技術論文 電動ハイブリッド自転車「PAS」の開発 PDF
勝岡 達三/小山 裕之/中道 忍/生熊 克己
交通機関の開発については、近年、省エネルギー、低公害等の環境保護問題が重要な課題になってきており、各方面で種々の研究が展開されている。一方、コミューターの原点ともいえる自転車は、動力源が人間であるため、省エネルギー、低公害ではあるものの、弱点として、坂道、荷物積載、向かい風等での走行が体力的に大きな負担となり、有効利用できる幅が狭い。我々は種々の検討の結果、自転車の持つ基本的な弱点を効果的に補う手段を検討し、人間のエネルギーと電気動力エネルギーを複合化した力で駆動する新しいタイプのコミューターを開発した。その結果、我々はこの車輌が様々な課題の改善に寄与できると同時に、将来のパーソナルコミューターへの一つの道を指し示すことになるであろうと信じている。本報では、この「電動ハイブリッド自転車」の技術的検討過程と特徴について紹介するものである。
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<パラメータ設計応用事例>「PAS」アシスト性能の開発 PDF
勝岡 達三/小山 裕之/五十嵐 二伯
93年11月に発売された「YAMAHA-PAS」は、電動モーターを補助動力とするハイブリッド自転車である。人のこぐ力に対応した力をモーターから与えるシステムとなっている。人のこぐ力と補助力との比を「アシスト比」といい、アシスト比α=Aであり、且つばらつきの少ないことが、自転車の良さを残し、さらに使いやすい乗り物とするために非常に重要である。そこでアシスト比目標をA±0.1に設定した。アシスト比をばらつかせる要因は、構造上やパワーユニット全体に関わっており、沢山の要素から成り立っている。これを最適化することは、開発初期のばらつき状況から見て大変困難が予想された。そこで、パラメータ設計および許容差(公差)設計の方法(品質工学による方法)で取り組んだ。その結果、アシスト比ばらつき(σ2)が0次試作仕様に対して1/4.6に改善できた。又目標値に入る図面公差も設定でき、これをもとに作り込みを行った。従来、論理的な設計寸法および公差決定が困難であったが、パラメータ設計の方法により比較的簡単に求めることができる。
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アルミニウム基複合材料のエンジン部品への適用技術開発 PDF
芥川 知孝/栗田 洋敬
アルミニウム基複合材料は、内部にSiC粒子を分散させることにより、アルミニウムの軽量性を生かしつつ、硬さ、強度、耐熱性、耐摩耗性などの特性向上を図ったものである。この複合材料は、軍事用航空機を中心として開発され、民生用としても様々な部品への検討が行われているが、実用化された例は少なく、疲れ強さおよび耐摩耗性等の特性を含め、加工特性でも未解明な点が多い。今回、二輪車用ピストン、船外機プロペラに焦点を絞り、これらの部品に対して要求される機能、生産での加工工程を踏まえ、この複合材料の適用化技術開発を進めた結果、大幅な特性の向上を図ることができた。本稿では、この検討過程で明らかになった項目のうち、機能面の特性について報告する。
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硬度測定によるピストンの温度分布推定法 PDF
山縣 裕
ピストンの運転時の温度分布は、硬度の減少を測定することで決めることができ、よく知られている。この方法は、ピストンが高温にさらされることで時効軟化することに基づいている。しかし、350℃以上の温度では使用が困難で、それは溶質原子が350℃以上では溶け込むことにより、ピストン材料の硬度が上昇するためである。本文では、この方法の金属材料学上の背景を簡単に説明し、350℃以上の温度を正確に推定するため、時効を追加する新しい方法を提案する。
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技術紹介 電動スクーター「MEST」の開発 PDF
高橋 博幸/高野 正/平岩 久佳/中野 孝俊
昨秋、東京モーターショウで発表された電動スクーター「MEST」は、信頼性、耐久性等の評価・改良を経て、モニター走行に至っている。「MEST」とは“Minimum Electric Systemfor Transportation”の略であり、必要最小限のシステムで移動具として過不足のない性能を狙ったものである。即ちガソリン車並みの性能・航続距離を電動車で得ようとすると、一般的にシステム(バッテリー、モータ、コントローラ等)が大きくかつ重くなり、車両、特に人車一体の乗物である二輪車として成立し難くなる。この問題を解決するために、筆者らは「バッテリ〜駆動輪までの伝達効率を極めて高いものにする」手段を考えた。また、いたずらに航続距離を追求せずに、使用実態を認識し、近距離アクセスコミューターとして適度な性能・航続距離とすることで、軽量・コンパクトな車両とした。その内容を紹介する。
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プレス型におけるコンカレント・エンジニアリング PDF
鈴木 章弘
燃料タンクは社内で成形されるプレス部品であり、オートバイの顔としての外観品質が厳しく要求される。それと同時に、ガソリンを内蔵するパーツとして安全性も見過ごすことができない。近年、内面の錆防止にメッキ鋼板が使用され、アウタとインナの合面など精度向上がより一層求められている。
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プロペラCADシステム「SPIRAL」の開発 PDF
中浜 良三/斉木 英夫/伊代田 和久/岡部 吉彦
船外機用プロペラは、従来二次元図面で設計していた。そこで、今回プロペラ設計・型設計専用の三次元CADシステムを作ることにより、CAD/CAM連結を図り、試作品および生産型の作製を容易にし、かつ品質の向上を狙っている。
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ヨット用軽量カーボン・マストの内製化と技術開発 PDF
北川 欽哉/本山 孝/白木 一幸/鳥居 利通/清水 大資/藤澤 隆宏/松下 正
軽量化を目的としたヨット用量産カーボンファイバーマスト(以下CFマスト)の内製を目指した開発を行い、所期の目標である従来品(A6061-T6)に対して50%の軽量化を達成した。
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小型船舶における舵直圧力計測法の紹介 PDF
宮野 定夫/末森 勝
旋回中の小型船舶の舵に働く力(舵直圧力)を推定することは、舵の強度設計にとって重要なことである。いくつかの舵直圧力推定式が提案されているが、我々が取り扱っている小型の船に適合するか否かは検証されていなかった。今回、実艇において舵直圧力を計測する手法を開発したので紹介する。
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購買におけるコスト作り PDF
生熊 美知雄
技術者が商品開発するうえで、購入品のコストは少なからず係わりあいがあり、常時、技術と購買の間ではそのやり取りをしている。今回、誌面をいただく機会を得たので、PRも兼ねて購入品のコストづくりについて述べてみたい。なお、コスト作りといっても範囲が広いので、ニューモデルにおけるコスト作りを対象にその特色について触れることにする。
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製品紹介 新世代ビジネス・スクーター「ギア」の紹介 PDF
小林 正典/奥村 英隆/冨田 稔/大西 哲郎/太箸 樹巨雄
50ccモデルの業務用途での需要は、年間15~16万台で推移している。需要の中心を占めるビジネス車は、積載性、耐久性、信頼性の高さが評価され、減少傾向にはあるものの安定したシェアを保っている。しかし、近年の50cc業務需要をめぐる状況は様々な変化を示してきた。都市部の交通渋滞の慢性化で2輪の機動性が見直される中、サービス業の競争は戸口宅配の増加を加速させている。一方で雇用形態にも変化が見られ、例えば新聞配達員に占める女性の割合が50%にまで達し、各種宅配サービスも10代のアルバイトが業務の主力を担うなど、そうした例は様々なところに表れている。この結果、使用者のニーズも旧来のビジネス車からスクータータイプのモデルへと急速に変わりつつある。ビジネス・スクーター「ギア」は、このようなニーズに応えるべく“AT世代の都市型ニュービジネススクーター”をキーワードに開発を進めてきた。スクーターならではの手軽さ・扱いやすさと、ビジネス車に要求される積載性・耐久性を兼ね備え、都市部を中心にした多様な業務に幅広く適応するモデルである。
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ビッグスポーツバイク「XJR1200」の紹介 PDF
宮地 一郎/松木 閲央/月花 良市/一木 富士男/徳永 良一
近年、日本市場において、オーバー750ccの解禁および本物、上級指向の風潮が強まり、大型自動二輪車市場が活性化している。なかでも市場のマストレンドとなってきたP-4ネイキッドのカテゴリーにおいて、’93年に発売し好評を得ているXJR400に続き、XJRブランドをより強固に確立するために最高峰モデルとして、XJR1200を市場に送り出すこととなった。
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新5HP・GHP「MG5」の紹介 PDF
佐藤 敏光
GHPも、最初の2HPが市場に出てから7年が経過した。この間、3HP、3HPマルチ、5HP7、5HP、20HPとシリーズ化を行い、家庭用から業務用、更にはビル用マルチへと、巾広い市場ニーズに応えてきた。このようにシリーズ化により順調に台数を伸ばしてきたGHPであるが、その販売が従来のガス会社ルート主体であることもあり、市場への浸透を計り切れていなかった。今回紹介させていただく、新5HP GHPは、従来モデルに対し大巾なコストダウンを行い、流通ルートの利益を確保し、新たな販売ルート開拓を目指したモデルである。
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産業用ロボット「新XYシリーズ」の紹介 PDF
進藤 弘
昨今の著しい景気後退の中、製造業界は設備投資を抑制しているが、その状況下でも省力化、省人化への投資は続けており、低価格の産業用ロボットには根強い需要がある。産業用ロボットの開発に限らず、どの場合でも同じことであろうが、開発に際しては、まず当初にその使用目的に適する商品の性格を定めなければならない。また、産業用ロボットといえども、性能機能の向上要求と共に経済的な要求、例えば、他商品との部品の互換性を図るとか、市販されている大量規格部品を採用するなど、徹底的な設計・製造方法の見直しを行ない、大幅なコストダウンを図り、産業用ロボットを導入する顧客の初期投資としての価格と同時に保守・点検を含むランニングコストを低減し、従来にも増して投資採算性の向上を図ることが最重要課題である。
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