歴史車両走行会2023
2023年11月4日に、ヤマハ袋井テストコースにて実施された車両走行会映像をご覧いただけます。
68年のモノづくりの歴史を、走りで体感
ヤマハ発動機が掛川テストコースで歴史車両の走行を行う、「2023歴史車両走行会」が11月4日に開催されました。これはヤマハコミュニケーションプラザが所蔵している歴史車両の状態を確認するために、定期メンテナンスの一環で行っていたものでした。それが希望する社員や家族にお披露目する社内イベントとして定着し、ときにはユーザーを招待して一般公開するなど、コミュニケーションプラザの一大イベントとして発展してきました。走行会の目的そのものは変わらないものの、現在はヤマハ発動機社員が自社の歴史車両に触れて、当時のモノづくりや企業文化への理解を深める場としての役割も担っています。
2023年はヤマハ発動機の製品第一号として知られる「YA-1」をはじめ、新たにレストアを終えた「TX650」、3期にわたって実証実験を行った「E01」など、旧車から最新の電動バイクまで個性豊かな15台がラインナップされました。それを走らせるのは、社内公募で集まった20代から60代の男女15名からなるボランティアライダーたち。新旧のバイクが晴天の袋井テストコースを駆け抜けていく様子を、動画と音声でご紹介します。
ボランティアライダーの
皆さんの声
どうしても乗ってみたかったのが、ヤマハ発動機のバイクの原点である「YA-1」。1955年に製造された車両ということもあって現代のバイクのようなスピードやパワーはないものの、走らせているうちに自然と楽しい気分になるバイクでした。きっとヤマハは60年以上前からお客さまが笑顔になるようなモノづくりを追求していたんでしょうね。そして「TMAX」はとてもパワフルなのに取り回しがしやすく、コーナリングの安定感が高かったです。ライダーの走りのスタイルに合わせて、街乗りでもツーリングでも活躍しそうな万能選手だと思いました。
「YDS-1」は制動が少し弱いながらも鋭い加速感で、想像以上にスポーティなバイクでした。また「TX650」は地面を蹴りだす力強いトルクを備えていて、エンジンの鼓動感が心地よかったです。僕は1980年代のバイクに乗っていますが、旧車でもこれだけしっかりと整備されていれば、現代でも必要十分な性能を発揮できるんだ、と身をもって知ることができました。ヤマハの社員としても旧車ファンとしても、普段はコミュニケーションプラザで展示されている貴重な車両が実際に走行している姿を見ることができてとても嬉しかったです。
「E01」の走りに感動しました! あの車格の電動バイクに乗ったのは初めてですが、ものすごくなめらかに発進するし、すべての挙動がスムーズで乗りやすい。本気で買いたいくらい気に入っています。「YA-1」にも乗りましたが、こちらも素晴らしいコンディションでしたね。60年以上前に製造された車両であるにもかかわらず、いまでも普通に走れるなんて驚きですよ。僕も古いバイクをレストアするのが大好きなので、動態保存活動の取り組みは素晴らしいと思います。もし社員がレストア作業をお手伝いできる機会があれば、いつでも参加します!
初代「VMAX」は、発売当時大学生だった自分にとって憧れのバイクでした。10年ほど前に夢を実現しようと1700ccの2代目「VMAX」を買って現在も乗っていますが、憧れの原点である初代モデルにやっと乗ることができました。初代は1200ccなので思っていたより軽く感じましたが、とても乗りやすかったです。そして「YA-1」は、もはや動く骨董品。現代のバイクと性能を比較すべきじゃないし、いまでも走って乗れる状態にあるだけで感謝したいくらいです。今後も貴重な歴史車両を大切に後世につないでいかなければ、と思いました。
いつかは買おうと思っているうちに、とうとう販売が終了してしまった「SR400」にやっと乗ることができました。じつは数年間ブランクがあって運転には自信が持てなかったのですが、挙動が穏やかでとても安心して乗ることができました。「TRICITY 155」は、あまりにも違和感のない乗り心地で、三輪であることが実感できなかったです(笑)。どちらも唯一無二の個性的なバイクですよね。ウェブやコミュニケーションプラザでしか見ることができないものに触れることができて、とても感動した一日でした。
走行車両 Movie & Sound ギャラリー
YA-1
ヤマハ発動機の製品第1号。
黒一色で重厚なデザインが常識だった当時、栗茶色のスリムな車体から、“赤トンボ”の愛称で呼ばれた。また、1955年7月の第3回富士登山レースや同年11月の第1回浅間火山(全日本オートバイ耐久)レースで上位を独占し、走行性能の高さも実証。大卒初任給が平均1万円ほどの時代に13万8千円という価格にも関わらず、3年間で約1万1千台が世に送り出された。
YDS-1
YD-1と第2回浅間火山レースに参戦したYDレーサーを経て誕生した高性能スポーツモデル。
20馬力の2ストローク・2気筒エンジンを鋼管クレードルフレームに搭載し、国産初の5段変速機、エンジン回転計を内蔵したコンビネーションメーターなどを装備、レース用キットパーツも豊富に用意され、オン・オフを問わずさまざまなレースカテゴリーで活躍した。
DT-1
オンロードとオフロードのカテゴリー分けが明確になかった時代に「トレール」という新ジャンルを築いたモデル。
当時の国産車で最長ストロークとなるフロントフォーク、大径ブロックパターンタイヤ、エンジンガードなど、オフロード走行に焦点を絞った技術や装備を持ち、オフロードスポーツが盛んな米国で爆発的な人気を博し、日本では「トレール教室」の開催や「トレールランド」の開設とあわせて新たなバイクの楽しみ方を提供した。
Passol(S50)
従来の「跨って乗る」という常識を覆し、「ステップスルー」というスタイルを定着させた50ccコミューターモデル。
エンジンや駆動系を外装でカバーして衣類の汚れなどの心配を減らし、清潔感や親しみやすさを感じさせるデザイン、扱いやすい自動遠心クラッチ・手動リアブレーキなど、斬新なアイデアを数多く採用。「やさしいから好きです。」のキャッチフレーズによるキャンペーンも話題を呼び、女性をはじめとする新たなユーザー層と「ソフトバイク」という新たな市場を創り出した。
TX650
「XS-1」譲りのバーチカル・ツインのスタイルを基調にフレームを一新、直進性を配慮しロングホイールベース化し、トレールも延長。軽量化したピストン&コンロッド、H型アルミリム、シールドビームヘッドライトなどを備えた。先行発売のTX750、TX500とともに、ビッグスポーツ“TXシリーズ”充実を担ったモデル。トランジスタ点火となった最終型の1980年型まで、ロングセラーとして人気を博した。
RZ250
2ストロークエンジンの魅力を凝縮したピュアスポーツ。
リッター当たり140馬力の高出力エンジン、ヤマハ独自のモノクロスサスペンション、軽量キャストホイール等による圧倒的な性能とロードレーサーTZ250を思わせる精悍なスタイリングが多くのファンを魅了した。“ナナハン(750ccクラスの通称)キラー”と呼ばれた兄弟モデルRZ350とともに4ストロークに移行しつつあった市場のトレンドを一変させ、後の“レーサーレプリカ”ブームの先駆けとなった。
SEROW225(XT225)
英語でカモシカを意味する車名通りに、山の懐へ深く分け入る“遊び”に必要な性能・機能をもつマウンテントレール。
粘り強さと十分なパワーを兼ね備えた4ストローク・225ccの単気筒エンジン、山遊びに最適な軽量・スリム・低シート高の車体は扱いやすく、街乗りにも最適でオフロードファンだけにとどまらず、女性やビギナーなど幅広いライダーに受け入れられた。モーターサイクルの遊びや楽しさを拡げると同時にロングセラーとなったモデル。
VMAX
1985年にアメリカで発売されるやいなや、個性的なスタイリングとパワフルな走りで熱烈なファンを獲得したVMAX12の国内向けモデル。海外向けモデルとの主な違いはエンジンの一部機構で、そのトレードオフで扱いやすさを増した水冷・V型4気筒・1200ccエンジン、類似するモデルのない唯一無二のダイナミックなスタイリング、伝統的な従来の“アメリカン”クルーザーとは異なる独自の存在感が世界中のファンに愛され、20年以上に及ぶロングセラーとなった。
YZF-R1
ワインディングロードにおける「最高のエキサイトメント」を追求したコンセプトでスポーツモデルの世界を変革したモデル。
強力かつ扱いやすいトルクとパワーを発揮する軽量・コンパクトな1,000cc・4気筒エンジン、理想的な車体構成を実現したデルタボックスIIフレームなど、画期的な特徴を数多く備え、レースに準じ750ccエンジンが中心だったスーパースポーツのカテゴリーに新時代をもたらした。
TMAX[XP500]
“オートマチック・スーパースポーツ”という従来にはなかった独自の価値観で新たなカテゴリーを開拓したパイオニア製品。
スポーツバイクの走行性能と大型スクーターの快適性・利便性を兼ね備えることが欧州を中心に大きな反響を呼び、二輪車の世界を大きく変貌させたモデル。水平対向バランサーを備えた新開発の2気筒エンジン、スポーツ走行に必要な剛性をスクーターの車体で実現したダイヤモンドフレーム等も特徴となっている。
SEROW250
《操る楽しさナンバーワン》をキーワードに、225ccから250ccへスケールアップした新設計エンジンを搭載するなど、2005年にフルモデルチェンジしたセロー250。
2008年モデルでは、初めてF.I.(フューエルインジェクション)を採用した。F.I.により始動性や環境性能、そしてトルク感がさらに向上し、オフロードでの優れたトレッキング性と市街地での扱い易い走行性で、幅広い層から支持を得た。
YZF-R1M
1998年の初代モデルから8代目となる「YZF-R1/YZF-R1M」は、クロスプレーン型クランクシャフトを初めて採用した市販モデル。“High tech armed Pure Sport”のコンセプトのもと、MotoGPマシン「YZR-M1」の技術思想を体感できるサーキット最速のポテンシャルを備えるモデルとして開発。998cm3水冷・直列・4気筒エンジンから最高出力200馬力を発揮。市販二輪車として6軸姿勢センサーを初搭載するほか、アルミ製燃料タンク、チタン製コンロッド、マグネシウム製ホイールなど当社の技術の粋を集結。「YZF-R1M」は上級モデルとして、オーリンズ社製電子制御サスペンションやアルミにバフがけを施したタンクやリアアーム、カーボン素材の軽量カウル、走行状況を記録するデータロガー機能を採用。
TRICITY155
“ニュースタンダード シティコミューター”のコンセプトのもとLMW製品の第1弾として2014年から各国に導入した「TRICITY 125」。その楽しさを受け継ぎつつ、より余裕のある走り、所有感の向上を通じ、LMWの魅力を広げるモデルとして企画されたのが「TRICITY155」である。「パラレログラムリンク」と「片持ちテレスコピックサスペンション」からなるLMW機構により、旋回時にフロント2輪が車体と同調してリーン(傾斜)し、軽快でスポーティなハンドリングと安定感を備える“新しい楽しさ”を実現。高効率燃焼に貢献する可変バルブシステム(VVA)搭載の“BLUE CORE”155 cm3エンジンを、高速域でも十分な強度と剛性のバランスを確保したフレームに搭載。高速道路走行や、よりパワフルなエンジンを求めるニーズに呼応している。
SR400 Final Edition
1978年の初代発売以来43年にわたり、お客さまの声を反映し、かつ規制適合化を図りながら熟成と進化を重ねるも、一貫して基本構成を変えずにきた「SR400」。
ビッグシングルの心地よい鼓動感、モーターサイクルの原点とも言えるシンプルかつ美しいスタイリング、キックスターター方式など、不変の”SRらしい”個性により、エントリーライダーからベテランライダーまで、幅広いファンに支持された。惜しまれながらも2021年9月末をもって生産を終了、国内生産台数は累計12万台以上だった。
E01
原付二種クラスのスクーターとしての実用性と都市間の移動に適した走行性能を備える実証実験用電動スクーター。自社開発の高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーター(IPMSM)を専用設計フレームに搭載、車両固定型リチウムイオンバッテリーの採用で航続距離104km※を実現。 当社は、「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」において、2050年までに「スコープ3(主に製品使用時など)」におけるCO2排出量を2010年比で90%削減する目標を掲げており、その目標達成に向けた電動製品戦略車である。