Vol. 10 一滴の水。溢れ出る、しあわせ
集落の暮らしを潤す 水委員会の取り組み
インドネシアの首都ジャカルタから東に約70キロ。豊かな自然が広がるプルワカルタ県のチカドゥ村には、およそ180戸に560人ほどの人びとが暮らしています。この小さな集落に小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」が設置されたのは10数年前のこと。以来、この浄水装置が生み出す水は〈サラサ飲料水〉として集落の人びとの喉を潤し、また周辺地域に販売することで雇用を生み出しています。
「ヤマハクリーンウォーターシステム」を導入するためには、持続的な運営の基盤となる水委員会の組織化が条件となります。自主運営のノウハウや技術が地域に落とし込まれ、住民の間で脈々と受け継がれています。
委員長のアセップ・スクマさんは「これは自分たちのものです。だからこそ私たちは、責任を持って育てていかなくてはならない」と話します。「なぜならば、この日本政府からの支援は本当にありがたいものなのだから」と。
〈サラサ飲料水〉のSARASAとは、「ひとつの同じ気持ち」という意味です。ひとつの思いを共有しながら、みんなの手で大切にされ続けるチカドゥ村の青い浄水装置。自然の仕組みを応用した「緩速ろ過」で浄化されたその小さな一滴は、今日もやさしさに包まれて地域に健やかな笑顔と潤いをもたらしています。