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Vol. 3 海の恵みをわかちあう

「東北の漁業を残したい」。若き船長、美しい海でホタテ養殖漁船とともに。

あらゆるものを失ったあの日から10年。岩手県宮古市・日出島の港に美しい一隻のホタテ養殖漁船が浮かんだ。子どもたちに海や漁の素晴らしさを伝えたい。たくさんの人々にこの海の魅力を知ってほしい。ホタテだけではない。この船には乗せたいものがたくさんある。

海を恐いと思ったことはない。自然と一緒に生きていく覚悟があるかどうか――。育てるホタテは甘みと歯ごたえが自慢。天然の防波堤を成す日出島の海に隆勝丸を浮かべた船長は、「恵みのほうが多い」と言って笑った。

かつて12軒あった漁家は、いま2軒が残るのみになった。津波で亡くなった方もいる。辞めた方もいる。でも、まだまだできる。日出島の漁業を残したい。「進水式は泣けましたね。キャプテンだなって。船長だなって……」。

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