ご挨拶
2007年 企画展 Vol. 1
YZR-M1の挑戦 ~MotoGP第一章 2002-2006の記録~
1955年の創立とともにスタートした当社のレース活動は、今日まで受け継がれる企業精神「チャレンジスピリット」の醸成に大きな役割を果たしています。とりわけ1961年から参戦しているモーターサイクルレースの最高峰・ロードレース世界選手権は、最先端技術の研究・開発・検証の場として、また高い目標に向かってチャレンジするグループ社員の情熱のシンボルとして、さらには世界の人びとと感動を共有する場として、そのなか心に位置づけられる存在です。
ロードレース世界選手権が誕生して以来、半世紀以上にわたってトップカテゴリーの役割を担ってきた500cc(GP500)クラスに、大幅なレギュレーション変更が加えられたのは2002年。世界のモーターサイクル市場の情勢や頂点クラスの活性化といった複数の課題を解決するために、それまで排気量500cc未満を上限とするマシンで競われていた車両規定が見直され、4ストローク・エンジンに限って990cc未満のマシンの出場が可能となりました。
4ストローク化への移行に早くから賛成の立場をとっていた当社は、2ストロークYZR500でグランプリを戦いながら、同時に4ストロークGPマシンの開発を進めて2001年秋にプロトモデルを発表、さらに「MotoGP」と改称された2002年シーズンの開幕戦で「YZR-M1」をデビューさせました。車名に冠された"M"は、「世界チャンピオンを獲得する"Mission"」、そしてレース活動から得たさまざまな技術を「市販モデルにフィードバックする"Mission"」を意味するものです。
2007年の「MotoGP」は、再び車両規定を改定した4ストローク・800cc未満の新レギュレーションによって競われます。
コミュニケーションプラザ企画展「YZR-M1の挑戦」は、4ストローク・990cc時代の5年間をヤマハファクトリーマシン「YZR-M1」開発の第一章としてとらえ、その技術開発史を記録するものです。一貫した独自の開発コンセプトのもと挑戦を続け、2度の世界チャンピオン獲得にいたったテクノロジーの変遷をお楽しみください。