現象の背景にある「理屈」を探求し、お客様基点の品質を生む
品質でお客様を笑顔にする守人

求められる高い品質に「制御開発」で貢献
船外機は、荒波による衝撃や海水による腐食、また高回転での連続運転など、非常に過酷な環境下で使用される製品です。その上、万一にも海上でトラブルが発生すれば漂流などのリスクもあることから、品質には非常に高い信頼性が求められます。ですから私たちが向き合う開発目標も、極めて高いところに設定されています。
私は、船外機の品質や信頼性にも大きな影響を与える電装制御のエンジニアリングを担当しています。ECU(エンジン・コントロール・ユニット)のパラメータを調整することで、燃料噴射やシフトタイミングなどを最適化させる業務です。さらに、設定したパラメータの適合性を検証するため、プールでの実機単体テストや実際にボートに搭載しての各種テストを繰り返し、そこで得たデータを織り込みながら精度を高めていきます。これらのパラメータの数は、大型船外機ですとじつに1,500項目にも及びます。


私が入社した当時、電装制御の領域は発展分野として注目を集めていました。会社としても、この領域のリソースを蓄えていく時代だったかもしれません。機械工学出身の私にとって、PC上の設定変更がリアルタイムでエンジン挙動に反映される点は非常に新鮮で、エンジニアとしてのおもしろさを強く感じました。こうした経験を通じて、制御開発を自分のキャリアの軸にしたいと考えるようになりました。
新たな価値を生み、お客様に笑顔と安心を
品質を担保するために、私は常に「理屈」を大切にして合意形成を行っています。パラメータの変更によって現れたさまざまな現象について、それがポジティブな動きでもネガティブな動きでも、その背景にある「理屈」を複数のメンバーで徹底的に議論するよう心がけています。この基本的な姿勢や信念は、市場クレーム対応を担当していた時代に培われたものです。現象への対応だけでは一時的に問題が解消したように見えても、根本原因が残れば条件次第で新たな課題を引き起こす可能性があり、お客様基点の品質担保としては不十分であると実感したことが、その原点となっています。
エンジニアとしての喜びは、自分たちが生み出した価値をお客様に確実に届け、その価値を実感していただけた瞬間にあります。その一例が、シフトショック(シフトチェンジ時に発生する音や振動)の改善です。操船機能の拡張によりシフト操作回数が著しく増加する中で、シフトショック低減は静粛性や耐久性の向上に直結し、品質改善の効果が大きいと考え、この課題に取り組みました。
実験側の観点から対策を立案しましたが、実際に製品へ反映させるには設計側の協力が不可欠でした。何度も足を運び、意見を交わしながら信頼関係を築き取り組んだ結果、最終的にブレークスルーを実現することができました。この改善は社内外から高い評価をいただき、特に海外のボートビルダーから寄せられた「格段に良くなった。感謝するよ!」という言葉は、強く印象に残っています。
船外機の制御分野は、自動車業界などと比べると、まだ発展の余地が大きく残されています。今後も専門性をさらに高め、新たな技術や機能の創出を通じて、より安心で豊かなマリンライフをお客様に届けるとともに、業界の発展にも貢献していきたいと考えています。