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Vol. 5 父と娘と、農業と

ドローンを使った「水稲直播」で米づくりの未来を拓く親子の取り組み。

「自分たちの代でやめる」――。一度は口にしたその言葉を父は翻意した。生産者の高齢化はますます加速する一方で、後継者不足の課題を抱える日本の農業。新しい農法、新しい道具、そして娘の決意。「いままで通りが正解とは限らない」。父と娘のチャレンジが始まった。

「水稲直播」とは、苗を植えることなく、直接種もみを水田に撒く農法。田植えを行う一般的な稲作と比べて、労働負荷の低減を見込むことができる。世代交代を前にして、父は考えた。これまでの経験と汗。そこに「新しい技術を調和させる」。次の世代に手渡すために。

父が守ってきた水田で、娘はドローンを操作する。春に撒いた種もみがすくすくと育ち、やがて稲穂を黄金色に輝かせて収穫の秋を迎えた。父と娘が創り出す、農業の明日。その新しいかたち。炊き立てのお米を頬張って娘が言った。「もう、やるしかない!」。

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