トップメッセージ 2014年
経営陣からのメッセージです。
2014年1月6日
「らしさを極める」「常識を変える」~モノ創りが変わる・仕事が変わる
2013年の先進国市場は、米国で景気回復が続き、日本では新しい政権の政策効果もあり一転して円安・株高基調となりましたが、欧州では依然として景気低迷が続きました。一方、新興国市場は、前年に始まった景気減速や金融引き締め・規制などの影響が続き、踊り場状態となりました。
そんな環境下で昨年は、新しい中期経営計画の1年目として、ヤマハらしいモノ創りとマーケティングへの取り組み、グローバル・コストダウンなどを進めました。特に、先進国および一部新興国市場において、ヤマハらしい個性豊かな商品を投入できました。加えて、それぞれの商品投入において、生産立ち上げ日程を前倒しする、営業活動を工夫する、目標以上のコストダウンを達成する、などに取り組み、その成果が上がりました。
2014年は、中期経営計画の2年目です。欧州市場や新興国市場における景気不透明感が残る中、まず今後の景気・需要動向を見極めて、各市場における事業戦略を補強し、見直すと同時に、全事業黒字化に向けて取り組みます。そして、「らしさを極める」「常識を変える」ことを継続して進める中で、特に「モノ創りが変わる」「仕事が変わる」ということに注目していきたいと考えています。
モノ創りが変わる
ヤマハらしさとは、3つの要素「独創的なコンセプトを提案する」「卓越した技術を実現する」「洗練された躍動感あふれるデザインを表現する」ことを追究することです。これら3つの要素を、開発や製造現場でつくり込むモノ創り、市場現場でお客さまに直接コミュニケーションする営業活動により、ヤマハらしさが創り出されます。
今年は、そのモノ創りが変わります。先ずヤマハらしい個性豊かで高品質なモノ創り、一方で私たちの仕事を企画・開発思想・設計仕様・環境技術・コスト面などで常識を変える・変革するモノ創り、この2つのねらいを両立させようと取り組んできた商品が続々と市場投入されます。
二輪車では、次世代エンジン、プラットフォーム・モデル、本格的なグローバル・モデルなど、高性能・軽量・低燃費・コストを追究した商品。マリンエンジンでは、プラットフォーム開発思想を具現化しながら、高性能・軽量・コンパクト・コストを追究した商品。 リクレーショナル・オフ・ハイウェイ・ビークルではお客さまの層をさらに広げる商品、スマート・パワー・ビークルでも軽量・コンパクト・コストを追究して提供価値を広げる商品などです。また、「技術が広がる」「お客さまが広がる」ことをねらいながら新しいモビリティを提案する、リーニング・マルチ・ホイールもいよいよ市場投入されます。
個性豊かで高品質なモノ創りと変革するモノ創りを両立させ、進化させていくフェーズです。そのための新しい組織も、1月1日付けでスタートしました。
仕事が変わる
今年は、次の6つの視点で「仕事が変わる」を具現化したいと考えています。
1つ目は、商品開発~生産立ち上げのスピードです。昨年は、生産立ち上げの日程前倒しという、私たちの常識を変えることが世界各地で実現しました。次は、それを新しい常識にします。グローバル・ビジネスの激しい競争の中で、モノ創り企業の太い筋肉である商品開発~生産立ち上げ、その精度と速度を高めることは、企業競争力の根幹になります。それに関わる全ての仕事を、即・速く・短く・安くやるためのプロセス改革とシステム改革を実行して、強く瞬発力ある筋肉に変えていきます。新しい常識は18カ月以下、そんな2年後をイメージしています。
2つ目は、現地・現場に固執する開発です。アセアン統合開発センターでは技術・調達・製造による機動力ある商品開発、インド統合開発センターでは現地品質水準への適合設計などが進みました。本社は先行技術研究・基本プラットフォーム開発を担当して、海外では市場要求に対応する迅速な商品開発を担当するという開発体制を一気につくり上げます。 30%以上の商品が海外で開発される、そんな2年後をイメージしています。
3つ目は、現地・現場がますます広がる調達や製造です。今年は、新しい海外事業や海外工場の立ち上げが進みます。中国でのボート事業・新工場建設、パキスタンでの二輪車事業・新工場建設、インド・アルゼンチンの新工場建設などです。各拠点の技術力が高まると同時に、全体最適なモノづくり体制ができあがる、そんな2年後をイメージしています。
4つ目は、現地・現場を広げて、そこに執着する営業です。二輪車・マリン・特機・IM(Intelligent Machinery)・SPV(Smart Power Vehicle)・UMS(Unmanned System)事業などには、市場現場を広げるチャンスがたくさん残っています。まず、世界で市場国を、市場国の中で地域を、地域の中でお客さまとの接点を、そしてさらにお客さまの層を広げていく仕事です。次に、その市場現場に執着して、お客さまと強い絆をつくる接点づくりを工夫し続けることで、「ヤマハでよかった・次もヤマハにしたい」と共感してもらえるような仕事です。世界のあちらこちらに、そこまで・そんなことまでやったと自信を持って語れるような仕事の形が見える、そんな2年後をイメージしています。
5つ目は、お客さまサービスのスピードです。お客さまとの接点は、商品を購入される前・購入される過程・購入された後にあり、その中でも最も長期間になるのが購入された後です。この期間におけるお客さまの満足度を高めて、「ヤマハでよかった・次もヤマハにしたい」と共感してもらうため、3S (Sales・Service・Spare Parts) の推進力をより強くするための新しい組織もスタートしました。世界中でヤマハの3Sが評価される、そんな2年後をイメージしています。
最後の6つ目は、企業経営の太い幹である人づくりです。階層別教育・機能別教育・技術者の動機付けなどに加えて、海外業務体験やグローバル経営幹部教育などのプログラムを充実させてきました。さらに、全社的なマーケティング教育、グローバル人事制度・世界同一評価基準づくりなどに取り組みます。さまざまな文化的背景、得意分野や専門能力を大事にして、挑戦する・努力する・成果を出す人づくりをしたいと考えています。ヤマハブランドを体現できる人材が、世界各地のさまざまな分野で活躍して、全体最適な選択をしながら持続的成長の実現に貢献する、そんな2年後をイメージしています。
2014年に「モノ創りが変わる」「仕事が変わる」ことが、2015年以降には「会社が変わる」ことにつながっていくと考えています。
ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
柳 弘之