トップメッセージ 2007年
経営陣からのメッセージです。
2007年1月8日
中期経営計画「NEXT50-PhaseII」の2年目であった昨年は、1年目の勢いを最終年につなぐための重要な年でした。
「新たな成長を目指す」ために、本社新実験棟やグローバルパーツセンター、IM事業の生産能力増強、アスタキサンチン原料工場、海外でも、インドネシア・ベトナムでの二輪車関連工場が稼動を始めるなど、国内外で増産に向けた設備投資を行いました。
また、12月には、社会貢献事業の一環としてヤマハ発動機スポーツ振興財団を設立しました。
2006年12月期の業績は、公表している見通しの連結売上高1兆5,200億円、経常利益1,250億円を達成できれば、「NEXT50-PhaseII」の最終年度の目標を1年前倒しでクリアすることとなりますが、今年は昨年の投資を着実に生かし、さらに飛躍しなくてはなりません。同時に、高い業績を上げるだけではなく、社内の制度やしくみ、社員の意識・行動も、社会から信頼される模範でありたいと思います。
このような認識に立ち、2007年は以下の重点施策を実践して参ります。
1.「NEXT50-PhaseII」の総仕上げ
「NEXT50-PhaseII」では、「差別化価値の追求」「利益志向の継続」「成長機会の取り込み」の3つのテーマを掲げています。
「差別化価値の追求」は、技術でも製品でも販売でも、他社とは違ったキラリと光るヤマハらしさを打ち出し、お客さまに価値を提供していこうというものです。アセアンでは、オートマチックという新しいコンセプトを打ち出し、市場を活性化していますが、欧米では、まだ十分に成果が出ていません。成熟市場としての難しさはありますが、ヤマハにしかできない高付加価値マーケティングでブランドを輝かせ、目標を達成します。
「利益志向の継続」は、前中期経営計画で培った利益志向を継続し、それが私たちの体質になるところまで根付かせるためのものです。昨年は、売上は伸びたものの、原材料の高騰などもあり、実質的な収益力は低下傾向にあります。
本年は、SyS(システムサプライヤー)体制の考え方をより深く広く展開し、商品企画・開発・調達・製造・営業を通した採算改善を進めます。すべての活動をその上流にある要因分析までさかのぼり、これまで以上にコストに対する執着心を持って、各機能が一丸となって取り組んでいきます。
「成長機会の取り込み」は、成長が見込める市場での基盤整備を進め、新規市場や新規事業での開拓を推進していくというものです。インドは苦戦していますが、ブラジルの伸長やロシアの市場開拓、ライフサイエンス事業の本格稼動など、全体的には、次の中期経営計画への足がかりができたと思います。本年も、これらの取り組みを加速させていきます。
2.お客さま視点の徹底
当社は昨年後半、国内で相次いでリコールを実施しました。
品質問題は経営的にも重要な課題です。リコール回収費用に加え、本来ならば将来のために使うべき時間と労力が別途発生します。しかし、それ以上に、品質問題が私たちを支持してくださるお客さまの期待を裏切り、先輩たちがこれまで築いてきたブランドを失うことになりかねません。「本当にこれでお客さまのために十分か」ということを常に意識し、これまでの慣習にとらわれず、問題を事前に察知する能力を高め、意思決定と行動をしていかねばなりません。以上を肝に銘じて社員全員で取り組んでまいります。
3.社会の模範となる企業風土の構築
昨年1月23日、当社は、無人ヘリコプター不正輸出疑惑で家宅捜索を受けました。世間を騒がせたこの事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならないと思います。そして、これを契機に、社会から信頼され、模範となる企業風土の構築に努めていきたいと思います。特に、コンプライアンスに関しては、法令順守に留まらず、自律した企業倫理の視点で取り組んでいかなくてはなりません。
会社として、コンプライアンス推進特別委員会からの提案なども含め、さまざまな取り組みを進めます。そして、それが社会の求める水準にあるのか、持続的な成長を遂げるのに十分かを検証し、社会から信頼され、模範となる風土の構築に向け、活動を強化していきます。
今年は、前中期経営計画で培った体質を継続してさらなる成長を図ると宣言した「NEXT50-PhaseII」が成功したかどうかの判断が下される、本当の意味での勝負の年です。厳しい外部環境、原材料高騰など、越えなければならないハードルはどれも高いものがあります。
しかし、これまでの50年間を生き抜いてきた当社には、目標をやり遂げるだけの底力があると私は信じています。私たちを支持してくださるお客さまや関係者、そして、 ヤマハの名の下に働くすべての社員の努力や期待に応えていくつもりです。
また、今年は、ホップ、ステップ、ジャンプのジャンプにあたる年です。
ヤマハ発動機グループ一丸となって、大きくジャンプしていきたいと思います。
以上
ヤマハ発動機株式会社
代表取締役社長
梶川 隆