今季でファクトリーチームを離れるジェイ・ウィルソン選手が有終の美 全日本モトクロス選手権の最高峰IA1で3回目のチャンピオンを獲得
ヤマハ発動機のレースに関する広報発表資料をご紹介します。
2026年11月3日

2026年11月1日(日)、全日本モトクロス選手権の第9戦・第64回MFJ-GPモトクロス大会が宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から「YZ450FM」でIA1に参戦するジェイ・ウィルソン選手が、ヒート1で4位、ヒート2で6位を獲得し、2024年以来2年ぶり、最高峰では自身3回目となるチャンピオンを獲得しました。
昨シーズンの最終戦でジェイ選手はチャンピオンに王手をかけながら、ヒート1で転倒し手首を負傷。これにより、チャンピオンを逃しました。迎えた2026年シーズン、開幕戦は怪我の影響がありましたが、総合2位と健闘。続くHSR九州大会(熊本県)では、ヒート1で今季初優勝を飾り総合優勝で首位に立ちます。
その後は昨年のチャンピオンである大倉由揮選手(ホンダ)と一進一退の攻防が続き、ランキングでは第7戦を終え5ポイント差で2位とリードを許していましたが、第8戦TOKIO INKARAMI Super Motocross(埼玉県)で総合2位を獲得して逆転に成功。17ポイント差をつけてトップに立ちました。
ジェイ選手にとって「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」で最後の大会ともなる最終戦、第9戦・第64回MFJ-GPモトクロス大会(宮城県)。ヒート1、ヒート2ともに、師弟関係となる大城魁之輔選手や中島漱也選手とバトルを展開。ジェイ選手は両ヒートとも二人にかわされ4位と6位でチェッカーを受けましたが、トップライダー二人の成長という大きな成果も残し、IA1で3回目、2022年のIA2を含め全日本で4回目となるチャンピオンを獲得しました。




ジェイ・ウィルソン選手
「この感情をどう表現したらいいのか、相応しい言葉が浮かんできませんが、今回勝ち取ったチャンピオンシップは、これまでのどのタイトルよりも特別なものだということは確かです。特にちょうど1年前にここSUGOで手首を負傷し、逆転を許してしまったことが非常に辛い記憶だったので、今週末はずっとナーバスになっていました。
今年は開幕日程が早かったので、シーズンオフのうちに手首が完治せず、全く練習できないまま実戦に臨みました。オーストラリアで手術した左手首には、今でもメタルプレートが入っています。寒い日にはとても冷えるので、ライディング前に温める必要があったほどです。ただ、それもモトクロスの一部であり、みんないろいろな事情を抱えながらレースを走っているので、私も素直に受け入れてきました。
YAMAHA FACTORY RACING TEAMとの最後のレースを終えましたが、チームスタッフやスポンサーの皆さんのサポート、そしてファンの皆さんの応援に心から感謝します。私はレーサーですが、マシン開発やライダー育成、さらにヤマハのブランドを牽引することも任務だと自覚してきました。すべて達成できたことが私の誇りです」
豊田剛士監督
「新たに刷新されたチームでしたが、ジェイ選手と内山メカニックの強固な信頼関係を軸としてタイトル奪還に成功し、素晴らしいシーズンになりました。これもスポンサー各位のご支援とファンの皆さんからのサポートがあってのことと、心より感謝しております。
ジェイ選手にとっては、昨年のアクシデントに向き合いながらプレッシャーを跳ね返し、自分を律しながら順位をキープする最終戦になりましたが、盤石の態勢で王座に返り咲くことができました。
実は土曜日の朝礼でルーティンの伝達の後に、ジェイ選手がチームスタッフに自ら切り出した言葉がありました。“このチームで参戦するのはこれが最後になりますが、契約は今年いっぱい残っています。契約が終了するその日まで、自分のモチベーションは少しも変わりません。初めてサインした日から一貫して、私の心はヤマハとともにあります。この最終戦でもチームの一員としてベストを尽くすつもりなので、一丸となっていつも通り取り組みましょう。さあ行くぞ!”。日本式の朝礼や終礼に溶け込み、我々以上に律儀で謙虚な姿勢で目標を達成したジェイ選手に、チームは胴上げで祝福しました」
| 開催日 | 大会名 | ヒート1 | ヒート1 | ヒート3 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3/15 | 第1戦 中部大会 ダートフリークカップ(三重県) | 5位 | 2位 | 2位 | 2位 |
| 4/19 | 第2戦 HSR九州大会(熊本県) | 優勝 | 2位 | - | 優勝 |
| 5/23-24 | 第3戦 21Groupカップ(埼玉県) | 2位 | 優勝 | 2位 | 優勝 |
| 6/6-7 | 第4戦 SUGO大会(宮城県) | 5位 | 4位 | - | 5位 |
| 6/27-28 | 第5戦 中国大会(広島県) | 3位 | 優勝 | - | 5位 |
| 7/12 | 第6戦 北海道千歳大会 | 優勝 | 優勝 | - | 優勝 |
| 9/12-13 | 第7戦 近畿大会MRAカップ(奈良県) | 3位 | 優勝 | 2位 | 2位 |
| 10/10-11 | 第8戦 TOKIO INKARAMI Super Motocross(埼玉県) | 2位 | 2位 | 2位 | 2位 |
| 10/31-11/1 | 第9戦 第64回MFJ-GPモトクロス大会(宮城県) | 4位 | 6位 | - | 4位 |
ジェイ・ウイルソン選手が残した功績
ジェイ選手は、2009年にニュージーランドでのジュニアモトクロス世界選手権で、オーストラリア人初の世界チャンピオンを獲得。以来、プロフェッショナルライダーとして、オーストラリアやニュージーランドの選手権で、合計6回のチャンピオンを獲得しました。


全日本初参戦は2021年、第59回MFJ-GPモトクロス大会に、「YAMALUBE YAMAHA RACING AUSTRALIA」から「YZ250F」でIA2にスポット参戦し両ヒートで優勝。翌2022年には「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」に加入し、「YZ250F」で参戦。若手育成や技術開発など幅広い役割を担いながら、開幕15連勝・全16ヒートで表彰台を獲得する活躍で初のチャンピオンに輝きました。


2023年からジェイ選手は最高峰のIA1にステップアップ。新設した「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」のライダー兼監督として「YZ450FM」を駆り参戦。若手の町田旺郷選手とともにEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)の開発を進めながら全23ヒートを戦い、開幕から19連勝を含む22勝、全ヒートで表彰台獲得を達成し最高峰を制覇しました。


続く2024年も「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」から参戦したジェイ選手は、若手育成のウエイトを上げながらも、年間11勝で連覇。2022年のIA2を含め全日本3連覇を成し遂げたのです。
「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」からIA1の3連覇を目指して参戦した2025年は、最終戦でライバルに36ポイント差をつけながらも、ヒート1で転倒し手首を負傷。リタイアを余儀なくされ、ヒート2も欠場しランキング2位と3連覇を逃しました。しかし2026年は再び最終戦での決戦でリベンジを果たし、チャンピオンを獲得しました。
IA2へのスポット参戦した2021年を含めた6シーズンでジェイ選手は、41大会/97ヒートにエントリーし、リタイアと欠場は2025年にわずか1回ずつ。YZとともに完走した95ヒートでは、優勝67回、2位13回、3位5回、合計85回の表彰台獲得という驚異的な数字を残しながら、極限の環境であるレースを通じて、YZの優位性や信頼性を証明しました。


ジェイ選手の功績はこれだけにとどまりません。当社のミッションとして、また自身のミッションとして取り組んできた「BLU CRU」活動の一つである若手育成では、ヤマハライダーの走行会に参加して、世界でスタンダードとなっている練習方法を取り入れて広め、ともに走り、レース現場も含めて多くのヤマハライダーとコミュニケーションをとりアドバイスを送ってきました。
その結果、2024-2025年にIA2を連覇し、今年からオーストラリア選手権にフル参戦してランキング12位となった中島漱也選手。チームメイトである大城魁之輔選手、田中順也選手といったトップライダーから、10代の若手ライダーまで幅広く刺激を与え続け、その成長に寄与してきました。

同時にレースを通じて全日本に参戦する多くのライダーにも世界レベルの走りで刺激を与えてレベルアップを促してきました。その結果、レースではジェイ選手に渡り合うライダーも現れ、全日本のレベルアップとともに、魅力向上にも貢献してきました。
今シーズン限りでジェイ選手は、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」を離れますが、当社とともにチャレンジを続け、YZシリーズの価値向上や技術開発、そして、ライダー育成や日本のモトクロス発展に大きく寄与してきました。当社はジェイ選手に深く感謝し、今後のさらなる活躍に期待します。

先頭へ