan Lab)/執筆:根岸達朗/撮影:金本凜太朗/編集:吉山日向

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