GPを支えたヤマハ市販レーサー
2009年 企画展 Vol. 1
2009企画展 Vol.1
頂点をめざして YAMAHA Motorcycle Racing History - since 1955・前期
頂点をめざして YAMAHA Motorcycle Racing History - since 1955・前期
プライベーターに深く浸透し、GPを支えたヤマハ市販レーサー
1960年代初頭、ホンダ、スズキ、ヤマハのあいつぐ進出により、世界GPの勢力図は一変。50ccから350ccまで、500ccを除くほとんどのタイトルを日本のファクトリーチームが独占することとなった。しかし、新たな車両規則導入をきっかけに、'68年、ホンダとスズキがそろってGPから撤退。続いてヤマハ発動機も1年遅れでファクトリー活動を休止する。その時GPに残した置き土産、それが市販レーサーTD-1シリーズの最新モデルTD-2(250cc)とTR-2(350cc)だった。
当初、国内クラブマンレース向けに開発されたTD-1だが、発表後はアメリカやヨーロッパなど海外で評価を高め、TD-1AからTD-1B、TD-1Cへと進化していた。これなら車両規則もクリアしている。その性能をさらに磨き上げ、プライベーターに適正な価格で幅広く供給すれば、今後も継続して世界GPに貢献できると考えたのだ。
そして'69年、発売されたばかりのTD-2、TR-2は瞬く間に世界GPへ浸透。それぞれのクラスでスターティンググリッドの大半を占めるほどになり、ケント・アンダーソン、ロドニー・ゴールド、ケル・キャラザース、フィル・リード、ヤーノ・サーリネンといったトップライダーたちが、毎シーズン、スリリングでハイレベルなタイトル争いを展開した。
その系譜は'73年のファクトリー活動再開後も次世代TZシリーズに受け継がれ、"2ストロークのヤマハ"は世界GPにどっしりと根を下ろすことになる。