Vol. 4 ささめく水面、運河の町
静かに、そしてゆっくりと。水上のロースピードモビリティで、運河を蘇らせる取り組み。
かつて北海道開拓の玄関口を担った小樽の町は、小舟が行き交う運河とともに栄えてきた。故郷の大切な資産に翳りを感じた男は、その瞬間を「義務が発生した」と振り返る。人びとを乗せて運河を進むクルーズボート。「生きている運河は美しくなってゆく」と信じている。
20年ぶりに帰ってきた小樽で目にしたのは、機能を失い、汚れの目立つ小樽運河の姿だった。「運河は小樽の資産。やらなければいけない」。人が歩くスピードよりもちょっと速く。水面から聞こえる水の囁きを聞きながら、水上のロースピードモビリティが運河を走り出した。
次世代操船システム「HARMO(ハルモ)」搭載のクルーズ船による、小さな船旅。
「海の路。それをつくってあげるのが僕の仕事」。小樽を訪れる人、そして迎え入れる人。運河を楽しむ人びとが増えることで、周辺の環境整備も動き出した。「抑制だけない。良いことをすれば良い連鎖が生まれてくる」。