1968年

1968年、全10戦で全勝したヤマハはコンストラクタータイトルを奪還、ライダータイトルもP・リードが奪取、自身250ccクラス3度目の世界チャンピオンとなった。またリードは125ccでのタイトルも獲得、2クラス制覇となった。

各社の多気筒化、ハイパワー化が加熱する中でFIMは、1970年シーズン以降、125ccは単気筒、250cc以下は2気筒、ミッションは6速という新競技規則を発表した。こうした中でホンダとスズキはGPからの撤退を決めたが、ヤマハは1968年もGP参戦を継続。250ccクラスのマシンは、前年僅かなところでタイトルを逃がした水冷V型4気筒のRD05Aだった。これにヤマハの両エース、リードとB・アイビーの英国人コンビが乗った。

この年の開幕戦は4月20日、ニュルブルクリンクの西ドイツ戦だった。 リードとアイビーはこの初戦から快調に飛ばし、他車の先行を許さず最速ラップライムを記録して優勝。続くスペインとマン島ではリードとアイビーが優勝を分け合う。その後、コンマ1秒差でアイビー、リードのゴールインとなったオランダ、プラグ交換でピットインして最後尾からの驚異的な追い上げでMZライダーをパスしリードが優勝したベルギーGP、またもアイビー、リードのコンマ1秒差のチェッカーとなった第6戦東ドイツなど、ヤマハは連戦連勝。そしてこの東ドイツでのアイビーの優勝でヤマハのコンストラクタータイトルが決定した。

ヤマハの両エースのタイトル争いは第9戦フィンランドでも決着がつかず、最終戦にもちこされた。ここまでの9戦で、アイビー5勝、リード4勝で迎えた9月15日の最終戦はイタリアのモンツァが会場、エース決戦となった。前夜から降り続く雨をついて行われたが、予選で不調だったリードは決勝で調子を取り戻し、レースの主導権を握ると、アイビーに1分50秒の差をつけて優勝。これで2人の合計得点（有効6レース）でも全くのタイとなった。FIM規則により、両選手の完走全レースの所要時間の合計を比較、リードが僅かに優れていたため、チャンピオンとなった。なおヤマハを駆るR・ゴールド、K・アンダーソン、B・スミス、J・フィンドレーらも、それぞれポイントを獲得した。

1968年、全9戦で行われた125ccクラスのヤマハ布陣は、前年チャンピオンのアイビーとリード、2人のエースライダーだった。ここでリードがタイトルをきめ、リードにとっては250ccとのダブルタイトルを獲得。コンストラクタータイトルも決まり、2年連続でのライダー、コンストラクタータイトルに輝いた。使用マシンは、前年アイビーが駆った水冷2ストロークV型4気筒のRA31をさらに熟成させたRA31Aだった。

開幕戦は4月21日、西ドイツのニュルブルクリンク。スズキ、MZ、ブルタコなどが出場した。ポールポジションのアイビーは決勝でリタイアに終ったが、リードは1周毎に2位以下に10秒以上の差をつけ13周ほとんどを独走して優勝。ブルタコのワンツーとなった第2戦を除いて、3戦以降のヤマハは破竹の勢いを見せた。リードは3戦目となるマン島で優勝、オランダでは前半カワサキの2気筒に先行を許すも後半は首位を奪って快走、2位に2分以上の差で独走優勝した。そしてリードは、東ドイツ、チェコスロバキアと連勝、そのチェコスロバキアで早くもライダーチャンピオンを決めてしまった。ここでのレースは2位のMZに2分以上のアドバンテージをとっての優勝だった。続くフィンランドでもリードが優勝。アイルランドと最終戦のイタリアGPではアイビーが連勝。この2人の活躍が輝いたシーズンとなった。