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私たちライダーにできることは?佐藤恭彦 三島市オフロードバイク隊 その2

地元ライダーにしかできないこと

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ーー被災したとき、私たちライダーに何ができるのでしょうか?

佐藤隊長: 人を助ける前にまずはご自身の身を守ってください。ライダーである前に、一人の被災者であることを忘れてはいけません。特に発災直後は危険です。また、家族を守れなければ、他の人を守ることなどできません。ご自宅の防災対策や、今7日間生活インフラの供給が止まってもご家族が生活できる物資を揃えられていますでしょうか?私は発災時に出動するので、私が不在でも家族が自力で生き抜ける蓄え・準備を家にしています。また、状況が収まった後も、無理をしない。身の危険を感じたらまず退避してください。

ーー自分と家族の安全が確保でき、状況が収まった後、何をすればよろしいでしょうか?

佐藤隊長: 地元ライダーにしかできないことは、地域住民とのマンツーマンでの対応です。官公庁や自衛隊はどうしても、全体対応・面対応をしなければなりません。また、お話を伺っても、普段から気心の知れた相手ではないので、遠慮して伝えづらいこともあるでしょう。ご自身が所属する自治会・避難所の中でニーズを聞き、自主防災会で必要なものをまとめて災害対策本部に伝えていただけるとありがたい。うまく役割分担できれば、非常に良い活動ができます。

2019年の台風15号では、千葉県鋸南町で家屋に深刻な被害が出る一方で、倒木・土砂崩れによる道の遮断と通信障害のため、町民から「連絡できない」「陸の孤島だ」という切実な声が相次ぎました。自衛隊のバイク部隊も出動しましたが、このような場面で自治会に災害に対応できるライダーがいれば、災害対策本部や電力会社が被害全容を短時間で掴め、もしかすると復旧も早められたのかもしれません。

ーー自腹ですか(驚

佐藤隊長: 我々が現場で使う装備品は高額ですので、趣味と結びつけないと難しいですよね(笑) 家族の理解を得るのに苦労している隊員もいます。ただ、良い面もあります。支給品では自分が納得するもの、使いやすいものを揃えられません。現場に背負っていくリュックサックやファーストエイドキット、GPS、読図用のコンパスなど、個人装備は日常的に使い慣れておくことが大事なんです。

ーー被災したとき、私たちライダーに何ができるのでしょうか?

佐藤隊長: 緊急物資を運ぶことでも役立てます。小口の食料や緊急物資を避難所や救護所に届けることもできるでしょう。ただし、麻酔薬や劇薬などの運搬には特別な手続きが必要で一般ライダーには運ぶのは難しいと思います。また、倒木による道路寸断場所ではチェーンソーが役立ちますが、燃料不足になるのでガソリンを携行缶に入れて持って行くと喜ばれます。

ーー注意点・課題はありますか?

佐藤隊長: 普段慣れ親しんだ道も災害時は瓦礫やガラス、土砂や砂などが散乱するので焦りは禁物です、常にご自身の安全を第一に行動し、少しでも不安を感じたら迷わず引き返してください。転倒リスクも高まるため、必ずプロテクターを着用してください。また二人一組が基本ですのでどなたかとバディを組むと良いでしょう。特に余震があるときに一人で行動するのは避けてください。二人ならもし何かがあってももう一人がサポートできます。震災時はパンクが増えるので修理キットを持ち歩くのも良いでしょう。
震災時にはさまざまな情報が飛び交い、中には不正確だったり虚偽のものもあります。虚偽の情報は発信者の身元を明かしていないものも多いため、お気を付けください。一方、情報を防災対策本部に伝える際に、ご自身のお名前だけでなく、所属する自治会や自主防災会長の名前などをお伝えいただけると信頼を得られやすくなります。

オフロードバイク隊を持っている市はまだまだ限られています。地域密着したライダーが増えるのはとても心強いと思います。

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