レストア業務の手順
2006年 企画展 Vol. 2
2006企画展 Vol.2
RESTORATION ~蘇るかたち、蘇るスピリット~
RESTORATION ~蘇るかたち、蘇るスピリット~
レストア業務の手順
当社のレストア業務は、当時のかたちと性能をできるだけ忠実に再現するために、定められた工程に則って、多数の資料(図面やカタログなど)を揃えながら繊細な手順で進められます。また、完成後には試走や各部の仕様を確認するための検車会も行われます。
レストア業務の手順 |
1.
企画立案
年代やカテゴリーによって当社製品を分類し、製品の重要度や展示イベントの予定などを考慮して、レストア業務計画を立案。 |
2.
車両/資料の入手
企画に従って、ベースとなる車両を調達。同時にパーツカタログ、サービスマニュアル、図面等の基本的な資料を入手。 |
||
---|---|---|---|---|
3.
仕様の確認
2.で用意した資料に加え、ヤマハニュース(販路向け情報誌)や当時の専門誌、カタログ等の資料を参考に、製品細部の仕様を確認。 |
4.
欠品・欠損部品の確認
ベース車両の細部を点検し、部品の欠品や欠損を確認。 |
5.
写真撮影(記録)
現存資料では判断できない不明確な箇所が出るケースを想定し、あらかじめベース車両の部品をさまざまな角度から撮影して記録する。 |
||
6.
塗装指示図の入手
ベース車両は塗装やメッキの仕様が変更されている可能性があるため、塗装指示図で細部を確認。 |
7.
車体の分解
ベース車両を分解する。この時、破損や磨耗した部品も破棄せず、重要な情報とする。また、分解行程を必ず撮影して記録する。 |
|||
8.
発注/製作
復元不能な部品は、部品部門へ発注する。ストックがない場合は専門業者に手配するが、できる限り少量に対応する方法を検討する。 |
9.
エンジンの分解
車体と同じようにすべて分解し、破損や磨耗を調べる。入手に時間のかかる部品は優先して手配する。 |
10.
塗装部品の発注
取り外した部品の塗装を剥離し、業者に依頼する。塗装やメッキは変更されている場合があるので、再度図面(塗装指示図)で確認。 |
||
11.
メッキ部品の発注
メッキ部品は、研磨を行った後にメッキ処理の依頼を行う。ボルト等の寸法(二面幅)は、必ずオリジナルの寸法とする。 |
12.
部品の復元
アルミ部品など、素材を活かせるものは現物を磨き上げて復元する。アルミ部品以外も、できるだけ実物を活かす方策をとる。 |
13.
部品の確認
外注部品が正しくできているか、納品時に確認。特に色や表面の滑らかさなど、仕上がり状態を重視する。組立前にすべての部品が揃っているかリストにて確認する。 |
||
14.
エンジンの組み立て
サービスマニュアルに基づいてエンジンを組み立てる。ガスケットやオイルシールなどは、新品を使用する。ピストンやバルブなどで使用可能なものは流用する。 |
15.
車体の組み立て
車体を安定させるため、足回り部品を優先して組みつける。ワイヤー/パイプ組み立て図やサービスマニュアル、また事前に撮影しておいた写真を参考にして組み立て作業を行う。 |
|||
16.
油脂類充填
サービスマニュアルに従って、規定量の油脂類を指定箇所に充填する。 |
17.
試 走
動態保存の方針に従って、社内の試走路でエンジン始動及び試走を行う。試走後は、展示に備えて油脂類を抜く。 |
18.
検車会
関係部署(技術、広報など)の立会いのもと、仕様を確認する検車会を実施。 |