GP500を牽引した技術革新とライダーたち
2009年 企画展 Vol. 1
頂点をめざして YAMAHA Motorcycle Racing History - since 1955・前期
1960年代、4ストローク全盛の世界GPに2ストロークマシンで挑戦。数多くのタイトル獲得と、市販レーサーTD/TR、TZシリーズの普及によって2ストロークの優位性を引き出したヤマハ発動機は、'73年、最高峰500ccクラスにも進出。次々と革新的な技術を投入して勝利を重ね、GP500マシンのトレンドをリードした。
まずひとつは、モトクロッサーの開発から生まれたモノクロスサスペンション。パワフルで軽量なYZR500に軽快なハンドリングを付加し、'75年、ヤマハ発動機初となるジャコモ・アゴスチーニのGP500ライダーチャンピオン獲得をサポートした。
続いて'77年、排出ガスの吹き抜けを防ぎスムーズな出力特性を実現するYPVS※がYZR500(0W35K)に初めて装備され、ケニー・ロバーツの3連覇('78~'80年)に貢献した。またその間、'80年型YZR500(0W48)から採用された軽量・高剛性のアルミフレームは、やがてデルタボックスフレームに進化。'82年型YZR500(0W61)に初めて搭載されたV型4気筒エンジンとともに、3度にわたるエディ・ローソンのチャンピオン獲得('84・'86・'88年)を支えた。
そしてこれ以降、2ストローク・V4エンジン、アルミフレームという組み合わせは、ほとんどのGP500マシンに共通のスタンダード仕様として浸透し、4ストロークのMotoGPマシンに置き換わる2003年まで受け継がれたのである。
※YPVS=Yamaha Power Valve System/可変式排気バルブ