「やりきった」と言える仕事で自信をもってお客様のもとへ
 
  
品質保証の誇りと覚悟
品質保証部門に配属されて、ちょうど10年が経ちました。最初の5年間は、検査を終えた製品の中から無作為に1台を選び、騒音値などの品質保証項目を測定して「完成検査証」を発行する業務を担当していました。これは、ロットごとの量産品質を保証する重要なプロセスです。ここで不具合を見逃してしまえば、そのまま市場に流れてしまう可能性があるため、「リコールは絶対に出さない。未然に防ぐ」という強い覚悟を持って取り組んでいました。

その後、量産開始前の製品の品質を造り込む職場に異動し、現在は開発エンジニアとともに幅広い評価を行っています。私は主に「耐久性」に関わる領域を担当しています。もともとバイクが好きで入社したので、乗って評価する仕事は楽しいのですが、「どんな些細な違和感も見逃さない」という緊張感は常に持ち続けています。

開発エンジニアが造り込んだ量産開始前の製品を、私たちはお客様により近い視点で評価します。時には「お客様が求める品質基準に達していません。再検討をお願いします」と伝える場面もあり、大きな責任を感じます。私の判断が仕様変更や対策につながることもあるため、その評価には確かな根拠と責任が求められます。
一方で、開発部門と意見が食い違った場面でも、品質保証の意見を尊重する風土や土壌が根付いており、互いの立場を踏まえた建設的な議論が行われています。
品質保証部門は、製品を市場に送り出す前の最後の砦です。お客様の期待に応えるために、これからも誠実に、責任を持って品質と向き合っていきます。
ブランド価値の向上に貢献する品質保証
走行耐久試験では、ある期間テストコースに通い、数人で交代しながら1日中走行します。不具合を期待しているわけではありませんが、「今日こそ何かを見つけてやるぞ!」という気持ちで集中力を保ち続けるため、走り終える頃には心も体もヘトヘトになります。
この仕事のモチベーションは、自分の感性や経験がヤマハブランドの価値向上に直結していると実感できることです。そこには誇りも感じています。
評価の場はテストコースだけではありません。新しい機構を備えたニューモデルでは、たとえば「外乱が想定される夜間走行」といった条件で、公道での確認を行うこともあります。最近では、二輪車で世界初となる「ACC・Y-AMTの連携機能※」に加え、「マトリクスLEDヘッドランプシステム」の公道実証実験※を担当しました。自信を持ってお客様に届けられる品質を造り込むことができたと感じていますし、プロジェクトを共にした内村さんと達成感を共有できたことも大きな喜びでした。
品質保証に関わる経験の積み上げは、どこまでやっても終わりはないと感じています。
先日も、ある不具合を感じた点について、先輩に付き合ってもらいながら2人で何度も再評価・確認を繰り返しました。それぞれの視点から意見を交わす中で、先輩は「問題なし」と判断し、その根拠や考え方を丁寧に説明してくれました。自分の見方と照らし合わせながら、その理由を理解し、納得することもできました。こうした対話を通じて、主観と客観の両面から品質を見つめ直すことができ、より確かな評価につながると実感しています。今後もこの視点を深めながら、品質保証の力を磨いていきたいと思います。
※ACC:Adaptive Cruise Control
※Y-AMT:YAMAHA AUTOMATED MANUAL TRANSMISSION
※公道実証実験:開発中のシステムや車両の性能・安全性を実交通環境下で確認し、品質向上と知見の蓄積を図るための取り組みであり、警察や関係機関の事前了承を得た上で、法令遵守と安全確保を徹底して実施されます。
 
 