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トップメッセージ 2009年

経営陣からのメッセージです。

2009年1月6日

ピンチをチャンスととらえ、今こそ真の実力向上を

世界不況へ突入

昨年は、50年、100年に1度と言われる世界不況に突入した年でした。前半は原油価格が異常な上昇を続けたことからガソリン、原材料の高騰が続き、後半では、米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機が瞬く間に欧州、さらには世界中に波及し、世界金融恐慌と呼ばれる事態となりました。株価や為替は、経済の実態を無視したかのように日々乱高下し、将来の予測が非常に困難になっています。また、為替の急速な円高は経営環境に大変な緊張状態をもたらしています。

当社は昨年2月、2020年を見据えた長期ビジョン「Frontier2020」によって、進むべき道筋と新中期3ヵ年経営計画による目標数値を発表しました。しかしその後、先に述べたような想定を越える変化により、軌道修正せざるを得ない状況になっています。今はまさに、企業として生き残りをかけた本当の実力が試される正念場です。

2008年12月期の業績につきましては、北米や欧州での二輪車・マリン・レクリエーショナルビークルなどの基幹事業がガソリン高・景気悪化の影響で販売が減少し、大幅な減益に追い込まれました。その一方で、インドネシアやタイなどのアセアン諸国や中国、中南米での二輪車事業が健闘し、当社の利益をけん引してくれました。しかし直近では、好調といわれていたブラジルやベトナムでも信用収縮やローン金利の上昇で需要は急速に落ち込んできており、当社の収益の柱であるインドネシアにもその影響が波及しつつあります。サーフェスマウンターなど産業用ロボットの事業も、世界的な景気減速で中国・台湾などアジアでの落ち込みが大きくなっています。

今後の需要動向についても、当面厳しい状況が続くものと予想され、いずれの事業・地域も予断を許しません。

「収入への執着」と「徹底的なコスト削減」

以上のような非常に厳しい社内外の状況を踏まえ本年は、「収入への執着」と「徹底的なコスト削減」の2つを重点課題として掲げます。この2つは、ビジネスの基本中の基本で、課題として掲げるには当たり前過ぎるかもしれません。しかし、今一度基本に立ち返り、今年はこれを徹底的にやり切り、スリムで効率的な企業体質を構築する必要があると考えます。

売上という利益の源泉を再認識し、厳しい状況の中でもそれを乗り越え、1台でも多く売るための知恵と工夫を出して取り組んでいきます。

支出については、一切のムダを省きます。「何のためにやるのか」という目的と費用対効果を明確にし、必要なものについてはコストを最少化します。

ピンチをチャンスととらえて

当社はここ数年、世界的な市場拡大と為替の追い風もあり、業績を飛躍的に伸ばしてきました。しかし、それらの追い風の影響を差し引けば、収益力は2004年以降、好転していません。開発・製造・調達など、機能全体でのコスト競争力の強化、販売効率のアップ、コーポレート部門の経費低減など、解決しなくてはならない課題もあり、まずはこの事実をしっかりと認識する必要があります。

一方で、ピンチはチャンスであると言えます。経済全体が伸びている時は、企業の弱い面も利益の陰に隠れて見えません。しかし不況時には、会社の実力がはっきりと浮かび上がり、他社との力の差も明確になります。だからこそ、足腰をしっかりと鍛えるチャンスだと思います。これまでの上昇機運から一転し、耐えるような施策が圧倒的に多くなりますが、現状をしっかりと認識し、でき得る施策はすべてやるという姿勢と実行力が大切になりますし、スピードを上げて、それらに取り組まねばなりません。

また、こうしたさまざまな改革を進めるにあたっては、これまで取り組んできたコンプライアンス、すなわち、お客さまや社会から信頼を損なうことなく、「お客様基点」に立った誠実な企業行動が求められることも念頭に置いておく必要があります。

当社には伝統的に、困難に果敢にチャレンジしていく精神と明るさがあります。「為せば成る」ということを信じて、現実をしっかりと認識しながら前を向いて進んでまいる所存です。

ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長
梶川 隆


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