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JMX IA1シーズンレビュー

JMX IA1の2012年シーズンをご紹介します。

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田中教世&YZ450Fの新体制も空転
ランキング13位でシーズンを終了

2012年シーズン、YAMAHA YSP Racing TEAMに田中教世&YZ450Fという新コンビが誕生した。開幕戦で2位表彰台を獲得して好スタートを切るも、ひとつの転倒を引き金に不運が重なり苦しいシーズンを送ることとなる。それでも諦めず上を目指してYZを走らせ続けた田中の今シーズンを振り返る。

負傷やトラブルに立ち向かい、表彰台1回、ランキング13位を獲得した田中教世

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好スタートの後に潜んでいた
転倒・負傷の落とし穴

 前年のプライベーターという立場から一転、YAMAHA YSP Racing TEAMに籍を移した田中教世は、ヤマハを代表する選手として2012シーズンを迎えた。その変化について、「これまでの苦労から解放され、レースに集中できる環境になった。体も心もとてもよい状況であり、これまでの自己最高であるランキング2位を超える成績、すなわちチャンピオンの獲得をはっきり意識してシーズンを迎えることができた」とコメント。特に移籍後の初戦でもある開幕戦に対する想いは強く、「YSPの方々をはじめ多くファンにヤマハの田中として認められ、またライバルたちに脅威を与えられるようなインパクトのある走りを披露することが目標」と、並々ならぬモチベーションを示した。
 その言葉どおり、第1戦九州大会(熊本県)で田中は気迫のこもったレースを展開。第1ヒートこそ転倒により13位となったが、第2ヒートでは、スタートで後方集団に飲み込まれながらも、序盤で一気に順位を上げ、5周目には4番手に浮上。先頭の成田亮(ホンダ)や平田優(ホンダ)、新井宏彰(カワサキ)という強力なライバルたちに挑む、田中が思い描いたそのままの舞台が整った。そこで田中は、新井と平田をかわすと、トップの成田に後一歩まで迫る走りを見せ、みごと2位を獲得。自らの確かな手応えとファンの期待に応える成績をつかみ取り、ライバルに対しても“ヤマハの田中”の存在をしっかりとアピールした。
 続く第2戦関東大会(埼玉県)も、開幕戦で見せた田中の勢いは健在。第1ヒート、スタートから攻勢をかけて2番手につけ、優勝を狙えるポジションを確保する。ところがその直後、田中をアクシデントが襲う。不意の転倒によって負傷、リタイアを余儀なくされてしまったのだ。医師の診察を受けた結果、転倒した際に強く胸を打ち、肺にダメージがあることが判明。それでも田中は、第2ヒートのスターティンググリッドに登場。マシンと格闘しながら周を重ねが、レース中盤ついにピットへ戻り、レース続行をあきらめた。
 第3戦中国大会(広島県)までのインターバルは3週間。田中はその大半をケガの治療に充てたが、簡単に回復する状況ではなく、完治しないままレースを迎えることになった。そして第1ヒート、なんとか11位完走を果たしたものの、レース後に体調が悪化。第2ヒートは放棄せざるを得なかった。
 しかし、それ以上無理を重ねなかったことで、田中の身体は順調に回復。第4戦SUGO大会(宮城県)第1ヒートではライバルと接戦を繰り広げ5位入賞、第2ヒートは7位を獲得して総合6位と、後半に繋がる結果で前半戦を終えた。

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全力投球。でも断ち切れなかった負の連鎖

 後半戦最初のレースは第5戦北海道大会。全日本では初めての開催となる北海道オフロードパークが舞台となった。第4戦で復調の兆しをつかみ、事前練習もしっかりと行っていたことから、開幕戦で見せた強い田中の復活が期待された。だが、そんな田中を待っていたのはまたしても不運。マシントラブル、さらに転倒などが重なり、蓄えてきた力を発揮することなく9位/13位の総合11位でレースを終えた。さらに第6戦東北大会(岩手県)では、第1ヒートで転倒して首や背中などを強く打ちノーポイント、第2ヒートは体調が戻らず欠場と、現実は田中の思い描くシナリオとはまったく逆の方向へと進んでおり、「第4戦では、次に続くレースができていただけに、その後の展開は僕に大きなダメージを与えた」と苦しい心境を語った。
 しかしモチベーションは依然として高く保たれており、「第7戦まで約2ヵ月のインターバルがある。チャンピオン獲得は難しくなってしまったが、YSP応援団をはじめとするファンのみなさんの期待に応えるためにも、ケガを完全に治し、これまでのことを一度リセットして、上を目指していきたい」と、意気込みを話してくれた。
 こうして迎えた第7戦近畿大会(奈良県)、第1ヒートはトラブルや転倒もなく8位でフィニッシュ。続く第2ヒートは、序盤こそ9番手と出遅れたが、後半に入ってペースが落ちてきたライバルたちを逆転して7番手に浮上し、さらに上位を狙ってマシンをプッシュしていく。ところがその矢先、ライバルと接触して転倒。マシンにダメージを負ってレースを失い、第8戦中国大会・第2ヒート、さらには最終戦MFJ-GP・第2ヒートもマシントラブルによってリタイア。2ヵ月のインターバルで断ち切ったはずの悪い流れは、最後の最後までチームにつきまとい、田中はランキング13位でシーズンを終えることとなった。
 もちろん、ケガもトラブルもすべて、レースにつきものの要素。それが言い訳になる世界ではない。それを踏まえたうえで、田中は2012シーズンを「悪い流れを断ち切ることの難しさを痛感した。とても苦しいシーズンだった」と振り返った。しかし「最後まで上をめざしてがんばれたのは、毎戦駆けつけてくれるYSP応援団をはじめとするファンのみなさんのおかげ。目標を達成できなかったことも悔しいが、一番の心残りは皆さんの期待に応えられなかったこと」と振り返った。
 見つめる先は2013シーズン。克服すべき課題は少なくないが、全日本MXの栄冠に挑み続ける決意は揺るがない。再びファンのみなさんの前で胸を張り、スターティンググリッドに立つヤマハライダーの活躍にご期待いただきたい。

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