技術の進化と普及活動で築いたMX黄金期
2009年 企画展 Vol. 1
頂点をめざして YAMAHA Motorcycle Racing History - since 1955・前期
ヤマハ発動機がモトクロスに初めて参戦したのは、1963年秋の第8回全日本モトクロス大会。続いて翌年、ライダーに荒井市次や三室恵義らを擁し、YG-1(80cc)やYA-6(125cc)、YDS-2(250cc)など市販車にキットパーツを装着したマシンでレース活動を開始した。
しかしやがて、モトクロスが本格化してくると既存の市販車を改造したマシンでは不具合も多くなり、軽量・コンパクトなモトクロス専用の単気筒マシン開発に着手した。そして'67年5月、完成したばかりの試作車YX26(250cc)を第4回モトクロス日本GPに投入。鈴木忠男のライディングでみごとデビューウィンを収めたYX26は、すべてを市販車にフィードバックし、'68年3月、トレールモデルDT-1として生まれ変わった。
その後ヤマハ発動機は、大ヒットを記録したDT-1に続いてFT-1(50cc)、JT-1(55cc)、HT-1(90cc)、AT-1(125cc)、CT-1(175cc)、RT-1(360cc)までラインナップの充実をはかる一方、レース用キットパーツや市販モトクロッサーの発売、トレール教室、トレール杯選手権の全国展開などを行い、参加型モータースポーツとしてモトクロスの普及に注力した。
またDT-1、AT-1をベースにしたファクトリーマシンは、オフロード走破性を飛躍的に高めるモノクロスサスペンションの開発によって大きなアドバンテージを握り、鈴木秀明、鈴木都良夫が全日本チャンピオンを獲得。さらに世界制覇も果たすなど、ヤマハ発動機のモトクロス黄金期を築き上げた。